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別れと断髪・6
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これまでも一人で生きてきた。
だから、また一人になっても平気だと思っていた。
それなのに、アリーシャを失った今、自分は滂沱の涙を流している。
ずっと、彼女の名前を呼んでーー彼女の姿を求めている。
その事実が、ますますオルキデアを苦しめることになったのだった。
しばらくして、外がすっかり暗くなった頃、力なく床に寝そべっていたオルキデアは、仰向けになると窓から空を見上げる。
いつの間に晴れたのか、空は雲一つない、冬の星空が広がっていた。
薪はすっかり燃え尽きたが、オルキデアの身体は熱を帯びているかの様に熱かった。
「アリーシャ……雪が降ったら、一緒に雪だるまを作って、一緒に出掛けよう……それから……」
訥々と、幻想の中のアリーシャに話しかける。
そのまま目を瞑れば、幻想の中のーー傍らのアリーシャが微笑んでくれたような気がした。
数日後にまた尋問が始まるだろう。今度は事実聴取をする予定だったアリーシャがいないことについても、きっと問い詰められる。
でもそれでいい。責められるべきは自分一人でいい。
両親もなく、最愛の女性もいなくなった。親友は自身で身を守れるだろう。彼の傍らに居る人たちもきっと。
これ以上、オルキデアの弱点になり得るものは何も存在しない。
昔、クシャースラに話したことがあった。
「大切な存在が増えるということは、自分が守らなければならないもの、攻撃されると自分が弱くなる場所が増えるということ」だと。
今のオルキデアには、大切な存在は何もない。つまり攻撃された時、自分が弱体化する恐れがないということ。
軍から謀叛の疑いをかけられても、大切な存在を盾にされーー大切な存在が傷つく恐れもない。
大切な存在ーーアリーシャが傷つく恐れもないということだ。
大切な彼女を傷つけたくなかった。これまで辛い思いをして生きてきた彼女に、それ以上の辛い経験をさせたくなかった。
それなら、ここで突き放してしまった方がいい。そう思って彼女をあるべき場所に帰した。
自分だけが、彼女との思い出を胸に生きていけばいい。
それがどんなに苦しくても、彼女と過ごした日々を追想すれば耐えられる。
彼女の温もりや唇の感触を思い出せば、寂しくなかった。
彼女との思い出の中だけで生きていけば、それでいい。自分はどうなったって、構わないーー。
目を閉じれば、眼裏に彼女の姿があった。
今まで見てきたのと同じ柔らかな笑みを浮かべていた。
「アリー……シャ……」
もう流す涙もなかったオルキデアが溢したのは、最愛の女性の名前だった。
そのまま目を瞑ると、意識は底なし沼に沈むかの様に落ちていったのだったーー。
だから、また一人になっても平気だと思っていた。
それなのに、アリーシャを失った今、自分は滂沱の涙を流している。
ずっと、彼女の名前を呼んでーー彼女の姿を求めている。
その事実が、ますますオルキデアを苦しめることになったのだった。
しばらくして、外がすっかり暗くなった頃、力なく床に寝そべっていたオルキデアは、仰向けになると窓から空を見上げる。
いつの間に晴れたのか、空は雲一つない、冬の星空が広がっていた。
薪はすっかり燃え尽きたが、オルキデアの身体は熱を帯びているかの様に熱かった。
「アリーシャ……雪が降ったら、一緒に雪だるまを作って、一緒に出掛けよう……それから……」
訥々と、幻想の中のアリーシャに話しかける。
そのまま目を瞑れば、幻想の中のーー傍らのアリーシャが微笑んでくれたような気がした。
数日後にまた尋問が始まるだろう。今度は事実聴取をする予定だったアリーシャがいないことについても、きっと問い詰められる。
でもそれでいい。責められるべきは自分一人でいい。
両親もなく、最愛の女性もいなくなった。親友は自身で身を守れるだろう。彼の傍らに居る人たちもきっと。
これ以上、オルキデアの弱点になり得るものは何も存在しない。
昔、クシャースラに話したことがあった。
「大切な存在が増えるということは、自分が守らなければならないもの、攻撃されると自分が弱くなる場所が増えるということ」だと。
今のオルキデアには、大切な存在は何もない。つまり攻撃された時、自分が弱体化する恐れがないということ。
軍から謀叛の疑いをかけられても、大切な存在を盾にされーー大切な存在が傷つく恐れもない。
大切な存在ーーアリーシャが傷つく恐れもないということだ。
大切な彼女を傷つけたくなかった。これまで辛い思いをして生きてきた彼女に、それ以上の辛い経験をさせたくなかった。
それなら、ここで突き放してしまった方がいい。そう思って彼女をあるべき場所に帰した。
自分だけが、彼女との思い出を胸に生きていけばいい。
それがどんなに苦しくても、彼女と過ごした日々を追想すれば耐えられる。
彼女の温もりや唇の感触を思い出せば、寂しくなかった。
彼女との思い出の中だけで生きていけば、それでいい。自分はどうなったって、構わないーー。
目を閉じれば、眼裏に彼女の姿があった。
今まで見てきたのと同じ柔らかな笑みを浮かべていた。
「アリー……シャ……」
もう流す涙もなかったオルキデアが溢したのは、最愛の女性の名前だった。
そのまま目を瞑ると、意識は底なし沼に沈むかの様に落ちていったのだったーー。
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