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8 絶望から混乱の事態
しおりを挟むお寺の遊び場へ。立ち入り禁止の看板が夕方よりも邪魔な所に移動してある。構わず入った。
夕方倒れたグルグルジャングルはそのまま倒れていた。
「どうして……どうしてっ!」
大声で泣いた。
こんなことになるのなら、あれが最期になるのなら、きちんと話せば良かった。私も気になってたって言えば良かった。揶揄われて話すのが照れ臭くなったけど、ずっと、前みたいに仲良しに戻りたかった。本当は、ずっと前から、小さい頃から、好きだったって言えば良かった。
泣き声を聞きつけてか、住職さんが様子を見にきた。
「ああ?さっきの子やな。また来たんかい。来るな言うたやろ。それに今日は、」
「お願いします。少しだけ。今日、ここで話したのに。危ないことはしないから。タイヤのとこで座るだけだから。」
仕方ないなと、許してくれる。近いうちに全部撤去するよう、業者に頼んだからな。このタイヤより先に行ったらあかんぞ。と、注意を告げてから、
「落ち着いたら、通夜に行ったれよ。蓮も待っとるわ。」
と、言い残して行ってしまった。今から蓮の通夜の準備を手伝うのだろう。
しんとした遊び場の、半タイヤに座って、ぼんやりとする。何を考えたら良いのかもわからず、ただ涙が止まらない。
ふと、チラチラと視界の中を泳ぐものがあった。よく見ようと、それがある方に視界を向けると、青い?線のようなものが、倒れたグルグルジャングルの中でユラユラ立っていた。
「そういえば、人魂の噂があるって瑠奏が言ってたな。」
その時の私は、多分冷静ではなかったと思う。だって、何の恐怖感もなかったから。危ないと言われたのに、グルグルジャングルの中に手を伸ばした。小さい枠からは体が入らず、伸ばした手は、青い物に届かなかった。やっぱり、子供の頃のようには通れないなと思いながらも、大きい枠を探して体を滑り込ませた。
青い、亀裂?小さくなったり大きくなったり、右へ左へユラユラと動いている。危ないかな?と思うのも一瞬だけで、少しだけなら、と、ソレに、陽葵は手で触れた。
途端に、頭がクラッとして、青い亀裂に入ってしまった。その瞬間、
世界が千切れる音を聞いた気がした。
——と、思ったのだが。
亀裂はまだユラユラと揺れながら、そこにある。さっきの目眩のようなものは尋常じゃない。すごい音がしたし、もう触れるのはやめておこう。
そろそろ帰って着替えなくては。瑠奏が準備したらLINすると言ってた。あんなに泣いていたから、私がしっかりしないと。
と、グルグルジャングルの外に出た時、そこに居た人物を見た私は、思わず、力一杯叫んだ。
「きゃあああぁぁぁぁぁあああ!!」
「ちょ、ちょっと待って、黙って」
その人物は焦ってか、私を抑え込もうとする。
「え?え?何で?お化け?いやぁぁああ!」
「待てって、落ち着いて!」
「なんや?どうした??」
誰かが走り寄ってくる足音がした。多分住職さんだろう。
その人物は、私を後ろに隠すと、こう言った。
「ごめんなさい!すぐ帰りますから。この子、陽葵の幼馴染で。僕達、ここで良く遊んでたものだから。思い出して興奮しちゃって。少しだけ居させてください!」
すると、住職さんの声がした。
「蓮か?ここは危ないから来るな言うたやろ。だいたい、ここで陽葵ちゃんは……まあええわ。早よ帰りぃや。陽葵ちゃんの通夜始まっとるで。」
「はい。この子の気持ちが落ち着いたら帰りますんで。すみません。」
陽葵の通夜?どういうこと?
住職さんは行ったみたいだった。去っていく足音が聞こえなくなってから、その人物は、私の方を向いて、言った。
「落ち着いた?少し話そうか。」
蓮だった。
「どうして、生きていたの?私の通夜って?何?どういうこと?」
「落ち着いて。僕も混乱してるから。落ち着いて話そう。ね?」
混乱する中、蓮に似た人は、
「君は誰かな?」
と、聞いた。
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