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第五章〜悲しき戦い〜
第81話 〜トキオ文明国〜
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トキオ文明国が全ての国境を閉じてから既に一か月が経とうとしていた。そして、トキオ文明国出身であり、当時もトキオ文明国にいた天職《賢者》であるイスカリオテは、その頃、すでにトキオ文明国の軍隊に拘束され、首都シンジュにある、地下施設へと幽閉されていた。
拘束、幽閉といっても、神級魔法が使えるイスカリオテを強制的に拘束するには、それ相応の被害を受けることになると予想されてか、その環境としては、軟禁といっても良い環境だった。だが、イスカリオテも、相手が魔物相手と言うわけではないので、抵抗して魔法を使い、死人を出すわけにもいかず、外の情報を知ることが出来ない地下牢で、ただ時を待つことしかできなかったのだ。
やがてそこへ、ある一人の人物が大勢の兵隊を連れてイスカリオテのところへとやってきた。どうやらトキオ文明国の宰相らしい。
「そろそろイスカリオテさんも、私たちに協力をしてくれませんかね」
「……ありえませんね。ようやく魔王を倒しこれから魔神に備えなければならない時に、何故今になって、こんなことをしているんですか?」
「魔王を倒していただいたことには感謝しております。だが、魔神などそれこそ伝説上の空想物ではないですか?そんな空想よりも、私たちはある方の力を借りて、とうとう世界侵略の準備が整ってきたところなのです」
「……その世界侵略は何のために?いつから……誰がそんなくだらないことを考えていたのですか?」
「いつから?それはわかりません。何のために?この世界のために決まっているじゃないですか……それに我が王……天王様はこのトキオ文明国の王ではなく、この世界《シャングリラ》の王に相応しい方なのですよ」
「だからって侵略なんて……そのせいで人がたくさん死ぬかもしれないのですよ!」
「……反対するのなら仕方ありませんね……貴方の力は惜しいですが、このまま世界が一つになるところを待っていてください」
「そんなことを聞いて大人しく待っていると思うのですか?こっちは今すぐ力ずくで行動を起こしても良いのですよ!」
「ふっ……やめといた方が良いと思いますよ。天王様さえあれば、私の代わりなどいくらでもあります。そして何より、そんなことをすればあなたの部屋の周りにいらっしゃる、何も知らない子ども達がこの部屋全体に仕掛けられている爆弾とともに巻き込まれて死んでしまいますよ」
「爆弾……!?子どもまで!?……くっ、どこまで卑劣なんだ……」
「協力できないのなら、ここで大人しくしていてください。それではまた」
次の瞬間、宰相が帰っていく姿を睨みつけていたイスカリオテは目を疑った。兵隊に混じってヴァンジャンスがいたのだ。
「ま、まさか……ある方って……ヴァンジャンスさんがトキオ文明国に協力しているのか……くっ、ロイさんか誰かに連絡さえ取れれば……」
だが今のイスカリオテにはどうすることも出来ず、ただただ時間が過ぎるのみであった……
その頃、トキオ文明国の首都、シンジュにある工場では着々と兵器の開発が進んでいた。それはヴァンジャンスが魔法で具現化した兵器の複製をしており、この世界では未知の技術に当たる部分が多く、弾丸を含めた、製造不能の部分の多くは魔道具によりカバーをすることで可能にし、ある意味、魔力によって弾数制限が無くなることで、その汎用性はかなり高い兵器となっていた。
「どうだ?兵器の開発は順調に進んでいるのか?」
「はっ、SSランク冒険者のヴァンジャンス様により、もたらされました兵器の情報により、格段と威力及び生産性が増しています!」
「そうか、軍の様子は?」
「はっ、今までの人数3000人から5000人まで増やしております」
「よし、近いうちすべての条件をクリアして見せろ」
「わかりました!」
視察に来ていたのは天王。この国の王である。
「準備が出来れば、すぐにでも世界を征服しなければ……」
天王は何十年も前からこの計画を立てていた。何故、戦争という文字を知らなかったこの世界で、天王は、世界征服を考えていたか……それは何世代前か前の天王から語り継がれてきた、神の定めた天職などに人生を左右されない自由な世界。自分がなりたい職業に誰もがなれる世界を目指してだった。
