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王立学校魔法科
その2
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ああ、神様。
これはあなたが俺にお与えになった試練ですか?
……地味にキツいです。
どうにかして下さい。
っって!
俺の神はあの駄女神なんだった。
うん。
駄目だ。
役に立つ気がしない。
俺は逃避をやめて、目の前の現実に向き直った。
ノエル・グランド12才。
俺と同じ王立学校魔法科の一回生。
俺の隣、203号室の住人。
特徴おデブ、お坊っちゃん風。
少々失礼ないい様だが、一昔前の俺自身の事でもあるので許してほしい。
俺たちはノエルの誘いによって一階のリザクゼーションルームの片隅に腰掛けている。
丸テーブルを挟んで男二人。
どちらも会話の糸口を探している風で上手くいってない。
なんだかなあ。
見れば見るほどの近親感。
もちろんよく見れば顔の作り自体は同じボンヤリ顔でもまた違うんだけど。
正直に言おう。
いたたまれない。
というか、恥ずかしい。
ノエルには悪いけど「俺ってこんなだったんだー」と思うと恥ずかしすぎるっ!
いや、ノエルの場合はまだそこはかとなく育ちの良さが滲み出てる分俺よりずっとマシだと思う。
マシっていうのも失礼だけど。
スマン!
「あ、あの、アイクさんはどの授業を受けるつもりなんですか?」
「……え?俺?」
あー。授業、授業ね
「うん。まだ決めてないや」
入学式の後で各授業の時間割が発表されるから、それ見てからチャチャッと決める予定だ。
しばらくは午前は必須科目の授業、午後から選択科目の授業があるんだったな。
俺の場合二年間のノーマルクラスだから、必須科目が魔法史や言語学、算数、属性魔法の第一階位。
属性魔法の第一階位ってのは生徒それぞれの希望する属性の一番下位の戦闘魔法。
小さい火の玉を飛ばしたり、地面にちっちゃい石の杭を生やしたり。
魔法だけで敵を倒すのはちょっとムリだけど、物理攻撃と連携を組み合わせれば役に立つよね、くらいの魔法。
大抵は皆自身の一番相性のいい聖霊の属性魔法を選ぶ。
「……へ?でも入学式の後すぐに提出ですよ?」
「うん。だから時間割を確認してからその場で用紙に書いて提出するつもり」
「……はあ」
こら。
大丈夫かなこの人?みたいな顔になってるぞ。
気持ちはわかるけどね。
多分まだ決めてないの俺だけだと思うし。
皆すでに決めてあって時間割を確認するって状況だよね?
選択科目はノーマルクラスだと魔法は各属性第三階位まで。
あと近接戦闘とサポーター、冒険者希望の人間ならダンジョンの特性の授業なんかがあるんだったか。
どれでも最低三科目が選べる。
試験に合格したらその上の階位の魔法やより専門的な戦闘授業を二つまで受けることもできる。
二つ以上になると追加の授業料がかかる。よほど優秀でない限り期間が足りないから、期間延長分の学費や宿泊費も。
「あー、でも近接戦闘と中距離戦闘の授業は受けるかな?うん。もう一つをどうするかってとこかな」
魔法関係はヘタに授業受けるより自己流のが効率がいい。
けど物理攻撃や防御はズブの素人だからな。
「てか、アイクでいいよ。ノエルのが年上なんだし」
こっちは年下なのにさっきから普通にタメ口だしな。
「……あ、はい。じゃ、じゃあアイク」
何故に男相手にモジモジするか!
ヤメテっ!お願いだからっっ!
「ノエルはもう決めてるのか?」
「うん。ボクも近接戦闘と中距離戦闘、それにダンジョン特性の授業。……一応冒険者かサポーター志望だから」
は?
ノエルが冒険者?
びっくりだ。
や、魔法科に入学するんだから冒険者志望でも普通だよな。
けど、ノエルが?
冒険者?
ムリでしょ!
「悪いけどイメージじゃないな。ノエルはどっちかっていうと研究の方なのかと」
魔法科には一部魔法研究の為に入学する人間もいる。
その場合は魔法史上級とか付与魔法とか魔法研究とか魔石研究とかそういった科目もあるのでそっちを選ぶ。
「ボクもそう思うし。できたらその方がいいけど。……でもお祖母ちゃんが」
「お祖母ちゃん?」
「ボクのお祖母ちゃんはシェリル・グランドっていうんだ。知ってるかな?」
「は?」
知ってる。
俺でも知ってるよ!
シェリル・グランド。
第一級冒険者。
またの名を『紅蓮の破壊者』
数少ないSS冒険者。
未来に起こる戦争においては一人で一個中隊を十分で壊滅させちゃった人!
マジか。
ノエルのお祖母ちゃん?
『紅蓮の破壊者』が?
