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アスファルトを焼く強い日ざしにうだった空気を切り分けるように、重い音を響かせてZII750が塔華大学に滑り込んできた。するすると勝手知った様子で構内のバイク置き場に滑り込み止まる。エンジンを切って、黒のフルフェイスヘルメットのバイザーを上げた内田正宗は、建物の時計にちらっと目をやった。
「昼前か……・いるはずだな」
うっとうしそうにヘルメットから頭を抜き取る。汗で濡れた髪をかき回しながら、溜息まじりに、
「ったく、何が楽しくて高1の夏から受験勉強するんだか……・ああいうところがわかんねえな、あいつは」
ぼやきながらバイクを降りた。
この前の事件で傷めた右足は本調子とはいかないがほぼ回復している。「驚異的な回復力だな」と呆れた城崎が「仁が気にするのを心配してるのか」とにやにや笑っていたが、「あんたの足じゃねえよ、気にすんな」とやり返した。
鍵をかけ、建物の1つを目指してヘルメットを片手に歩き出す。掲示板に『夏期講習の日程と教室』と書いた紙が張られているのを確認し、指定されている建物の102号室に向かいながら、
「まあ、金ばっかりも使えねえからな……そのうちに俺もする羽目になるか」
肩を竦めた。
今年の夏はアルバイトを目一杯詰め込み、来年からは城崎に手伝ってもらいながら医学過程を目指すことになる。「てめえの体ぐらいは面倒みておきてえんだよ」と言い放った内田に、城崎は黙ってそっと目を逸らせ、「おまえはいい医者になるさ。守るものがあるからな」と応じた。「確かにあいつには医者がいるよな、それもとびっきり腕のいいやつが……きっとこの先も無茶ばかりするだろうから」。続けた城崎の胸に過った柔らかな微笑を内田もまた感じ取っている。
102号室は入り口に近かった。高校とは格段に違うがらんとした教室には、ぽつぽつと学生が残っていたが、仁の姿はない。
「悪い、浅葱仁、っての、知らないか?」
手近にいた1人に尋ねると、相手は一瞬内田の擦り切れたジーンズやそで口をまくりあげたシャツを不安そうに見たが、別に絡まれるふうでもないと思ったのか、首を傾げて応えた。
「あさぎ……じん?」
名前を繰り返し眉をしかめる。
「夏期講習、人が多いから……」
「あんまり目立つやつじゃないんだ。髪は首あたりまででぼーっとした顔で無口で静かだ」
「ああ、ひょっとしてあいつかな」
相手はふいに頷いた。
「窓際にいつも座ってるやつだろ。休み時間も座ってて暗めのやつ。へえ、そうか、あいつ、あさぎ、じんなんて名前だったのか」
「今いないみたいだけど、どこに行ったか知らないか?」
「ああ、あいつなら、10分ほど前か、出てったよ、飯じゃね? それまであそこで本読んでたから」
「そっか、わかった、探すよ、サンキュ」
(やっぱり、か)
向きを変えて建物から出て行きながら、内田は苦々しい顔になっている。
この前、仁を探したときもそうだった。
仁の居所を探すとき、たいてい仁は目当ての場所にいない。周囲の人間に尋ねても仁の名前を知っているものはいない。そんなやつはいないとさえ言う者もいる。けれど、仁の容貌や雰囲気を話すと、ほとんどの人間がすぐに仁に思い当たる。そればかりか、仁がいつまで何をしていてどこへ行ったのか、誰かが必ず知っているし、それをまたすらすらと教えてくれる。
おかげで、仁を探すのに手間取ったことはない。
だが、内田がそのことで苦々しい思いを持て余すのには理由がある。
浅葱、仁。
年齢は16歳。数カ月前の事件が元で父親を失い、母親と2人で暮している、穏やかで平凡で大人しい人間だ。中肉中背、並より多少劣るかもしれないぼーっとした顔だちで、声も沈みがちで人込みの中では聞き取りにくいほどだ。控えめで無口でめったに騒がない。
