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呪いと真実
その5
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その日は他にも3軒の家を見せてもらってまた明日店に返答に来るということになった。
見せてもらった内の2件は先と同じように一階が店舗になった二階建て。一つはそれらより一回り小さな長屋の一画。そこだと住居だけになるけど、長屋自体が珍しい女性専用で貸しているものなので、女一人でも安心して暮らせるという。
貸し主の女性が旦那さんをなくして一人暮らしのため同じような境遇の女性が住みやすいように女性専用としているらしい。
冒険者ギルドに見回りの常時依頼を出して安全対策もしている徹底ぶり。
ただし賃料はちょっとお高くて金貨1枚。
「市に場所を借りてテントを張ることになりますが、ここなら市にも近いので悪くないと思いますよ。まあ一番のオススメはやっぱり最初にご案内した物件ですけどね!」
オヤジのオススメは最初にみた庭付き一戸建てと。
確かに他と比べて安いもんね。
ちなみに本日見た物件の比較がこうなる。
庭付き一戸建ての一階がお店仕様になった物件。
人の多い通りからは外れる。黄色に外壁にオレンジに塗られた柱と屋根が特徴的だ。
店の一階部分には作り付けの棚と小さなカウンターもあってすぐにお店ができる。
前金が銀貨10枚で月の賃料が銀貨5枚。
2つ目が庭なしで間口が狭く奥に細長い造りの二階建て。同じような店の並んだ通りにあって一番人の多い通りから一つ路地を入る。
一階には店の部分の奥に小さな倉庫スペースがある。
前金が金貨1枚で賃料が銀貨15枚。
3つ目は二軒目と同じような物件で、倉庫がない代わりに店の部分が広い。ただキッチン部分が備え付けられていてどちらかと言うとカフェとか食堂向け。
前金が金貨1枚で賃料が銀貨12枚。
人間の通貨は何故か中途半端に銀貨20枚が金貨1枚の価値になる。銅貨は10枚で銀貨1枚。金貨は100枚で白金貨1枚。
おわかりだろうか?
コレ、ちょっとおかしいよね?
確かに場所は他と比べてよろしくないのは確か。
他は周りに他の店や市があるのに比べ、最初の一軒は近くに店も少なくて人通りは少ない。
けど物件自体は庭もあるし隣とひっついてもいないから住み心地という点ではいいくらいだ。
なのに賃料は半値以下。
私は『てれび』で見た『事故物件』とかいうものを思い出す。
あれだ。
前の住人が自殺したとか、事故が異様に多いとか。
夜中に『らっぷ音』がするとか。
「でも安すぎません?なんかあんじゃね?」
思わず指摘した私にオヤジはあからさまに目を泳がせた。
やはりか!
「いいえぇ。特に何も。家主が大変お金持ちで、安くして下さっているだけなのですよ」
ヘラヘラ笑いながら言っているが。
ウソだな、うん。
でも『事故物件』ちょっと気になるかも知れない。
なんの変哲もないよりそっちの方が面白いかも?みたいな。
「是非ともよろしく~!明日またお待ちしております」
もみ手で私たちを見送るオヤジの襟首に、私は「あっ、ホコリが!」と手を伸ばした。
ホコリを取るフリで襟の裏に小指の爪ほどの小さな魔法具を忍ばせる。見た目はただの黒い虫だ。
見つかっても払い落とされるだけである。
「ああ、これはどうも、ありがとうございます」
礼を言うオヤジに私はにこっと愛想よく笑ってやる。
胸の奥では「さあて、何か面白い話が聞けるかな?」とほくそ笑みなから。
見せてもらった内の2件は先と同じように一階が店舗になった二階建て。一つはそれらより一回り小さな長屋の一画。そこだと住居だけになるけど、長屋自体が珍しい女性専用で貸しているものなので、女一人でも安心して暮らせるという。
貸し主の女性が旦那さんをなくして一人暮らしのため同じような境遇の女性が住みやすいように女性専用としているらしい。
冒険者ギルドに見回りの常時依頼を出して安全対策もしている徹底ぶり。
ただし賃料はちょっとお高くて金貨1枚。
「市に場所を借りてテントを張ることになりますが、ここなら市にも近いので悪くないと思いますよ。まあ一番のオススメはやっぱり最初にご案内した物件ですけどね!」
オヤジのオススメは最初にみた庭付き一戸建てと。
確かに他と比べて安いもんね。
ちなみに本日見た物件の比較がこうなる。
庭付き一戸建ての一階がお店仕様になった物件。
人の多い通りからは外れる。黄色に外壁にオレンジに塗られた柱と屋根が特徴的だ。
店の一階部分には作り付けの棚と小さなカウンターもあってすぐにお店ができる。
前金が銀貨10枚で月の賃料が銀貨5枚。
2つ目が庭なしで間口が狭く奥に細長い造りの二階建て。同じような店の並んだ通りにあって一番人の多い通りから一つ路地を入る。
一階には店の部分の奥に小さな倉庫スペースがある。
前金が金貨1枚で賃料が銀貨15枚。
3つ目は二軒目と同じような物件で、倉庫がない代わりに店の部分が広い。ただキッチン部分が備え付けられていてどちらかと言うとカフェとか食堂向け。
前金が金貨1枚で賃料が銀貨12枚。
人間の通貨は何故か中途半端に銀貨20枚が金貨1枚の価値になる。銅貨は10枚で銀貨1枚。金貨は100枚で白金貨1枚。
おわかりだろうか?
コレ、ちょっとおかしいよね?
確かに場所は他と比べてよろしくないのは確か。
他は周りに他の店や市があるのに比べ、最初の一軒は近くに店も少なくて人通りは少ない。
けど物件自体は庭もあるし隣とひっついてもいないから住み心地という点ではいいくらいだ。
なのに賃料は半値以下。
私は『てれび』で見た『事故物件』とかいうものを思い出す。
あれだ。
前の住人が自殺したとか、事故が異様に多いとか。
夜中に『らっぷ音』がするとか。
「でも安すぎません?なんかあんじゃね?」
思わず指摘した私にオヤジはあからさまに目を泳がせた。
やはりか!
「いいえぇ。特に何も。家主が大変お金持ちで、安くして下さっているだけなのですよ」
ヘラヘラ笑いながら言っているが。
ウソだな、うん。
でも『事故物件』ちょっと気になるかも知れない。
なんの変哲もないよりそっちの方が面白いかも?みたいな。
「是非ともよろしく~!明日またお待ちしております」
もみ手で私たちを見送るオヤジの襟首に、私は「あっ、ホコリが!」と手を伸ばした。
ホコリを取るフリで襟の裏に小指の爪ほどの小さな魔法具を忍ばせる。見た目はただの黒い虫だ。
見つかっても払い落とされるだけである。
「ああ、これはどうも、ありがとうございます」
礼を言うオヤジに私はにこっと愛想よく笑ってやる。
胸の奥では「さあて、何か面白い話が聞けるかな?」とほくそ笑みなから。
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