食堂のおばあちゃん物語

みどり

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じぃじの憂鬱①

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*じぃじの憂鬱②では
おばあちゃんたちの入浴シーンが出てきます。
そういうのがお好きでない方は
別の回でお楽しみください。




ワタシはとある会社のお掃除係です。


職場の人たちからは親しみを込めて

じぃじ、

と呼ばれております。


妻に先立たれ

公営団地でひとり暮らしをしております。


通勤は散歩がてら徒歩で。

運転免許証は返納しました。

家にひとり居ても

気が滅入りますから。

気分転換に外の空気を吸っております。


清掃していると時間が経つのも忘れますし

なにより

綺麗になると心がスッキリします。


今アルバイトしている会社は

福利厚生が良いのです。

食事が1食付いていますし

仕事の後はお風呂に入って帰れます。


実はこのお風呂がワタシの楽しみなんです。



元小さなシティホテル時代の

ここの売りは大浴場だったとかで

赴きの違う浴室が隣り合わせであります。

銭湯風に暖簾や番台がありまして

ワタシは小さい頃を思い出します。

冷えたドリンクもあります。


男湯と女湯に分かれておりまして

毎月暖簾を掛け替えて男湯と女湯が入れ替わっております。

男が女湯に入らないよう番台に見張りがおります。





大浴場は16時から24時まで開いておりまして

スタッフオンリーなのでございます。

清掃の仕事は昼番もありますが

ワタシは夜の社員食堂の清掃後に

入浴するのが好きです。

夜道は怖くありません。


清掃の仕事はきちんとしておりますよ。





実はワタシこう見えて

企業にレンタルマット等を利用していただく

会社で長年働いておりました。

お掃除のアドバイスなどもさせていただいておりましたので

効率よくチャチャッとするのが得意なんです。



おっと

自分語りが長くなってしまいました。


要するに、仕事終わりの風呂が好き

ということでございます。


ワタシは24時を過ぎても

特別に入浴を許可されております。

ワタシが電気を消して帰るのでございます。


ご安心ください。

誰も居ないからといって

女湯に入ったりしませんから。


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