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不穏過ぎでしょ。
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私にはできれば隠しておきたい事柄がいくつかある。
一つはフィムの存在。
白王を勝手に使い魔にしてるだけでもややこしそうなのにその上ってのは、より面倒なことになりそうでしょ。
二つ目は動物や魔物の言葉が何故かわかるっていうこと。
動物だけならまだしも、魔物はね。
あくまでも推測なんだけど、これ、私が闇属性を持っていることも要因の一つな気がするんだよね。
で、三つ目は私が元は別世界の人間であり、この世界のモデルである『クラ乙』のゲーム知識を持っていること。
『未来がわかる』
なんて、いかにも聖女らしいといえば聖女らしい。
少女マンガだと『未来視の乙女』だの『未来視の姫』だの言われてなんだかんだありつつどっかの王子様と幸せに結ばれました。
なんてのがありそうだけど。
この世界はゲームをモデルにしているとはいえ、現実だ。
少女マンガみたいにはいかないですよ。
まず間違いなくね。
散々アチコチに利用されて不都合があったらポイッ!良くて一生修道院あたりで監禁か冤罪の上死刑って未来が見える気がする。
ええ。
そんなお優しい世界じゃないんだよね。
知ってますよ。
あとは闇属性持ちってことだけど。
これについては隠すのはまずムリだろう。
鑑定したら一発だし。
だもので、私は真実を加えつつも半分ほどは偽りの聖女認定に至る経緯を説明する。
「……ということですわ」
私が教皇様及び枢機卿の皆様にした説明を簡単に言うと、こういうことになる。
砦の部屋で眠っていると、誰かに呼ばれている気がして森に出た。
ぼんやりと呼ばれるがままに聖域に向かいそこで白虎様と白王ーー白虎様の子息に会った。
聖女の資格の一つである聖属性ーーその魔力を帯びた品を持ったことで聖域に入り込み白い幼獣を白虎の子供とは知らずに冒険者が害し、その子を助けるために白虎様が私を呼んだ。
そう、ここは私が自分の意思で外に出たのでも、動物や魔物に話を聞いて向かったのでもなく、すべて白虎母の力による誘導ということになっている。
聖獣ならそのくらいのこと出来そうだよねってことで。
あ、ちゃんと母白虎と相談して了解も取ってある。
私が呼ばれたのは聖属性を持っていたから。
癒しの力を必要とされたからだ。
けれど私の癒しの力ではそれだけで子息を救うことは出来なくて、次善の策として使い魔契約を行ってエナを与えることでなんとか助けることができた、と。
聖女認定をしたのは子供を助けた礼と、もう1つ。
遅くとも一年以内、その間に暗黒竜が復活する。
その兆しを感じとったから。
「私の魔力は非常に多いようなのです。それで聖女候補の中でも私を呼んだようですわ」
いざという時は使い魔契約ができるように。
私の説明に「「「……ううぬ」」」と一様に唸る枢機卿様方。
「聖女を認定されたということはもしやと思ってはおりましたが……」
宰相様が教皇様に顔を向ける。
それに「うむ」と頷く教皇様。
「暗黒竜が、復活すると」
「確かに白虎様はそう仰ったのかね?」
「はい、確かに」
私は頷いたけれど。
「……しかし、このようなことはこれまでなかったこと。果たしてすべて鵜呑みにして良いものか?」
枢機卿様の一人が言った。
「オルディス侯爵令嬢が偽りを口にしていると?」
とはお祖父様。
「いえ、あぁ、貴方の孫でしたな。そうは言いませんが、このようなことはこれまでになかったので」
「確かに、順番が違いますな」
「……これでは教会の役割が」
「そうです。これでは教会が認めずとも聖女になれるという……」
「……ハヌル殿!」
「おっと失礼」
ハヌル殿、というらしきおじいさんな枢機卿様が口を滑らせたのが、まごうことなき教会の本音ってことかな?
まあ教会からしたら教会通さずに聖女になられちゃったらそりゃ問題か。
それこそ教会の存在意義に関わりかねない。
「……逆、ということは?」
「なに?」
枢機卿の中ではたぶん最年少っぽいおじさんが意味深長な目線を私に寄越しながら言うのにお祖父様が反応した。
うん。
この中で私の味方になってくれそうなのはお祖父様だけだね。
それにしても。
入ってきた時から感じてたこの空気。
ちょっと、不穏過ぎだよ。
私を見るお偉方の目。
聖女を見るってより、犯罪者を見る目に近い。
教会の権威を貶める可能性のあるエセ聖女とでも言いたいんだろうか。
「光と闇。聖と闇は表裏一体と申します」
「だから何だ!」
ガタン、と椅子を倒して立ち上がるお祖父様。
その顔には焦りの色。
お祖父様は、
「エルヴィス、落ち着くが良い」
「倪下」
その先に続く言葉を予想している?
だから、
「……暗黒竜が復活したから聖女が現れます。ならばその逆もしかり。エリカ・オルディスという聖女が現れたから、暗黒竜が復活する。そういうことはありますまいか?」
だからお祖父様は、私にあんなことを言っていたのだろうか。
教会を信用しすぎるな、と。
ええ。お祖父様。
この様子ではとても信用などできませんわね。
私、無事に家に帰れるのだろうか?
