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『僕を探して』(1)
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眠りにつきにくかったのはいつものことだけど。
「ここ、どこ…?」
気がつけば、見慣れたような見慣れていないような街角に、京介は一人佇んでいた。
「夢の中?」
薄闇が迫ってくる。
青い光が降り落ちる世界で、街のあちこちに甘い黄色の明かりが灯り始める。
「えーと……あそこがコンビニ、で」
きょろきょろ見回すと、周囲は自宅マンション近く。いきなりの展開に、おそらく夢だろうとは想像がつくが、それでも一人はもちろん寂しい。
「伊吹さん、どこかな」
この時間だと会社は終わってるよね。
京介の格好はスーツ姿、時計を確認して携帯を探したが、持っていないらしい。財布もなし。
「とりあえず、一度家に帰って」
ひょっとすると、伊吹さんが居てくれるかもしれないし。
にこにこしながらマンションに入る。
管理人は不在、他の人の気配はなし。
「ここのところ忙しかったしなあ」
のんびりできなかったし、なかなか二人の時間もなかったし。
「夢の中なら……ふふ」
いろいろ思う存分できそうだよね。
くすぐったく笑いながら、部屋のドアを開けて、ちょっとがっかりした。
明かりがない。三和土に伊吹の靴がない。
「……自宅かな」
明かりをつけて、部屋に入って、早速受話器を挙げてコールする。
一回、二回、三回。
「……留守?」
四回、五回、六回。
『はい、伊吹です』
「……美並?」
『……』
そっと呼びかけてみると、沈黙が返ってきて、首を傾げる。
「僕だよ、美並」
『新手のオレオレ詐欺ですか』
「違うよ、京介…」
『京介ならここに居ますが』
「え…っ」
『あなたは誰?』
「え、あの、その」
『用がないなら切りますよ』
「美並!」
『おやすみなさい』
チンと、切れた受話器を手に茫然とする。
「僕が、居る?」
じゃあ今のこの僕は?
「どう、しよう…」
夢の中で自分と出くわすことになろうとは。
「…………目が覚めるまで、一人で我慢してろってこと?」
しょんぼりしてソファにへたりこんだが、やがて唇を尖らせて立ち上がる。
「……いいや、行っちゃおう」
せっかく伊吹が居るのに、一人で我慢するなんて耐えられないし、今の自分じゃない自分がどんな格好をしているのかも気にかかる。
財布を見つけ、ベッド近くに放置されていた携帯を拾い、身を翻して部屋を出る。
「僕以外の僕が美並と一緒に居るなんて、気に食わないよね」
それがたとえ夢の中だって。
マンションを出て駅に向かう、もう一人の自分を探して。
「ここ、どこ…?」
気がつけば、見慣れたような見慣れていないような街角に、京介は一人佇んでいた。
「夢の中?」
薄闇が迫ってくる。
青い光が降り落ちる世界で、街のあちこちに甘い黄色の明かりが灯り始める。
「えーと……あそこがコンビニ、で」
きょろきょろ見回すと、周囲は自宅マンション近く。いきなりの展開に、おそらく夢だろうとは想像がつくが、それでも一人はもちろん寂しい。
「伊吹さん、どこかな」
この時間だと会社は終わってるよね。
京介の格好はスーツ姿、時計を確認して携帯を探したが、持っていないらしい。財布もなし。
「とりあえず、一度家に帰って」
ひょっとすると、伊吹さんが居てくれるかもしれないし。
にこにこしながらマンションに入る。
管理人は不在、他の人の気配はなし。
「ここのところ忙しかったしなあ」
のんびりできなかったし、なかなか二人の時間もなかったし。
「夢の中なら……ふふ」
いろいろ思う存分できそうだよね。
くすぐったく笑いながら、部屋のドアを開けて、ちょっとがっかりした。
明かりがない。三和土に伊吹の靴がない。
「……自宅かな」
明かりをつけて、部屋に入って、早速受話器を挙げてコールする。
一回、二回、三回。
「……留守?」
四回、五回、六回。
『はい、伊吹です』
「……美並?」
『……』
そっと呼びかけてみると、沈黙が返ってきて、首を傾げる。
「僕だよ、美並」
『新手のオレオレ詐欺ですか』
「違うよ、京介…」
『京介ならここに居ますが』
「え…っ」
『あなたは誰?』
「え、あの、その」
『用がないなら切りますよ』
「美並!」
『おやすみなさい』
チンと、切れた受話器を手に茫然とする。
「僕が、居る?」
じゃあ今のこの僕は?
「どう、しよう…」
夢の中で自分と出くわすことになろうとは。
「…………目が覚めるまで、一人で我慢してろってこと?」
しょんぼりしてソファにへたりこんだが、やがて唇を尖らせて立ち上がる。
「……いいや、行っちゃおう」
せっかく伊吹が居るのに、一人で我慢するなんて耐えられないし、今の自分じゃない自分がどんな格好をしているのかも気にかかる。
財布を見つけ、ベッド近くに放置されていた携帯を拾い、身を翻して部屋を出る。
「僕以外の僕が美並と一緒に居るなんて、気に食わないよね」
それがたとえ夢の中だって。
マンションを出て駅に向かう、もう一人の自分を探して。
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