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第五章〜悲しき戦い〜
第90話 〜ナタリ渓谷攻防戦、決着〜
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ナタリ渓谷三日目。
簡易的な作戦本部には、エメルとアルト達、森のパーティー、そしてそこに先程までジョーバン街道に連絡交換に転移していたヒイロが合流する。
……何故か帰ってきたヒイロは、疲れが消えたかのように興奮しており、さらに頼もしい援軍までつれてきていた。
「エング!?」
エメルがヒイロと一緒に転移してきたエングの姿に驚く。
「あぁ無事だったか、エメル?」
「え、えぇ…。それよりどうしたの?」
ヒイロが、事前に脅迫気味にニイガル国とナガーサ国に援軍の要請していたことと、昨日の夕方にジョーバン街道にシルフとマッスルンが援軍がきたことを知ったヒイロが、マッスルンからの情報を得て、こっちに向かっていたエングを見つけて拾ってきたことなどを説明する。
「すいません……援軍については、半ば賭けだったので、秘密にさせてもらいました。それに援軍の情報が漏れて、相手が援軍に対しての対策をされる可能性もあったので。ですが、無事にジョーバン街道にはシルフさんと何組かのSランクパーティー、そして……師匠が援軍に来てくれていましたのでもう安心かと!!」
「シルフが!?本当!?安心したわ……正直、あっちの方が心配だったから。あとヒイロの師匠って……あぁ、あれか……ソレハ、タノモシイワネ」
どうやら女性からはあまり人気のないマッスルンだが、エメルの冷めた反応に気付かないヒイロは、遠くをみながら目を輝かせていた。
「よし!こっちも今日さえ守り切ればなんとかなります。もう相手の物資と兵糧も限界のはず。今日さえ乗り切れば、こちらの勝ちですよ。エングさんも来てくれましたし!」
「本当に!?おしまい??良かった……俺たちも、他の冒険者のみんなももう限界だよ」
アルト達の姿を見て、エングは労いの言葉をかける。
「あぁよく頑張ったな、あと一日みんなで乗り切ろう」
「はい……!」
アルトやイルミは強がって見せていたものの、顔は明るくはなかった。疲労もあるが、きっと今回のことで初めて人を殺したのだろう。ヒイロもそうだった。盗賊を相手にしたこともあるが、いつも殺さずにギルドに連れて帰っていた。
今回はさすがにうまく殺さずにどうにかする余裕はなかったのだ。できるだけ兵器を壊そうとしても、どうしても殺してしまう場合もあった。仕方ないことではある……殺さなければこちらが殺されるからだ。
(……ヴァンジャンス、お前は何をしている……20歳前後の若者がたくさん人を殺すことになっているんだぞ……散々、前世でも戦争がどれだけ虚しく辛いことが学んできただろう……)
「……ヒイロ?大丈夫?」
エメルが心配そうにヒイロに声をかける。
「えっ……!あ、あぁ大丈夫です。今、エングさんにはどうやって戦闘に参加してもらうか考えてました。」
「……悪いがヒイロ、自分からこっちに援軍に来といてなんだが、俺は守りはあまり得意ではないぞ。自分1人ならどうにでも出来るが、守りに関しては有用なスキルは特にない」
「そうですよね……。なので、すいませんがエングさんはエメルさんのゴーレムと遊撃に出てもらえませんか?おそらくですが、ここまでの戦闘での推察から相手側にはSSランク冒険者並みの兵器、もしくは強者はいません。」
「なるほど……相手側の陣地まで突撃し、内部から撹乱というわけだな。」
「はい、無理はしなくていいので、なるべく相手側が混乱するように派手に暴れてください。それは、エメルさんのゴーレムも一緒です」
「わかったわ。じゃぁ守りは今日も昨日と同じ形で大丈夫かしら?」
「そうですね。攻守共にエメルさんにはかなり負担をかかてしまいますがすいません。」
「何、言ってんのよ。アルト達、若い子が頑張ってるのに大人が身体張らなくてどうすんの?それに私から見たら、あんたも子どもなのに一番働きすぎ!まぁ不思議と貫禄があって実力も認めるけどね」
