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4.緋のリヒャルティ(1)
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「罠だ!」
状況を聞いたイルファが言下に言い放ち、腕を組んでぐいと反り返った。
灯皿の揺れる光が、ミダス公の私室に集まったユーノ、イルファ、ミダス公、『銀羽根』のシャイラの横顔を照らし出している。
ガデロからの石文に、急を知って集まった三人の顔は、どれも緊張に引き締められている。ただ一人、ユーノだけは不思議な静けさで、車座の中央に置かれた手紙の文面を見つめていた。
「私もそう思います、ユーノ様」
シャイラは、後ろで一まとめにした長髪を軽く払い、ユーノを凝視した。
「ガデロのダイン要城は、ガデロ国内に数ある城の中でも、造りの堅固さ、守備力の高さで有名です。一度入れば二度と出られぬ死の城とも呼ばれ、本当かどうかは知りませんが、太古の魔が跳梁すると言われています。そこへ一人で行くなんて、あまりにも無謀です。これはきっと、罠に違いありません」
「わかってる」
「え」
勢い込んでユーノを説得しようとしたシャイラのことばをさらりと流して、ユーノは頷いた。ぎょっとしたように相手とミダス公が目を見開く。その二人の視線を真っ向から受け止めて、ユーノは淡々とことばを継いだ。
「セレドからレアナ姉さまを連れてくることは不可能じゃない。『運命(リマイン)』に組する視察官(オペ)がいることがわかった時から、ほんとは考えてなくちゃいけなかったことだ。それに、レアナ姉さまの危機を私が見過ごすわけはないと『運命(リマイン)』が考えるのは満更外れていない……ならば、レアナ姉さまが、その城に幽閉されている可能性は、充分にある」
ミダス公が食い入るようにユーノを見つめる。
「しかし!」
シャイラがきっとした声で反論した。
「だからと言って、レアナ様が確かにガデロに囚われているとは限りません」
「だからと言って」
ふ、とユーノは小さく吐息をついた。自分の唇が苦いような切ないような、奇妙な笑みに歪むのを感じる。
「私が、行かないわけには、いかないよ」
今まで守ってきた大切な姉、そして何より、大事なアシャの想い人。アシャのいない間にレアナに何かあったとしたら、そしてまた、その危機からレアナを守る機会があったのにむざむざと逃してしまったとしたら、それこそ、ユーノはアシャに顔向けできなくなる。
「で、では、誰か他の方を」
すがるようにシャイラが食い下がった。
「アシャは『狩人の山』(オムニド)、他にラズーンに居る者と言えば、『羽根』に野戦部隊(シーガリオン)、『銀の王族』に諸候……か」
ミダス公が重く確認して、シャイラはみるみる元気を失った。
「ね?」
ユーノは微かに笑う。
「私以外に動ける人間はいないよ」
半分シャイラを宥めるように、後の半分は自分に言い聞かせるように続ける。
もうかなり昔のことのように思える、このラズーンへの出立を決めた日を思い出した。あの時もやはり、ユーノ以外には無理だったのだ、どれほど無謀な旅であったとしても。
「仕方ねえ」
イルファが野太い声で唸った。
「俺がついていこう」
「イルファ…」
思いもかけない申し出にユーノは瞬きする。
そうだ、すっかり忘れていた。
今のユーノは全くの一人ではなかったのだ。ユーノを案じ心配するだけではなく、一緒に歩き、走り、戦ってくれる仲間が居たのだ。
「一人より二人の方が何かといいからな」
にやりと笑うイルファは危険な場所への旅立ちを楽しんでいるかのように見える。
「ありがとう」
口にする礼にこれほど安心するとは思わなかった。
