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やっぱり6階でかなりの数の人が降りて、エレベーターに残されたのは家族連れと正志のみ。
「お兄ちゃん、お花持ってるー」
めざとい女の子が嬉しそうに指差してきて、母親が慌てて指ささないの、と叱る。
「きれいー」
気恥ずかしいの半分、あんなふうに喜んで受け取ってくれるだろうかと思うのが半分、ついた7階でどこかおどおどして絵画展を探す。
エスカレーターとほぼ対角線上にあったエレベーターから少し迷って、それでもようやく探し当てたとたん、正志はへなへなしてしまうのを感じた。
受付にさゆがいない。
「………当番、とか?」
時計を見ると、ちょうど昼になる。ひょっとして昼で交代なのか、と不安になって、それでも手にした花束を持ち帰るのにはしのびなくて、おそるおそる近づいた。受付にいるのは、さっきさゆと話していたスーツ姿の男だ。とすると、画家仲間なのかもしれない、と思わず緊張した。
「あの…」
「はい?」
穏やかな物腰、上品に見上げられて正志は引きつった笑顔になった。
「も、森野さん、は」
「ああ、さゆ?」
さゆ。
呼び捨てにしたよ、こいつ。
「まだいますよ。会場のどこかに……君、彼女の友人ですか?」
柔らかく尋ねられて答えに詰まる。友人、未満です、とでも?
「あ、あの」
「葵ちゃん、私、お昼食べに……」
ふいに呼び掛けられて、正志は弾かれたように顔を上げた。
「あ」
「さゆ、お客さん」
「あ、あの」
僕って凄く間抜けだよね?
正志はもそもそと花束を差し出してみせる。
「これ、もし、よければ」
「私に?」
「いつかの……お詫びに」
「………絵も見てくれますか?」
さゆが目を細めて笑って小首を傾げる。さらりと流れた髪の動きに見惚れて、それから正志は慌てて大きく頷いた。
「うん、是非。できれば、あの青空のやつを」
「え」
さゆが驚いたように目を見開く。
「あれを?」
「あれ、凄い青色だね、あ、うん、僕、絵のことはわかんないけど、あれを見て気になって来たら、君が居て」
ひゅう、と受付の男が小さく口笛を吹いた。
「殺し文句だねえ、さゆ」
「え、えっ」
「葵ちゃんっ」
さゆが少し赤くなってたしなめた後、
「………私も、あれが好き」
にこりと笑って正志を見上げた。
「お兄ちゃん、お花持ってるー」
めざとい女の子が嬉しそうに指差してきて、母親が慌てて指ささないの、と叱る。
「きれいー」
気恥ずかしいの半分、あんなふうに喜んで受け取ってくれるだろうかと思うのが半分、ついた7階でどこかおどおどして絵画展を探す。
エスカレーターとほぼ対角線上にあったエレベーターから少し迷って、それでもようやく探し当てたとたん、正志はへなへなしてしまうのを感じた。
受付にさゆがいない。
「………当番、とか?」
時計を見ると、ちょうど昼になる。ひょっとして昼で交代なのか、と不安になって、それでも手にした花束を持ち帰るのにはしのびなくて、おそるおそる近づいた。受付にいるのは、さっきさゆと話していたスーツ姿の男だ。とすると、画家仲間なのかもしれない、と思わず緊張した。
「あの…」
「はい?」
穏やかな物腰、上品に見上げられて正志は引きつった笑顔になった。
「も、森野さん、は」
「ああ、さゆ?」
さゆ。
呼び捨てにしたよ、こいつ。
「まだいますよ。会場のどこかに……君、彼女の友人ですか?」
柔らかく尋ねられて答えに詰まる。友人、未満です、とでも?
「あ、あの」
「葵ちゃん、私、お昼食べに……」
ふいに呼び掛けられて、正志は弾かれたように顔を上げた。
「あ」
「さゆ、お客さん」
「あ、あの」
僕って凄く間抜けだよね?
正志はもそもそと花束を差し出してみせる。
「これ、もし、よければ」
「私に?」
「いつかの……お詫びに」
「………絵も見てくれますか?」
さゆが目を細めて笑って小首を傾げる。さらりと流れた髪の動きに見惚れて、それから正志は慌てて大きく頷いた。
「うん、是非。できれば、あの青空のやつを」
「え」
さゆが驚いたように目を見開く。
「あれを?」
「あれ、凄い青色だね、あ、うん、僕、絵のことはわかんないけど、あれを見て気になって来たら、君が居て」
ひゅう、と受付の男が小さく口笛を吹いた。
「殺し文句だねえ、さゆ」
「え、えっ」
「葵ちゃんっ」
さゆが少し赤くなってたしなめた後、
「………私も、あれが好き」
にこりと笑って正志を見上げた。
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