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あの日のサンドイッチ/フクコの娘
しおりを挟むフクコの娘が小6の時に言った。
「受験生になったら、ママ夜食作ってね。サンドイッチがいいなぁ。」
カップ麺のコマーシャルを見ながら言った。
フクコは『憧れるトコそこじゃないんだけどなぁ。』と思いながらも
「うん。わかった。勉強頑張ってね。」と言った。
中学生になると娘は不登校になった。
部屋で読書ばかりしていた。
結局、夜食を食べることなく、通信制高校に進学した。
時は流れ、今、娘はパン屋で働いている。
新作パンのことを楽しそうに話している。
娘の作ったパンを食べながら勉強している受験生もいるかもしれない。
「いらっしゃいませ。あっ!お母さん!」
「今日休みだから買いに来たの。驚かせようと思って家では黙ってたのよ。」
娘は言ったことすら忘れているだろう。
時は流れ、あの時のサンドイッチはフクコの朝食になっている。
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