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謀反の疑い・5
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「実は北西部の戦局が悪化してな。ここからも応援を送って欲しいと要請があった。近く、貴殿と親密な関係であるオウェングス少将が率いる部隊を始めとする複数の部隊が、北西部に向かう事になるだろう」
ということは、オルキデアが率いる部隊にも出陣要請が出るだろうか。
クシャースラの部隊だけではなく、複数の部隊に要請が出るということは、余程戦局が悪化しているのだろう。無傷で済まない戦いになるかもしれない。
そんなことを考えていると、兵は鼻で笑ってきたのだった。
「しかし、ラナンキュラス少将には今回の件について、謹慎処分が出ている。
家に帰っていいが、そこで謹慎しているようにと。当然、治安部隊による見張りはつけさせてもらうが」
「そうか」
「だが、もう少し取り調べをして欲しいというのが、あの裏切り者の軍事裁判の結果だ。彼奴も裁判でほとんど話さなかったからな。我々には情報が不足している。数日後に、また取り調べを再開させてもらう」
どうやらオルキデアの取り調べは、一旦、これで終了らしい。また日を改めて再開するらしいが……。
ありもしない嫌疑をかけられて、謹慎という不本意な処分を科された事に対する怒りよりも、今はアリーシャに会える喜びの方が大きかった。
ようやくゆっくり会えるのだと、愛しい妻の姿を頭に思い浮かべていると、机を殴りつける音が聞こえて、現実に意識を戻される。
「調べさせてもらったが、貴官には奥方がいるようだな」
「それがどうした」
「奥方からはまだ事情を伺っていなかったが、もしや、少将ではなく、奥方が間諜をしていたのではないか。
周囲に聞き込みをしたところ、少将が軍事施設の襲撃作戦に参加した後に、急に現れたと聞いている。ペルフェクト人の容姿でありながら、ペルフェクト人らしくないとも……。よもや、その奥方が敵国の娘で、奴らと繋がっているという可能性も……」
そこまで言われて、オルキデアの中で音を立てて 箍が外れた。
兵の首根っこを掴むと、力一杯殴りつけたのだった。
「貴様は、アリーシャを……俺の妻を侮辱するつもりか!?」
「ぐっ……何を!?」
「何の根拠があって言っている!? 彼女の何を知っているんだ!!」
自分が侮辱されるだけなら我慢出来た。
けれども、アリーシャを侮辱されるのだけは、我慢ならなかった。
オルキデアが大切に仕舞っていた、謂わば宝物をーー生き甲斐を貶されて、許せるはずがなかった。
「オルキデア様」と、鈴のような優しい声音で名前を呼んで慕ってくれて、オルキデアの役に立ちたいからと、何事にも一所懸命な、健気で愛おしい妻。
出会ったばかりの頃は、雪の様に儚く見えて、自分が守らなければと思っていた。
けれども、契約婚を通じて正式に結婚した今では、春風のようにオルキデアの全てを甘く優しく包み込んでくれる彼女に安堵さえ覚えていた。
自分を心身共に支えてくれる、かけがえのない大きな存在となっていたのだった。
そんなオルキデアの心の中にある、決して侵してはならない領域に足を踏み入れた彼らを、許すわけにはいかなかった。
たとえ、オルキデアの怒声を聞いて、駆けつけて来た治安部隊に捕縛されても、「ふざけるな! この裏切り者が!!」と、顔面を殴打されて、口の端から血を流しても、オルキデアの怒りは収まるところを知らなかった。
「俺の妻について訂正しろ! 無関係な妻を侮辱されて、このままで済むと思っているのか!?」
「ラナンキュラス少将」
「俺の妻がそんなことをするわけがない!! 何も知らない痴れ者が! 恥を知れ……!」
「ラナンキュラス少将!」
