ちょっと怖い話

親ガチャ② (2/4)

目が覚めた時病院にいた。


ボクはボクを助けてくれた誰かの


代わりに生きていた。


ソイツと似たヤツがたくさんいた。


ボクは姿形も変わっている。


お母さんというヤツがボクについて来いと言った。


お医者さんというヤツが


「今はご本人も混乱しているだろうからしばらくすれば元に戻りますよ。」


と言った。


ボクは、とりあえず、


ソイツをお母さんと呼ぶのだとわかった。


お母さんがいる安心できる場所があるというのもわかった。


二本足ではうまく歩けなかったので


運んでもらった。


身体が大きくなると首を咥えるのは出来ないようだった。


「家に帰るわよ。」




ボクの名前はシンジといった。


不思議なことにシンジの身体と能力はそのまま


感情だけがボクになっていた。


ボクはそれを受け入れた。


記憶喪失という病気だと思っていたお母さんは


ボクの名前からシンジのことまで丁寧に教えてくれた。


シンジは毎日学校に通っていて


今は夏休みだから家でゆっくり休むといい、と言われた。


状況はわからないが意味はわかった。


シンジはなぜボクにこんなことをしてくれたのか


わからなかった。


ただ、お母さんは泣いていた。


お母さんが悲しいのは、ボクも悲しかった。