だが、その実は。
浅葱仁は念動力、テレパシー、テレポーテーション、未来予知、過去知などを自由に操る超能力者で、しかもその力は強大で限界がない、ように見える人間だ。それこそ、世界を滅ぼしかねないほどのエネルギーを貯えている。子どもじみた世界征服の夢さえも、仁ならやるかもしれない。
しかし、その力は不安定で優しく脆い精神に支えられている。仲間を傷つけることに怯え、世界を壊す不安に揺らぐ、柔らかで豊かな感性に。
(いや、脆くはない……あいつは脆くなんかない。ただ)
内田は流れてきた汗を拭った。周囲を見回し、仁の姿を求めながら歩き続ける。
(何もかも1人で背負おうとする……俺がいるのに)
どういう運命の導きか、それとも不可思議な力の悪戯なのか、内田は仁の力を制御する。
内田がいれば、仁は自分の力を暴走させることなく的確にコントロールできるようだが、内田がいなくなると仁の力はすぐに暴走し始める。
言わば、内田は仁という巨大な爆薬の安全装置のようなものだ。
だが、それは否応なく内田を危険に巻き込むことにつながっている。そして、それに仁は怯えている。
自分の暴走に内田を巻き込み、大怪我をさせ、あるいは命を奪うことを。
もう1つ問題がある。
仁の力は、たぶん、まだ未完成なのだ。
それほど人を越えるほどの力を有しながらも、仁の力は種類を増し、力を伸ばし続けている。まるでそれは仁が巨大な力の増幅器、発現装置ででもあるようだ。出逢う全てを吸収し自分の力に変換し、仁はどんどん変貌していく。
仁の体をチェックしている城崎は、『それ』が『超能力』なのだと説明していた。無限に成長し進化し発展する能力、それが『超能力』なのだ、と。
仁は、その成長に対する責任も背負っている。
留まるところを知らずに伸びる力と、その自分に関わる命という鎖に縛られ喘いでいる。
構内には仁はいなかった。だが、始めの建物に舞い戻ると、さっきの学生が戸口で声をかけてきた。「昼休みの間に参考書を買いに行ったらしいよ、表の本屋で見たやつがいるって」「わかった」。手を振って大学を出る内田の胸がまた苦くなる。
(あいつは……怯えてる)
できる限り、普通の、当たり前の人間、であろうとして、仁は細心の注意を払っている。
ところが、それが逆に仁を周囲から浮き上がらせてしまうのだ。
おそらくは、ほんの一瞬の動き、ほんのわずかな仕草がどこか『違って』いて、それがあまりにも瞬間のことなので人の意識には上らないのだが、あまりにも異質なものを感じさせるので周囲の人間の記憶の中に深く刻み込まれてしまうのだ。
そしてそれは、内田が仁を探すときに鮮やかな指標となって、あるいは違和感のある不思議な感覚として、周囲の人間の中に蘇ってくる。その奇妙さと一緒に人々は『それ』についた名前を知る……あさぎ、じん、と。そして、それがまた、仁を独りにさせていくのだ。
だが、内田は仁を探すはめになる、探さなくてはならなくなる。
今回のように。
仁の様子がおかしい、と初めに伝えてきたのはマイヤだった。テレパシストである彼女は、城崎や内田や仁を結ぶ連絡を受け持っている。その連絡がうまくつながらない。「何か捉えにくくなっているの、仁が」。
そして、内田も仁を捕まえにくいというだけではなく、別の異変を感じ取っている。
仁はバイクを持っていない。今や仁はテレポートが縦横無尽に使えるし、急ぎの用事以外はバスや電車を利用しているからかも知れないが、バイクや車の免許に興味もないようだ。
それでも、バイクに乗ること自体は嫌いではないらしく、ときどき、内田のタンデム・シートに乗りに来ることがあった。学校の帰りなどに唐突にふらりと現れて、曖昧なためらうような微笑を浮かべ、乗せてくれないかと頼みに来る。
だが、夏休みに入ってからそれがぴたりとなくなった。
仁の母親は、内田を息子を悪の道に誘い込む不良と認識しているから、休みに入ったせいで家を空けにくくなったのかと思っていたがそうではなく、何を考えているのか仁は高1の夏休みから大学受験に備えた夏期講習に参加し始め、日中ほとんど家にいなくなったのだ。
確かに生真面目な人間だったが、それほど真剣に大学受験を望んでいたとは思えない。母子家庭になってからは経済的なことを心配して、進学はしないと言っていたことさえある。なのに、わざわざ夏期講習に参加するあたり、どうにも仁の意図が読めない。
そんなときのマイヤの心配だった。
もう1つ、内田が気にしていることがある。
数日前の夜のことだ。
内田は1人のライダーと手合わせしている。そのライダーが、仁、だったような気がするのだ。
闇を突いて疾る人間達の間に、1人のライダーが噂になったのは夏休みに入ってからのことだ。
連中がよく利用する道路の1つに『デッド・ウィング』と呼ばれる通りが有る。見通しが悪く、横道が多く、そのくせ不規則に幅の変わるカーブが続く道路で、決着をつけるときに使われるラインだ。
そこに、所属不明だが恐ろしく速いライダーが現れると噂が立った。
特に、1人で疾走っているときに、第3カーブ辺りで姿を表わすRD250、後ろから迫ってきて3回のパッシングライト、こちらが本気になるのをまどろっこしがるように一気に抜き去って次のカーブへ突っ込んで行くらしい。
そいつに抜かれたのが250ばかりじゃない、400もざら、中には750もあるというのだから、噂になるのも無理はなかった。「死にたがってるんだろ、あいつは」そう言われてからでも随分たつ。
面白いと思った内田は、数日前の夜、ひさしぶりに『デッド・ウィング』を疾走った。
幽霊ではないが出やすい時間があると聞いて、その前後1時間『デッド・ウィング』を流して、何回目だっただろう。やっぱり第3カーブにかかる辺りで遠い咆哮、3回のパッシングライトが合図、見る間に追い迫って来るRDは嘘ではなかった。
がっちりと内田のZIIに喰らいついてくる走りには、牙をおさめて黙々と獲物を追う狼のような気配があった。カーブを曲がるたびに着実に間合いを詰め、直線で離されても焦りもしなければ気負いもしない。再び忍びやかに、けれども確実に背後に迫って来る。
内田が『それ』に気づいたのは、一緒に走り出して4つ目のカーブだった。
殺気がない。
これほどの走りを見せる相手にしては、じれったくなるほど殺気がない。
内田が牙をおさめた狼と気配を分析したのも当然、背後のライダーは内田の姿を見ていない。内田は単に自分を走らせるための起爆剤、狼の牙はどこか違うものに向けられているのだ。
闘志を失った内田の前を、RD は苛立たし気に駆け抜けた。
その一瞬、視界を掠めたライダーの姿に内田はぎょっとした。
どこかほっそりした、不安定そうな淡い輪郭。走り方にはあまりにもそぐわないカッターシャツとスラックス、きゃしゃで脆そうな骨格。
(仁?!)
自殺行為に近いスピードでカーブに突っ込んで行くRD、思わずバイクを止めてそれを見送った内田の耳に、排気音が悲鳴のように響いた。
(もしあれが仁なら)
内田は大学の門を出た。通りを渡り、はす向かいの3階建てのビルへ向かう。
(どうして俺に気づかなかった?)
確かに仁には内田ほどの動態視力はないにしても、それを補って余りある『能力』がある。気配一つで側にいる人間が何者かを感知できるはずだ。
だが、あのライダーは内田を認識していなかったように思える。
(それとも…わざと、気づかないふりをしたのか?)
