もしもいつも通りの明日が来なかったとしても

春音優月

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Stage3 敵か味方か

story36 出動命令

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 次の日、やや乱暴にドアをノックする音で目が覚める。誰……?
 
「美菜、起きてるか?」
 
 半分寝ぼけたままドアを開けると、なぜかそこには固い表情をしたネリが立っていた。
 
「どうしたの?」
「出動命令が出された。戦闘になるかもしれない」
「へ?戦闘って?」
 
 戦闘っていつもの疑似生命体との訓練じゃなくて? どこに出動するだろう。
 
 寝起きでボーッとして理解してない私に対し、ネリは焦ったようにいつもより早口で告げる。
 
「とにかく時間がないから、急いで支度してほしい。後は車の中で説明する。十分後に駐車場に集合だ」
「え、十分? さすがにそれは無茶だよ、ネリ」
「一刻を争うんだ、美菜。こうして話してる時間も惜しい」
「?……分かった。すぐに支度するね」
 
 朝起きていきなり十分で支度しろって言われてもしんどいんだけど、ネリがここまで言うんだから本当に緊急事態なんだよね。緊迫した表情のネリにひとつ頷くと、ネリは急いでどこかに駆けていった。
 
 急いで顔だけ洗い、研究所支給のパワー増強効果があるらしい黒いウェットスーツのようなものを着る。その上からトレーナーと動きやすい綿パンを履いて、肩までの髪を無理やりポニーテールにしてから駐車場へと走った。
 
 何がなんだか分からないまま乗るようにと言われた七人乗りのボックスタイプの車の運転席と助手席にはケニア人が座っていたので、一番後ろの三人がけの席に座る。
 
 私の右隣には緊張感のかけらもなく爆睡している千明、そして左隣には相変わらず固い表情のネリ。
 
 図太いのか度胸があるのか、ネリとは対照的な千明を見て、少し呆れる。これから戦うかもしれないって時に、よく寝れるよね。
 
「これって、みんな行くの?」
「日本ケニアチームは全員出動。他は知らないが、何人かは行くんじゃないのか」
 
 車が動き始めてもまだ爆睡している千明を横目で見てからネリに話しかけると、ネリは状況をざっくりと説明してくれた。
 
 現地に行くメンバーは、この七人乗りの車に乗った私たち以外にも何人かが行くらしいけど、全員で動くと目立つので、全員ではないということ。何台かに分け、車の間隔を空けながら、ここから数時間程かけて現地に向かうらしい。
 
 そこまではネリに聞いたんだけど、肝心の何のために誰と戦うのかも分からないので、それを尋ねることにする。
 
「それで、戦うって誰と戦うの?」
「誘拐や金品強奪を主に行う武装集団らしい。
なんでも彼らは今から行く村の付近に潜伏していて、次にその村が狙われると予測されているそうだ」
「武装集団って、犯罪組織ってこと? それって警察の仕事なんじゃないの?」
 
 昨日のニュースでもちょうど武装集団のことがやっていた。ネリの話を聞く限りは、その武装集団とやらは地元で有名な組織みたいだけど、それを取り締まるのは警察の仕事なんじゃないの? 私たちは宇宙人と戦うために集められたんじゃなかったのかな。
 
 思わずネリの顔を見ると、ネリは私と目を合わせないまま静かに首を横に振った。
 
「今から行く村は、辺境の貧しい村だ。警察は機能してない」
「ええっ!?」
 
 警察が機能してないって、そんなことあり得るの? 一体どういうことなんだろう。
 普段サボってるってこと? それとも、もともといないとか?
 
 意味がよく分からないけど、治安は大丈夫なのかな。でも、組織的な犯罪集団なら、さすがに警察も動くんじゃないのかと思うんだけど。
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