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お見舞いに行こう(続々)
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「お前!何、調子に乗ってるんだよ!クラリス、手、貸せ、手!」
ポールはアンソニーからクラリスの手を奪い取ると、ハンカチでゴシゴシ拭き始めた。
「ちょ、ポールお兄ちゃん、痛い、痛いってば!」
「やめろ、ポール、クラリス嬢が痛がっているぞ!」
痛がるクラリスの声に石化が解けたエラリーが、アンソニーを押し退けてポールの横に来ると、クラリスからポールを引き剥がした。
「赤くなってるじゃないか!ポール、やり過ぎだ」
エラリーはクラリスの手を見て、ポールを咎める。
「すまん、クラリス、つい力が入り過ぎてしまった……」
「クラリス嬢、怪我の具合は?」
しゅんとするポールを無視して、エラリーはクラリスに聞いた。
「あ、はい、痛みはまだ少しありますが、この通り話すのも問題ありませんし、食事もちゃんと取れています。エラリー様もあの時助けてくださり、本当にありがとうございました」
「いや、俺がもう少し早く着いていたら、クラリス嬢をあんな目に合わせずにすんだのに……間に合わなくてすまなかった」
エラリーまで頭を下げるのを見て、フレデリックは内心驚きでいっぱいだった。
(王太子殿下だけでなく、側近のアンソニー様やエラリー様まで。貴族っていうのは、みんなあの男爵親子みたいな嫌な奴ばかりかと思っていたが。この国もまだまだ捨てたもんじゃないんだな)
そんなことを考えながら、フレデリックはエラリーに声をかける。
「エラリー様、お顔をおあげください。あなた様のせいではありません」
「そうです。エラリー様まで謝らないでください。悪いのはコモノー男爵達なんですから」
困ったようにエラリーを見つめるクラリスの可憐な表情に、エラリーは思わず顔を赤くして横を向いてしまった。
「おい、お前いつまでクラリスの手を握ったままなんだよ」
イライラしたポールの声にハッと我にかえると、エラリーはクラリスの手をぱっと離して、ポケットをゴソゴソと探った。
「ク、クラリス嬢、これはジャンに頼んで新しく開発してもらった保湿剤だ。全身に使える」
「え?私がいただいてもいいんですか?」
「お見舞いの品だ」
「ありがとうございます!開けてみてもいいですか?」
「ああ、もちろん」
可愛らしいデザインの瓶の蓋を開けると、甘いイチゴの香りがふわっと広がった。
「あ!イチゴ!すごくいい香り!」
クラリスが嬉しそうに微笑む。
「それはね、エラリーに頼まれて作った特注品だよ」
後ろから三人の攻防を面白そうに眺めていたジャンが横から口を出す。
「エラリーがね、あまりベタベタしない、勉強しながらでも使えるような保湿剤が欲しいって言ってきてさ」
「ジャン!」
顔を真っ赤にしたエラリーがジャンに抗議の声を上げるが、ジャンは気にもとめない。
「おまけに、クラリス嬢の好きないちごの香りをつけてくれって言うもんだからさ、いやあ、開発には苦労したよ」
「ジャン!秘密厳守だと言っただろう!」
「まあ……そうだったんですね。エラリー様、ジャン様、わざわざありがとうございました」
ジャンの言葉に驚きながらも、クラリスは素直にお礼を述べた。
「使ってみた感想を今度聞かせてね」
しっかりモニター依頼までするジャンに、エラリーは憮然とした表情を浮かべることしかできなかった。
所変わって王宮の庭園の一角。
「ウィル様、今日はいったいどうなさったんですか?こんな急にお茶会だなんて」
(って、近い、近い!なんでこの人こんなに近いのよ!椅子近づけ過ぎ!さっきの腰に手を回して来た時といい、なんか今日この人距離感おかしいんだけど?!)