「……ありがとうございます。あと最後にエングさんや、シルフさん達の援軍が来て、可能になったのですが、出来れば俺はある程度こっちで暴れて、存在感を出したら途中で消えたいと思います。」
「どうしたの?なんかあった?」
「その……ちょっと大バカ野郎の目を無理矢理覚ましてやらないと……たぶん……きっと、俺にしか出来ないことだから……」
「そう……わかったわ。いいわよ、ヒイロの好きにしなさい。それにヒイロの代わりはイルミがするわ」
「えっ、ワタシ!?ヒイロ兄の代わりなんて無理無理!」
「そうだな、イルミなら大丈夫だ。後、崖の上は激しい攻撃にさらされるからエイスも一緒に上がってやれ」
「アルト、ウルル、下の守りは私たちで大丈夫よね!」
「そうですね。エイス、上に行ってやれ!」
「うん、私も大丈夫だから」
「ん~……わかった!ヒイロ兄の代わりにはなれないけど頑張る!!」
「オッケー!イルミが大丈夫なら、俺もイルミを死ぬ気で守るだけだね!」
こうしてヒイロ達は最後の闘いへと臨んでいく。
一方、トキオ文明国ナタリ渓谷攻略軍大将のヤナカは焦っていた。兵力はまだ余裕があるのに、ナタリ渓谷を抜けられる気配が全くしないのだ。このままでは兵糧や物資が先に尽きてしまう。元々、2日で抜き、占領のための1日分を足した3日分の兵糧と物資しか持って来てない。もし、長期戦を覚悟してたなら物資の補給系統を完璧にしてから来るが、今回は圧倒的な戦力でのスピード攻略を考えていたため、補給線など全く考えていなかったのだ。
「もはや時間との勝負だ。なんとしてもここを抜くぞ!幸いなことにジョーバン街道でも、まだ攻略できていないようだ。なんとしても我らが先に攻略する!」
「編成はどうしますか?」
「全てだ!戦車、戦闘機全機出撃だ!そして《ガロス》もまずは一機だす。残り二機もスタンバイをしておけ!それと、《神降ろし》の所在は出来るだけ把握しておけ!奴はどこから来るかわからんぞ!」
「はっ!オートマシン、武装兵は戦車隊の後から続きます!」
「よし!全軍進めぇ!」
こうして、昨日の二の舞いにならないように、最大限ヒイロを警戒しながら進軍するトキオ文明国軍であった。
トキオ文明国が残していた切り札が出てきた。ヒイロは内心喜んでいた。確かにCDランクの冒険者や兵隊から見たらSSランクのベヒーモス以上の存在は、恐怖のの対象でしかないが、ヒイロからしたら、たかがベヒーモスである。ヒイロにとっては存在感を示し、尚且つ相手の士気を落とすにはちょうどいい相手だったのだ。
「ヒイロ兄、やばい!あのでかいのが先頭で来た!それも多分、他の部隊も全部動き出してる!!」
目のいいアルトが焦りながらすぐに知らせる。だが、その言葉にエメルやエングは焦ることなく、やる気満々のヒイロを見ながら、エメルがみんなを安心させるように笑いながら話す。
「大丈夫よ!ベヒーモス以上でも私やエングでも倒せるし、ヒイロなら尚更だわ。ヒイロが本気を出したらベヒーモスもゴブリンも、たいして変わらないわよ。」
「へっ、ベヒーモスがゴブリンと一緒……。あ、うん、そうだった。ヒイロ兄ってそういう人だった。ごめん、忘れてた!」
エングもヒイロの見せ場を作るように大声で仲間に伝える。
「よぉしみんな、よく見ておけよー!我らが大将の本気が見られるぞ!」
とうとう一番奥の冒険者達も肉眼で見えるほど近くにと戦闘機や戦車、そしてベヒーモスをも越える巨大な人型のマシンゴーレム《ガロス》が進軍してくる。
「神獣召喚、いでよ!《神獣オーディン》」
ヒイロはここにきて初めて、自身の神獣第四位の位になる《神獣オーディン》を召喚する。そのオーディンの姿は、漆黒の8本の足を持った大きな騎馬に乗った白銀の甲冑を鬼武者であった。
「お主が我が主か?」
「はい……。いきなりで悪いですが俺に、あなたの力を貸してください」
「……良かろう。お主なら我が力、存分に発揮できよう。我が神具は、《斬神剣》全てを斬る神の一刀。そして、我が奥義 《万物一閃》。我が間合いに入った、お主が斬りたいもの全てを斬る。」
「ありがとう、じゃあいきます……《神獣合体》」
まさしく白金の甲冑を着た武者となったヒイロは、進軍してくる《ガロス》の目の前に転移し、そのまま頭部から真っ二つに斬る。そして、そのまま地面へと降りながらランダムに刀を振り続け、地面に静かに着地する。