一つはフィムの存在。
白王を勝手に使い魔にしてるだけでもややこしそうなのにその上ってのは、より面倒なことになりそうでしょ。
二つ目は動物や魔物の言葉が何故かわかるっていうこと。
動物だけならまだしも、魔物はね。
あくまでも推測なんだけど、これ、私が闇属性を持っていることも要因の一つな気がするんだよね。
で、三つ目は私が元は別世界の人間であり、この世界のモデルである『クラ乙』のゲーム知識を持っていること。
『未来がわかる』
なんて、いかにも聖女らしいといえば聖女らしい。
少女マンガだと『未来視の乙女』だの『未来視の姫』だの言われてなんだかんだありつつどっかの王子様と幸せに結ばれました。
なんてのがありそうだけど。
この世界はゲームをモデルにしているとはいえ、現実だ。
少女マンガみたいにはいかないですよ。
まず間違いなくね。
散々アチコチに利用されて不都合があったらポイッ!良くて一生修道院あたりで監禁か冤罪の上死刑って未来が見える気がする。
ええ。
そんなお優しい世界じゃないんだよね。
知ってますよ。
あとは闇属性持ちってことだけど。
これについては隠すのはまずムリだろう。
鑑定したら一発だし。
だもので、私は真実を加えつつも半分ほどは偽りの聖女認定に至る経緯を説明する。
「……ということですわ」
私が教皇様及び枢機卿の皆様にした説明を簡単に言うと、こういうことになる。
砦の部屋で眠っていると、誰かに呼ばれている気がして森に出た。
ぼんやりと呼ばれるがままに聖域に向かいそこで白虎様と白王ーー白虎様の子息に会った。
聖女の資格の一つである聖属性ーーその魔力を帯びた品を持ったことで聖域に入り込み白い幼獣を白虎の子供とは知らずに冒険者が害し、その子を助けるために白虎様が私を呼んだ。
そう、ここは私が自分の意思で外に出たのでも、動物や魔物に話を聞いて向かったのでもなく、すべて白虎母の力による誘導ということになっている。
聖獣ならそのくらいのこと出来そうだよねってことで。
あ、ちゃんと母白虎と相談して了解も取ってある。
私が呼ばれたのは聖属性を持っていたから。
癒しの力を必要とされたからだ。
けれど私の癒しの力ではそれだけで子息を救うことは出来なくて、次善の策として使い魔契約を行ってエナを与えることでなんとか助けることができた、と。
聖女認定をしたのは子供を助けた礼と、もう1つ。
遅くとも一年以内、その間に暗黒竜が復活する。
その兆しを感じとったから。
「私の魔力は非常に多いようなのです。それで聖女候補の中でも私を呼んだようですわ」
いざという時は使い魔契約ができるように。
私の説明に「「「……ううぬ」」」と一様に唸る枢機卿様方。
「聖女を認定されたということはもしやと思ってはおりましたが……」
宰相様が教皇様に顔を向ける。
それに「うむ」と頷く教皇様。
「暗黒竜が、復活すると」
「確かに白虎様はそう仰ったのかね?」
「はい、確かに」
私は頷いたけれど。
「……しかし、このようなことはこれまでなかったこと。果たしてすべて鵜呑みにして良いものか?」
枢機卿様の一人が言った。
「オルディス侯爵令嬢が偽りを口にしていると?」
とはお祖父様。
「いえ、あぁ、貴方の孫でしたな。そうは言いませんが、このようなことはこれまでになかったので」
「確かに、順番が違いますな」
「……これでは教会の役割が」
「そうです。これでは教会が認めずとも聖女になれるという……」
「……ハヌル殿!」
「おっと失礼」
ハヌル殿、というらしきおじいさんな枢機卿様が口を滑らせたのが、まごうことなき教会の本音ってことかな?
まあ教会からしたら教会通さずに聖女になられちゃったらそりゃ問題か。
それこそ教会の存在意義に関わりかねない。
「……逆、ということは?」
「なに?」
枢機卿の中ではたぶん最年少っぽいおじさんが意味深長な目線を私に寄越しながら言うのにお祖父様が反応した。
うん。
この中で私の味方になってくれそうなのはお祖父様だけだね。
それにしても。
入ってきた時から感じてたこの空気。
ちょっと、不穏過ぎだよ。
私を見るお偉方の目。
聖女を見るってより、犯罪者を見る目に近い。
教会の権威を貶める可能性のあるエセ聖女とでも言いたいんだろうか。
「光と闇。聖と闇は表裏一体と申します」
「だから何だ!」
ガタン、と椅子を倒して立ち上がるお祖父様。
その顔には焦りの色。
お祖父様は、
「エルヴィス、落ち着くが良い」
「倪下」
その先に続く言葉を予想している?
だから、
「……暗黒竜が復活したから聖女が現れます。ならばその逆もしかり。エリカ・オルディスという聖女が現れたから、暗黒竜が復活する。そういうことはありますまいか?」
だからお祖父様は、私にあんなことを言っていたのだろうか。
教会を信用しすぎるな、と。
ええ。お祖父様。
この様子ではとても信用などできませんわね。
私、無事に家に帰れるのだろうか?
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