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13話 弟子
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それから、僕はこの世界が乙女ゲームの世界であること。
そして前の世界で少しこのゲームをプレイしていたこと。
聖女が主人公で恋をしながら魔王を倒す物語であること。
ゲームの主な登場人物。
僕はモブキャラでホームレスの人達を見て、ゲームの設定から抜け出したくて今日の行動を取ったこと。
その結果、僕はゲームのプログラムの例外に引っかかって、つまりバグだと思われて魔物に排除されそうになったのではないか。
など、思いつくままに話した。
「――僕が知っているのはこれくらいです。」
2人は僕の話を聞いても落ち着いた様子だった。
「やはり、この世界は作られた世界だったのですね。」
シリルさんは腑に落ちたような表情をしていた。
「シリルさん……。それにお父さんも、なんでそんなに冷静で居られるんですか?」
「想定はしていたので。」
「まぁ多少驚きはしたけど、お父さんもそんなところかなって思ってたから。」
「そんな。だって……。自分はただのデータなのかとか、この世界は作り物なのかとか、普通嫌になりませんか?」
「事実はそうだとしても、俺らは変わらずこの世界で生きていくわけで、いくら作り物だと言われようと俺らにとってはこれが現実ですので。その事実は変わりません。」
シリルさんはキッパリと言い放った。
確かにシリルさんの言う通りだろうけど、普通はそんなに俯瞰的には見えないんじゃ……。
「うん。そうだね。でも気になるのはやっぱり、ストーリーかな。」
お父さんまで。もうストーリーのこと気にしているし……。
「そうですね。聖女が魔王と戦うということは、魔王は復活するという事になりますからね。」
「そのゲームと言うやつでは聖女が負けるという結末はありえるんだよね?」
「うん。結末としては、勝った場合はハッピーエンド。負ければ王都が滅んでバッドエンドになる。」
「バッドエンドは避けたいですね。何か対策を考えないと。」
少しの沈黙が続く。
2人を見ると、2人とも口元に手をあて、あてている腕をもう片方の腕で支えながら、真剣に考えていた。
「うーん。後はフランツのことだね。」
沈黙を破ったのはお父さんだった。
「え?僕?」
「うん。フランツが花火を上げてバグと判定されたなら、どうして宿でやったときは魔物が襲って来なかったんだろうね。」
「確かにそれは気になりますね。考えられる原因としては、近くに魔物がいなかったか。もしくは小さくて判定に引っかからなかったかでしょうか。」
「うん。その辺は調べる必要がありそうだね。それに魔物に関しても、従者契約していても強制的に襲うような仕様なのかも、調べた方が良さそうだね。」
ひとまず話し合いが終わった後、無事にお母さんとジュリアンに会うことができ、お父さんも一緒に宿に戻ることになった。
あの話は3人のうちに秘めておくことになった。
お父さんは普段と変わらない様子で、少し気まずいと思っているのは僕だけみたいだ。
ストーリーに関しては何か思い出すことがあれば随時話して欲しいとのことだった。
いくつか覚えているイベントがあるので、折を見て話そうと思う。
それより何より気になることがある。聖女様のことだ。
あの天使のように微笑んでいる顔が、頭から離れない。
かわいかったな……。
今は全然強くないって実感したけど、僕にも守らせてもらえないかな。
僕もセシリア様の役に立ちたい。
僕はゲームの主要な登場人物ではないから、セシリア様に絡むことは難しいかもしれないけど、そんなことはどうだっていい。
今日の花火みたいに、モブキャラの僕でも、モブキャラに出来ないことが出来たんだ。セシリア様のことも例外ではないはず。
絶対やりとげてみせる!
そのためには、ひたすら強くならないと。今までは自己流だったけど、お父さんにお願いしてみようかな。
少なからずお父さんの息子だし、お父さんくらいは強くなれる可能性はあるって事だよね?
今、お母さんとジュリアンは寝室に行っていて、お父さんはそこにある椅子に座って、食後の紅茶を飲んでいる。
話すなら今がチャンスだよね?
「お父さん、相談したいことがあるんだけどいい?」
「いいよ。どうした?」
お父さんは持っていたティーカップをテーブルの上に置く。
「僕、強くなりたいんだ。だから、お父さんみたいに強くなる方法を教えて下さい。」
「それは今日魔物と戦ってみて、もっと強くなりたいって思ったの?」
「うん。それもあるし……。」
聖女様を守れるようになりたいんだ。
「なるほど。聖女様に惚れちゃったか。」
「えっなんで!そんなこと一言も言ってないよ。」
「ごめんごめん。そうだったな。そういうことにしておこう。」
そんなに分かりやすかった?顔緩んでたとか?
