2 / 3
薬草を探して
しおりを挟む
翌日
ロクが持ち帰った桃色の花からお医者さんが薬を作ってくれました。
お医者さんはロクから鬼が棲んでいる島の話を聞くと「信じられない」と言いました。
鬼が人を襲わなかったのも信じられませんでした。
ロクが嘘をついているとも思えず、ロクでは採れそうもない場所に咲いている花を持ち帰ったのですから、優しい鬼がいたのだと、お医者さんとお母さんは思いました。
籠の中に入っていた花の中には根が付いているものもありました。
お医者さんのすすめで、ロクは家の畑に花を植えてみました。
ここで育ってくれれば、薬が必要な時にすぐに作ることが出来ます。
お医者さんの作ってくれた薬が効いて、ロクのお母さんはどんどん元気になり、歩けるようになりました。
なんでも食べられるようになったお母さんは、もう薬を飲まなくてもよくなりました。
ロクのお母さんは「鬼さんたちに何かお礼をしたいわね。」と言いました。
手先の器用なお母さんは鬼のパンツを作りました。
ロクとセキとコハク、3人お揃いのパンツです。
ロクは洞窟へ届けました。
洞窟の鬼たちはとても喜んでくれました。
ロクの家の庭に植えた花も少しずつ増えてきました。
ロクが遊びに来るようになったので、鬼たちは洞窟の入口を整備して、ロクの舟がそのまま洞窟に入れるようにしてくれました。
ロクも船の乗降がしやすくなりました。
もう舟が流される心配もありません。
また、ロクが怖がらないように、鬼たちはロクと同じくらいの大きさになって待っていてくれました。
「人は、こんな細い足で立っているんだね。ふらふらするよ。」
セキは言いました。
「同じになったなら、ボクだって負けないぞ。」
腕相撲を挑んでもロクはいつも鬼たちに敵いませんでした。
ロクとセキとコハク、お揃いのパンツを履いた3人は笑い合っていました。
ロクは、初めて洞窟に来たときにセキやコハクのおかげで、手のひらや膝の傷が治ったことを伝えました。
鬼たちは不思議そうな顔でロクのことを見ました。
セキのお母さんは、ロクのお母さんがこれからも健康で暮らせるように、石をひとつくれました。
その石はロクが持つと重く感じたのですが、お母さんのためにもらって帰りました。
その石を入れたお風呂に入ったためか、お母さんも健康で、ロクもお風呂に入ると疲れが取れて、翌日元気に働くことが出来ました。
お母さんとふたり暮らしのロクは、小さな畑がある小さな家に住んでいます。
ロクはまだ野菜を上手に育てることができなかったので、近所の田んぼや畑のお手伝いをして、お米やお野菜を分けてもらっていました。
自分の畑でも少しずつ野菜作りに挑戦していました。
またある日
お医者さんはロクに言いました。
「鬼の棲んでいる島でほかの野草も分けてもらえないだろうか?そうすれば、病気の人たちも元気になるかもしれないんだ。」
ロクは鬼たちに野草を分けてもらえないか聞きました。
鬼たちは協力してくれました。
お医者さんの大事な本を預かって海に落としてしまってはいけないので、ロクはお医者さんに紙をもらい、薬草の絵を描いて鬼の島へ持って行きました。
絵の上手なロクにお医者さんも感心しました。
少しずつ字も覚えました。
ロクは鬼たちに絵を見せながら、お医者さんに教えてもらったように、どの薬草がどの病気に効くのかを伝えました。
鬼たちは原生林の中から探して持ってきてくれました。
時には、ロクも一緒に行きました。
ついてきた幼いコハクが疲れて眠ってしまうと、ロクがおんぶして帰ることもありました。
持ち帰った野草はお医者さんに確認してもらいました。
字を書けるようになったロクは、原生林の中の鬼の通り道の地図を作り、どの道を行けばどの草が生えているのかわかるようにしました。
薬草は体調の悪い人たちを助けました。
病気が治った人は、お医者さんにお礼を言いました。
お医者さんは、ロクと鬼の棲んでいる島のことを話しました。
町の人々は「鬼にお礼がしたい」と言いましたが、鬼たちはお金を使っていませんでした。
鬼たちは「この島のものは自分たちのものではない。神さまからいただいたもの。お金はいらない。」と言いました。
「もてなしたいから、町に来て欲しい。」と大人たちが言っても、鬼たちが町に来ることは決してありませんでした。
それでも、ほんの少しの人だけは、工芸品や着物を鬼たちに贈りました。
鬼たちは、自分たちが使わないような着物なども、洞窟の中に大切にしまっていました。
ロクだけが島に入ることを許されていたので、ロクはいつもの小さな舟で運びました。
成長して体が大きくなってきたロクは、田畑で働きながら、お母さんと薬草のお世話をしていました。
時々、セキのところへ遊びに行きました。
鬼には鬼の暮らしがあるからです。
島へ行った時は、原生林を駆け回ったり、木登りをして遊びました。
ロクとセキとコハク、たくさん話をして、たくさん笑い合いました。
ロクには兄弟がいなかったので、セキとコハクのことを本当の兄妹のように思っていました。
お医者さんは「神さまにいただいたものを鬼たちが守ってくれているんだね。」と言いました。
町の人々は、病気が治ったことに感謝して、働きました。
町の漁師たちは、遠くの海へ行った時に綺麗な貝殻やめずらしい貝殻を持ち帰って集めていました。
貝殻を入れるのにちょうどいい木の箱ができると、貝殻を木の箱に入れて、コハクに贈りました。
コハクはとても喜んで、寝る時も木の箱を枕元に置いて眠りました。
