僕がどこにいても、君をいちばん愛してる

彩柚月

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 あの日は日曜日で、私はピアノの発表会だった。3部に分かれており、小学生の私は1部で発表を終えて、両親とご飯を食べて帰ってきたのだ。

 発表会のために買ってもらった、おニューのツーピースドレスに、ピカピカのローファー。おめかししたその格好を誰かに見せたくて仕方がなかった私は、家に着いてから着替えをせずに、お寺に向かった。

 そこで目にしたのは、男の子達が、私のお気に入りのグルグルジャングルで、1人が天辺に立ちグルグル回す回転にどれだけ耐えられるか、という遊びだった。

 今ならわかるが、ものすごく危険な遊び方だと思う。落ちたら怪我で済まないこともあるかもしれない。それは規制も入るだろう。

 しかも、あれは私の遊具ではないのだから、子供達の誰が遊んでいてもいいはずだ。なのに、大切な自分の物を勝手に使われて、しかも自分の知らない遊びをしていることに腹立たしさを感じて、あろうことか、男の子達に宣戦布告をしたのだ。

 私にだって、あのくらい登れる。その時は本気でそう思ったし、実際、いつもの装いなら登れただろう。でもその時の私は、小学生低学年ながら、ドレスアップした窮屈なボレロにスカート。それに、運動靴ではなく、裏がツルツルのローファー。

 天辺に辿り着く直前で、見事に滑ったのだ。転落する私を蓮が掴んでくれたのだが、掴んだ場所が悪かった。スカートが破れて履いていた毛糸のパンツが丸見えになってしまった。可愛いピンクのクマが描いてあったので、それからしばらく、私はという渾名で呼ばれることになった。

 蓮の方はパンツめくりと揶揄われていたようだ。正しくはスカートめくりじゃないかな?と思うが、子供にはパンツが印象に残ったのだろう。

 そういえば。あの事件から距離を取るようになった気がする。気恥ずかしくて仕方がなかったんだ。
 
 「お互い気まずい、みたいな?」
 「そうかも。まあ、あれが理由だったら仕方ないなあ。」
 「あの年頃にパンツ事件はキッツいもんねえ。」
 「はっきり言わないでよ。今でも思い出すと恥ずかしいんだから。」
 「ふふ。ごめんごめん。」
 
 瑠奏るかなはイタズラっぽく揶揄ってから誤った。私の恥ずかしさを軽減しようとしてくれているのだとわかるから、私も本気では怒っていない。

 瑠奏みたいに、蓮とも友達でいられたら良かったのにな。

 「そう言えばさ。知ってる?」
 と、瑠奏が言う。何のことかと私も聞き返す。
 「何を?」
 「あの遊び場、人魂が出るってオカルトな噂があるんだよ。」
 「何それ?」
 「夜になると、青い人魂が浮いてるんだって。遊具が古くなって危険だし、そんな変な噂も出るから、今は立ち入り禁止なんだって。って言っても、看板が立ってるだけだから簡単に入れるみたいだけど。」
 「へえ。何か思い出の場所がオカルトスポットになるのって、微妙な気分。」
 「そうだね。思い出の場所が汚された気分。」

 そんな話をして家に帰る。
 こうして、何気ない毎日は過ぎていく。

 
 
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