「内田?」
考え込んでいた内田は声をかけられて立ち止まった。
「なんだ、来てたのか」
本屋の入り口から出てきた仁が、陽光に溶けていきそうな気配のなさでおっとりと笑いかけていた。
「かなり探してくれたんだろう?」
近くの自販機でコーヒーを買い、1本を内田に投げてよこしながら、仁は目を細めた。
淡い空色のシャツの首元は夏場に不似合いにきっちりと第1ボタンまで止められている。脱色さえしていない髪は風に煽られて乱れたまま目もとにかかり、全体的に小作りな目鼻があいまいに笑っている。
「いや、そうでもない」
受け取った缶コーヒーのプルトップを引き開けて一口、大学へ戻る仁の横に並びながら、内田は切り出し方を考えた。
「バイトは?」
「今日は半日。そう毎日働いてられっかよ」
「はは」
仁は機嫌よさそうに笑い、缶コーヒーを呑んだ。
「で、何の用?」
「マイヤから知らせは来なかったか?」
びく、と一瞬、仁の顔が陰った。
「ううん……ちょっとあれこれ……忙しかったから」
口ごもりながら続けさまにコーヒーを口元へ運ぶ。
「ほら……気が逸れてると…………うまく『受けられない』し」
それがどれだけ中途半端な言い訳なのかは、口にした仁が一番感じているはずだった。
通りを渡り大学の中へ入り、仁はそうそうに飲み干してしまった缶コーヒーを捨てようと、ゴミ籠を探している。内田の凝視を背中で受け止めながら、ようやく見つけたゴミ籠に缶を放った。かあん、と情けない音をたてて、縁に当たった空き缶が跳ね飛ぶ。
「はずれちゃった」
ちらっと内田を振り向き笑って見せ、慌てたように仁はゴミ籠に近寄った。草むらに転がった空き缶を丁寧に拾い上げる。
「それで? ……何が起こったって?」
「語るに落ちたぞ」
(『起こった』なんて俺は言ってねえからな)
内田の突っ込みにも応えず、仁は背を向けたままだ。最悪のニュースを予想している、そんな頼りなさを思わせる背中が弱々しい。
「『夏越』が現れた」
カン!
体を震わせた仁の手から落ちた空き缶が、何に当たったのか鋭い音をたてた。同時に跳ね返るように振り返った仁の目が暗い殺気を宿して内田を射抜く。
「何だって?」
その暗い目の奥に、見かけを裏切る冷ややかな殺気がある。穏やかな淡い姿を燃やし尽くす炎の気配がある。その光に内田は猛々しい満足を感じてにやりと笑った。
「……と、言ったら?」
「内田……心臓に悪いセリフだよ、それ」
ほう、と力を抜いた仁の側からゴミ籠に空き缶を放り込もうとして、内田は気づいた。仁が飲んでいた空き缶がゴミ籠の中に落ちている。だがそれは、一体何に当たったのだろう、真中からねじれるように裂けている。それともこれは、今人が飲んだものではなくて、先に入っていた空き缶だろうか。
側にいる仁の体にぴりぴりとした緊張が再び走ったようだ。
「嘘じゃない、残念なことに、な」
その『何か』に引き裂かれた空き缶を見つめ、すぐ側に自分の缶を捨てながら、内田は続けた。
「そう……か」
ー詳しい話を聞かせてくれよ。
内田から緩やかに目を逸らせながら、仁はことばとテレパシーで同時に話しかけてきた。
ーそのために、呼びに来たんだろう?
「城崎が話してくれるそうだ。宮岸病院に来てほしいってさ」
「城崎先生が?」
仁がなぜか不安そうな仕草で胸元を握った。内田が見つめているとはっとしたように手を降ろし、微かに首を振って内田を見上げる。
「わかった、今すぐ、だよね?」
ーそれほど……事態は切迫してるのか?
その瞳がさっきとは違う激情を押さえかねて揺れている。
不安と哀しみ、またも失わなくてはならないかもしれない命に対する苛立ちと絶望、自分が何ができるのかときりきりと締め上げてくるような焦りと怒り。
ーどうしよう、内田。
仁の心の声が不安を隠し損ねて内田の胸に流れ込む。
ーどうしよう。
掠めていく映像はゴミ籠の中の空き缶、引き裂かれた金属の示す未来を仁は読み取っている。