ロクが持ち帰った桃色の花からお医者さんが薬を作ってくれました。
お医者さんはロクから鬼が棲んでいる島の話を聞くと「信じられない」と言いました。
鬼が人を襲わなかったのも信じられませんでした。
ロクが嘘をついているとも思えず、ロクでは採れそうもない場所に咲いている花を持ち帰ったのですから、優しい鬼がいたのだと、お医者さんとお母さんは思いました。
籠の中に入っていた花の中には根が付いているものもありました。
お医者さんのすすめで、ロクは家の畑に花を植えてみました。
ここで育ってくれれば、薬が必要な時にすぐに作ることが出来ます。
お医者さんの作ってくれた薬が効いて、ロクのお母さんはどんどん元気になり、歩けるようになりました。
なんでも食べられるようになったお母さんは、もう薬を飲まなくてもよくなりました。
ロクのお母さんは「鬼さんたちに何かお礼をしたいわね。」と言いました。
手先の器用なお母さんは鬼のパンツを作りました。
ロクとセキとコハク、3人お揃いのパンツです。
ロクは洞窟へ届けました。
洞窟の鬼たちはとても喜んでくれました。
ロクの家の庭に植えた花も少しずつ増えてきました。
ロクが遊びに来るようになったので、鬼たちは洞窟の入口を整備して、ロクの舟がそのまま洞窟に入れるようにしてくれました。
ロクも船の乗降がしやすくなりました。
もう舟が流される心配もありません。
また、ロクが怖がらないように、鬼たちはロクと同じくらいの大きさになって待っていてくれました。
「人は、こんな細い足で立っているんだね。ふらふらするよ。」
セキは言いました。
「同じになったなら、ボクだって負けないぞ。」
腕相撲を挑んでもロクはいつも鬼たちに敵いませんでした。
ロクとセキとコハク、お揃いのパンツを履いた3人は笑い合っていました。
ロクは、初めて洞窟に来たときにセキやコハクのおかげで、手のひらや膝の傷が治ったことを伝えました。
鬼たちは不思議そうな顔でロクのことを見ました。
セキのお母さんは、ロクのお母さんがこれからも健康で暮らせるように、石をひとつくれました。
その石はロクが持つと重く感じたのですが、お母さんのためにもらって帰りました。
その石を入れたお風呂に入ったためか、お母さんも健康で、ロクもお風呂に入ると疲れが取れて、翌日元気に働くことが出来ました。
お母さんとふたり暮らしのロクは、小さな畑がある小さな家に住んでいます。
ロクはまだ野菜を上手に育てることができなかったので、近所の田んぼや畑のお手伝いをして、お米やお野菜を分けてもらっていました。
自分の畑でも少しずつ野菜作りに挑戦していました。
またある日
お医者さんはロクに言いました。
「鬼の棲んでいる島でほかの野草も分けてもらえないだろうか?そうすれば、病気の人たちも元気になるかもしれないんだ。」
ロクは鬼たちに野草を分けてもらえないか聞きました。
鬼たちは協力してくれました。
お医者さんの大事な本を預かって海に落としてしまってはいけないので、ロクはお医者さんに紙をもらい、薬草の絵を描いて鬼の島へ持って行きました。
絵の上手なロクにお医者さんも感心しました。
少しずつ字も覚えました。
ロクは鬼たちに絵を見せながら、お医者さんに教えてもらったように、どの薬草がどの病気に効くのかを伝えました。
鬼たちは原生林の中から探して持ってきてくれました。
時には、ロクも一緒に行きました。
ついてきた幼いコハクが疲れて眠ってしまうと、ロクがおんぶして帰ることもありました。
持ち帰った野草はお医者さんに確認してもらいました。
字を書けるようになったロクは、原生林の中の鬼の通り道の地図を作り、どの道を行けばどの草が生えているのかわかるようにしました。
薬草は体調の悪い人たちを助けました。
病気が治った人は、お医者さんにお礼を言いました。
お医者さんは、ロクと鬼の棲んでいる島のことを話しました。
町の人々は「鬼にお礼がしたい」と言いましたが、鬼たちはお金を使っていませんでした。
鬼たちは「この島のものは自分たちのものではない。神さまからいただいたもの。お金はいらない。」と言いました。
「もてなしたいから、町に来て欲しい。」と大人たちが言っても、鬼たちが町に来ることは決してありませんでした。
それでも、ほんの少しの人だけは、工芸品や着物を鬼たちに贈りました。
鬼たちは、自分たちが使わないような着物なども、洞窟の中に大切にしまっていました。
ロクだけが島に入ることを許されていたので、ロクはいつもの小さな舟で運びました。
成長して体が大きくなってきたロクは、田畑で働きながら、お母さんと薬草のお世話をしていました。
時々、セキのところへ遊びに行きました。
鬼には鬼の暮らしがあるからです。
島へ行った時は、原生林を駆け回ったり、木登りをして遊びました。
ロクとセキとコハク、たくさん話をして、たくさん笑い合いました。
ロクには兄弟がいなかったので、セキとコハクのことを本当の兄妹のように思っていました。
お医者さんは「神さまにいただいたものを鬼たちが守ってくれているんだね。」と言いました。
町の人々は、病気が治ったことに感謝して、働きました。
町の漁師たちは、遠くの海へ行った時に綺麗な貝殻やめずらしい貝殻を持ち帰って集めていました。
貝殻を入れるのにちょうどいい木の箱ができると、貝殻を木の箱に入れて、コハクに贈りました。
コハクはとても喜んで、寝る時も木の箱を枕元に置いて眠りました。
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる