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考えることが増えました

第100話 気持ちの変化①(筆者視点あり)

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アルド様が帰路につき、私とエリオット様はカフェを出て近くのベンチに横並びに座って一息ついていた。

「ところで、何故エリオット様がここに?」
「いや、その…」
「…?」
「それはその、あれだ…お前が男と店に入るところ見たって聞いたから…」

そう言うエリオット様の声は今にも消え入りそうだ。

「もしかして、嫉妬ですか?」

私はエリオット様の顔を覗き込む。

「…そうだよ、悪いか…」

エリオット様はふっと顔を逸らす。よく見ると、耳が赤くなっている。

もしかして照れてる…?というか、ほんとに嫉妬だったの…?

「え、ほんとに…」
「なんだよ、お前が言ったんだろ?」
「ああいや、悪いとかじゃなくてですね」 

トンッ

すると、エリオット様がこちらに向き直り、私の両肩を掴んで見つめてきた。

「惚れた女が他の男と2人きりで会ってるの知って平気なやつなんていねーよ」
「えっ…と…」

突然の真剣な眼差しと惚れた女発言に驚き、今度は私が目をそらす。心拍数が少し上がっているのを感じる。

少しの間沈黙が流れると、エリオット様は私の肩から手を話した。

私はなんとなく喪失感を感じ、エリオット様の制服の袖を軽く掴む。その間視線は逸らしたままだ。

「わ、私だって誰でも良い訳じゃないんですよ…?今回はただ研究所の同僚だから仲良くしておこうかなと思って来ただけですし…」
「それって…」

エリオット様が目を丸くしてこちらを見る。でもすぐにまた顔を逸らしてしまった。

再びの沈黙。

「…帰るか。」
「そうですね。」

こうして私たちはなんとも言えない空気の中、それぞれの職場と寮に戻った。


ーーーーーー


「で?で?どうだった?」

エリオットが駐屯所に戻ると、ジャックが好奇心丸出しで問い詰める。

「どうって、なんというか、可愛かった…」

エリオットは口を手で覆い、赤面した顔を隠しながら答える。

「ん?いやいやそうじゃなくて、結局あの男は誰だったの?」
「へ?あ、あああいつか!あいつはただのシェリーの仕事仲間だそうだ。」
「ああ、やっぱりそうだったんだ。」
「…は?」
「え、なに?」
「知ってたのかお前?」
「え、うん。タクシス侯爵のところの三男でしょ?何度か侯爵とは話したことあるから顔は分かるし、研究所に務めてることも知ってるよ。」
「なんだよ…」
「誰でも嫌みたいな感じだったから、言っても言わなくても変わんないかなーと思って。」
「そうかもしれねえが、それでもどこの馬の骨かもわからんやつと職場の同僚じゃやっぱ違ぇだろ。」
「はは、それもそうだね、ごめんごめん。」
「…ったく…」
「それで?」
「ん?なんだ?」
「さっき言ってた"可愛かった"って何が?もしかしなくてもシェルシェーレ嬢のこと??」

ジャックはいたずらっ子のようにニヤニヤしている。

「くそっ…」

悪態をつきながらも、どこかシェルシェーレについて話すことが満更でもないエリオットであった。
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