「ああ、気にすんな」
イルファはひょいと肩を竦める。
「今度お前を一人でなんぞ行かせてみろ。俺はレスに一生恨まれちまう」
ブルッ。
馬屋でじっと首を垂れていたヒストは、ふいと顔を上げて体を震わせた。
「さすがだな、ヒスト」
伊達にラズーンまで白刃の下をかいくぐってきたのではない。主人の気配を勘づくのぐらい朝飯前だと言いたげに、額の『白い星(ヒスト)』をこちらに向けてくるのに、温かい気持ちになる。側に寄り、首筋を撫でる。命のもつ体温が、自ら罠に飛び込んで行こうとする殺気立った心を鎮めていくのがわかる。
ユーノは少し目を閉じ、ヒストの体に頭をもたせかけた。
短いチュニックの肌触り、左脚に添って垂れている剣の慣れた重さと冷たさ、相対するヒストの鼓動する温もり。確かに生きている、今は。
(生きて五十年そこそこ…)
「ユーノ!」
「……ああ」
イルファが馬屋から馬を引き出していく。目を開いて体を起こし、すぐさま走りたがるヒストを宥めながら、ゆっくり外へと連れ出していく。
夜は降るような月光に満たされていた。今の今まで雲にでも隠されていたのか、皓々と照る月は、あたりを蒼白い昼間のように見せている。
「何もかもよく見えるな」
同じような服装で、腰にリボン付きの大剣を吊ったイルファが、どっすりと馬に跨がりながら呟いた。
「恵みとなるか、禍いとなるか」
「恵みにしてみせるさ」
応えて、ユーノはヒストに跨がる。体に細かな震えが疾る。
(死んで二十年そこそこ)
ひゅう、とイルファが口笛を吹く。
「大した自信だな」
「当たり前だろ」
手綱を引き締めながら不敵に笑い返した。
「はなっから負ける気で戦に行く人間はいないよ」
(そうだ、いつ死んでもいいと思っていた)
胸の声は囁き続ける。
(けれど今は)
死ぬなと引き止めてくれる仲間がいる。
「レスの奴、怒るだろうなあ」
「だろうね。けれど、絶対連れていけない」
「ああ……ったく、どうにかならんのかな、お前の行く所にどこでも一緒に行きたがって……ん?」
イルファは屋敷の入り口から駆け出してくる人影に口を噤んだ。ユーノもどきりとして口を閉じる。月光にきらきら光を跳ねる髪を見つめていて、それが巻き毛と知って二人とも力を抜いた。
「リディ…」
「ユーノ!」
馬から下りた途端飛びつかれしがみつかれて、ユーノは体を強張らせる。
「ユーノ、ユーノ、あなた」
心配そうな声が耳元で滲む。
「気をつけてね、くれぐれも気をつけて」
「リディ」
その一途さに胸が詰まった。
「聞いてたの?」
「物音で目が覚めて……怖くなってお父さまの所へ行ったら……。それでつい、立ち聞きしまったの」
囁いて身を離し、月光に透けて煌めく薄緑の瞳でユーノを見つめた。
「無茶はしないで、お願いよ。アシャ兄さまが悲しむわ」
「大丈夫だよ」
同い年ながら、瞳を濡らして小さく体を震わせているリディノが遥か年下に見え、セアラに叱られているようにも思えてユーノは微笑した。
「アシャにも散々言われているしねえ。イルファも居てくれるし、そう無茶はしないよ。それより、レスの方を頼むよ」
口にして、自分のことばに驚いた。頼む、頼むか。今までこんな風に誰かに頼んだこと、頼りにしたことなどあっただろうか。
「わかっているわ」
リディノはしっかりと頷いた。
「でも、ユーノ、本当に気をつけて」
「うん」
頷き返して馬上に戻る。心配そうに見送るリディノの視線を感じながら、ゆっくり背中を向ける。一瞬目を閉じ、息を吐く。
(本当に私はわかっているだろうか)
これから飛び込む危険を。命を失うということを。この世界の全てに別れを告げる覚悟ということを。
(きっと、わかってない)
今ならわかる。
