【第一部完結・改稿版】ハージェント家の天使

夜霞

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おまけ

ブーゲンビリア侯爵と姉弟・上【7】

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「いてっ!? 何するんだよぉ! 姉ちゃん!」

 頬を膨らませて男子を睨みつけている女子は、この男子の姉であった。
 女の子は弟を無視すると、はにかみながらヴィオーラに挨拶をしたのだった。

「こんにちは。ヴィオーラ様」
「ええ。こんにちは。貴女も元気そうで良かったです」

 女の子は頬を赤く染めると、「ヴィオーラ様もお元気そうで……」と、小声で言ったのだった。

「姉ちゃん、何するんだよ!?」

 未だに頭を押さえて、涙目になっている男子に、女子にツンとそっぽを向いた。

「ヴィオーラ様に失礼なことを言わないの! 呼び捨てはダメでしょう!」

 顔を真っ赤にして怒る女の子をヴィオーラはそっと止めた。

「いいのですよ。私は気にしていません。貴女ももっと気軽に話しかけて下さいな」
「ほら! いいってよ! 姉ちゃん!」

 ヴィオーラは肩の力を抜いて、気軽に話して欲しいという意味で言ったつもりだったが、何故か女の子の顔は耳まで赤くなってしまったのだった。

「ヴィオーラ様が、そうおっしゃるなら……」
「姉ちゃんが真っ赤になってる!」
「うるさいっ!」

 顔を赤面させて、弟の頭を叩いた姿に、ヴィオーラは笑みを浮かべたのだった。

「ところで、お母様はお店にいないのですか?」

 姉弟の母親を探して屋台を見渡していたヴィオーラと、屋台の中で仕込みをしていたのか、目が合った店主は、小さく頭を下げてくる。
 いつもなら、屋台には姉弟ではなく二人の母親が立っているはずであった。
 しかし、先程から屋台にいるのは、この姉弟の他に、姉弟と姉弟の母親を雇っている店主だけであった。
 ヴィオーラは気軽に聞いたつもりだったが、姉弟は俯いたのだった。

「その、母さん。昨日から具合悪くて……」
「そうでしたか……。それは心配ですね」

 眉をひそめたヴィオーラが「軽い気持ちで聞いてしまいましたね」と、声を掛けると姉弟は首を振ったのだった。

「ヴィオーラ様は悪くありません。その分、私たちがしっかりすればいいだけです。ね?」

 女の子が促すと、男の子は大きく頷いたのだった。

「そうだよ! オレたちがしっかりお店を手伝えばいいだけだから! そうすれば、母さんも早く快くなってくれるし!」

 姉弟の姿に、ヴィオーラは目を細めた。
 まるで、幼き日の自分とマキウスを見ているような気がしたのだった。
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