僕がどこにいても、君をいちばん愛してる

彩柚月

文字の大きさ
8 / 31

8 絶望から混乱の事態

しおりを挟む

  お寺の遊び場へ。立ち入り禁止の看板が夕方よりも邪魔な所に移動してある。構わず入った。

 夕方倒れたグルグルジャングルはそのまま倒れていた。

 「どうして……どうしてっ!」
 大声で泣いた。
 こんなことになるのなら、あれが最期になるのなら、きちんと話せば良かった。私も気になってたって言えば良かった。揶揄われて話すのが照れ臭くなったけど、ずっと、前みたいに仲良しに戻りたかった。本当は、ずっと前から、小さい頃から、好きだったって言えば良かった。

 泣き声を聞きつけてか、住職さんが様子を見にきた。

 「ああ?さっきの子やな。また来たんかい。来るな言うたやろ。それに今日は、」
 「お願いします。少しだけ。今日、ここで話したのに。危ないことはしないから。タイヤのとこで座るだけだから。」

 仕方ないなと、許してくれる。近いうちに全部撤去するよう、業者に頼んだからな。このタイヤより先に行ったらあかんぞ。と、注意を告げてから、
 「落ち着いたら、通夜に行ったれよ。蓮も待っとるわ。」
 と、言い残して行ってしまった。今から蓮の通夜の準備を手伝うのだろう。

 しんとした遊び場の、半タイヤに座って、ぼんやりとする。何を考えたら良いのかもわからず、ただ涙が止まらない。

 ふと、チラチラと視界の中を泳ぐものがあった。よく見ようと、それがある方に視界を向けると、青い?線のようなものが、倒れたグルグルジャングルの中でユラユラ立っていた。
 
 「そういえば、人魂の噂があるって瑠奏るかなが言ってたな。」

 その時の私は、多分冷静ではなかったと思う。だって、何の恐怖感もなかったから。危ないと言われたのに、グルグルジャングルの中に手を伸ばした。小さい枠からは体が入らず、伸ばした手は、青い物に届かなかった。やっぱり、子供の頃のようには通れないなと思いながらも、大きい枠を探して体を滑り込ませた。

 青い、亀裂?小さくなったり大きくなったり、右へ左へユラユラと動いている。危ないかな?と思うのも一瞬だけで、少しだけなら、と、ソレに、陽葵は手で触れた。

 途端に、頭がクラッとして、青い亀裂に入ってしまった。その瞬間、

 世界が千切れる音を聞いた気がした。

 ——と、思ったのだが。

亀裂はまだユラユラと揺れながら、そこにある。さっきの目眩のようなものは尋常じゃない。すごい音がしたし、もう触れるのはやめておこう。

 そろそろ帰って着替えなくては。瑠奏が準備したらLINすると言ってた。あんなに泣いていたから、私がしっかりしないと。

 と、グルグルジャングルの外に出た時、そこに居た人物を見た私は、思わず、力一杯叫んだ。

 「きゃあああぁぁぁぁぁあああ!!」

 「ちょ、ちょっと待って、黙って」
 その人物は焦ってか、私を抑え込もうとする。
 「え?え?何で?お化け?いやぁぁああ!」
 「待てって、落ち着いて!」

 「なんや?どうした??」
 誰かが走り寄ってくる足音がした。多分住職さんだろう。

 その人物は、私を後ろに隠すと、こう言った。
 「ごめんなさい!すぐ帰りますから。この子、陽葵の幼馴染で。僕達、ここで良く遊んでたものだから。思い出して興奮しちゃって。少しだけ居させてください!」

 すると、住職さんの声がした。
 「蓮か?ここは危ないから来るな言うたやろ。だいたい、ここで陽葵ちゃんは……まあええわ。早よ帰りぃや。陽葵ちゃんの通夜始まっとるで。」

 「はい。この子の気持ちが落ち着いたら帰りますんで。すみません。」

 陽葵の通夜?どういうこと?
 
 住職さんは行ったみたいだった。去っていく足音が聞こえなくなってから、その人物は、私の方を向いて、言った。
 「落ち着いた?少し話そうか。」
 
 蓮だった。

 「どうして、生きていたの?私の通夜って?何?どういうこと?」
 「落ち着いて。僕も混乱してるから。落ち着いて話そう。ね?」

 混乱する中、蓮に似た人は、

 「君は誰かな?」

 と、聞いた。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お姫様の願い事

月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です* 最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

理想の王妃様

青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。 王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。 王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題! で、そんな二人がどーなったか? ざまぁ?ありです。 お気楽にお読みください。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

20年、へそくり30万円が3000万円になったら、夫が毎月「今いくら?」と聞いてくる

ベテランママ。
経済・企業
2005年、ライブドアショックのちょい前から投資生活を始め、最初は投資資産30万円。で、現在はへそくり総額3000万円に。3000万円を超えた!とついうれしくて夫に報告したら、それから毎月「今いくら?」と人のへそくりを聞くようになりました。ちょっとウザイ。

悪女の死んだ国

神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。 悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか......... 2話完結 1/14に2話の内容を増やしました

王女様は美しくわらいました

トネリコ
児童書・童話
   無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。  それはそれは美しい笑みでした。  「お前程の悪女はおるまいよ」  王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。  きたいの悪女は処刑されました 解説版

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

処理中です...