悪役令嬢な眠り姫は王子のキスで目を覚ます

永江寧々

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信じる者が馬鹿を見る

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「君は大したものだな」

 聞きたくもない声に足を止めず進んでいくと勝手に隣に並んでくる鬱陶しい相手。
 よくも平気な顔で声をかけられたものだと呆れてしまう。

「申し訳ありませんけど、話しかけないでくださいます?」
「冷たいな」

 どの口が言っているんだと溜息をつきたくなる相手の言葉にティファニーはもう目も合わせる気になれなかった。

「後悔しているんじゃないのか?」
「わたくしの辞書に後悔などという愚かな言葉はありませんことよ」
「アーロン・オールストンが帰ってきたからか?」
「ええ」
「いや、違うか。クリストファー・ブレアに気に入られたからか」

 コンラッドにクリストファーの名を口にしてほしくなかった。
 マリエットの傍につくようにはなったが、相変わらず毎日違う女を連れ歩いてはどこかでイチャついているような男がクリストファーのような誠実な男の名を口にして鼻で笑うのは不愉快でしかない。

「あの日、あなたが遅れてきてくださったおかげで出会えましたの。計画こそ失敗に終わりましたけれど、今は感謝していますわ」
「遅れた理由を聞かなかったな」
「あなたに興味ありませんもの。寝坊だろうとイチャついて遅れていたのであろうとどうだっていいことですわ」

 今では心の底からそう思っていた。
 ニヤつきながら話すのは以前からそうで、何も変わっていないのに今はそのニヤついた顔が不愉快極まりなく気分が悪くなる。
 自分はヒロイン候補でもないのだから嫌悪感丸出しの表情を見せたところで評判が落ちる事もないとあからさまな表情で見つめた。

「王族への口の利き方を知らない公女はどうなると思う?」
「さあ? 知りませんわね。もし気分を害したのであれば慕われる王族らしくしてみてはいかが? そうすればきっと口の利き方を知った公女と出会えることでしょうね」

 家に関わる事かもしれないのにティファニーは引かなかった。自分から縁を切った相手からの脅しに今更媚びを売るような真似はしたくなかった。これが父親に知られれば大目玉だろうが、父親の気持ちもティファニーにはどうでもよかった。

「公女のままでいたいだろ?」

 追い詰めるように迫ってくる相手に一歩二歩と下がれば背中が壁に当たり、顔の傍に手をつかれる。右も左も手があり、抜けるには身体を屈めて抜けるしかないが、足を出されてしまえば終わり。
 相手がどこまで動くかわからない以上は下手に動けなかった。

「あら、そうしてくださいますの? 公女でなくなれば悪役令嬢をする必要もなくなり、わたくしは晴れて自由の身。思うがままに生きられますわね。喜ばしい限りですわ」

 公女の地位に胡坐をかいた事は一度もなく、今は今までよりずっと公女でなくなる危険を感じながら危ない橋を渡り続けている。
 爵位を奪われ、僻地に追いやられたとしてもティファニーは生きていける自信があった。今よりずっと自由に、両手を広げながら農民の子供のように駆けまわるだろう。

「……謝るなら戻ってやるが?」
「戻ってきたいの間違いでしょう?」
「君には俺の協力が必要だ。事実、最近の君は腑抜けのようにマリエットに手出し出来ていないじゃないか。悪役令嬢としての役目を忘れているんじゃないかと疑ってしまうほどだ」
「ご心配感謝しますわ。でも余計なお世話ですのよ。わたくしにはわたくしのやり方があって、誰かに強要されるものではありませんの。放っておいてくださる?」
「そうしたいのは山々だが……」
「女々しく未練たらたらのようですけれど、わたくしはあなたに何の未練もありませんの。他を当たってくださる?」

 腕をどけろと力を込めるもビクともしない。眉を寄せながら見上げる顔はティファニーよりずっと不愉快そうでわけがわからなかった。
 コンラッドが嫉妬故に脅しに出たのではないかと推測するも女に困っていない相手が生意気な相手に執着する理由がわからなかった。離れる時にも見えなかった未練だが、今こうして話しかけてきてはクリストファーの名を挙げるところは嫉妬を感じる。
 モテる人間のプライドがそれを嫉妬だと認めて謝罪をし、自ら戻るという行動にストップをかけているのであれば惨めだとティファニーは思う。

「俺の後ろ盾があれば君は思いのままにイイ人生を歩めるんだぞ」
「あなたの後ろ盾がなければわたくしはイイ人生を歩めないと?」
「そうは言っていないが、自分の思い通りにはならないだろう。伯爵はそれほど高い地位にはいないからな」

 ———こういうところが……

 決定的だとティファニーは小さく肩を揺らして笑ってしまう。

「わたくしは伯爵家の娘で満足してますの。王族になりたいとか公爵家になりたいとかそんな高望みはしませんわ。なりたいとも思いませんもの」
「クリストファー王子の妻にもか?」
「彼はわたくしをそういう目で見ていませんの。よき友人ですわ。誰もがあなたのように下心で異性に接すると思わない方がいいですわよ」
「所詮は男だ」
「彼は眠っているわたくしにキスなどしません」
「したくないだけじゃないの、ガッ!」

 キンッという音が響きそうな股間の蹴り上げにコンラッドの目が見開き、そのまま地面へと膝から崩れ落ちた。
 王子が股間を押さえながら膝をついて額まで地面に着けながらうなり声を上げて痙攣する姿はそう見られるものではないだろう。

「わたくしに下心を持つ常識知らずより下心を持たない常識人の彼と一緒にいる方がイイ人生を歩めてますわ」
「ぐおおっ……」
「王子に頭を下げていただいて気分がいいんですの。このまま失礼しますわね。ごきげんよう」
「待てティファニ……うぐぅっ」

 引き留める事も出来ないほどの痛みは確実に入った証拠で、平手打ちの手は殴ってくるという予想がついていれば警戒で止められるが、世の中に王子の股間を膝蹴りする女がいるとは誰も想像していない。女遊びが激しく、女性を怒らせた回数は星の数ほどあれど一度だって股間を蹴られた事はなかった。
 ティファニーは予想のつかない行動をするだけにコンラッドは苦しみながらも面白いと再認識していた。

「ティファニー、探していたのよ」
「どうしましたの?」

 奥で愛しのコンラッドが股間を押さえながら悶え苦しんでいることも知らずに笑顔で接近してきたマリエットを見ているとニヤつきそうになった。それを堪えながら首を傾げると目の前に突き出されたのは立派な封筒に入った招待状。

「パーティーでもしますの?」
「お茶会よ」
「わざわざ招待状で?」
「ええ。うちの庭でするものだから。来てくれるでしょう?」

 最近のお茶会はずっと学校で開かれるものだった。その場で解散できるし、もてなしは必要ないため楽だと誰もが思っている。制服で参加という誰にもけなされない服装での参加というのが最も楽で、皆それが気に入っていたのにマリエットは自宅でお茶会を開くと言い出した。
 この招待状を受け取った公女達は皆うんざりしているだろうと同情してしまう。

「ブランチですの?」
「いいえ、夕方からよ」
「夕方からお茶会?」
「ええ、おかしい? まだお昼は暑いし、夕方は涼しいし、帰る頃にはディナータイムでいいと思うの」

 いい迷惑としか言いようがないが、最近のマリエットはコンラッドがいる事で前より大人しいため嫌味なく乗る事にした。

「手土産はいりますこと?」
「んー、お茶持ってきてもらえる?」
「わかりましたわ」

 まるで普通の友達同士のように話す感覚は不思議だったが、最も不思議なのは自分が今一番苛立っている相手はマリエットではなくコンラッドであるということ。
 マリエットを見れば嫌がらせをしようと思っていたのが、今この瞬間にコンラッドに感じたほどの怒りはなかったのだ。

「じゃあ楽しみにしてるから」

 婚約者候補が傍にいるようになって安心したのかと安直な考えに陥りながらポケットに招待状をしまうと話し終わるのを少し離れた場所で待っていたアーロンが手を振り寄ってくる。

「大丈夫?」

 開口一番その言葉かとティファニーは笑ってしまう。

「何か言われたわけではありませんのよ。今度マリエットがお茶会を開くから来てほしいと誘われただけですの」
「悪役令嬢やらされるんじゃないの?」
「そんなの朝飯前ですわ。今まで何度お茶会で悪役令嬢をしてきたことか。もしマリエットがそれをお望みなら叶えるつもり」
「普通の令嬢として参加するのはダメなの?」
「わたくしに普通を望んでる方がいるとでも? 気味悪がられるだけですわ」
「そんな事ないと思うけど……」