「とにかく…行こうぜ。荷物は……」
言いかけて内田は仁の手に出現した鞄に気がつく。集中した気配さえなかったのに、教室から仁の手に移動した鞄。
内田の視線を振り切るように、仁が身を翻して内田のバイクの方に向かって歩いていく。まるで1人でどこかに消えてしまいそうな勢いだ。
小走りに追い掛け追い抜き、内田はバイクにつけていたもう1つのヘルメットを仁に投げた。
「ほらよ」
「うん」
仁は視線を合わせない。小刻みに震えている指がバンドを止め損ねて滑っている。やがてどうにかヘルメットをかぶり、タンデム・シートに仁が腰を落ち着けると、内田はすぐにエンジンをかけた。うなりを取り戻すバイクに、ふと気づいて大声で怒鳴る。
「この後の講義、どうする気だ?!」
弾かれたように走り出すZIIの後ろ、内田の背中で仁が掠れた声で嗤った。
「自主休講……わかってるだろう、そんなこと」
「昼前か……・いるはずだな」
うっとうしそうにヘルメットから頭を抜き取る。汗で濡れた髪をかき回しながら、溜息まじりに、
「ったく、何が楽しくて高1の夏から受験勉強するんだか……・ああいうところがわかんねえな、あいつは」
ぼやきながらバイクを降りた。
この前の事件で傷めた右足は本調子とはいかないがほぼ回復している。「驚異的な回復力だな」と呆れた城崎が「仁が気にするのを心配してるのか」とにやにや笑っていたが、「あんたの足じゃねえよ、気にすんな」とやり返した。
鍵をかけ、建物の1つを目指してヘルメットを片手に歩き出す。掲示板に『夏期講習の日程と教室』と書いた紙が張られているのを確認し、指定されている建物の102号室に向かいながら、
「まあ、金ばっかりも使えねえからな……そのうちに俺もする羽目になるか」
肩を竦めた。
今年の夏はアルバイトを目一杯詰め込み、来年からは城崎に手伝ってもらいながら医学過程を目指すことになる。「てめえの体ぐらいは面倒みておきてえんだよ」と言い放った内田に、城崎は黙ってそっと目を逸らせ、「おまえはいい医者になるさ。守るものがあるからな」と応じた。「確かにあいつには医者がいるよな、それもとびっきり腕のいいやつが……きっとこの先も無茶ばかりするだろうから」。続けた城崎の胸に過った柔らかな微笑を内田もまた感じ取っている。
102号室は入り口に近かった。高校とは格段に違うがらんとした教室には、ぽつぽつと学生が残っていたが、仁の姿はない。
「悪い、浅葱仁、っての、知らないか?」
手近にいた1人に尋ねると、相手は一瞬内田の擦り切れたジーンズやそで口をまくりあげたシャツを不安そうに見たが、別に絡まれるふうでもないと思ったのか、首を傾げて応えた。
「あさぎ……じん?」
名前を繰り返し眉をしかめる。
「夏期講習、人が多いから……」
「あんまり目立つやつじゃないんだ。髪は首あたりまででぼーっとした顔で無口で静かだ」
「ああ、ひょっとしてあいつかな」
相手はふいに頷いた。
「窓際にいつも座ってるやつだろ。休み時間も座ってて暗めのやつ。へえ、そうか、あいつ、あさぎ、じんなんて名前だったのか」
「今いないみたいだけど、どこに行ったか知らないか?」
「ああ、あいつなら、10分ほど前か、出てったよ、飯じゃね? それまであそこで本読んでたから」
「そっか、わかった、探すよ、サンキュ」
(やっぱり、か)
向きを変えて建物から出て行きながら、内田は苦々しい顔になっている。
この前、仁を探したときもそうだった。
仁の居所を探すとき、たいてい仁は目当ての場所にいない。周囲の人間に尋ねても仁の名前を知っているものはいない。そんなやつはいないとさえ言う者もいる。けれど、仁の容貌や雰囲気を話すと、ほとんどの人間がすぐに仁に思い当たる。そればかりか、仁がいつまで何をしていてどこへ行ったのか、誰かが必ず知っているし、それをまたすらすらと教えてくれる。
