アリサ・リリーベル・シュタルクヘルトは死んだ

夜霞

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※貴方色に染められて・8

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オルキデアの放った白濁に達した後、しばし意識を失っていたようだった。
オルキデアに身体を揺すられて、アリーシャの意識は徐々に浮上したのだった。

「……リーシャ! アリーシャ!」

そっと目を開けると、いつの間に抜いたのか、目の前には心配そうなオルキデアが覗き込んでいた。
アリーシャが風邪を引かないように抜いた後に毛布を掛てくれたのか、身体は柔らかく温かい羽毛に包まれていた。その際に片手は離れてしまったようだが、もう片方の手は未だ握りしめたままであった。

「オルキデア様……私……」
「達したんだ。疲れもあったのかもしれないな。身体はどうだ。平気か?」
「少し、怠いかもしれません」

両手を離され、オルキデアが身を起こすと、ベッドが音を立てて小さく揺れた。
アリーシャも起き上がろうとして、肘に力を入れるが、全く力が入らず、ベッドに倒れてしまった。

「あっ……!」
「お前は少し休んでいろ。浴室の湯を入れ替えたら、また呼びに来る。そうしたら軽く身体を流そう」
「い、いえ! 私も……」
「いや。お前は休んでろ。疲れているのに、俺に付き合わせたんだ。身体は相当、悲鳴を上げているはずだ。……辛いなら、身体を流した後も、このまま休んでいい」

話すのも億劫で小さく頷くと、オルキデアは満足そうにアリーシャの額に軽く触れて、浴室に向かおうとする。
そこをアリーシャは「オルキデア様」と呼び止めたのだった。

「私、付き合わされたなんて思っていません……。身も、心も、貴方色に染まっていく……。それがとてつもなく幸福なんです」

初夜の時、オルキデアは「女性の最初は自分色に染められるのが良い」と言っていた。
初夜から何度も交わっているが、今のアリーシャはオルキデアの色に染まっているだろうか。
身も、心までも、オルキデアの色に染まっていたら、どんなに離れていても、彼を想っていられそうで、幸せでいられる気がした。

「そうか」

オルキデアは満足気な笑みを浮かべると、そのままベッドに背を向けた。
何となく、オルキデアが背を向けた時、耳が赤く染まっていたような気がしたが、きっと見間違いだろう。
そのまま、オルキデアは足速に浴室に向かったのだった。

「ふぅ……」

オルキデアの姿が浴室に消えると、アリーシャは息を吐いた。
窓から外を見ると、いつの間に雨が止んだのか、外は夕暮れ時のオレンジ色に染まっていた。

(そういえば、うつ伏せで交わったのは初めてかも……)

ベッドに仰向けになって目を閉じたところで、アリーシャはどこか既視感を覚える。

(ベッドでうつ伏せで交わる……。最近、どこかで見たような……)

朦朧とした意識の中、うつ伏せとベッドをキーワードに考えると、ようやく思い出して、小さく声を上げる。

(さっき観ていた映画。確か、ベッドでうつ伏せに交わっていた!)

テレビち録画していた映画を観ていた時、オルキデアに「お前はこんなのが好きなのか?」と聞かれてテレビを見ると、映画では主人公の女性とメインの男性がベッドでうつ伏せに交わっているところだった。
まさか、今のオルキデアはあのシーンを再現したのだろうか。

(もし映画のあのシーンを再現したとしたら、嬉しいような、恥ずかしいような……)

映画のような交わり方が好きだと思われたらどうしよう。後で誤解を解かないと。 

(でも、全然嫌じゃなかった。気持ち良いくらいだった)

そんなことを考えた自分に気がつくと、アリーシャは羞恥で顔を真っ赤に染めたのだった。

(やっ、ヤダ! いつの間にか、オルキデア様と繋がることを喜んでるの……!? 確かに嬉しいけど、でも……恥ずかしい!!)

そんな自分を誰にも見られないように、藤色の髪で顔を隠したのだった。
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