失うものがないから飛び込めた。帰る場所がないから、どこにでも進めた。支えるものがないから、一人になっても頑張れた。
けれど今、愛おしい人が居て、帰ってこいと願われる場所があり、支えようと伸ばされた手を感じ、それらをことごとく幻にするこの瞬間を、初めて危機、と感じている気がする。
(皆、こんなふうに進んでいるのか)
アシャはラズーンを離れた。イルファは地位を捨てた。レスファートは家族を置き去った。そして、『太皇(スーグ)』は人と共に生きる世界を永遠に諦めた。
(アシャ)
力をくれ。
きつく唇を噛み、ぐ、っと顔を振り上げ、気持ちを切り替える。
ここからまっすぐに馬を飛ばしても、ガデロの国境まで四、五日はかかる。ダイン要城まではさらに半日、うまく進めてぎりぎりの日数しかない。
だが、ミダス公の話によれば、ラズーン四大公の一人、セシ公の分領地には、昔造られた地下道があり、その詳しい走路はセシ公しか知らないが、それを使えば、地上を行くより一日二日旅程が縮まると言う。その出入り口はセシ公領地内とガデロに開いており、今夜の密使もおそらくはそれを使ったのだろう、と。
『しかし、そのような地下道ならば、当然、見張りがついていたのではないですか?』
ユーノの問いにミダス公は顔を曇らせた。
分領地の統治は四大公各々に任されており、ある大公が何をしているのかは、他の大公が伺い知ることはできないらしい。四大公の動きを統轄しているのは他ならぬ『太皇(スーグ)』だけ……とにかく、今わかっていることは、その地下道を使わない限り、期日までにダイン要城へは行けないということだ。
「ユーノ、行くぞ!」
「しっ、声が大きいよ」
呼びかけてきたイルファを制し、急いで馬を進める。
「すまん……だが、ごちゃごちゃ考えてても進まん、そうだろう?」
「ああ、そうだ」
身を縮めたイルファの気配はそれでもやっぱり楽しげで、ユーノは苦笑した。
「行こう」
「どうぞ、お気をつけて」
背後の闇に、リディノの声が細く微かに響いた。
状況を聞いたイルファが言下に言い放ち、腕を組んでぐいと反り返った。
灯皿の揺れる光が、ミダス公の私室に集まったユーノ、イルファ、ミダス公、『銀羽根』のシャイラの横顔を照らし出している。
ガデロからの石文に、急を知って集まった三人の顔は、どれも緊張に引き締められている。ただ一人、ユーノだけは不思議な静けさで、車座の中央に置かれた手紙の文面を見つめていた。
「私もそう思います、ユーノ様」
シャイラは、後ろで一まとめにした長髪を軽く払い、ユーノを凝視した。
「ガデロのダイン要城は、ガデロ国内に数ある城の中でも、造りの堅固さ、守備力の高さで有名です。一度入れば二度と出られぬ死の城とも呼ばれ、本当かどうかは知りませんが、太古の魔が跳梁すると言われています。そこへ一人で行くなんて、あまりにも無謀です。これはきっと、罠に違いありません」
「わかってる」
「え」
勢い込んでユーノを説得しようとしたシャイラのことばをさらりと流して、ユーノは頷いた。ぎょっとしたように相手とミダス公が目を見開く。その二人の視線を真っ向から受け止めて、ユーノは淡々とことばを継いだ。
「セレドからレアナ姉さまを連れてくることは不可能じゃない。『運命(リマイン)』に組する視察官(オペ)がいることがわかった時から、ほんとは考えてなくちゃいけなかったことだ。それに、レアナ姉さまの危機を私が見過ごすわけはないと『運命(リマイン)』が考えるのは満更外れていない……ならば、レアナ姉さまが、その城に幽閉されている可能性は、充分にある」
ミダス公が食い入るようにユーノを見つめる。
「しかし!」
シャイラがきっとした声で反論した。
「だからと言って、レアナ様が確かにガデロに囚われているとは限りません」
「だからと言って」