「とにかく、強くなりたいんだ。だから、お父さんの弟子にしてください。」
僕は目一杯頭を下げ、お願いする。
「覚悟は出来てる?」
「もちろん出来てます。」
「わかった。いいよ。そろそろ色々教えようかなって思ってたしね。」
「ありがとうございます。」
そして前の世界で少しこのゲームをプレイしていたこと。
聖女が主人公で恋をしながら魔王を倒す物語であること。
ゲームの主な登場人物。
僕はモブキャラでホームレスの人達を見て、ゲームの設定から抜け出したくて今日の行動を取ったこと。
その結果、僕はゲームのプログラムの例外に引っかかって、つまりバグだと思われて魔物に排除されそうになったのではないか。
など、思いつくままに話した。
「――僕が知っているのはこれくらいです。」
2人は僕の話を聞いても落ち着いた様子だった。
「やはり、この世界は作られた世界だったのですね。」
シリルさんは腑に落ちたような表情をしていた。
「シリルさん……。それにお父さんも、なんでそんなに冷静で居られるんですか?」
「想定はしていたので。」
「まぁ多少驚きはしたけど、お父さんもそんなところかなって思ってたから。」
「そんな。だって……。自分はただのデータなのかとか、この世界は作り物なのかとか、普通嫌になりませんか?」
「事実はそうだとしても、俺らは変わらずこの世界で生きていくわけで、いくら作り物だと言われようと俺らにとってはこれが現実ですので。その事実は変わりません。」
シリルさんはキッパリと言い放った。
確かにシリルさんの言う通りだろうけど、普通はそんなに俯瞰的には見えないんじゃ……。
「うん。そうだね。でも気になるのはやっぱり、ストーリーかな。」
お父さんまで。もうストーリーのこと気にしているし……。
「そうですね。聖女が魔王と戦うということは、魔王は復活するという事になりますからね。」
「そのゲームと言うやつでは聖女が負けるという結末はありえるんだよね?」
「うん。結末としては、勝った場合はハッピーエンド。負ければ王都が滅んでバッドエンドになる。」
「バッドエンドは避けたいですね。何か対策を考えないと。」
少しの沈黙が続く。
2人を見ると、2人とも口元に手をあて、あてている腕をもう片方の腕で支えながら、真剣に考えていた。
「うーん。後はフランツのことだね。」
沈黙を破ったのはお父さんだった。
「え?僕?」
「うん。フランツが花火を上げてバグと判定されたなら、どうして宿でやったときは魔物が襲って来なかったんだろうね。」
「確かにそれは気になりますね。考えられる原因としては、近くに魔物がいなかったか。もしくは小さくて判定に引っかからなかったかでしょうか。」
「うん。その辺は調べる必要がありそうだね。それに魔物に関しても、従者契約していても強制的に襲うような仕様なのかも、調べた方が良さそうだね。」
ひとまず話し合いが終わった後、無事にお母さんとジュリアンに会うことができ、お父さんも一緒に宿に戻ることになった。
あの話は3人のうちに秘めておくことになった。
お父さんは普段と変わらない様子で、少し気まずいと思っているのは僕だけみたいだ。
ストーリーに関しては何か思い出すことがあれば随時話して欲しいとのことだった。
いくつか覚えているイベントがあるので、折を見て話そうと思う。
それより何より気になることがある。聖女様のことだ。
あの天使のように微笑んでいる顔が、頭から離れない。
かわいかったな……。
今は全然強くないって実感したけど、僕にも守らせてもらえないかな。
僕もセシリア様の役に立ちたい。
僕はゲームの主要な登場人物ではないから、セシリア様に絡むことは難しいかもしれないけど、そんなことはどうだっていい。
今日の花火みたいに、モブキャラの僕でも、モブキャラに出来ないことが出来たんだ。セシリア様のことも例外ではないはず。
絶対やりとげてみせる!
そのためには、ひたすら強くならないと。今までは自己流だったけど、お父さんにお願いしてみようかな。
少なからずお父さんの息子だし、お父さんくらいは強くなれる可能性はあるって事だよね?
今、お母さんとジュリアンは寝室に行っていて、お父さんはそこにある椅子に座って、食後の紅茶を飲んでいる。
話すなら今がチャンスだよね?
「お父さん、相談したいことがあるんだけどいい?」
「いいよ。どうした?」
お父さんは持っていたティーカップをテーブルの上に置く。
「僕、強くなりたいんだ。だから、お父さんみたいに強くなる方法を教えて下さい。」
「それは今日魔物と戦ってみて、もっと強くなりたいって思ったの?」
「うん。それもあるし……。」
聖女様を守れるようになりたいんだ。
「なるほど。聖女様に惚れちゃったか。」
「えっなんで!そんなこと一言も言ってないよ。」
「ごめんごめん。そうだったな。そういうことにしておこう。」
そんなに分かりやすかった?顔緩んでたとか?
「とにかく、強くなりたいんだ。だから、お父さんの弟子にしてください。」
僕は目一杯頭を下げ、お願いする。
「覚悟は出来てる?」
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「わかった。いいよ。そろそろ色々教えようかなって思ってたしね。」
「ありがとうございます。」
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