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真相の追求
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「おい、俺はもういいだろ。約束通りちゃんと証言したぞ」
トマスに拘束されたまま地下牢へと連行されながら、薬の売人がぶつぶつと文句を言う。
「まだだよ。裁判でも証言してもらわなきゃいけないし。何よりあの薬の入手ルートを吐いてもらわないとな」
男を牢の中に入れると、トマスは廊下の奥を見た。
「さて、ここからは俺の担当外だな」
そこには公国の治安部隊隊長のシビアが複数の部下と共に待機していた。
=====================
「皆様、軽食をお持ちいたしました」
ミミがサンドイッチなどの簡単に食べられる食事を運んで来た。
眠り続けるポールの側にはクラリスとアンソニーが、少し離れたソファにはエラリーとイメルダが座っていた。
「ありがとうございます。クラリス嬢、イメルダ嬢達と先に召し上がっていてください」
「私はまだ大丈夫です。アンソニー様こそお先にどうぞ」
「皆様ご一緒にお召し上がりくださいませ。私がおりますので」
譲り合うクラリスとアンソニーにミミが言い、四人がローテーブルを囲んだ時だった。
コンコンコンコン
「……どちら様でしょうか」
早くて短いノックの音が聞こえ、ミミが誰何し、素早く扉の前に移動する。アンソニーとエラリーもすぐに立ち上がった。
「あ、私は医師のアダム・タッカーです!ポールさんは大丈夫ですか?!」
若い医師の声に、ミミが警戒しながら扉を開けた。
「ありがとうございます。ポールさんの点滴に薬物が混入していたと聞いて心配になったんです」
アダム・タッカーと名乗る若い医師は、足早に入室すると、真っ直ぐポールの側へと行こうとするが、エラリーに阻まれる。
「何をするつもりだ」
「何って、ポールさんの体調を確認するんですよ」
「……薬物混入のことを誰から聞いたんですか?」
アンソニーも前に出た。
「誰からって、それは、先ほど先生が騎士の方達に連行されていくのを見たからですよ!」
「その先生とやらは、点滴に薬物を入れたのは自分だと声高に叫んででもいたんでしょうか?」
「そ、それは……」
アンソニーの追求に若い男がたじろぐ。
「薬物混入のことを知っている人間は限られているはずです。我々の仲間か、あるいは犯人の仲間か……!」
話しながらアンソニーが素早く動くと、ナイフを隠し持っていた男の手を掴み、捻り上げた。
「っつ」
たまらず男がナイフから手を放すと、そのナイフをミミが押さえる。男の背後からは顔を隠した公爵家の影が現れ、男に身動きする隙を与えず、サッと縛り上げた。
「くそっ、何なんだ、お前達は!」
「それはこっちのセリフですよ。あなた方は一体何のためにポールを狙ったんですか?」
「何のために?はっ。そんなの決まってるだろう!医学の発展のためだ!」
「……医学の発展のため?」
アンソニーの声が数段低くなる。
「そうだ!ダムシー子爵の作った薬は使用する量によって効能を変える珍しいものだ。医学を学ぶ者なら誰だって興味を持つさ!そこのポールとかいう男に恨みはないが、ちょうどいい実験台があるんだ、利用しない手はないだろう!」
「……実験台?」
エラリーの声が怒気をはらむ。
「そいつのおかげで解毒剤まで手に入ったしな。毒物と解毒剤の量を少しずつ変えての人体実験は楽しかったぜ」
「「……人体実験?!」」
男のあまりの言い草に怒りを抑えられなくなったアンソニーとエラリーが同時に動く。
が、それよりも早く、ミミが男に華麗な延髄蹴りを決めた。
「ガハッ!」
思い切り蹴飛ばされ、男は気絶した。
「ミミ!」
「殺してはいません。じきに目を覚ますでしょう……残念ながら」
咎めるようなアンソニーの声に、ミミは淡々と答える。
「申し訳ございません。その男の戯言をこれ以上クラリス様のお耳に入れたくなかったものですから」
「……ミミさん……ありがとうございます……」
男のあまりに酷い言葉に耐えられず、真っ青になって床に崩れ落ちていたクラリスが、今にも泣き出しそうな顔を上げた。
=====================
「さて、まだ頑張りますか?」
公宮の最下層にある地下牢では、セベールが美しい佇まいを見せていた。その顔に浮かぶ表情はどこまでも優しげだ。
だが、その目の前には、四肢を縛られ、縛られた先を棒に固定されてぐるぐると回されて、四方から力ずくで引っ張られて悶絶している年老いた男がいた。
「そろそろ腕が千切れる頃ですね。若者なら多少骨が折れてもまたくっつきますが、あなたのお年では元に戻るのは難しいですよ?」
いかにも心配だと言う顔でセベールが言う。
「は、話す!話すから、もうやめてくれ……!」
老医師は観念したように叫び、慈悲を請う。
「最初からそう言ってくだされば良かったものを」
セベールが手を上げると、隊員達の動きが止まった。
