公女は祖国を隣国に売ることに決めました。

彩柚月

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後編(後)

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その日。
王太子の冊立式が行われた。

主たるアクエストの貴族達と、クレイドからの公式な使者達。彼等は任命を見届けるための証人だ。

彼等が見守る中、滞りなくクレイドに渡った先代王弟が興した公爵家の令息であるディクソン・アクア・フォン・クレイド様が、王太子として立太子し、任命された。同時に、エリザベス皇女が、その婚約者となることが発表され、アクエスト王国は王太子夫妻に王権が移譲されると同時に、アクエスト公国となることを宣言した。

事実上の属国宣言に、周辺国は大いに対策を練る混乱に陥ったが、それもいずれ成るように、おさまっていくことだろう。

政治の中心は最近までと呼ばれていた新しい宮殿に移され、事後処理を終えた後、賓客の宿泊所として利用されることになる。元々王宮であるので、警備などやりやすい為、利用しない手はない。

王は退陣後、療養している王妃の近くへ行くことを希望している。この要求は通るだろう。

元王太子はわざわざ断罪などしなくとも、もはや何も持たざる者になるので、ただ、静かに忘れられた土地で軟禁される。今まで王子として生きてきた彼にとっては、何よりも罰になる。

…はずだったのだが、事と次第を知り暴れたようで、軟禁場所に送られるまで、王族牢に監禁されている。いずれ彼も真実を受け入れるだろう。


ロザリアはそれらを見届けてから、クレイド皇国に向かった。




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