《ガロス》の動きが止まる。その後方にいた戦車隊がガロスの足元にいたヒイロの姿に気付いた瞬間、ガロスが細切れになりながら崩れ落ち、爆発する。
敵も味方も何が起こったのか理解出来ずにいると、ガロスが爆発した瞬間、ヒイロは高速で戦車隊のど真ん中まで移動し、刀を納め、居合いの構えをし、静かに呟く。
「奥義 《万物一閃》」
その瞬間、ヒイロがから凄まじい輝きが一瞬煌めく。直後、ヒイロの周りにいた戦車隊、ほぼ全てが横一線に斬られ、爆発した。
その一瞬の出来事に誰もが呆然と立ち尽くしていた中、ヒイロは自陣の近くへと転移で戻り、そこからゆっくりと自軍の中まで歩き、味方の元へ帰る。
「イェーイ、さすがヒイロ兄~!」
エイスが大声で叫ぶと、それを合図に味方が目を覚ましたように大歓声を上げる。
「呆れた……やっぱヒイロ兄だわ」
「さすがに負けたわ。もう同じSSランクでもヒイロとは比べて欲しくないわね」
「うむ、悔しいが今の居合い抜きは拙者でも出来ぬな」
アルトやエメル、そしてエングすらも、呆れながら笑顔を見せる。
「ヒイロ兄、カッコいい~」
「何それ、なんかの魔法なの?ね、ヒイロ兄!?」
ウルルとイルミは、はしゃぎながら帰ってきたヒイロに抱きつく。
「あっコラ、ウルル、イルミ!まだ終わってないぞ。それにイルミ、あとは任せる。無理はしなくていいからな。エイスもイルミをよろしくな」
「オッケー!」
「うん、任せて!戦車がいなくなっただけでも、かなり楽になったから!」
「エメルさん、エングさん、それにアルト!あとは頼みます!」
「わかったわ!」
こうしてヒイロは転移魔法で崖の上にウルルとエイスを運ぶと、そのままトキオ文明国にいると思われるバカ野郎のところへと向かう。
ヤナカは気を失いかけた。秘密兵器の《ガロス》が一撃でやられてしまったのだ。それも同時に主力である戦車隊も壊滅した。
巨大人型ゴーレムマシン《ガロス》。その戦力は、開発に携わったヤナカやシキ、そしてトキオ文明国にとって、魔王に匹敵する力だと過信していた。これが早く完成していれば、魔王も恐れることはなかったはずだった。
ただヴァンジャンスという奴だけは、《ガロス》を見て、「でくのぼう」と言い放ち、大したことはないようなことを言っていたが、ヤナカには自信があった。戦車にも戦闘機にもびくともしない、その耐久力や兵器の威力は無敵とも思えた……だが、それをたったの一撃で、まるで相手にならないかのように破壊されてしまった。
ヤナカは呆然としていた。士気どころか戦意も無くなり、その場で立ち尽くしていた。その姿を見ていた副隊長は、どうにか同様に戦意を失っていた兵達を檄を飛ばし、全軍りそのまま進軍させる。そして、残りのニ機のガロスも放心状態のヤナカに叫ぶように進軍許可をもらい、発進させる。
ヒイロの代わりに崖の上に登ったイルミとエイスは、覚悟していたよりもかなり楽な状態だった。統制の取れない戦闘機はもはやワイバーンにすら劣るものとなり、イルミは防御を全てエイスに任せ、超級魔法にてひたすら撃墜していった。
地上部隊もエングとエメルの《オーバーロード》が残りの2機の《ガロス》を一方的に倒し、ゴーレム《ヴァルキリー》と《ソードマスター》が、遊撃となり、敵陣の中で縦横無尽に暴れる。
また、戦車隊の砲撃が無くなり、勢いづいた冒険者達も、オートマシンや武装兵を次々と破壊し、倒していく。
とうとう戦闘機もオートマシンも全て失ったヤナカは、副隊長から声をかけられ、そのまま、撤退をつげる。武装兵はまだ半数以上残ってはいたが、兵器はほぼ破壊され、それ以上に兵士達の戦意はもう残っていなかったのだ。
撤退するトキオ文明国軍を見て、イバール国軍は歓声をあげる。絶望と思われた闘いに引き分けるのではなく勝利したのだ。仲間をやられ、追撃しようという声も上がったが、エメルとエングはこれ以上の犠牲は必要ないと悟し、追撃を許さなかった。
イバール国ナタリ渓谷防衛軍は、圧倒的不利な状況から国境を守り抜き、勝利をものにした。たが、今回の戦争で仲間を多く失ったこの勝利に、歓喜の声はあまり長くは続かなかった。