う~ん、世の中意外なことがあるもんだ。
遺伝子の不思議?
これはあなたが俺にお与えになった試練ですか?
……地味にキツいです。
どうにかして下さい。
っって!
俺の神はあの駄女神なんだった。
うん。
駄目だ。
役に立つ気がしない。
俺は逃避をやめて、目の前の現実に向き直った。
ノエル・グランド12才。
俺と同じ王立学校魔法科の一回生。
俺の隣、203号室の住人。
特徴おデブ、お坊っちゃん風。
少々失礼ないい様だが、一昔前の俺自身の事でもあるので許してほしい。
俺たちはノエルの誘いによって一階のリザクゼーションルームの片隅に腰掛けている。
丸テーブルを挟んで男二人。
どちらも会話の糸口を探している風で上手くいってない。
なんだかなあ。
見れば見るほどの近親感。
もちろんよく見れば顔の作り自体は同じボンヤリ顔でもまた違うんだけど。
正直に言おう。
いたたまれない。
というか、恥ずかしい。
ノエルには悪いけど「俺ってこんなだったんだー」と思うと恥ずかしすぎるっ!
いや、ノエルの場合はまだそこはかとなく育ちの良さが滲み出てる分俺よりずっとマシだと思う。
マシっていうのも失礼だけど。
スマン!
「あ、あの、アイクさんはどの授業を受けるつもりなんですか?」
「……え?俺?」
あー。授業、授業ね
「うん。まだ決めてないや」
入学式の後で各授業の時間割が発表されるから、それ見てからチャチャッと決める予定だ。
しばらくは午前は必須科目の授業、午後から選択科目の授業があるんだったな。
俺の場合二年間のノーマルクラスだから、必須科目が魔法史や言語学、算数、属性魔法の第一階位。
属性魔法の第一階位ってのは生徒それぞれの希望する属性の一番下位の戦闘魔法。
小さい火の玉を飛ばしたり、地面にちっちゃい石の杭を生やしたり。
魔法だけで敵を倒すのはちょっとムリだけど、物理攻撃と連携を組み合わせれば役に立つよね、くらいの魔法。
大抵は皆自身の一番相性のいい聖霊の属性魔法を選ぶ。
「……へ?でも入学式の後すぐに提出ですよ?」
「うん。だから時間割を確認してからその場で用紙に書いて提出するつもり」
「……はあ」
こら。
大丈夫かなこの人?みたいな顔になってるぞ。
気持ちはわかるけどね。
多分まだ決めてないの俺だけだと思うし。
皆すでに決めてあって時間割を確認するって状況だよね?
選択科目はノーマルクラスだと魔法は各属性第三階位まで。
あと近接戦闘とサポーター、冒険者希望の人間ならダンジョンの特性の授業なんかがあるんだったか。
どれでも最低三科目が選べる。
試験に合格したらその上の階位の魔法やより専門的な戦闘授業を二つまで受けることもできる。
二つ以上になると追加の授業料がかかる。よほど優秀でない限り期間が足りないから、期間延長分の学費や宿泊費も。
「あー、でも近接戦闘と中距離戦闘の授業は受けるかな?うん。もう一つをどうするかってとこかな」
魔法関係はヘタに授業受けるより自己流のが効率がいい。
けど物理攻撃や防御はズブの素人だからな。
「てか、アイクでいいよ。ノエルのが年上なんだし」
こっちは年下なのにさっきから普通にタメ口だしな。
「……あ、はい。じゃ、じゃあアイク」
何故に男相手にモジモジするか!
ヤメテっ!お願いだからっっ!
「ノエルはもう決めてるのか?」
「うん。ボクも近接戦闘と中距離戦闘、それにダンジョン特性の授業。……一応冒険者かサポーター志望だから」
は?
ノエルが冒険者?
びっくりだ。
や、魔法科に入学するんだから冒険者志望でも普通だよな。
けど、ノエルが?
冒険者?
ムリでしょ!
「悪いけどイメージじゃないな。ノエルはどっちかっていうと研究の方なのかと」
魔法科には一部魔法研究の為に入学する人間もいる。
その場合は魔法史上級とか付与魔法とか魔法研究とか魔石研究とかそういった科目もあるのでそっちを選ぶ。
「ボクもそう思うし。できたらその方がいいけど。……でもお祖母ちゃんが」
「お祖母ちゃん?」
「ボクのお祖母ちゃんはシェリル・グランドっていうんだ。知ってるかな?」
「は?」
知ってる。
俺でも知ってるよ!
シェリル・グランド。
第一級冒険者。
またの名を『紅蓮の破壊者』
数少ないSS冒険者。
未来に起こる戦争においては一人で一個中隊を十分で壊滅させちゃった人!
マジか。
ノエルのお祖母ちゃん?
『紅蓮の破壊者』が?
う~ん、世の中意外なことがあるもんだ。
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