おかげで、仁を探すのに手間取ったことはない。
だが、内田がそのことで苦々しい思いを持て余すのには理由がある。
浅葱、仁。
年齢は16歳。数カ月前の事件が元で父親を失い、母親と2人で暮している、穏やかで平凡で大人しい人間だ。中肉中背、並より多少劣るかもしれないぼーっとした顔だちで、声も沈みがちで人込みの中では聞き取りにくいほどだ。控えめで無口でめったに騒がない。
だが、その実は。
浅葱仁は念動力、テレパシー、テレポーテーション、未来予知、過去知などを自由に操る超能力者で、しかもその力は強大で限界がない、ように見える人間だ。それこそ、世界を滅ぼしかねないほどのエネルギーを貯えている。子どもじみた世界征服の夢さえも、仁ならやるかもしれない。
しかし、その力は不安定で優しく脆い精神に支えられている。仲間を傷つけることに怯え、世界を壊す不安に揺らぐ、柔らかで豊かな感性に。
(いや、脆くはない……あいつは脆くなんかない。ただ)
内田は流れてきた汗を拭った。周囲を見回し、仁の姿を求めながら歩き続ける。
(何もかも1人で背負おうとする……俺がいるのに)
どういう運命の導きか、それとも不可思議な力の悪戯なのか、内田は仁の力を制御する。
内田がいれば、仁は自分の力を暴走させることなく的確にコントロールできるようだが、内田がいなくなると仁の力はすぐに暴走し始める。
言わば、内田は仁という巨大な爆薬の安全装置のようなものだ。
だが、それは否応なく内田を危険に巻き込むことにつながっている。そして、それに仁は怯えている。
自分の暴走に内田を巻き込み、大怪我をさせ、あるいは命を奪うことを。
もう1つ問題がある。
仁の力は、たぶん、まだ未完成なのだ。
それほど人を越えるほどの力を有しながらも、仁の力は種類を増し、力を伸ばし続けている。まるでそれは仁が巨大な力の増幅器、発現装置ででもあるようだ。出逢う全てを吸収し自分の力に変換し、仁はどんどん変貌していく。
仁の体をチェックしている城崎は、『それ』が『超能力』なのだと説明していた。無限に成長し進化し発展する能力、それが『超能力』なのだ、と。
仁は、その成長に対する責任も背負っている。
留まるところを知らずに伸びる力と、その自分に関わる命という鎖に縛られ喘いでいる。
構内には仁はいなかった。だが、始めの建物に舞い戻ると、さっきの学生が戸口で声をかけてきた。「昼休みの間に参考書を買いに行ったらしいよ、表の本屋で見たやつがいるって」「わかった」。手を振って大学を出る内田の胸がまた苦くなる。
(あいつは……怯えてる)
できる限り、普通の、当たり前の人間、であろうとして、仁は細心の注意を払っている。
ところが、それが逆に仁を周囲から浮き上がらせてしまうのだ。
おそらくは、ほんの一瞬の動き、ほんのわずかな仕草がどこか『違って』いて、それがあまりにも瞬間のことなので人の意識には上らないのだが、あまりにも異質なものを感じさせるので周囲の人間の記憶の中に深く刻み込まれてしまうのだ。
そしてそれは、内田が仁を探すときに鮮やかな指標となって、あるいは違和感のある不思議な感覚として、周囲の人間の中に蘇ってくる。その奇妙さと一緒に人々は『それ』についた名前を知る……あさぎ、じん、と。そして、それがまた、仁を独りにさせていくのだ。
だが、内田は仁を探すはめになる、探さなくてはならなくなる。
今回のように。
仁の様子がおかしい、と初めに伝えてきたのはマイヤだった。テレパシストである彼女は、城崎や内田や仁を結ぶ連絡を受け持っている。その連絡がうまくつながらない。「何か捉えにくくなっているの、仁が」。
そして、内田も仁を捕まえにくいというだけではなく、別の異変を感じ取っている。
仁はバイクを持っていない。今や仁はテレポートが縦横無尽に使えるし、急ぎの用事以外はバスや電車を利用しているからかも知れないが、バイクや車の免許に興味もないようだ。
