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2話 散歩
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僕が転生してから、3年がたった。
「お父さん。おはよう。」
この通り、少し舌は回ってないが話せるようになった。
「おはよう。フランツ。今日も早いな。もっと寝ていても良いんだぞ?」
「そう言うお父さんは僕より早起きだね。」
「そりゃ仕事があるからね。」
そっか。もう行っちゃうのか。
お父さんは王都に仕事に行っているらしく、週末しか家に帰ってこない。
楽しい時間はあっという間だったな。
そんなことを考えていると、お父さんの手が僕の頭を襲う。
「うわー。髪の毛わしゃわしゃしないでー。」
僕は犬じゃないぞ!
「ごめんごめん。今日も我が息子はかわいいなって思ってね。今週も頑張れそうだ。」
中身が30歳の僕は、20代半ばの青年に頭をくしゃくしゃ撫でられるのは未だに慣れない。
でも……
「ぎゅーってする?」
「もちろん。ぎゅー。」
「ちょっ、ちょっと苦しい。」
不思議とこんなやりとりが好きな自分がいる。
「あら、朝からフランツに癒やされているの?おはよう。フランツ。」
「おはよう。お母さん。」
「お母さんにもぎゅーってして欲しいな。」
「うん。お母さんもぎゅー。」
なんて幸せな朝なんだろう。
「フランツ。今日も寝癖がすごいわね。」
「ちがうよ。お父さんがぐしゃぐしゃにしたんだ。」
「ほら。ちょっとじっとしてて。直すから。」
「うー。風が……。」
この世界では魔法が使えるらしい。まるでゲームの世界みたいだ。
でも、ゲームと違うのは無意識的に使ってるって事かな?
今みたいに寝癖を直すときも水と風が勝手にお母さんの手元から出てくる。
ランプに火をともす時だって自然に指から火が出る。
詠唱とかはいらないらしい。
「はい。完璧。」
「ありがとう。お母さん。」
「どういたしまして。」
「僕も自分でできるようになりたいな。」
「フランツがもう少しお兄ちゃんになったら、自然と出来るようになるわよ。」
「今すぐできるようになりたいよ。ねぇお母さん、どうやってるの?」
「うーん。フランツの寝癖直しは、お母さんにやらせて欲しいな。ねっお願い。」
うまくはぐらかされてる……。
でもそんな顔されたら、引き下がるしかないよ。
「わかった。」
実際、僕も魔法を使えるんじゃないかと何度も試してみたけど、うまく出来ない。
詠唱とかするのであれば、とっかかりが掴めそうなんだけど……。
そんなわけでここ最近は魔法に関する本を読み漁ってる。
っていっても、そこまで裕福な家庭ではないだろうから本の数は限られているけどね。
親に魔法のことをしつこく聞いた時も、まだ危ないって言われるし、今は本から学ぶのみ。
というわけで、本日も自分の部屋に持ち込んだ本とにらめっこをしているわけだけど……。
だめだ。全然分からない。書いていることは理解できるのに、実践でうまくいかない。
そもそも魔力ってなんだ?全く感じない。
もしかして僕は両親と違って魔法が使えないって事があるのだろうか。
一旦休憩して、散歩でもしてこようかな。
「おかあさん。ちょっとお外に行ってくるね。」
「お外に行きたいの?お母さんも一緒に行っていい?」
「うん。一緒に行こう。」
「ちょっと待ってて。すぐ準備するね。」
「はーい。」
遠くに行くつもりはないけど流石に3歳児を1人で行かせはしないか。
「お待たせ。はい。帽子かぶって。」
「うん。ありがとう。」
「じゃ行きましょ。」
んっ。太陽がまぶしい。見渡す限り青い空。白い雲。緑の芝生。そして奥には山!
すぅーーはぁーー。良い空気。やっぱり外は気持ちいいな。
今日はまだ行ったことのない方に行ってみようかな。
「おかあさん。あっち行こう。」
「フランツの行きたい方に行っていいわよ。お母さんついて行くから。」
「ありがとう。」
この辺は国境付近らしく、お隣さんというお隣さんはない。
でも一応集落にはなっていて、僕の家はその端っこの方に位置している。
今日はあっちの丘の方に行こうと思ったんだけど、果たしてどこまで行けるか。
僕の体力と応相談ってとこかな。
勢いよく歩き出したはいいけど、やっぱり3歳の体では厳しいか。疲れてきた。
「フランツ。そろそろ休憩したら?」
くっお母さんに見破られている。
「そうする。」
外で寝転がるって気持ちいいな。
青い空が永遠に続いている。風も心地よい。雲の動きをいつまでも見ていられる。
「フランツ。寝る前にお水飲んで。」
「うん。ありがとう。」
お母さんはそのまま僕の隣に座る。
今日は目的の丘までは行けなかったけど、ここまで来れたからよしとしよう。
自然の音だけの空間。
なんか何も考えずにぼーっしちゃうな。
「――僕、魔法使えるようになるのかな。」
「大丈夫よ。大きくなったら使えるようになるわ。」
あっ本音が口に出ちゃってたか。
今のところ全く出来そうな気配は無いけど、お母さんがそう言うなら信じよう。
「お父さん。おはよう。」
この通り、少し舌は回ってないが話せるようになった。
「おはよう。フランツ。今日も早いな。もっと寝ていても良いんだぞ?」
「そう言うお父さんは僕より早起きだね。」
「そりゃ仕事があるからね。」
そっか。もう行っちゃうのか。
お父さんは王都に仕事に行っているらしく、週末しか家に帰ってこない。
楽しい時間はあっという間だったな。
そんなことを考えていると、お父さんの手が僕の頭を襲う。
「うわー。髪の毛わしゃわしゃしないでー。」
僕は犬じゃないぞ!
