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薬草を探して
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翌日
ロクが持ち帰った桃色の花からお医者さんが薬を作ってくれました。
お医者さんはロクから鬼が棲んでいる島の話を聞くと「信じられない」と言いました。
鬼が人を襲わなかったのも信じられませんでした。
ロクが嘘をついているとも思えず、ロクでは採れそうもない場所に咲いている花を持ち帰ったのですから、優しい鬼がいたのだと、お医者さんとお母さんは思いました。
籠の中に入っていた花の中には根が付いているものもありました。
お医者さんのすすめで、ロクは家の畑に花を植えてみました。
ここで育ってくれれば、薬が必要な時にすぐに作ることが出来ます。
お医者さんの作ってくれた薬が効いて、ロクのお母さんはどんどん元気になり、歩けるようになりました。
なんでも食べられるようになったお母さんは、もう薬を飲まなくてもよくなりました。
ロクのお母さんは「鬼さんたちに何かお礼をしたいわね。」と言いました。
手先の器用なお母さんは鬼のパンツを作りました。
ロクとセキとコハク、3人お揃いのパンツです。
ロクは洞窟へ届けました。
洞窟の鬼たちはとても喜んでくれました。
ロクの家の庭に植えた花も少しずつ増えてきました。
ロクが遊びに来るようになったので、鬼たちは洞窟の入口を整備して、ロクの舟がそのまま洞窟に入れるようにしてくれました。
ロクも船の乗降がしやすくなりました。
もう舟が流される心配もありません。
また、ロクが怖がらないように、鬼たちはロクと同じくらいの大きさになって待っていてくれました。
「人は、こんな細い足で立っているんだね。ふらふらするよ。」
セキは言いました。
「同じになったなら、ボクだって負けないぞ。」
腕相撲を挑んでもロクはいつも鬼たちに敵いませんでした。
ロクとセキとコハク、お揃いのパンツを履いた3人は笑い合っていました。
ロクは、初めて洞窟に来たときにセキやコハクのおかげで、手のひらや膝の傷が治ったことを伝えました。
鬼たちは不思議そうな顔でロクのことを見ました。
セキのお母さんは、ロクのお母さんがこれからも健康で暮らせるように、石をひとつくれました。
その石はロクが持つと重く感じたのですが、お母さんのためにもらって帰りました。
その石を入れたお風呂に入ったためか、お母さんも健康で、ロクもお風呂に入ると疲れが取れて、翌日元気に働くことが出来ました。
お母さんとふたり暮らしのロクは、小さな畑がある小さな家に住んでいます。
ロクはまだ野菜を上手に育てることができなかったので、近所の田んぼや畑のお手伝いをして、お米やお野菜を分けてもらっていました。
自分の畑でも少しずつ野菜作りに挑戦していました。
またある日
お医者さんはロクに言いました。
「鬼の棲んでいる島でほかの野草も分けてもらえないだろうか?そうすれば、病気の人たちも元気になるかもしれないんだ。」
ロクは鬼たちに野草を分けてもらえないか聞きました。
鬼たちは協力してくれました。
お医者さんの大事な本を預かって海に落としてしまってはいけないので、ロクはお医者さんに紙をもらい、薬草の絵を描いて鬼の島へ持って行きました。
絵の上手なロクにお医者さんも感心しました。
少しずつ字も覚えました。
ロクは鬼たちに絵を見せながら、お医者さんに教えてもらったように、どの薬草がどの病気に効くのかを伝えました。
鬼たちは原生林の中から探して持ってきてくれました。
時には、ロクも一緒に行きました。
ついてきた幼いコハクが疲れて眠ってしまうと、ロクがおんぶして帰ることもありました。
持ち帰った野草はお医者さんに確認してもらいました。
字を書けるようになったロクは、原生林の中の鬼の通り道の地図を作り、どの道を行けばどの草が生えているのかわかるようにしました。
薬草は体調の悪い人たちを助けました。
病気が治った人は、お医者さんにお礼を言いました。
お医者さんは、ロクと鬼の棲んでいる島のことを話しました。
町の人々は「鬼にお礼がしたい」と言いましたが、鬼たちはお金を使っていませんでした。
鬼たちは「この島のものは自分たちのものではない。神さまからいただいたもの。お金はいらない。」と言いました。
「もてなしたいから、町に来て欲しい。」と大人たちが言っても、鬼たちが町に来ることは決してありませんでした。
それでも、ほんの少しの人だけは、工芸品や着物を鬼たちに贈りました。
鬼たちは、自分たちが使わないような着物なども、洞窟の中に大切にしまっていました。
ロクだけが島に入ることを許されていたので、ロクはいつもの小さな舟で運びました。
成長して体が大きくなってきたロクは、田畑で働きながら、お母さんと薬草のお世話をしていました。
時々、セキのところへ遊びに行きました。
鬼には鬼の暮らしがあるからです。
島へ行った時は、原生林を駆け回ったり、木登りをして遊びました。
ロクとセキとコハク、たくさん話をして、たくさん笑い合いました。
ロクには兄弟がいなかったので、セキとコハクのことを本当の兄妹のように思っていました。
お医者さんは「神さまにいただいたものを鬼たちが守ってくれているんだね。」と言いました。
町の人々は、病気が治ったことに感謝して、働きました。
町の漁師たちは、遠くの海へ行った時に綺麗な貝殻やめずらしい貝殻を持ち帰って集めていました。
貝殻を入れるのにちょうどいい木の箱ができると、貝殻を木の箱に入れて、コハクに贈りました。