それでも、バイクに乗ること自体は嫌いではないらしく、ときどき、内田のタンデム・シートに乗りに来ることがあった。学校の帰りなどに唐突にふらりと現れて、曖昧なためらうような微笑を浮かべ、乗せてくれないかと頼みに来る。
だが、夏休みに入ってからそれがぴたりとなくなった。
仁の母親は、内田を息子を悪の道に誘い込む不良と認識しているから、休みに入ったせいで家を空けにくくなったのかと思っていたがそうではなく、何を考えているのか仁は高1の夏休みから大学受験に備えた夏期講習に参加し始め、日中ほとんど家にいなくなったのだ。
確かに生真面目な人間だったが、それほど真剣に大学受験を望んでいたとは思えない。母子家庭になってからは経済的なことを心配して、進学はしないと言っていたことさえある。なのに、わざわざ夏期講習に参加するあたり、どうにも仁の意図が読めない。
そんなときのマイヤの心配だった。
もう1つ、内田が気にしていることがある。
数日前の夜のことだ。
内田は1人のライダーと手合わせしている。そのライダーが、仁、だったような気がするのだ。
闇を突いて疾る人間達の間に、1人のライダーが噂になったのは夏休みに入ってからのことだ。
連中がよく利用する道路の1つに『デッド・ウィング』と呼ばれる通りが有る。見通しが悪く、横道が多く、そのくせ不規則に幅の変わるカーブが続く道路で、決着をつけるときに使われるラインだ。
そこに、所属不明だが恐ろしく速いライダーが現れると噂が立った。
特に、1人で疾走っているときに、第3カーブ辺りで姿を表わすRD250、後ろから迫ってきて3回のパッシングライト、こちらが本気になるのをまどろっこしがるように一気に抜き去って次のカーブへ突っ込んで行くらしい。
そいつに抜かれたのが250ばかりじゃない、400もざら、中には750もあるというのだから、噂になるのも無理はなかった。「死にたがってるんだろ、あいつは」そう言われてからでも随分たつ。
面白いと思った内田は、数日前の夜、ひさしぶりに『デッド・ウィング』を疾走った。
幽霊ではないが出やすい時間があると聞いて、その前後1時間『デッド・ウィング』を流して、何回目だっただろう。やっぱり第3カーブにかかる辺りで遠い咆哮、3回のパッシングライトが合図、見る間に追い迫って来るRDは嘘ではなかった。
がっちりと内田のZIIに喰らいついてくる走りには、牙をおさめて黙々と獲物を追う狼のような気配があった。カーブを曲がるたびに着実に間合いを詰め、直線で離されても焦りもしなければ気負いもしない。再び忍びやかに、けれども確実に背後に迫って来る。
内田が『それ』に気づいたのは、一緒に走り出して4つ目のカーブだった。
殺気がない。
これほどの走りを見せる相手にしては、じれったくなるほど殺気がない。
内田が牙をおさめた狼と気配を分析したのも当然、背後のライダーは内田の姿を見ていない。内田は単に自分を走らせるための起爆剤、狼の牙はどこか違うものに向けられているのだ。
闘志を失った内田の前を、RD は苛立たし気に駆け抜けた。
その一瞬、視界を掠めたライダーの姿に内田はぎょっとした。
どこかほっそりした、不安定そうな淡い輪郭。走り方にはあまりにもそぐわないカッターシャツとスラックス、きゃしゃで脆そうな骨格。
(仁?!)
自殺行為に近いスピードでカーブに突っ込んで行くRD、思わずバイクを止めてそれを見送った内田の耳に、排気音が悲鳴のように響いた。
(もしあれが仁なら)
内田は大学の門を出た。通りを渡り、はす向かいの3階建てのビルへ向かう。
(どうして俺に気づかなかった?)
確かに仁には内田ほどの動態視力はないにしても、それを補って余りある『能力』がある。気配一つで側にいる人間が何者かを感知できるはずだ。
だが、あのライダーは内田を認識していなかったように思える。
(それとも…わざと、気づかないふりをしたのか?)