「ごめんごめん。今日も我が息子はかわいいなって思ってね。今週も頑張れそうだ。」
中身が30歳の僕は、20代半ばの青年に頭をくしゃくしゃ撫でられるのは未だに慣れない。
でも……
「ぎゅーってする?」
「もちろん。ぎゅー。」
「ちょっ、ちょっと苦しい。」
不思議とこんなやりとりが好きな自分がいる。
「あら、朝からフランツに癒やされているの?おはよう。フランツ。」
「おはよう。お母さん。」
「お母さんにもぎゅーってして欲しいな。」
「うん。お母さんもぎゅー。」
なんて幸せな朝なんだろう。
「フランツ。今日も寝癖がすごいわね。」
「ちがうよ。お父さんがぐしゃぐしゃにしたんだ。」
「ほら。ちょっとじっとしてて。直すから。」
「うー。風が……。」
この世界では魔法が使えるらしい。まるでゲームの世界みたいだ。
でも、ゲームと違うのは無意識的に使ってるって事かな?
今みたいに寝癖を直すときも水と風が勝手にお母さんの手元から出てくる。
ランプに火をともす時だって自然に指から火が出る。
詠唱とかはいらないらしい。
「はい。完璧。」
「ありがとう。お母さん。」
「どういたしまして。」
「僕も自分でできるようになりたいな。」
「フランツがもう少しお兄ちゃんになったら、自然と出来るようになるわよ。」
「今すぐできるようになりたいよ。ねぇお母さん、どうやってるの?」
「うーん。フランツの寝癖直しは、お母さんにやらせて欲しいな。ねっお願い。」
うまくはぐらかされてる……。
でもそんな顔されたら、引き下がるしかないよ。
「わかった。」
実際、僕も魔法を使えるんじゃないかと何度も試してみたけど、うまく出来ない。
詠唱とかするのであれば、とっかかりが掴めそうなんだけど……。
そんなわけでここ最近は魔法に関する本を読み漁ってる。
っていっても、そこまで裕福な家庭ではないだろうから本の数は限られているけどね。
親に魔法のことをしつこく聞いた時も、まだ危ないって言われるし、今は本から学ぶのみ。
というわけで、本日も自分の部屋に持ち込んだ本とにらめっこをしているわけだけど……。
だめだ。全然分からない。書いていることは理解できるのに、実践でうまくいかない。
そもそも魔力ってなんだ?全く感じない。
もしかして僕は両親と違って魔法が使えないって事があるのだろうか。
一旦休憩して、散歩でもしてこようかな。
「おかあさん。ちょっとお外に行ってくるね。」
「お外に行きたいの?お母さんも一緒に行っていい?」
「うん。一緒に行こう。」
「ちょっと待ってて。すぐ準備するね。」
「はーい。」
遠くに行くつもりはないけど流石に3歳児を1人で行かせはしないか。
「お待たせ。はい。帽子かぶって。」
「うん。ありがとう。」
「じゃ行きましょ。」
んっ。太陽がまぶしい。見渡す限り青い空。白い雲。緑の芝生。そして奥には山!
すぅーーはぁーー。良い空気。やっぱり外は気持ちいいな。
今日はまだ行ったことのない方に行ってみようかな。
「おかあさん。あっち行こう。」
「フランツの行きたい方に行っていいわよ。お母さんついて行くから。」
「ありがとう。」
この辺は国境付近らしく、お隣さんというお隣さんはない。
でも一応集落にはなっていて、僕の家はその端っこの方に位置している。
今日はあっちの丘の方に行こうと思ったんだけど、果たしてどこまで行けるか。
僕の体力と応相談ってとこかな。
勢いよく歩き出したはいいけど、やっぱり3歳の体では厳しいか。疲れてきた。
「フランツ。そろそろ休憩したら?」
くっお母さんに見破られている。
「そうする。」
外で寝転がるって気持ちいいな。
青い空が永遠に続いている。風も心地よい。雲の動きをいつまでも見ていられる。
「フランツ。寝る前にお水飲んで。」
「うん。ありがとう。」
お母さんはそのまま僕の隣に座る。
今日は目的の丘までは行けなかったけど、ここまで来れたからよしとしよう。
自然の音だけの空間。
なんか何も考えずにぼーっしちゃうな。
「――僕、魔法使えるようになるのかな。」
「大丈夫よ。大きくなったら使えるようになるわ。」
あっ本音が口に出ちゃってたか。
今のところ全く出来そうな気配は無いけど、お母さんがそう言うなら信じよう。
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