【完結】転生ヒロインと転生(?)悪役令嬢は逆ハーエンドを回避したい! 〜R18禁エンドはごめんです!〜

koromachi

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救出劇

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「許可番号『960』の馬車を見つけました!」

「よし!その馬車は今はどこに?」

「やはり中心街に向かっています!」

「急げ!動ける者は全員そちらへ向かえと全団に伝えろ!」

 ウィルとアンソニーは、貸し馬車屋から街へと向かう道を、急いで馬を走らせていた。

 そこに、探していた馬車が見つかったという知らせが届き、騎士団へ指示を飛ばすと、更に馬を急がせる。

 (エラリーが先に着いているとは思うが……クラリス嬢、どうかご無事で……!)

 アンソニーは祈るような思いで、手綱を握る手に力を込めた。







「さあ、さっさと出て行け!俺は本気だぞ!」

 頭の上で耳障りな声が響く。クラリスは首の痛みよりもアグリーに触れられている所の気持ち悪さで泣きたくなってきた。

 (だめ、今は泣いてる場合じゃない。助かる方法を考えなきゃ!)

 父はクラリスとアグリーを二人きりにしないようにと頑張ってくれているが、これ以上刺激すると、本当に刺し殺されてしまいそうだ。

 (このナイフをまず何とかしなきゃ……)

「お父さん!私は大丈夫だから!今はこの人の言う通りにして!」

 少し声が震えたが、クラリスは必死に父に呼びかけた。

「……クラリス!だが……」

「ははは。娘の方が利口なようだな。殺されるぐらいなら、俺に抱かれる方がいいんだとよ!」

 (うえ~、気持ち悪い!でも、今は我慢しなきゃ。油断させてナイフを奪わないと!)

 クラリスは懸命に声を振り絞る。

「お父さん、お願い、私、死にたくない!」

「クラリス……わかった……」

「わかったら、さあ、早く出ていけ!」

 オーリーはクラリスから目を離さないまま後退ると後ろ手にドアを開けた。



 と、オーリーと入れ替わるように、別の男が入ってきた。

「誰だ!全員出て行けと言っただろう!」

「……エラリー様!」

「キンバリー伯爵家次男のエラリー・ド・キンバリーだ。コモノー男爵令息のアグリー・ド・コモノーだな?」

「キンバリー伯爵の……騎士団長の息子か!」

「そうだ。コモノー男爵令息、取引をしないか」

「取引?そんなことを言って、油断した所を捕まえるつもりだろう。そんな手に乗るか!いいから、お前もさっさと出て行け!このナイフが見えないのか?!」

 クラリスの首に突きつけられたナイフと首の傷に、エラリーの頭に血が上りそうになるが、ポールの言葉を思い出し、必死に自分を落ち着かせる。

「貴殿を捕えるつもりなら、もっと大人数で来ている。今、俺は一人だ」

「ふん。どうせ外には大勢いるんだろ」

「いや、まだだ。だが、時間が経てば集まってくるだろう。だから、貴殿を逃すなら今しかない」

「俺を逃す……?はっ、そんなことできるわけがないだろう!」

「方法はある。先ほど貴殿が乗ってきた馬車があるだろう。あれに俺が乗って国境を目指す。貴殿は別の辻馬車に乗って反対方向へ逃げろ」

「つまり、お前が囮になるってわけか」

「そうだ。騎士団は貴殿の乗ってきた馬車を追うだろう」

「悪くない考えだ……と言いたい所だが、それならこの娘はどうなる」

「も、もちろんクラリス嬢は返してもらう!」

 エラリーは声が大きくなるのを必死でおさえた。

「ダメだ。この娘は俺のものだ。連れて行く」

「……それでは取引にならない……!」

「じゃあ、交渉決裂ってことだな。失せろ!このガキが!」

「っく……」

 (ポール、ポールはまだか?!)

 エラリーの焦りを隠せない様子を見て、アグリーはニヤリと笑うと、クラリスを引きずるようにして階段の方へと後退った。

「ふん、言いたいことはそれだけか。わかったらとっとと出て行け!」

 勝ち誇ったように言い捨てると、尚も階段へと後退る。

 その時だった。

 階段の影に隠れていたポールが飛び出すと、ナイフを握るアグリーの手を押さえ、クラリスの首から引き剥がした。

「なっ、何?!お前は?!」

「よくもクラリスを傷つけてくれたな。ただで済むと思うな、よっ」

 言いながらポールはアグリーの腕を強く握り、後ろに捻じ上げる。と、たまらずアグリーはナイフを握りしめていた手を離した。

「エラリー!」

 ポールの声にエラリーが、床に落ちたナイフを遠くに蹴り飛ばし、そのままポールと一緒にアグリーを押さえつけた。

「おじさん!オーリーおじさん!」

 エラリーと二人でアグリーを押さえたまま、ポールがドアに向かって叫ぶ。

 ドアが大きく開いたかと思うと、騎士団を従えたウィルとアンソニーが駆け込んで来た。


「「クラリス嬢!無事か!」」
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