簡易的な作戦本部には、エメルとアルト達、森のパーティー、そしてそこに先程までジョーバン街道に連絡交換に転移していたヒイロが合流する。
……何故か帰ってきたヒイロは、疲れが消えたかのように興奮しており、さらに頼もしい援軍までつれてきていた。
「エング!?」
エメルがヒイロと一緒に転移してきたエングの姿に驚く。
「あぁ無事だったか、エメル?」
「え、えぇ…。それよりどうしたの?」
ヒイロが、事前に脅迫気味にニイガル国とナガーサ国に援軍の要請していたことと、昨日の夕方にジョーバン街道にシルフとマッスルンが援軍がきたことを知ったヒイロが、マッスルンからの情報を得て、こっちに向かっていたエングを見つけて拾ってきたことなどを説明する。
「すいません……援軍については、半ば賭けだったので、秘密にさせてもらいました。それに援軍の情報が漏れて、相手が援軍に対しての対策をされる可能性もあったので。ですが、無事にジョーバン街道にはシルフさんと何組かのSランクパーティー、そして……師匠が援軍に来てくれていましたのでもう安心かと!!」
「シルフが!?本当!?安心したわ……正直、あっちの方が心配だったから。あとヒイロの師匠って……あぁ、あれか……ソレハ、タノモシイワネ」
どうやら女性からはあまり人気のないマッスルンだが、エメルの冷めた反応に気付かないヒイロは、遠くをみながら目を輝かせていた。
「よし!こっちも今日さえ守り切ればなんとかなります。もう相手の物資と兵糧も限界のはず。今日さえ乗り切れば、こちらの勝ちですよ。エングさんも来てくれましたし!」
「本当に!?おしまい??良かった……俺たちも、他の冒険者のみんなももう限界だよ」
アルト達の姿を見て、エングは労いの言葉をかける。
「あぁよく頑張ったな、あと一日みんなで乗り切ろう」
「はい……!」
アルトやイルミは強がって見せていたものの、顔は明るくはなかった。疲労もあるが、きっと今回のことで初めて人を殺したのだろう。ヒイロもそうだった。盗賊を相手にしたこともあるが、いつも殺さずにギルドに連れて帰っていた。
今回はさすがにうまく殺さずにどうにかする余裕はなかったのだ。できるだけ兵器を壊そうとしても、どうしても殺してしまう場合もあった。仕方ないことではある……殺さなければこちらが殺されるからだ。
(……ヴァンジャンス、お前は何をしている……20歳前後の若者がたくさん人を殺すことになっているんだぞ……散々、前世でも戦争がどれだけ虚しく辛いことが学んできただろう……)
「……ヒイロ?大丈夫?」
エメルが心配そうにヒイロに声をかける。
「えっ……!あ、あぁ大丈夫です。今、エングさんにはどうやって戦闘に参加してもらうか考えてました。」
「……悪いがヒイロ、自分からこっちに援軍に来といてなんだが、俺は守りはあまり得意ではないぞ。自分1人ならどうにでも出来るが、守りに関しては有用なスキルは特にない」
「そうですよね……。なので、すいませんがエングさんはエメルさんのゴーレムと遊撃に出てもらえませんか?おそらくですが、ここまでの戦闘での推察から相手側にはSSランク冒険者並みの兵器、もしくは強者はいません。」
「なるほど……相手側の陣地まで突撃し、内部から撹乱というわけだな。」
「はい、無理はしなくていいので、なるべく相手側が混乱するように派手に暴れてください。それは、エメルさんのゴーレムも一緒です」
「わかったわ。じゃぁ守りは今日も昨日と同じ形で大丈夫かしら?」
「そうですね。攻守共にエメルさんにはかなり負担をかかてしまいますがすいません。」
「何、言ってんのよ。アルト達、若い子が頑張ってるのに大人が身体張らなくてどうすんの?それに私から見たら、あんたも子どもなのに一番働きすぎ!まぁ不思議と貫禄があって実力も認めるけどね」
「……ありがとうございます。あと最後にエングさんや、シルフさん達の援軍が来て、可能になったのですが、出来れば俺はある程度こっちで暴れて、存在感を出したら途中で消えたいと思います。」
「どうしたの?なんかあった?」
「その……ちょっと大バカ野郎の目を無理矢理覚ましてやらないと……たぶん……きっと、俺にしか出来ないことだから……」
「そう……わかったわ。いいわよ、ヒイロの好きにしなさい。それにヒイロの代わりはイルミがするわ」
