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おまけ
ブーゲンビリア侯爵と姉弟ー過去ー【7】
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「二人揃って、こんなところで何をしている?」
「お父様、これは……」
怒っているかのような侯爵の低い声に、マキウスはすっかり怯えてしまった。
ヴィオーラのドレスの裾を握って、後ろに隠れてしまったマキウスを庇いながら、ヴィオーラは階段から立ち上がる。
「お父様! マキウスは悪くないわ! 私がいけないの!」
自分の何倍も背が高い父親を見上げるように前に立つと、姉弟とよく似た父親をじっと見つめた。
「……それは、どういうことだ?」
「私が庭で遊びたいと、マキウスを巻き込んだの! そうしたら、庭の木に鳥が巣を作っていて、眺めていたら親鳥に襲われたの!」
「では、我が屋敷の庭には、家人を襲う危険な鳥の巣があるのだな? そのような鳥は排除せねばならん」
「それは、ダメ!」
「ダメだよ!」
ヴィオーラが父親の足元に縋り付くと、ヴィオーラの背後から出てきたマキウスも同じように縋り付いた。
そんな姉弟を、二人の父親は険しい顔で見下ろしていた。
「何故だ? そのような危険な鳥は不要だろう? 家人に害をなす鳥だ。今はこの程度で済んだかもしれないが、次はもっと大怪我を負うやもしれん」
「鳥は悪くないの! 鳥は雛を守ろうとしただけ! 悪いのは、不用意に近づいた私たちよ!」
「鳥の家族をバラバラにしないで! 家族は一緒がいい! 一緒が……」
懸命に鳥の無罪を訴える幼い姉弟に、父親は呆れたのか溜め息を吐くと姉弟の身体を引き離した。
そうして、「わかった」とだけ答えたのだった。
「そこまで言うのなら、巣は残しておこう」
「ありがとう! お父様!」
「ありがとう!」
姉弟が揃って花が咲いたような笑みを浮かべると、父親は膝が汚れるのも構わず、姉弟の前に膝をついた。
今まで、父親がこうして二人の前で膝をついて、同じ目線になったことなどなかったので、ヴィオーラは驚愕した。
怒られるのかーーはたまた叩かれるのか。また怯えて後ろに隠れてしまった弟を庇う様に、父親と向き直ったヴィオーラの背中を嫌な汗が流れた。
そうして、父親は二人の顔を覗き込むと、再び、眉間に皺を寄せたのだった。
「マキウス、また泣いていたのか? それに、何故こんなにも汚れている? 怪我もしていて……」
「鳥がぼくたちを追いかけてきて、お庭をにげていて、それからお姉ちゃんと一緒に屋敷ににげて……。そうしたら、お姉ちゃんのお母様がやって来て、お姉ちゃんを……」
「こらっ! マキウス!」
ヴィオーラは肘でマキウスを突いた。マキウスは「しまった」とばかりに両手を口で押さえたが、遅かったようだった。
「お父様、これは……」
怒っているかのような侯爵の低い声に、マキウスはすっかり怯えてしまった。
ヴィオーラのドレスの裾を握って、後ろに隠れてしまったマキウスを庇いながら、ヴィオーラは階段から立ち上がる。
「お父様! マキウスは悪くないわ! 私がいけないの!」
自分の何倍も背が高い父親を見上げるように前に立つと、姉弟とよく似た父親をじっと見つめた。
「……それは、どういうことだ?」
「私が庭で遊びたいと、マキウスを巻き込んだの! そうしたら、庭の木に鳥が巣を作っていて、眺めていたら親鳥に襲われたの!」
「では、我が屋敷の庭には、家人を襲う危険な鳥の巣があるのだな? そのような鳥は排除せねばならん」
「それは、ダメ!」
「ダメだよ!」
ヴィオーラが父親の足元に縋り付くと、ヴィオーラの背後から出てきたマキウスも同じように縋り付いた。
そんな姉弟を、二人の父親は険しい顔で見下ろしていた。
「何故だ? そのような危険な鳥は不要だろう? 家人に害をなす鳥だ。今はこの程度で済んだかもしれないが、次はもっと大怪我を負うやもしれん」
「鳥は悪くないの! 鳥は雛を守ろうとしただけ! 悪いのは、不用意に近づいた私たちよ!」
「鳥の家族をバラバラにしないで! 家族は一緒がいい! 一緒が……」
懸命に鳥の無罪を訴える幼い姉弟に、父親は呆れたのか溜め息を吐くと姉弟の身体を引き離した。
そうして、「わかった」とだけ答えたのだった。
「そこまで言うのなら、巣は残しておこう」
「ありがとう! お父様!」
「ありがとう!」
姉弟が揃って花が咲いたような笑みを浮かべると、父親は膝が汚れるのも構わず、姉弟の前に膝をついた。
今まで、父親がこうして二人の前で膝をついて、同じ目線になったことなどなかったので、ヴィオーラは驚愕した。
怒られるのかーーはたまた叩かれるのか。また怯えて後ろに隠れてしまった弟を庇う様に、父親と向き直ったヴィオーラの背中を嫌な汗が流れた。
そうして、父親は二人の顔を覗き込むと、再び、眉間に皺を寄せたのだった。
「マキウス、また泣いていたのか? それに、何故こんなにも汚れている? 怪我もしていて……」
「鳥がぼくたちを追いかけてきて、お庭をにげていて、それからお姉ちゃんと一緒に屋敷ににげて……。そうしたら、お姉ちゃんのお母様がやって来て、お姉ちゃんを……」
「こらっ! マキウス!」
ヴィオーラは肘でマキウスを突いた。マキウスは「しまった」とばかりに両手を口で押さえたが、遅かったようだった。
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