クラリスのいた客間からウィルに半ば無理矢理庭に連れて来られたアリスは、無表情を装うのに必死だった。
それもそのはず、いつもなら向かいに座るはずのウィルが、アリスの隣にぴたりと椅子をくっつけて座り、にこにこしながらアリスの顔を覗き込んでいたのだ。
「どうしてって、もちろんアリス嬢と二人きりになりたかったからだよ」
「で、ですから、そのようなお戯れはおやめに……」
「冗談でも戯れでもないよ」
ウィルがアリスの口を人差し指で塞いで真面目な顔で告げる。
途端にアリスの顔が真っ赤に染まった。
「な、な、何を……」
「ふふ。ようやく私のことを見たね。今まで君の表情を動かせるのはクラリス嬢だけだったけど、今のこの赤く可愛い顔は私のせいだよね?」
ウィルはアリスの唇を人差し指でなぞりながら、更にアリスとの距離を縮める。
「ウ、ウィル様!ち、近過ぎですわ!誰かに見られたら……!」
アリスはもういっぱいいっぱいで、何とかウィルから離れようと、身体を思い切り後ろにのけぞらせた。
「あ」
「アリス嬢!危ない!」
アリスの椅子が後ろにひっくり返ってしまい、アリスも一緒に後ろに倒れそうになってしまう。
(あ、転ぶ!)
アリスは衝撃を覚悟した。
が、ウィルが腕を掴んでアリスを引き寄せたかと思うと、気づけば、アリスはウィルの腕の中に抱き締められていた。
「ふう、危なかったね」
(え?え?え?な、何、何、何、こんなイベントあった?!ってか、ゲームのイベントだとしても、何で私?!)
「あ、あの、ウィル様!ありがとうございました!もう大丈夫ですから!」
アリスが言って、何とかウィルの腕の中から逃れようとするが、細身に見えて筋肉質なウィルの腕は、アリスの力ではびくともしない。
「アリス嬢はほんとに目が離せないね」
ウィルは愛しそうにアリスを見つめながら、アリスの背に回した手に更に力を込める。
「ウィ、ウィル様、こんな所で、誰かに見られてしまいますわ……!」
「ふふっ。じゃあ、誰にも見られない場所ならいいのかい?」
「なっ、そんなわけ……!」
「…覚えてるかい?アリス嬢、私達が初めて出逢ったのはこの庭だったね」
(なんか思い出話始まったー!え?何これ?話長くなるやつ?この体勢で?!)
「初めて君に会った時は、正直自分がこんな気持ちになるなんて想像もしなかったよ」
「こんな気持ち……?」
「ああ。初めてだ。こんな風に誰かを愛しいと、離したくないと思ったのは」
「は……?」
「君が他の誰かを好きだとしても、もう手放せない。だから、諦めて私だけを見てくれ」
「わ……?」
「正直、フレデリック殿がクラリス嬢の兄君でなければ、国外追放にしていたところだよ」
「こ……?」
「アリス嬢……アリス、私は君を愛している。君が高等部を卒業したらすぐに結婚式をあげよう」
「け……?!」
もうアリスのキャパはパンパンだった。
ウィルがアリスの顔を左手で掬い上げて顔を近づけてきた所で、アリスの意識は途絶えた。
ポールはアンソニーからクラリスの手を奪い取ると、ハンカチでゴシゴシ拭き始めた。
「ちょ、ポールお兄ちゃん、痛い、痛いってば!」
「やめろ、ポール、クラリス嬢が痛がっているぞ!」
痛がるクラリスの声に石化が解けたエラリーが、アンソニーを押し退けてポールの横に来ると、クラリスからポールを引き剥がした。
「赤くなってるじゃないか!ポール、やり過ぎだ」
エラリーはクラリスの手を見て、ポールを咎める。
「すまん、クラリス、つい力が入り過ぎてしまった……」
「クラリス嬢、怪我の具合は?」
しゅんとするポールを無視して、エラリーはクラリスに聞いた。
「あ、はい、痛みはまだ少しありますが、この通り話すのも問題ありませんし、食事もちゃんと取れています。エラリー様もあの時助けてくださり、本当にありがとうございました」
「いや、俺がもう少し早く着いていたら、クラリス嬢をあんな目に合わせずにすんだのに……間に合わなくてすまなかった」
エラリーまで頭を下げるのを見て、フレデリックは内心驚きでいっぱいだった。
(王太子殿下だけでなく、側近のアンソニー様やエラリー様まで。貴族っていうのは、みんなあの男爵親子みたいな嫌な奴ばかりかと思っていたが。この国もまだまだ捨てたもんじゃないんだな)
そんなことを考えながら、フレデリックはエラリーに声をかける。
「エラリー様、お顔をおあげください。あなた様のせいではありません」
「そうです。エラリー様まで謝らないでください。悪いのはコモノー男爵達なんですから」
困ったようにエラリーを見つめるクラリスの可憐な表情に、エラリーは思わず顔を赤くして横を向いてしまった。
