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「今回出したのでは、あれが一番好きだから」
正志の差し出した花束を片手にさゆが進む。
「違うのを表紙にって言われたけれど、無理を通しました」
「そうなの」
「うん」
こくんと頷く横顔は、カフェで見かけた時とは別人のようにしっかりしていて、何だかきらきらしていてまばゆい気がする。
さっきのやつ、葵ちゃん、って誰?
いつから絵を描いていたの?
今何をしているの?
聞きたいことはいっぱいあるのに、側にさゆが居るのが奇跡に思えて、その奇跡だけでもう十分な気がして、正志はあちらこちらの絵の説明をしてくれるさゆの顔をじっと見つめた。
「これ、でしょう?」
「え……ああ、うん、これだ」
やがて一番奥の隅に飾られていた一枚をさゆが指差して、正志は立ち止まってゆっくり眺めた。
思っていたより大きい。さゆの半身ほどはある。背後が黒いビロードのような布がかかった壁だから、その絵がまるで窓のように見える。
「窓みたいだ」
「え?」
「ここから、体を出して、外を覗けそう」
「あ…」
さゆがまた目を見張って、正志は瞬きした。
「あ、ごめん、僕、ほんと絵のことって知らないから」
「ううん、ほんと、そうなんです。このタイトル、『窓』って言うんです」
「あ、そうなんだ?」
「はい」
さゆは嬉しそうに笑って正志を見上げ、それからふと小首を傾げた。
「二人目です」
「は?」
「これ、窓みたいだって言ってくれたの、二人目」
「……それ」
ふいにわかった。
「え?」
「一人目、さっきの人、でしょ」
「え」
さゆがびっくりした顔で瞬きする。
「違う?」
「ううん、そう。葵ちゃん…………でも、どうしてわかったんですか?」
「………なんとなく」
あいつなら、わかりそうだと思った。
正志の差し出した花束を片手にさゆが進む。
「違うのを表紙にって言われたけれど、無理を通しました」
「そうなの」
「うん」
こくんと頷く横顔は、カフェで見かけた時とは別人のようにしっかりしていて、何だかきらきらしていてまばゆい気がする。
さっきのやつ、葵ちゃん、って誰?
いつから絵を描いていたの?
今何をしているの?
聞きたいことはいっぱいあるのに、側にさゆが居るのが奇跡に思えて、その奇跡だけでもう十分な気がして、正志はあちらこちらの絵の説明をしてくれるさゆの顔をじっと見つめた。
「これ、でしょう?」
「え……ああ、うん、これだ」
やがて一番奥の隅に飾られていた一枚をさゆが指差して、正志は立ち止まってゆっくり眺めた。
思っていたより大きい。さゆの半身ほどはある。背後が黒いビロードのような布がかかった壁だから、その絵がまるで窓のように見える。
「窓みたいだ」
「え?」
「ここから、体を出して、外を覗けそう」
「あ…」
さゆがまた目を見張って、正志は瞬きした。
「あ、ごめん、僕、ほんと絵のことって知らないから」
「ううん、ほんと、そうなんです。このタイトル、『窓』って言うんです」
「あ、そうなんだ?」
「はい」
さゆは嬉しそうに笑って正志を見上げ、それからふと小首を傾げた。
「二人目です」
「は?」
「これ、窓みたいだって言ってくれたの、二人目」
「……それ」
ふいにわかった。
「え?」
「一人目、さっきの人、でしょ」
「え」
さゆがびっくりした顔で瞬きする。
「違う?」
「ううん、そう。葵ちゃん…………でも、どうしてわかったんですか?」
「………なんとなく」
あいつなら、わかりそうだと思った。
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