自分を呼ぶ力強い声に、ふつふつと煮えたぎるような怒りが失せていき、ようやく冷静さを取り戻した。
名前が聞こえてきた方を振り返ると、取り調べ室の入り口には、数人の部下を従えた将官が立っていたのだった。
ということは、オルキデアが率いる部隊にも出陣要請が出るだろうか。
クシャースラの部隊だけではなく、複数の部隊に要請が出るということは、余程戦局が悪化しているのだろう。無傷で済まない戦いになるかもしれない。
そんなことを考えていると、兵は鼻で笑ってきたのだった。
「しかし、ラナンキュラス少将には今回の件について、謹慎処分が出ている。
家に帰っていいが、そこで謹慎しているようにと。当然、治安部隊による見張りはつけさせてもらうが」
「そうか」
「だが、もう少し取り調べをして欲しいというのが、あの裏切り者の軍事裁判の結果だ。彼奴も裁判でほとんど話さなかったからな。我々には情報が不足している。数日後に、また取り調べを再開させてもらう」
どうやらオルキデアの取り調べは、一旦、これで終了らしい。また日を改めて再開するらしいが……。
ありもしない嫌疑をかけられて、謹慎という不本意な処分を科された事に対する怒りよりも、今はアリーシャに会える喜びの方が大きかった。
ようやくゆっくり会えるのだと、愛しい妻の姿を頭に思い浮かべていると、机を殴りつける音が聞こえて、現実に意識を戻される。
「調べさせてもらったが、貴官には奥方がいるようだな」
「それがどうした」
「奥方からはまだ事情を伺っていなかったが、もしや、少将ではなく、奥方が間諜をしていたのではないか。
周囲に聞き込みをしたところ、少将が軍事施設の襲撃作戦に参加した後に、急に現れたと聞いている。ペルフェクト人の容姿でありながら、ペルフェクト人らしくないとも……。よもや、その奥方が敵国の娘で、奴らと繋がっているという可能性も……」
そこまで言われて、オルキデアの中で音を立てて 箍が外れた。
兵の首根っこを掴むと、力一杯殴りつけたのだった。
「貴様は、アリーシャを……俺の妻を侮辱するつもりか!?」
「ぐっ……何を!?」
「何の根拠があって言っている!? 彼女の何を知っているんだ!!」
自分が侮辱されるだけなら我慢出来た。
けれども、アリーシャを侮辱されるのだけは、我慢ならなかった。
オルキデアが大切に仕舞っていた、謂わば宝物をーー生き甲斐を貶されて、許せるはずがなかった。
「オルキデア様」と、鈴のような優しい声音で名前を呼んで慕ってくれて、オルキデアの役に立ちたいからと、何事にも一所懸命な、健気で愛おしい妻。
出会ったばかりの頃は、雪の様に儚く見えて、自分が守らなければと思っていた。
けれども、契約婚を通じて正式に結婚した今では、春風のようにオルキデアの全てを甘く優しく包み込んでくれる彼女に安堵さえ覚えていた。
自分を心身共に支えてくれる、かけがえのない大きな存在となっていたのだった。
そんなオルキデアの心の中にある、決して侵してはならない領域に足を踏み入れた彼らを、許すわけにはいかなかった。
たとえ、オルキデアの怒声を聞いて、駆けつけて来た治安部隊に捕縛されても、「ふざけるな! この裏切り者が!!」と、顔面を殴打されて、口の端から血を流しても、オルキデアの怒りは収まるところを知らなかった。
「俺の妻について訂正しろ! 無関係な妻を侮辱されて、このままで済むと思っているのか!?」
「ラナンキュラス少将」
「俺の妻がそんなことをするわけがない!! 何も知らない痴れ者が! 恥を知れ……!」
「ラナンキュラス少将!」
自分を呼ぶ力強い声に、ふつふつと煮えたぎるような怒りが失せていき、ようやく冷静さを取り戻した。
名前が聞こえてきた方を振り返ると、取り調べ室の入り口には、数人の部下を従えた将官が立っていたのだった。
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