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※爪の間・5
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そうして、オルキデアは足の爪の間に残っていた砂も取ってくれると、シャワーで流してくれる。
「爪、剥がれてしまったな」
「爪?」
アリーシャが足を見ると、足に塗っていたマニキュアはブラシに擦られたことで、ほとんど剥がれてしまっていた。
「また塗ればいいだけなので……気にしないで下さい」
その代わりに、爪の間に残っていた砂はほぼ取れたので満足だった。
アリーシャが笑みを浮かべると、オルキデアも釣られたように小さく笑みを浮かべていた。
「そうか……その時は俺に塗らせてもらえるだろうか。俺も、そのマニキュア? に興味があるんだ」
「オルキデア様が?」
まさか自分の手足に塗るのだろうかと、首を傾げると、アリーシャが考えていることがわかったのか、オルキデアは「そうじゃないんだ」と苦笑した。
「もしかしたら、爪を保護するのにも向いているのかと思ってな。ここではあまり気にしないが、戦場では弾薬や爆薬に触れ、ナイフや銃を持つ内に爪が傷ついてしまうんだ」
「そうだったんですね……」
当たり前だが、オルキデアは軍人である以上、銃や弾薬、爆薬などにも触れるだろう。接近戦では、ナイフや斧にも触れているのかもしれない。
(だから、オルキデア様の手は皮が分厚くて、硬いんだろうな……)
蛇口を捻って、ブラシを洗っているオルキデアの手を見つめる。
アリーシャも何度も触れられて、何度も触れたから知っている。オルキデアの手は、とても大きくて、硬くて、分厚い皮膚をしている。
シュタルクヘルトで、アリーシャの身近にいた誰とも違う男性の手。
これまでの経験や苦労を感じさせる手。軍人らしい手。
でも、そんなオルキデアの手は温かくて、優しい手をしていた。
そんなオルキデアの手で触れられ、撫でられるのは、とても温かく、安心出来るものだった。
「アリーシャ。手を貸してくれないか」
ブラシを棚に戻したオルキデアは、アリーシャの元に戻って来ると、また膝を突く。
「はい」
両手を差し出すと、オルキデアは片手を左手を取ってまじまじと見つめる。
「手には塗ってないんだな」
「あ、は、はい。料理や水仕事をする内に、すぐに剥がれてしまうので、塗り直すのも億劫で……」
暗に手にはマニキュアを塗らないのかと聞かれて、アリーシャは頷く。
他の女性はあまり気にしないかもしれないが、アリーシャはもし料理中にマニキュアが剥がれて、剥がれたマニキュアが料理に入ってしまったらと考えてしまい、手に塗れなかった。
以前、この話をセシリアにしたところ、「それなら料理用の手袋をすれば、気にしなくていいですよ」と教えられたが、なんとなくそのままになっていたのだった。
「そうか……手にも塗ったら、さぞかしお前の魅力が引き出せるかと思ったんだが」
「そんなことありませんよ。手に塗っただけで……」
オルキデアの何倍も大きい、やや日に焼けた掌と、アリーシャの小さな白い掌を合わせると、二人は顔を見合わせて小さく笑い合う。
その時、ふとオルキデアが呟いたのだった。
「お前の手は、舐めたら甘いんだろうな」
「そんなことは……だって、手ですよ! オルキデア様と同じ……」
「俺の手は無骨だが、お前の手はとても綺麗だ。まるで彫刻の様だ」
それだけ言うと、オルキデアは合わせていた掌を外して、アリーシャの手首を掴んだ。
手首を引っ張ると、人差し指に舌を這わせたのだった。
「爪、剥がれてしまったな」
「爪?」
アリーシャが足を見ると、足に塗っていたマニキュアはブラシに擦られたことで、ほとんど剥がれてしまっていた。
「また塗ればいいだけなので……気にしないで下さい」
その代わりに、爪の間に残っていた砂はほぼ取れたので満足だった。
アリーシャが笑みを浮かべると、オルキデアも釣られたように小さく笑みを浮かべていた。
「そうか……その時は俺に塗らせてもらえるだろうか。俺も、そのマニキュア? に興味があるんだ」
「オルキデア様が?」
まさか自分の手足に塗るのだろうかと、首を傾げると、アリーシャが考えていることがわかったのか、オルキデアは「そうじゃないんだ」と苦笑した。
「もしかしたら、爪を保護するのにも向いているのかと思ってな。ここではあまり気にしないが、戦場では弾薬や爆薬に触れ、ナイフや銃を持つ内に爪が傷ついてしまうんだ」
「そうだったんですね……」
当たり前だが、オルキデアは軍人である以上、銃や弾薬、爆薬などにも触れるだろう。接近戦では、ナイフや斧にも触れているのかもしれない。
(だから、オルキデア様の手は皮が分厚くて、硬いんだろうな……)
蛇口を捻って、ブラシを洗っているオルキデアの手を見つめる。
アリーシャも何度も触れられて、何度も触れたから知っている。オルキデアの手は、とても大きくて、硬くて、分厚い皮膚をしている。
シュタルクヘルトで、アリーシャの身近にいた誰とも違う男性の手。
これまでの経験や苦労を感じさせる手。軍人らしい手。
でも、そんなオルキデアの手は温かくて、優しい手をしていた。
そんなオルキデアの手で触れられ、撫でられるのは、とても温かく、安心出来るものだった。
「アリーシャ。手を貸してくれないか」
ブラシを棚に戻したオルキデアは、アリーシャの元に戻って来ると、また膝を突く。
「はい」
両手を差し出すと、オルキデアは片手を左手を取ってまじまじと見つめる。
「手には塗ってないんだな」
「あ、は、はい。料理や水仕事をする内に、すぐに剥がれてしまうので、塗り直すのも億劫で……」
暗に手にはマニキュアを塗らないのかと聞かれて、アリーシャは頷く。
他の女性はあまり気にしないかもしれないが、アリーシャはもし料理中にマニキュアが剥がれて、剥がれたマニキュアが料理に入ってしまったらと考えてしまい、手に塗れなかった。
以前、この話をセシリアにしたところ、「それなら料理用の手袋をすれば、気にしなくていいですよ」と教えられたが、なんとなくそのままになっていたのだった。
「そうか……手にも塗ったら、さぞかしお前の魅力が引き出せるかと思ったんだが」
「そんなことありませんよ。手に塗っただけで……」
オルキデアの何倍も大きい、やや日に焼けた掌と、アリーシャの小さな白い掌を合わせると、二人は顔を見合わせて小さく笑い合う。
その時、ふとオルキデアが呟いたのだった。
「お前の手は、舐めたら甘いんだろうな」
「そんなことは……だって、手ですよ! オルキデア様と同じ……」
「俺の手は無骨だが、お前の手はとても綺麗だ。まるで彫刻の様だ」
それだけ言うと、オルキデアは合わせていた掌を外して、アリーシャの手首を掴んだ。
手首を引っ張ると、人差し指に舌を這わせたのだった。
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