コハクはとても喜んで、寝る時も木の箱を枕元に置いて眠りました。
ロクが持ち帰った桃色の花からお医者さんが薬を作ってくれました。
お医者さんはロクから鬼が棲んでいる島の話を聞くと「信じられない」と言いました。
鬼が人を襲わなかったのも信じられませんでした。
ロクが嘘をついているとも思えず、ロクでは採れそうもない場所に咲いている花を持ち帰ったのですから、優しい鬼がいたのだと、お医者さんとお母さんは思いました。
籠の中に入っていた花の中には根が付いているものもありました。
お医者さんのすすめで、ロクは家の畑に花を植えてみました。
ここで育ってくれれば、薬が必要な時にすぐに作ることが出来ます。
お医者さんの作ってくれた薬が効いて、ロクのお母さんはどんどん元気になり、歩けるようになりました。
なんでも食べられるようになったお母さんは、もう薬を飲まなくてもよくなりました。
ロクのお母さんは「鬼さんたちに何かお礼をしたいわね。」と言いました。
手先の器用なお母さんは鬼のパンツを作りました。
ロクとセキとコハク、3人お揃いのパンツです。
ロクは洞窟へ届けました。
洞窟の鬼たちはとても喜んでくれました。
ロクの家の庭に植えた花も少しずつ増えてきました。
ロクが遊びに来るようになったので、鬼たちは洞窟の入口を整備して、ロクの舟がそのまま洞窟に入れるようにしてくれました。
ロクも船の乗降がしやすくなりました。
もう舟が流される心配もありません。
また、ロクが怖がらないように、鬼たちはロクと同じくらいの大きさになって待っていてくれました。
「人は、こんな細い足で立っているんだね。ふらふらするよ。」
セキは言いました。
「同じになったなら、ボクだって負けないぞ。」
腕相撲を挑んでもロクはいつも鬼たちに敵いませんでした。
ロクとセキとコハク、お揃いのパンツを履いた3人は笑い合っていました。
ロクは、初めて洞窟に来たときにセキやコハクのおかげで、手のひらや膝の傷が治ったことを伝えました。
鬼たちは不思議そうな顔でロクのことを見ました。
セキのお母さんは、ロクのお母さんがこれからも健康で暮らせるように、石をひとつくれました。
その石はロクが持つと重く感じたのですが、お母さんのためにもらって帰りました。
その石を入れたお風呂に入ったためか、お母さんも健康で、ロクもお風呂に入ると疲れが取れて、翌日元気に働くことが出来ました。
お母さんとふたり暮らしのロクは、小さな畑がある小さな家に住んでいます。
ロクはまだ野菜を上手に育てることができなかったので、近所の田んぼや畑のお手伝いをして、お米やお野菜を分けてもらっていました。
自分の畑でも少しずつ野菜作りに挑戦していました。
またある日
お医者さんはロクに言いました。
「鬼の棲んでいる島でほかの野草も分けてもらえないだろうか?そうすれば、病気の人たちも元気になるかもしれないんだ。」
ロクは鬼たちに野草を分けてもらえないか聞きました。
鬼たちは協力してくれました。
お医者さんの大事な本を預かって海に落としてしまってはいけないので、ロクはお医者さんに紙をもらい、薬草の絵を描いて鬼の島へ持って行きました。
絵の上手なロクにお医者さんも感心しました。
少しずつ字も覚えました。
ロクは鬼たちに絵を見せながら、お医者さんに教えてもらったように、どの薬草がどの病気に効くのかを伝えました。
鬼たちは原生林の中から探して持ってきてくれました。
時には、ロクも一緒に行きました。
ついてきた幼いコハクが疲れて眠ってしまうと、ロクがおんぶして帰ることもありました。
持ち帰った野草はお医者さんに確認してもらいました。
字を書けるようになったロクは、原生林の中の鬼の通り道の地図を作り、どの道を行けばどの草が生えているのかわかるようにしました。
薬草は体調の悪い人たちを助けました。
病気が治った人は、お医者さんにお礼を言いました。
お医者さんは、ロクと鬼の棲んでいる島のことを話しました。
町の人々は「鬼にお礼がしたい」と言いましたが、鬼たちはお金を使っていませんでした。
鬼たちは「この島のものは自分たちのものではない。神さまからいただいたもの。お金はいらない。」と言いました。
「もてなしたいから、町に来て欲しい。」と大人たちが言っても、鬼たちが町に来ることは決してありませんでした。
それでも、ほんの少しの人だけは、工芸品や着物を鬼たちに贈りました。
鬼たちは、自分たちが使わないような着物なども、洞窟の中に大切にしまっていました。
ロクだけが島に入ることを許されていたので、ロクはいつもの小さな舟で運びました。
成長して体が大きくなってきたロクは、田畑で働きながら、お母さんと薬草のお世話をしていました。
時々、セキのところへ遊びに行きました。
鬼には鬼の暮らしがあるからです。
島へ行った時は、原生林を駆け回ったり、木登りをして遊びました。
ロクとセキとコハク、たくさん話をして、たくさん笑い合いました。
ロクには兄弟がいなかったので、セキとコハクのことを本当の兄妹のように思っていました。
お医者さんは「神さまにいただいたものを鬼たちが守ってくれているんだね。」と言いました。
町の人々は、病気が治ったことに感謝して、働きました。
町の漁師たちは、遠くの海へ行った時に綺麗な貝殻やめずらしい貝殻を持ち帰って集めていました。
貝殻を入れるのにちょうどいい木の箱ができると、貝殻を木の箱に入れて、コハクに贈りました。
コハクはとても喜んで、寝る時も木の箱を枕元に置いて眠りました。
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