ふ、とユーノは小さく吐息をついた。自分の唇が苦いような切ないような、奇妙な笑みに歪むのを感じる。
「私が、行かないわけには、いかないよ」
今まで守ってきた大切な姉、そして何より、大事なアシャの想い人。アシャのいない間にレアナに何かあったとしたら、そしてまた、その危機からレアナを守る機会があったのにむざむざと逃してしまったとしたら、それこそ、ユーノはアシャに顔向けできなくなる。
「で、では、誰か他の方を」
すがるようにシャイラが食い下がった。
「アシャは『狩人の山』(オムニド)、他にラズーンに居る者と言えば、『羽根』に野戦部隊(シーガリオン)、『銀の王族』に諸候……か」
ミダス公が重く確認して、シャイラはみるみる元気を失った。
「ね?」
ユーノは微かに笑う。
「私以外に動ける人間はいないよ」
半分シャイラを宥めるように、後の半分は自分に言い聞かせるように続ける。
もうかなり昔のことのように思える、このラズーンへの出立を決めた日を思い出した。あの時もやはり、ユーノ以外には無理だったのだ、どれほど無謀な旅であったとしても。
「仕方ねえ」
イルファが野太い声で唸った。
「俺がついていこう」
「イルファ…」
思いもかけない申し出にユーノは瞬きする。
そうだ、すっかり忘れていた。
今のユーノは全くの一人ではなかったのだ。ユーノを案じ心配するだけではなく、一緒に歩き、走り、戦ってくれる仲間が居たのだ。
「一人より二人の方が何かといいからな」
にやりと笑うイルファは危険な場所への旅立ちを楽しんでいるかのように見える。
「ありがとう」
口にする礼にこれほど安心するとは思わなかった。
「ああ、気にすんな」
イルファはひょいと肩を竦める。
「今度お前を一人でなんぞ行かせてみろ。俺はレスに一生恨まれちまう」
ブルッ。
馬屋でじっと首を垂れていたヒストは、ふいと顔を上げて体を震わせた。
「さすがだな、ヒスト」
伊達にラズーンまで白刃の下をかいくぐってきたのではない。主人の気配を勘づくのぐらい朝飯前だと言いたげに、額の『白い星(ヒスト)』をこちらに向けてくるのに、温かい気持ちになる。側に寄り、首筋を撫でる。命のもつ体温が、自ら罠に飛び込んで行こうとする殺気立った心を鎮めていくのがわかる。
ユーノは少し目を閉じ、ヒストの体に頭をもたせかけた。
短いチュニックの肌触り、左脚に添って垂れている剣の慣れた重さと冷たさ、相対するヒストの鼓動する温もり。確かに生きている、今は。
(生きて五十年そこそこ…)
「ユーノ!」
「……ああ」
イルファが馬屋から馬を引き出していく。目を開いて体を起こし、すぐさま走りたがるヒストを宥めながら、ゆっくり外へと連れ出していく。
夜は降るような月光に満たされていた。今の今まで雲にでも隠されていたのか、皓々と照る月は、あたりを蒼白い昼間のように見せている。
「何もかもよく見えるな」
同じような服装で、腰にリボン付きの大剣を吊ったイルファが、どっすりと馬に跨がりながら呟いた。
「恵みとなるか、禍いとなるか」
「恵みにしてみせるさ」
応えて、ユーノはヒストに跨がる。体に細かな震えが疾る。
(死んで二十年そこそこ)
ひゅう、とイルファが口笛を吹く。
「大した自信だな」
「当たり前だろ」
手綱を引き締めながら不敵に笑い返した。
「はなっから負ける気で戦に行く人間はいないよ」
(そうだ、いつ死んでもいいと思っていた)
胸の声は囁き続ける。
(けれど今は)
死ぬなと引き止めてくれる仲間がいる。
「レスの奴、怒るだろうなあ」
「だろうね。けれど、絶対連れていけない」
「ああ……ったく、どうにかならんのかな、お前の行く所にどこでも一緒に行きたがって……ん?」
