ちょっと怖い話

ボクのお母さん

ボクは高校生になったら

やりたいことがあった。


アルバイトだ。


バイトしている学校の友達の話を

聞けば聞くほど

羨ましかった。

歳上のお姉さんとの

恋バナもあるらしい。


そして

夏休みになり

やっと

アルバイト生活が

始まった。



夜家に帰ると


真っ暗なリビングに

白く浮き上がる顔だけオバケ


「うわっ！びっくりしたぁ！

魂抜けたかと思ったわ。」


パックしている母だった。


「パパもお姉ちゃんも同じこと言うの！

私に気づくと飛びあがるの。失礼しちゃうわ。

節電のため電気もテレビも消してるのよ！」


スマホのゲームをしていた母は

怒り出した。

顔だけオバケが必死に口をパクパクしているから

節電の良さも頭に入ってこない。


「今更パックしても遅いよ。」


ボクはお風呂に入った。



後日、姉に聞いた話では


朝方キッチンに飲み物を取りに行って

自分の部屋に帰ろうとしたら

母が自分の部屋から

顔だけ出して姉のことを見ていたらしい。


「生首が浮いてると思ったわ。」


その時も

物音がしたから

見ただけなのに

と怒っていたらしい。


今日も電気のついてない家に帰る。

ボクの家にはたぶん本物はいないと思う。