【第一部完結・改稿版】ハージェント家の天使

夜霞

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おまけ

ブーゲンビリア侯爵と姉弟ー過去ー【3】

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「こわいよ。お姉ちゃん……」

 いつもの様に臆病者のマキウスはヴィオーラの後ろに隠れてしまう。

「大丈夫よ。大丈夫だから……」

 ヴィオーラは不安そうに自分の草色のスカートーーこの頃はまだドレスを着ていた。を握ってきたマキウスを安心させようと、小声で声を掛けた。

「でも……お姉ちゃん。あれ!」

 マキウスが指差す方を見ると、そこには先程の雛より数倍大きな黒い鳥が、巣にいる雛たちに向かって吠えるように鳴いていた。
 親鳥は近くにいないのか、雛たちはただ鳴いているばかりだった。

「ど、どうしよう……。ヒナがおそわれちゃう……」
「どうしよう……って、わたしに言われても……!」

 今にも泣き出しそうにマキウスは言ってくるが、ヴィオーラもどうしたらいいかわからなかった。
 ヴィオーラがオロオロと、鳥の巣と後ろに隠れる臆病者の弟を交互に見ていると、とうとうヴィオーラの後ろからマキウスが飛び出したのだった。

「ヒナをいじめるな~!」
「マキウス!」

 鳥の巣の前に飛び出したマキウスは両手を振り上げると、泣きながら大きな鳥に向かって行く。
 黒々とした大きな鳥はマキウスに気づくと、ギロリと睨みつけたのだった。

「マキウス! 戻って来て!」

 嫌な予感がしてヴィオーラがマキウスに駆け寄るのとほぼ同時に、今度は茶と白の毛に覆われた鳥が巣に近づいて来た。
 雛鳥とどこか似た様な見た目から、雛の親鳥が戻ってきたのだろうと思った。
 親鳥は鳥の巣に一度戻ると、巣を襲おうとしていた黒鳥と、巣を襲うかのように近づいてきたマキウスを睨みつけた。
 すると、大きな鳥は逃げたが、親鳥はその場に残っていたマキウスを攻撃し始めたのだった。

「いたい! いたいよ、お姉ちゃん!」
「マキウス! 屋敷の中に逃げましょう!」

 親鳥に頭を突かれているマキウスは両手で頭を覆いながら、ヴィオーラに向かって走ってきた。
 ヴィオーラはマキウスを先導する様に先を走ると、屋敷の入り口の扉を開けたのだった。
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