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王立学校魔法科
その3
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二日ほどサボってたけど、やっぱり習慣になるときっちり起きれるものらしい。
きっちり普段通りの時間に目が覚めた。
朝五時半。
最近ではランニング15周にストレッチに腕立て、腹筋100回ずつ、素振り100回と朝の日課が増えてきたおかげでずいぶん早起きになっている。
一年前と比べると五時間近くは早い。
やればできるってやつかな?
服を着替えて歯磨き洗顔。
準備はよし、じゃ行きますか!
王立学校のあるゴルディア伯爵領副領都フォルスの街はダンジョンを中心に東西南北を広い大通りが走る円形都市である。
街自体も大通りを境に東西南北に別れていて、北東部が全て俺がこの先通う王立学校の敷地。
その中に貴族科の校舎と演習場、貴族科の寮がある。
北西部も半分は学校の敷地になり、こちらには魔法科の校舎と演習場、魔法科の寮がある。
残りの半分は冒険者や街の住民の居住区。
学校に通う冒険者の多くはこの辺りにアパルトメントを借りているらしい。
南東部は半分が居住区、半分が冒険者向けのアイテムや武具をおいた商店区。
南西部には冒険者ギルドと鍛冶屋、宿屋、酒屋に飯屋等もこの辺りがもっとも多い。
全部が全部どの区域と決まっているわけではないが、概ねこのようになる。
ダンジョンが中心と言ったが街の中心にダンジョンの入り口があるというだけで、ダンジョン自体はこの街の地下全体に広がっている。
フェンローはダンジョンの上に建てられた都市だ。
街の外周には外壁が建てられその周囲には狭いが掘まで作られている。
外部への警戒というよりは万が一の時に内のモノを街の外に出さないためのものだという。
俺はその外壁の内側に沿ってぐるりと街を一周する細い小道をランニングコースの候補として走っている。
道が狭い分馬車や馬は入って来れないし、街中の通りと違って人も多くない。
距離は一周でもこれまでより長くなるが(歩きだと二時間近くかかるだろう。だいたい家の外周と比べたら25周分くらいかな)走れない距離ではない。
同じようにここをランニングコースにしている街の人も多いみたいでちょくちょく冒険者らしい人達やウォーキングのオジサンオバサンとすれ違っては挨拶を交わし合う。
ーー悪くない。
登山ですれ違いざまに皆挨拶を交わし合うってとを前世で聞いたことがあるが、ちょうどこれと同じ感覚なのだろうな。
毎朝続けてたらそう遠くないうちに顔見知りの二人や三人はできそうだ。
寮に戻って裏庭で腕立てをしてたら今起きたのだろうノエルが部屋の窓から顔を覗かせた。
寝巻きのままで、頭は寝癖で暴発している。
こちらに気付いて手を振ってきたので腕立ての体勢のまま片手を上げて振り返してやった。
「いつもああして鍛えてるのかい?」
ノエルと並んで学校への道を歩いているとそう聞いてきたので「ああ」と頷いて返した。
二人とも王立学校の制服を着ている。
紺のブレザー風の上下で、何故か首もとは蝶ネクタイだ。
色が赤でなく黒で良かった。
通信機能や変声機能は付いてない。
制服着用が行事の時のみで助かった。
普段は私服OKなのだ。
さすがにあたり派手な服装はよろしくないらしいが。
周りには同じ制服は身を包んだ生徒たちが同じ方向を目指して歩いている。
魔法科の生徒ばかり。
その為中にはとてつもなく制服が似合わないガチムチのオッサンもいる。
ーーあのあたりは冒険者か、わかりやすいな。
目につく半数ほどが冒険者か。
そうでない貴族の子息(といっても俺のような五男とかだけど)や平民とはパッと見でも雰囲気が違う。
なかには可愛い女子もいるが、その中にも見た目に騙されてナンパでもしたら痛い目に合いそうなのがいる。
入学式は講堂で行われる。
貴族科の式はきっとお偉いさんなんかも列席して盛大なんだろうが、こちらは生徒が座る椅子が並べられているだけ。
あとは教員であろう数人の人間が端に並んで座っている。
教頭だそうな魔法師、というか魔法使いっぽい黒マントに杖を持った爺さんの挨拶から式は始まる。
こういうのって、異世界でも退屈なもんだな。
俺は目立たないのを重視して選んだ周りをしっかり人に囲まれた席で早くも欠伸を噛み殺した。
おや、俺以上の猛者がいる。
すでに目を瞑って船をこぎ始めているのが三人ほど。
俺も彼らに習って寝るとするか。
ってなわけでおやすみなさい……zzz。
〇〇〇〇〇〇〇〇〇
ノエルに起こされた時には式が終わって……というか周りには人が数人しか残っていなかった。
もうちょっと早く起こして欲しかった。
教員たちの何人かがこっちを睨んでるじゃないか。
まあ、彼らだって眠いのを我慢して真面目な顔で座ってたんだから、爆睡している人間が恨めしいんだろう。
「いや、ボクは起こしてたんだからね。君がなかなか起きなかったんじゃないか」
ノエルに何故もっと早く起こしてくれないんだと文句を言ったらそう言い返された。
なんだ、じゃあ自業自得か。
しょうがないね。
「俺このあと用事があるんだ。早く行こう」
「…………」
なに?