「内田?」
考え込んでいた内田は声をかけられて立ち止まった。
「なんだ、来てたのか」
本屋の入り口から出てきた仁が、陽光に溶けていきそうな気配のなさでおっとりと笑いかけていた。
「かなり探してくれたんだろう?」
近くの自販機でコーヒーを買い、1本を内田に投げてよこしながら、仁は目を細めた。
淡い空色のシャツの首元は夏場に不似合いにきっちりと第1ボタンまで止められている。脱色さえしていない髪は風に煽られて乱れたまま目もとにかかり、全体的に小作りな目鼻があいまいに笑っている。
「いや、そうでもない」
受け取った缶コーヒーのプルトップを引き開けて一口、大学へ戻る仁の横に並びながら、内田は切り出し方を考えた。
「バイトは?」
「今日は半日。そう毎日働いてられっかよ」
「はは」
仁は機嫌よさそうに笑い、缶コーヒーを呑んだ。
「で、何の用?」
「マイヤから知らせは来なかったか?」
びく、と一瞬、仁の顔が陰った。
「ううん……ちょっとあれこれ……忙しかったから」
口ごもりながら続けさまにコーヒーを口元へ運ぶ。
「ほら……気が逸れてると…………うまく『受けられない』し」
それがどれだけ中途半端な言い訳なのかは、口にした仁が一番感じているはずだった。
通りを渡り大学の中へ入り、仁はそうそうに飲み干してしまった缶コーヒーを捨てようと、ゴミ籠を探している。内田の凝視を背中で受け止めながら、ようやく見つけたゴミ籠に缶を放った。かあん、と情けない音をたてて、縁に当たった空き缶が跳ね飛ぶ。
「はずれちゃった」
ちらっと内田を振り向き笑って見せ、慌てたように仁はゴミ籠に近寄った。草むらに転がった空き缶を丁寧に拾い上げる。
「それで? ……何が起こったって?」
「語るに落ちたぞ」
(『起こった』なんて俺は言ってねえからな)
内田の突っ込みにも応えず、仁は背を向けたままだ。最悪のニュースを予想している、そんな頼りなさを思わせる背中が弱々しい。
「『夏越』が現れた」
カン!
体を震わせた仁の手から落ちた空き缶が、何に当たったのか鋭い音をたてた。同時に跳ね返るように振り返った仁の目が暗い殺気を宿して内田を射抜く。
「何だって?」
その暗い目の奥に、見かけを裏切る冷ややかな殺気がある。穏やかな淡い姿を燃やし尽くす炎の気配がある。その光に内田は猛々しい満足を感じてにやりと笑った。
「……と、言ったら?」
「内田……心臓に悪いセリフだよ、それ」
ほう、と力を抜いた仁の側からゴミ籠に空き缶を放り込もうとして、内田は気づいた。仁が飲んでいた空き缶がゴミ籠の中に落ちている。だがそれは、一体何に当たったのだろう、真中からねじれるように裂けている。それともこれは、今人が飲んだものではなくて、先に入っていた空き缶だろうか。
側にいる仁の体にぴりぴりとした緊張が再び走ったようだ。
「嘘じゃない、残念なことに、な」
その『何か』に引き裂かれた空き缶を見つめ、すぐ側に自分の缶を捨てながら、内田は続けた。
「そう……か」
ー詳しい話を聞かせてくれよ。
内田から緩やかに目を逸らせながら、仁はことばとテレパシーで同時に話しかけてきた。
ーそのために、呼びに来たんだろう?
「城崎が話してくれるそうだ。宮岸病院に来てほしいってさ」
「城崎先生が?」
仁がなぜか不安そうな仕草で胸元を握った。内田が見つめているとはっとしたように手を降ろし、微かに首を振って内田を見上げる。
「わかった、今すぐ、だよね?」
ーそれほど……事態は切迫してるのか?
その瞳がさっきとは違う激情を押さえかねて揺れている。
不安と哀しみ、またも失わなくてはならないかもしれない命に対する苛立ちと絶望、自分が何ができるのかときりきりと締め上げてくるような焦りと怒り。
ーどうしよう、内田。
仁の心の声が不安を隠し損ねて内田の胸に流れ込む。
ーどうしよう。
掠めていく映像はゴミ籠の中の空き缶、引き裂かれた金属の示す未来を仁は読み取っている。
「とにかく…行こうぜ。荷物は……」
言いかけて内田は仁の手に出現した鞄に気がつく。集中した気配さえなかったのに、教室から仁の手に移動した鞄。
内田の視線を振り切るように、仁が身を翻して内田のバイクの方に向かって歩いていく。まるで1人でどこかに消えてしまいそうな勢いだ。
小走りに追い掛け追い抜き、内田はバイクにつけていたもう1つのヘルメットを仁に投げた。
「ほらよ」
「うん」
仁は視線を合わせない。小刻みに震えている指がバンドを止め損ねて滑っている。やがてどうにかヘルメットをかぶり、タンデム・シートに仁が腰を落ち着けると、内田はすぐにエンジンをかけた。うなりを取り戻すバイクに、ふと気づいて大声で怒鳴る。
「この後の講義、どうする気だ?!」
弾かれたように走り出すZIIの後ろ、内田の背中で仁が掠れた声で嗤った。
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