乙女ゲームのお邪魔お局に転生してしまった私。

よもぎ

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「こんにちわっ浅井おじさん!!」

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「綺麗になったね姫華嬢~」

クソッ!このねちねちした話し方は、浅井太郎!

私はゴミ虫を見るような目で、目の前のクソジジイをジッと見る。

「お疲れ様です浅井さん」

おや?おやおやおや?

クソジジイの後ろにいるのは…?

「舞チャンも相変わらず可愛いねぇ」

「存じております」

うわっ!やっぱり舞ちゃん強い!

「舞チャンの後輩くん、俺の後輩と同期なんだよねぇ~」

「そのようですね」

「舞チャンの後輩くんもイケメンだけど、うちの子も負けてないでしょ?」

「そうですね」

イケメンで真面目で従順そうな新人だから、自慢しに来たんだろうか。

それにしても舞ちゃんの会話続けたくない感が凄まじい。

私は隣の相澤を肘でつつき、浅井を顎で指して(邪魔してこい)と合図を送る。

「こんにちわっ浅井おじさん!!」

浅井おじさん、に私を含む何人かが吹き出した。

頬をピクピクさせながら

「失礼な新人くん…おっと、もう新人くんじゃないけど。

元気だったかい?」

「元気に決まってるじゃないですか~!

そんなことより、浅井おじさんの後輩くんを紹介してくださいよ~!

みんなおじさんには興味ないし」

最後の一言ォ!

「それな」とみんなが心の中で思っていることだろう。

「そ…そうか…

うちの新人の、遠藤一繁くんだ」

さすがにクソジジイの心臓にクリンヒットしたか?

本当に対浅井用狂戦士として優秀な男だな、相澤は。

「はじめまして、遠藤一繁です」

お、おう…

愛想が全然ないっ!

しかし、その無愛想ささえもエキゾチックな雰囲気も相まってミステリアスな魅力を醸し出している。

「どうだ姫華嬢?なかなかイケメンだろう?」

ジジィーッ!!何で私に振る!?

「えぇ、エキゾチックなルックスにミステリアスな立ち振舞い。

浅井おじさんとは対極にある魅力でとっても素敵ですね」

あ、浅井おじさんって言っちまった。

という冷や汗を作り笑いで誤魔化す。

が、うちの部署の新人だって負けてはいない。

というか、別の話題で浅井おじさんと言ったことをなかったことにしたい。

「うちの今年の新人、小林凖くんです。

女性ウケする甘いルックスながら、老若男女問わず親切に接する彼が来てからここの雰囲気が良くなりましたよ。

彼なら目下の者にも好かれ、若い世代を纏めてくれるでしょう」

お前と違ってな、という嘲笑を含んだ視線を向けようとするや否や。

「老害がいると空気悪くなりますからね!!」

とのたまう相澤。

ちなみに、約1年前に相澤が浅井に対して「老害」発言してからと言うもの、私たちの間に浅井イコール老害という暗黙の了解ができているのである。

ところがそんなことなど露知らずな小林は、

「はじめまして浅井さん。

…遠藤くんは入社日以来だよね?

部署は違いますが、よろしくお願いしますね」

とニッコリ。

これ遠藤くんが女子だったらちょっと好きになっちゃうやつ!

これを男性にも自然にするから、お色気担当なのに男性アンチが少ないのだと感心する。

しかし、浅井はアンチになりそうだ。

というかなるのだ。

小林ルートで浅井太郎は卑眼蚊と組んで主人公を我が物にしようとしたり、ダマミを小林にけしかけて動画を撮ろうとしたりするのだ。

ダマミが脱衣して小林に迫るという危ないシーンに、プレイヤーからは「ダマミそこ代われ」コールが沸き起こったのは言うまでもない。
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