なんか文句ありそうな目ですね。
でも急いでるから聞かないよ。
きっちり普段通りの時間に目が覚めた。
朝五時半。
最近ではランニング15周にストレッチに腕立て、腹筋100回ずつ、素振り100回と朝の日課が増えてきたおかげでずいぶん早起きになっている。
一年前と比べると五時間近くは早い。
やればできるってやつかな?
服を着替えて歯磨き洗顔。
準備はよし、じゃ行きますか!
王立学校のあるゴルディア伯爵領副領都フォルスの街はダンジョンを中心に東西南北を広い大通りが走る円形都市である。
街自体も大通りを境に東西南北に別れていて、北東部が全て俺がこの先通う王立学校の敷地。
その中に貴族科の校舎と演習場、貴族科の寮がある。
北西部も半分は学校の敷地になり、こちらには魔法科の校舎と演習場、魔法科の寮がある。
残りの半分は冒険者や街の住民の居住区。
学校に通う冒険者の多くはこの辺りにアパルトメントを借りているらしい。
南東部は半分が居住区、半分が冒険者向けのアイテムや武具をおいた商店区。
南西部には冒険者ギルドと鍛冶屋、宿屋、酒屋に飯屋等もこの辺りがもっとも多い。
全部が全部どの区域と決まっているわけではないが、概ねこのようになる。
ダンジョンが中心と言ったが街の中心にダンジョンの入り口があるというだけで、ダンジョン自体はこの街の地下全体に広がっている。
フェンローはダンジョンの上に建てられた都市だ。
街の外周には外壁が建てられその周囲には狭いが掘まで作られている。
外部への警戒というよりは万が一の時に内のモノを街の外に出さないためのものだという。
俺はその外壁の内側に沿ってぐるりと街を一周する細い小道をランニングコースの候補として走っている。
道が狭い分馬車や馬は入って来れないし、街中の通りと違って人も多くない。
距離は一周でもこれまでより長くなるが(歩きだと二時間近くかかるだろう。だいたい家の外周と比べたら25周分くらいかな)走れない距離ではない。
同じようにここをランニングコースにしている街の人も多いみたいでちょくちょく冒険者らしい人達やウォーキングのオジサンオバサンとすれ違っては挨拶を交わし合う。
ーー悪くない。
登山ですれ違いざまに皆挨拶を交わし合うってとを前世で聞いたことがあるが、ちょうどこれと同じ感覚なのだろうな。
毎朝続けてたらそう遠くないうちに顔見知りの二人や三人はできそうだ。
寮に戻って裏庭で腕立てをしてたら今起きたのだろうノエルが部屋の窓から顔を覗かせた。
寝巻きのままで、頭は寝癖で暴発している。
こちらに気付いて手を振ってきたので腕立ての体勢のまま片手を上げて振り返してやった。
「いつもああして鍛えてるのかい?」
ノエルと並んで学校への道を歩いているとそう聞いてきたので「ああ」と頷いて返した。
二人とも王立学校の制服を着ている。
紺のブレザー風の上下で、何故か首もとは蝶ネクタイだ。
色が赤でなく黒で良かった。
通信機能や変声機能は付いてない。
制服着用が行事の時のみで助かった。
普段は私服OKなのだ。
さすがにあたり派手な服装はよろしくないらしいが。
周りには同じ制服は身を包んだ生徒たちが同じ方向を目指して歩いている。
魔法科の生徒ばかり。
その為中にはとてつもなく制服が似合わないガチムチのオッサンもいる。
ーーあのあたりは冒険者か、わかりやすいな。
目につく半数ほどが冒険者か。
そうでない貴族の子息(といっても俺のような五男とかだけど)や平民とはパッと見でも雰囲気が違う。
なかには可愛い女子もいるが、その中にも見た目に騙されてナンパでもしたら痛い目に合いそうなのがいる。
入学式は講堂で行われる。
貴族科の式はきっとお偉いさんなんかも列席して盛大なんだろうが、こちらは生徒が座る椅子が並べられているだけ。
あとは教員であろう数人の人間が端に並んで座っている。
教頭だそうな魔法師、というか魔法使いっぽい黒マントに杖を持った爺さんの挨拶から式は始まる。
こういうのって、異世界でも退屈なもんだな。
俺は目立たないのを重視して選んだ周りをしっかり人に囲まれた席で早くも欠伸を噛み殺した。
おや、俺以上の猛者がいる。
すでに目を瞑って船をこぎ始めているのが三人ほど。
俺も彼らに習って寝るとするか。
ってなわけでおやすみなさい……zzz。
〇〇〇〇〇〇〇〇〇
ノエルに起こされた時には式が終わって……というか周りには人が数人しか残っていなかった。
もうちょっと早く起こして欲しかった。
教員たちの何人かがこっちを睨んでるじゃないか。
まあ、彼らだって眠いのを我慢して真面目な顔で座ってたんだから、爆睡している人間が恨めしいんだろう。
「いや、ボクは起こしてたんだからね。君がなかなか起きなかったんじゃないか」
ノエルに何故もっと早く起こしてくれないんだと文句を言ったらそう言い返された。
なんだ、じゃあ自業自得か。
しょうがないね。
「俺このあと用事があるんだ。早く行こう」
「…………」
なに?
なんか文句ありそうな目ですね。
でも急いでるから聞かないよ。
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