「えっ、ワタシ!?ヒイロ兄の代わりなんて無理無理!」
「そうだな、イルミなら大丈夫だ。後、崖の上は激しい攻撃にさらされるからエイスも一緒に上がってやれ」
「アルト、ウルル、下の守りは私たちで大丈夫よね!」
「そうですね。エイス、上に行ってやれ!」
「うん、私も大丈夫だから」
「ん~……わかった!ヒイロ兄の代わりにはなれないけど頑張る!!」
「オッケー!イルミが大丈夫なら、俺もイルミを死ぬ気で守るだけだね!」
こうしてヒイロ達は最後の闘いへと臨んでいく。
一方、トキオ文明国ナタリ渓谷攻略軍大将のヤナカは焦っていた。兵力はまだ余裕があるのに、ナタリ渓谷を抜けられる気配が全くしないのだ。このままでは兵糧や物資が先に尽きてしまう。元々、2日で抜き、占領のための1日分を足した3日分の兵糧と物資しか持って来てない。もし、長期戦を覚悟してたなら物資の補給系統を完璧にしてから来るが、今回は圧倒的な戦力でのスピード攻略を考えていたため、補給線など全く考えていなかったのだ。
「もはや時間との勝負だ。なんとしてもここを抜くぞ!幸いなことにジョーバン街道でも、まだ攻略できていないようだ。なんとしても我らが先に攻略する!」
「編成はどうしますか?」
「全てだ!戦車、戦闘機全機出撃だ!そして《ガロス》もまずは一機だす。残り二機もスタンバイをしておけ!それと、《神降ろし》の所在は出来るだけ把握しておけ!奴はどこから来るかわからんぞ!」
「はっ!オートマシン、武装兵は戦車隊の後から続きます!」
「よし!全軍進めぇ!」
こうして、昨日の二の舞いにならないように、最大限ヒイロを警戒しながら進軍するトキオ文明国軍であった。
トキオ文明国が残していた切り札が出てきた。ヒイロは内心喜んでいた。確かにCDランクの冒険者や兵隊から見たらSSランクのベヒーモス以上の存在は、恐怖のの対象でしかないが、ヒイロからしたら、たかがベヒーモスである。ヒイロにとっては存在感を示し、尚且つ相手の士気を落とすにはちょうどいい相手だったのだ。
「ヒイロ兄、やばい!あのでかいのが先頭で来た!それも多分、他の部隊も全部動き出してる!!」
目のいいアルトが焦りながらすぐに知らせる。だが、その言葉にエメルやエングは焦ることなく、やる気満々のヒイロを見ながら、エメルがみんなを安心させるように笑いながら話す。
「大丈夫よ!ベヒーモス以上でも私やエングでも倒せるし、ヒイロなら尚更だわ。ヒイロが本気を出したらベヒーモスもゴブリンも、たいして変わらないわよ。」
「へっ、ベヒーモスがゴブリンと一緒……。あ、うん、そうだった。ヒイロ兄ってそういう人だった。ごめん、忘れてた!」
エングもヒイロの見せ場を作るように大声で仲間に伝える。
「よぉしみんな、よく見ておけよー!我らが大将の本気が見られるぞ!」
とうとう一番奥の冒険者達も肉眼で見えるほど近くにと戦闘機や戦車、そしてベヒーモスをも越える巨大な人型のマシンゴーレム《ガロス》が進軍してくる。
「神獣召喚、いでよ!《神獣オーディン》」
ヒイロはここにきて初めて、自身の神獣第四位の位になる《神獣オーディン》を召喚する。そのオーディンの姿は、漆黒の8本の足を持った大きな騎馬に乗った白銀の甲冑を鬼武者であった。
「お主が我が主か?」
「はい……。いきなりで悪いですが俺に、あなたの力を貸してください」
「……良かろう。お主なら我が力、存分に発揮できよう。我が神具は、《斬神剣》全てを斬る神の一刀。そして、我が奥義 《万物一閃》。我が間合いに入った、お主が斬りたいもの全てを斬る。」
「ありがとう、じゃあいきます……《神獣合体》」
まさしく白金の甲冑を着た武者となったヒイロは、進軍してくる《ガロス》の目の前に転移し、そのまま頭部から真っ二つに斬る。そして、そのまま地面へと降りながらランダムに刀を振り続け、地面に静かに着地する。
《ガロス》の動きが止まる。その後方にいた戦車隊がガロスの足元にいたヒイロの姿に気付いた瞬間、ガロスが細切れになりながら崩れ落ち、爆発する。
敵も味方も何が起こったのか理解出来ずにいると、ガロスが爆発した瞬間、ヒイロは高速で戦車隊のど真ん中まで移動し、刀を納め、居合いの構えをし、静かに呟く。