「おい、お前いつまでクラリスの手を握ったままなんだよ」
イライラしたポールの声にハッと我にかえると、エラリーはクラリスの手をぱっと離して、ポケットをゴソゴソと探った。
「ク、クラリス嬢、これはジャンに頼んで新しく開発してもらった保湿剤だ。全身に使える」
「え?私がいただいてもいいんですか?」
「お見舞いの品だ」
「ありがとうございます!開けてみてもいいですか?」
「ああ、もちろん」
可愛らしいデザインの瓶の蓋を開けると、甘いイチゴの香りがふわっと広がった。
「あ!イチゴ!すごくいい香り!」
クラリスが嬉しそうに微笑む。
「それはね、エラリーに頼まれて作った特注品だよ」
後ろから三人の攻防を面白そうに眺めていたジャンが横から口を出す。
「エラリーがね、あまりベタベタしない、勉強しながらでも使えるような保湿剤が欲しいって言ってきてさ」
「ジャン!」
顔を真っ赤にしたエラリーがジャンに抗議の声を上げるが、ジャンは気にもとめない。
「おまけに、クラリス嬢の好きないちごの香りをつけてくれって言うもんだからさ、いやあ、開発には苦労したよ」
「ジャン!秘密厳守だと言っただろう!」
「まあ……そうだったんですね。エラリー様、ジャン様、わざわざありがとうございました」
ジャンの言葉に驚きながらも、クラリスは素直にお礼を述べた。
「使ってみた感想を今度聞かせてね」
しっかりモニター依頼までするジャンに、エラリーは憮然とした表情を浮かべることしかできなかった。
所変わって王宮の庭園の一角。
「ウィル様、今日はいったいどうなさったんですか?こんな急にお茶会だなんて」
(って、近い、近い!なんでこの人こんなに近いのよ!椅子近づけ過ぎ!さっきの腰に手を回して来た時といい、なんか今日この人距離感おかしいんだけど?!)
クラリスのいた客間からウィルに半ば無理矢理庭に連れて来られたアリスは、無表情を装うのに必死だった。
それもそのはず、いつもなら向かいに座るはずのウィルが、アリスの隣にぴたりと椅子をくっつけて座り、にこにこしながらアリスの顔を覗き込んでいたのだ。
「どうしてって、もちろんアリス嬢と二人きりになりたかったからだよ」
「で、ですから、そのようなお戯れはおやめに……」
「冗談でも戯れでもないよ」
ウィルがアリスの口を人差し指で塞いで真面目な顔で告げる。
途端にアリスの顔が真っ赤に染まった。
「な、な、何を……」
「ふふ。ようやく私のことを見たね。今まで君の表情を動かせるのはクラリス嬢だけだったけど、今のこの赤く可愛い顔は私のせいだよね?」
ウィルはアリスの唇を人差し指でなぞりながら、更にアリスとの距離を縮める。
「ウ、ウィル様!ち、近過ぎですわ!誰かに見られたら……!」
アリスはもういっぱいいっぱいで、何とかウィルから離れようと、身体を思い切り後ろにのけぞらせた。
「あ」
「アリス嬢!危ない!」
アリスの椅子が後ろにひっくり返ってしまい、アリスも一緒に後ろに倒れそうになってしまう。
(あ、転ぶ!)
アリスは衝撃を覚悟した。
が、ウィルが腕を掴んでアリスを引き寄せたかと思うと、気づけば、アリスはウィルの腕の中に抱き締められていた。
「ふう、危なかったね」
(え?え?え?な、何、何、何、こんなイベントあった?!ってか、ゲームのイベントだとしても、何で私?!)
「あ、あの、ウィル様!ありがとうございました!もう大丈夫ですから!」
アリスが言って、何とかウィルの腕の中から逃れようとするが、細身に見えて筋肉質なウィルの腕は、アリスの力ではびくともしない。
「アリス嬢はほんとに目が離せないね」
ウィルは愛しそうにアリスを見つめながら、アリスの背に回した手に更に力を込める。
「ウィ、ウィル様、こんな所で、誰かに見られてしまいますわ……!」
「ふふっ。じゃあ、誰にも見られない場所ならいいのかい?」
「なっ、そんなわけ……!」
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(なんか思い出話始まったー!え?何これ?話長くなるやつ?この体勢で?!)
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「ああ。初めてだ。こんな風に誰かを愛しいと、離したくないと思ったのは」
「は……?」
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「正直、フレデリック殿がクラリス嬢の兄君でなければ、国外追放にしていたところだよ」
「こ……?」
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