嫌われ者の僕

みるきぃ

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チャラ男会計

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【あおいside】



花園くんに不思議なことを言われた途端、会計さんが現れたことに驚いた。まさか、会計さんがZクラスに来るなんて思いもしなかった。

でも突然花園くんは僕を連れ出してZクラスから慌てて飛び出した。


花園くんに連れられ、走ってきたから場所はどこだかわからないけど多分どこかの裏庭。

休みというのもあって人影などなかった。



「うわー、超最悪。邪魔された!!イライラする!」



「は、花園くん…?」



花園くんは僕の手を離し、足を曲げ、頭を抱えた。



「しかも俺、思わず“あおい”って言っちまった!あ、待てよ…顔はすぐ隠したから大丈夫だよな…うん!大丈夫だ!」




困惑していた顔から何やら急にぱぁっと明るくなり解決したみたいな様子だった。


あ、そうだ…

「は、花園くん、あの…そろそろ眼鏡を…っ」


眼鏡がないと落ち着かない。



「あ、そうだったな!誰かに見られると大変だ!!」


花園くんはポケットから眼鏡を取りだし渡してくれた。



「あ、ありがとう」


受け取って、すぐにかける。






…うん。

やっぱりこれが一番落ち着く。



「な、なぁ…あ、あおい。さ、さっき、その」




「?」



徐々に顔が赤くなる花園くん。ど、どうしたんだろ…?



「や、やっぱり、何でもない!!もっとロマンチックな所ですることに決めた!!」




「ろ、ろまんちっく…?」



「あーどうしよう!急に恥ずかしくなっちまっただろ!!じゃあな!」



そう言うとものすごい速さで颯爽とどこかへ走って行ってしまった。



「あ、は、花園くん…っ」



今思い出して名前を呼んでも届かない。どうしよう…、どうやったら戻れるのかな?




この学園は広いから見慣れていない風景がここ以外にも他にもたくさんあり、迷子になるのにはもってこいの所だった。

とりあえず、歩いてみよう…。



僕はそのあと、道に迷いながらなんとか寮に着くことができた。ゆうは遅いから心配してくれたけど、理由を話したらわかってくれた。



掃除はまた来週やろう…。今度は二倍頑張らないといけない。



──────
─────────


…………。



月曜日。

今は午前中の国語の授業。先生はプリントだけ置いて教室をあとにした。

いつもこんな感じだから授業という授業をしたことがあまりない。



「なぁなぁ、あおい!プリントなんかしないでさ、俺とお話でもしようぜ!!」



「え、でも…」



僕の肩に手を置いて揺らす。そう言ってくれるのは嬉しいけど…どうしよう。



「なーいいだろ!!俺、プリントに嫉妬するぞ!」



「じゃ、じゃあプリント終わらせてから話したらだめかな…?」



提出まであるから、やらないといけない…。



「うーーん。しょうがないなぁ。じゃあ早く終わらせようぜ!!」




花園くんはそう理解してくれてプリントを終わらせることに決めた。





それから数分経って、


「あおい!終わったぞ!!早く話そう!」



花園くんは手を止め、そう言った。




「え?も、もう終わらせたの?」



こんな早く終わらすなんてすごい。僕はまだ半分も終わってないのに驚いてしまった。




「おう!ほら!!」



花園くんは終わったプリントを僕に見せた。ほんとだ…すごい。全部埋まっている。




「俺って結構頭良いんだぞ!!あおい惚れたか?」



「ほ、惚れる…?」



「あ!当たり前のこと聞いたな!!それよりまだあおいは終わってないのかよ!」



「う、うん。ま、まだまだなんだ…」


まだプリントは真っ白に近い。空欄が多い。




「もう仕方ないな!!教えてやるよ!この漢字は“ぶんぶりょうどう”って読むんだぞ!」



「ぶんぶ、りょうどう?そうなんだ!ありがとう!!」



「文武両道の意味は俺みたいなやつのことをいうんだぞ!わかったか?」




「そ、そうなの?わかった!」


この漢字の意味はよくわからないけど花園くんがそう言うならそうだよね。



花園くんってすごいな…。


花園くんのおかげであっという間に、プリントも終わって提出することができた。それから結構お喋りした。



──────
─────────


「げっ。あおい逃げるぞ!!」




放課後、寮へ帰る途中の廊下で花園くんが突然そう言い出した。




「え?」



「ほら行くぞ!アイツらが来る予感がする!!」



「ア、アイツら…?」




「生徒会のやつらのことに決まってるだろ!ほら手かせ!!」



「ちょ、あ」




花園くんは僕の手を取り、歩いて来た道をまた戻り走った。


すると、後ろから『瑞希ー!待ってください!!』と副会長さんの声が聞こえてきた。


振り返ってみると、生徒会メンバーは本当に皆いた。




本当に皆いてびっくりした。


花園くんの言った通りだった。


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