この世界は、神の祝福という訳の分からない物で自分の天職が決められ、天職以外の選択肢で、生きていくには難しい。それならばその天職が無くても生きやすい世界に変えてしまえばいい。
何世代か前の天王はそう考えた。それには当時のトキオ王国の発展、文明の発展が必要不可欠。だからトキオ王国からトキオ文明国に名前を変え、ギルドという冒険者や天職ありきの組織を作るのではなく、政府としてこの国をまとめてきた。別に冒険者を認めていないわけではない。ただ天職により、冒険者になりたくても諦めた者、なりたくないのになるしか道がなかった者。そんな者達を増やしたくなかった。だから軍隊を作り、希望性の入隊にして、安定した給料を払い、組織を作っていった。
何度か世界の各国に訴えかけたことはあった。でも、結果はいつも同じ。神からの祝福に間違いはない。納得するしないではなく、その天職がその者に一番適しているのだから拒否をすること自体がおかしい。
……そんなことはない。天職は自分自身で決める物。例えそれが自分に適していなくても、難しくても、努力し、自分が納得するならば間違いではないはず。
こうなったら力ずくでもこの世界を変えてやる、誰もが自由に人生を選べる世界。諦めることなどない世界。天職を授からなくても生きていける世界を作る。それがトキオ文明国が求める世界だった。そのために今から世界を侵略し、征服する。この世界に生きる人々の目を覚まし、諦めることのない世界を作る。
私は間違ってなどいない。天王として、この世界を変える。本来なら天王もいなくていいのだ、今は血筋による継承だが、世界を統一したら、天職や生まれに関係なく、誰もが国の代表になったっていい。なりたい者、世界を変えたい、救いたい者がなればいいーー
トキオ文明国は世界征服のための準備を、着実に進めていたのだった。
拘束、幽閉といっても、神級魔法が使えるイスカリオテを強制的に拘束するには、それ相応の被害を受けることになると予想されてか、その環境としては、軟禁といっても良い環境だった。だが、イスカリオテも、相手が魔物相手と言うわけではないので、抵抗して魔法を使い、死人を出すわけにもいかず、外の情報を知ることが出来ない地下牢で、ただ時を待つことしかできなかったのだ。
やがてそこへ、ある一人の人物が大勢の兵隊を連れてイスカリオテのところへとやってきた。どうやらトキオ文明国の宰相らしい。
「そろそろイスカリオテさんも、私たちに協力をしてくれませんかね」
「……ありえませんね。ようやく魔王を倒しこれから魔神に備えなければならない時に、何故今になって、こんなことをしているんですか?」
「魔王を倒していただいたことには感謝しております。だが、魔神などそれこそ伝説上の空想物ではないですか?そんな空想よりも、私たちはある方の力を借りて、とうとう世界侵略の準備が整ってきたところなのです」
「……その世界侵略は何のために?いつから……誰がそんなくだらないことを考えていたのですか?」
「いつから?それはわかりません。何のために?この世界のために決まっているじゃないですか……それに我が王……天王様はこのトキオ文明国の王ではなく、この世界《シャングリラ》の王に相応しい方なのですよ」
「だからって侵略なんて……そのせいで人がたくさん死ぬかもしれないのですよ!」
「……反対するのなら仕方ありませんね……貴方の力は惜しいですが、このまま世界が一つになるところを待っていてください」
「そんなことを聞いて大人しく待っていると思うのですか?こっちは今すぐ力ずくで行動を起こしても良いのですよ!」
「ふっ……やめといた方が良いと思いますよ。天王様さえあれば、私の代わりなどいくらでもあります。そして何より、そんなことをすればあなたの部屋の周りにいらっしゃる、何も知らない子ども達がこの部屋全体に仕掛けられている爆弾とともに巻き込まれて死んでしまいますよ」
「爆弾……!?子どもまで!?……くっ、どこまで卑劣なんだ……」
「協力できないのなら、ここで大人しくしていてください。それではまた」
次の瞬間、宰相が帰っていく姿を睨みつけていたイスカリオテは目を疑った。兵隊に混じってヴァンジャンスがいたのだ。
「ま、まさか……ある方って……ヴァンジャンスさんがトキオ文明国に協力しているのか……くっ、ロイさんか誰かに連絡さえ取れれば……」
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「そうか、軍の様子は?」
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