イルファは屋敷の入り口から駆け出してくる人影に口を噤んだ。ユーノもどきりとして口を閉じる。月光にきらきら光を跳ねる髪を見つめていて、それが巻き毛と知って二人とも力を抜いた。
「リディ…」
「ユーノ!」
馬から下りた途端飛びつかれしがみつかれて、ユーノは体を強張らせる。
「ユーノ、ユーノ、あなた」
心配そうな声が耳元で滲む。
「気をつけてね、くれぐれも気をつけて」
「リディ」
その一途さに胸が詰まった。
「聞いてたの?」
「物音で目が覚めて……怖くなってお父さまの所へ行ったら……。それでつい、立ち聞きしまったの」
囁いて身を離し、月光に透けて煌めく薄緑の瞳でユーノを見つめた。
「無茶はしないで、お願いよ。アシャ兄さまが悲しむわ」
「大丈夫だよ」
同い年ながら、瞳を濡らして小さく体を震わせているリディノが遥か年下に見え、セアラに叱られているようにも思えてユーノは微笑した。
「アシャにも散々言われているしねえ。イルファも居てくれるし、そう無茶はしないよ。それより、レスの方を頼むよ」
口にして、自分のことばに驚いた。頼む、頼むか。今までこんな風に誰かに頼んだこと、頼りにしたことなどあっただろうか。
「わかっているわ」
リディノはしっかりと頷いた。
「でも、ユーノ、本当に気をつけて」
「うん」
頷き返して馬上に戻る。心配そうに見送るリディノの視線を感じながら、ゆっくり背中を向ける。一瞬目を閉じ、息を吐く。
(本当に私はわかっているだろうか)
これから飛び込む危険を。命を失うということを。この世界の全てに別れを告げる覚悟ということを。
(きっと、わかってない)
今ならわかる。
失うものがないから飛び込めた。帰る場所がないから、どこにでも進めた。支えるものがないから、一人になっても頑張れた。
けれど今、愛おしい人が居て、帰ってこいと願われる場所があり、支えようと伸ばされた手を感じ、それらをことごとく幻にするこの瞬間を、初めて危機、と感じている気がする。
(皆、こんなふうに進んでいるのか)
アシャはラズーンを離れた。イルファは地位を捨てた。レスファートは家族を置き去った。そして、『太皇(スーグ)』は人と共に生きる世界を永遠に諦めた。
(アシャ)
力をくれ。
きつく唇を噛み、ぐ、っと顔を振り上げ、気持ちを切り替える。
ここからまっすぐに馬を飛ばしても、ガデロの国境まで四、五日はかかる。ダイン要城まではさらに半日、うまく進めてぎりぎりの日数しかない。
だが、ミダス公の話によれば、ラズーン四大公の一人、セシ公の分領地には、昔造られた地下道があり、その詳しい走路はセシ公しか知らないが、それを使えば、地上を行くより一日二日旅程が縮まると言う。その出入り口はセシ公領地内とガデロに開いており、今夜の密使もおそらくはそれを使ったのだろう、と。
『しかし、そのような地下道ならば、当然、見張りがついていたのではないですか?』
ユーノの問いにミダス公は顔を曇らせた。
分領地の統治は四大公各々に任されており、ある大公が何をしているのかは、他の大公が伺い知ることはできないらしい。四大公の動きを統轄しているのは他ならぬ『太皇(スーグ)』だけ……とにかく、今わかっていることは、その地下道を使わない限り、期日までにダイン要城へは行けないということだ。
「ユーノ、行くぞ!」
「しっ、声が大きいよ」
呼びかけてきたイルファを制し、急いで馬を進める。
「すまん……だが、ごちゃごちゃ考えてても進まん、そうだろう?」
「ああ、そうだ」
身を縮めたイルファの気配はそれでもやっぱり楽しげで、ユーノは苦笑した。
「行こう」
「どうぞ、お気をつけて」
背後の闇に、リディノの声が細く微かに響いた。
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