「奥義 《万物一閃》」
その瞬間、ヒイロがから凄まじい輝きが一瞬煌めく。直後、ヒイロの周りにいた戦車隊、ほぼ全てが横一線に斬られ、爆発した。
その一瞬の出来事に誰もが呆然と立ち尽くしていた中、ヒイロは自陣の近くへと転移で戻り、そこからゆっくりと自軍の中まで歩き、味方の元へ帰る。
「イェーイ、さすがヒイロ兄~!」
エイスが大声で叫ぶと、それを合図に味方が目を覚ましたように大歓声を上げる。
「呆れた……やっぱヒイロ兄だわ」
「さすがに負けたわ。もう同じSSランクでもヒイロとは比べて欲しくないわね」
「うむ、悔しいが今の居合い抜きは拙者でも出来ぬな」
アルトやエメル、そしてエングすらも、呆れながら笑顔を見せる。
「ヒイロ兄、カッコいい~」
「何それ、なんかの魔法なの?ね、ヒイロ兄!?」
ウルルとイルミは、はしゃぎながら帰ってきたヒイロに抱きつく。
「あっコラ、ウルル、イルミ!まだ終わってないぞ。それにイルミ、あとは任せる。無理はしなくていいからな。エイスもイルミをよろしくな」
「オッケー!」
「うん、任せて!戦車がいなくなっただけでも、かなり楽になったから!」
「エメルさん、エングさん、それにアルト!あとは頼みます!」
「わかったわ!」
こうしてヒイロは転移魔法で崖の上にウルルとエイスを運ぶと、そのままトキオ文明国にいると思われるバカ野郎のところへと向かう。
ヤナカは気を失いかけた。秘密兵器の《ガロス》が一撃でやられてしまったのだ。それも同時に主力である戦車隊も壊滅した。
巨大人型ゴーレムマシン《ガロス》。その戦力は、開発に携わったヤナカやシキ、そしてトキオ文明国にとって、魔王に匹敵する力だと過信していた。これが早く完成していれば、魔王も恐れることはなかったはずだった。
ただヴァンジャンスという奴だけは、《ガロス》を見て、「でくのぼう」と言い放ち、大したことはないようなことを言っていたが、ヤナカには自信があった。戦車にも戦闘機にもびくともしない、その耐久力や兵器の威力は無敵とも思えた……だが、それをたったの一撃で、まるで相手にならないかのように破壊されてしまった。
ヤナカは呆然としていた。士気どころか戦意も無くなり、その場で立ち尽くしていた。その姿を見ていた副隊長は、どうにか同様に戦意を失っていた兵達を檄を飛ばし、全軍りそのまま進軍させる。そして、残りのニ機のガロスも放心状態のヤナカに叫ぶように進軍許可をもらい、発進させる。
ヒイロの代わりに崖の上に登ったイルミとエイスは、覚悟していたよりもかなり楽な状態だった。統制の取れない戦闘機はもはやワイバーンにすら劣るものとなり、イルミは防御を全てエイスに任せ、超級魔法にてひたすら撃墜していった。
地上部隊もエングとエメルの《オーバーロード》が残りの2機の《ガロス》を一方的に倒し、ゴーレム《ヴァルキリー》と《ソードマスター》が、遊撃となり、敵陣の中で縦横無尽に暴れる。
また、戦車隊の砲撃が無くなり、勢いづいた冒険者達も、オートマシンや武装兵を次々と破壊し、倒していく。
とうとう戦闘機もオートマシンも全て失ったヤナカは、副隊長から声をかけられ、そのまま、撤退をつげる。武装兵はまだ半数以上残ってはいたが、兵器はほぼ破壊され、それ以上に兵士達の戦意はもう残っていなかったのだ。
撤退するトキオ文明国軍を見て、イバール国軍は歓声をあげる。絶望と思われた闘いに引き分けるのではなく勝利したのだ。仲間をやられ、追撃しようという声も上がったが、エメルとエングはこれ以上の犠牲は必要ないと悟し、追撃を許さなかった。
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どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
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本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
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