「さあ、全部話してください。あなたの知っていることを一つ残らず全部」
優雅に首を傾げつつ、セベールがよく通る声で言った。
トマスに拘束されたまま地下牢へと連行されながら、薬の売人がぶつぶつと文句を言う。
「まだだよ。裁判でも証言してもらわなきゃいけないし。何よりあの薬の入手ルートを吐いてもらわないとな」
男を牢の中に入れると、トマスは廊下の奥を見た。
「さて、ここからは俺の担当外だな」
そこには公国の治安部隊隊長のシビアが複数の部下と共に待機していた。
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「皆様、軽食をお持ちいたしました」
ミミがサンドイッチなどの簡単に食べられる食事を運んで来た。
眠り続けるポールの側にはクラリスとアンソニーが、少し離れたソファにはエラリーとイメルダが座っていた。
「ありがとうございます。クラリス嬢、イメルダ嬢達と先に召し上がっていてください」
「私はまだ大丈夫です。アンソニー様こそお先にどうぞ」
「皆様ご一緒にお召し上がりくださいませ。私がおりますので」
譲り合うクラリスとアンソニーにミミが言い、四人がローテーブルを囲んだ時だった。
コンコンコンコン
「……どちら様でしょうか」
早くて短いノックの音が聞こえ、ミミが誰何し、素早く扉の前に移動する。アンソニーとエラリーもすぐに立ち上がった。
「あ、私は医師のアダム・タッカーです!ポールさんは大丈夫ですか?!」
若い医師の声に、ミミが警戒しながら扉を開けた。
「ありがとうございます。ポールさんの点滴に薬物が混入していたと聞いて心配になったんです」
アダム・タッカーと名乗る若い医師は、足早に入室すると、真っ直ぐポールの側へと行こうとするが、エラリーに阻まれる。
「何をするつもりだ」
「何って、ポールさんの体調を確認するんですよ」
「……薬物混入のことを誰から聞いたんですか?」
アンソニーも前に出た。
「誰からって、それは、先ほど先生が騎士の方達に連行されていくのを見たからですよ!」
「その先生とやらは、点滴に薬物を入れたのは自分だと声高に叫んででもいたんでしょうか?」
「そ、それは……」
アンソニーの追求に若い男がたじろぐ。
「薬物混入のことを知っている人間は限られているはずです。我々の仲間か、あるいは犯人の仲間か……!」
話しながらアンソニーが素早く動くと、ナイフを隠し持っていた男の手を掴み、捻り上げた。
「っつ」
たまらず男がナイフから手を放すと、そのナイフをミミが押さえる。男の背後からは顔を隠した公爵家の影が現れ、男に身動きする隙を与えず、サッと縛り上げた。
「くそっ、何なんだ、お前達は!」
「それはこっちのセリフですよ。あなた方は一体何のためにポールを狙ったんですか?」
「何のために?はっ。そんなの決まってるだろう!医学の発展のためだ!」
「……医学の発展のため?」
アンソニーの声が数段低くなる。
「そうだ!ダムシー子爵の作った薬は使用する量によって効能を変える珍しいものだ。医学を学ぶ者なら誰だって興味を持つさ!そこのポールとかいう男に恨みはないが、ちょうどいい実験台があるんだ、利用しない手はないだろう!」
「……実験台?」
エラリーの声が怒気をはらむ。
「そいつのおかげで解毒剤まで手に入ったしな。毒物と解毒剤の量を少しずつ変えての人体実験は楽しかったぜ」
「「……人体実験?!」」
男のあまりの言い草に怒りを抑えられなくなったアンソニーとエラリーが同時に動く。
が、それよりも早く、ミミが男に華麗な延髄蹴りを決めた。
「ガハッ!」
思い切り蹴飛ばされ、男は気絶した。
「ミミ!」
「殺してはいません。じきに目を覚ますでしょう……残念ながら」
咎めるようなアンソニーの声に、ミミは淡々と答える。
「申し訳ございません。その男の戯言をこれ以上クラリス様のお耳に入れたくなかったものですから」
「……ミミさん……ありがとうございます……」
男のあまりに酷い言葉に耐えられず、真っ青になって床に崩れ落ちていたクラリスが、今にも泣き出しそうな顔を上げた。
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「さて、まだ頑張りますか?」
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だが、その目の前には、四肢を縛られ、縛られた先を棒に固定されてぐるぐると回されて、四方から力ずくで引っ張られて悶絶している年老いた男がいた。
「そろそろ腕が千切れる頃ですね。若者なら多少骨が折れてもまたくっつきますが、あなたのお年では元に戻るのは難しいですよ?」
いかにも心配だと言う顔でセベールが言う。
「は、話す!話すから、もうやめてくれ……!」
老医師は観念したように叫び、慈悲を請う。
「最初からそう言ってくだされば良かったものを」
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