『よいこのすすめ』

segakiyui

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「え? まーちゃん男じゃん」
「あ、うん」
「じゃあ同性じゃん」
「じゃなくて。猛はゲイだろ?」
「うん」
「なら、男性が『異性』じゃん。つまり、何でか僕も」
 誤解しないでくださいよね、と三上に確認するとむっつり睨まれる。
「『恋愛対象』に入っちゃうようになったらしい」
「………あ」
 何に気づいたのか、今度はみるみる猛が赤くなって、三上は白くなった。こめかみを引きつらながら、正志をより一層睨みつける。
「うん……それは……気づいてた……」
 猛がぼそぼそとコンビニの袋を弄りながら俯く。
「気づいてたの?」
「…うん………なんか最近かっこいいなあ……って思ったから……」
 呆気に取られて尋ね返した正志に猛があっさり言って、三上がまた表情を消した。
「たーけーる……」
 大概鈍感で罪作りなやつだとは思っていたが、それを今ここで言うかよ、と思わず正志は死にそうになる。
「けど……それは違う、と思う」
「は?」
「俺がまーちゃんのこと、かっこいいなあって思うのは………何か大人っぽくなったなあって、そういう感じで……鷹とは……違う」
「何が」
 ぼそっと三上が尋ねた。
「鷹は………あの………」
 猛がもっと赤くなる。
「……言っていい?」
「……なんとなく、聞きたくないよーな気がするけど……言っていい」
 続くことばを予想して正志はため息をつく。
「鷹は……抱いて……ほしくなる」
「っ」
 びくっと三上が猛を振り返り、正志は慌ててそっぽを向いた。ああ、やっちゃったよ、こいつってば、と思いつつ、あらぬ方向に目をやりながら、
「だってよ、三上さん」
「…なら、なぜ嫌がるんだ」
「だって…っ」
 切羽詰まった三上の声に猛の口調が熱を帯びる。
「俺限界って言ってるのにっ」
「だから仕方ないだろ、あんまり機会がないんだから。以前、そう説明しただろう」
「でも、くたくたんところに何度もっ」
「ちょおおおっといいですかー」
 もう別世界に行きたいなあと思いつつ、正志は口を挟んだ。
「ひょっとして三上さん、同居したら、そこんとこの問題が解消できるとか思ってるとか」
「ああ」
「えっ」
 猛がぎょっとしたような声を出す。
「もっとやんのっ」
「頻度が増えれば回数は減る、と思う」
「思うって何っ」
 いや、そういうところじゃないだろ、突っ込むところは。
 正志はまたもや深く深ーく溜め息をついた。
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