 アーロンにはわからなかった。苦痛だろう役割を自ら望んで引き受けているティファニーは一体何を原動力に動き続けているのか。
 コンラッドがマリエットの婚約者候補だから出来るだけ接触しないようにと考えるのはわかるが、コンラッドとは会話をしてみてどこかティファニーに執着しているように感じた。
 マリエットは相変わらずティファニーに意地悪で、そんな人間がヒロインになれるはずがないとアーロンは確信している。いつか化けの皮が剥がれる時がくると。
 弱味を握るティファニーならいつだってそれが出来るのにそうしようとしないのは何故か……それがわからなかった。

「僕それ貰ってない」
「お茶会は男子禁制」
「そっか。じゃあしょうがないね」

 公爵家の息子でありながら何事にも疎いアーロンは威張りもせず、公子である事を忘れてしまう性格でティファニーは一緒にいると安心できた。
 留学しても変わっていない事が嬉しかった。

「お茶会で嫌がらせされたら僕の名前出していいからね」
「ふふっ心配しすぎですわ」
「だってマリエットだよ? 気を抜いちゃダメだ」
「今回はそんな事ないように思うんですの。だから心配は必要ありませんわ」

 安心させるように笑顔を見せたティファニーの勘は驚くほど頼りにならなかった。






「……これは……」

 当日、馬車を降りたティファニーは驚きに絶句して立ち尽くしていた。

「お嬢様? いかがなさいました?」
「……いえ、待機しててくれる?」
「かしこまりました」

 ゆっくりと歩きだすティファニーの手は震えている。
 目の前に広がる光景は自分が想像していたものとは違い、悪質でたちが悪いものだった。

「あーら、ティファニー・ヘザリントンじゃない」
「クラリッサ・マーシャル」
「呼び捨てだなんて大した身分にいるのね」

 悪意ある呼び方と声色にティファニーは怒りを抑えるようにゆっくり息を吐き出す。
 男子禁制であるはずのお茶会の場所には当たり前のようにドレスアップした男がおり、その傍にはパートナーである女がお茶会に相応しくない煌びやかなドレスに身を包んでエスコートされているのが見えた。
 これはお茶会ではなくパーティーだと歯を噛みしめる。

「あなた、ドレス持ってなかったのね。それってお茶会に着ていくようなドレスじゃない。ヘザリントン伯爵家がそんなに貧乏だったなんて知らなかったわ。私のドレス貸してあげましょうか? ああ、ちんちくりんなあなたじゃ無理ね。ドレスを引きずっちゃう」

 同じ公爵家の人間としか話さないクラリッサが中央の噴水の近くで男爵や子爵達と話していた理由はティファニーを笑いものにするためだったのだと気付いた。
 一応伯爵令嬢であるティファニーを男爵や子爵が笑い者にするのはためらいが見えたが、普段から馬鹿にされていた恨みもあるのかクラリッサがいるからと合わせるように皆で大笑いしていた。
 夜会服ではないイブニングドレスは絢爛豪華なパーティーには相応しくなく、自分だけ浮いており、パーティーに紙袋に入った手土産を持っている姿もクラリッサによって笑い者にされてしまう。
 俯いて唇を噛んでいたティファニーはいつものようにどうするどうすると頭の中で考える事もなく笑顔で顔を上げた。

「あなたのドレスじゃ胸元が窮屈で破いてしまうかもしれませんので遠慮しますわ」
「なっ……んですって……」
「聞こえませんでした? あなたの貧乳が収まるドレスはわたくしにはキツイと言ってますの」
「スタイルがよくてごめんなさいね」
「枝のような身体が羨ましいですわ」

 自慢できるような身体ではないが、クラリッサよりは胸がある。コンプレックスに感じやすい部分だろうと責めたが見事的中。さっきまでの余裕はどこへ消えたのかクラリッサが顔を赤くしながら睨み付けてくる。

「そのお茶はなあに? パーティーでお茶でも出すつもり? まさか立ちながら紅茶を飲むなんていう下品なことは言い出さないわよね?」
「マリエットに頼まれたお茶ですの。お茶会と言われてきたものですから特別なお茶を持参しただけですわ。わたくしったらすっかり騙されてしまいました。お茶会に行く服にお茶会用のお茶。お茶会に出るつもりだった事は恰好を見ればわかるでしょう?」
「勘違いした言い訳にしては立派ね」
「事実ですもの」

 クラリッサが仕組んだ事だとわかってもパーティーはもうすぐ始まる。今更この場で起こせる行動など何もない。どんなことを言おうとクラリッサが言う通り言い訳にしか聞こえないのだ。
 強気で出続ける事は時に惨めに思わせる事もあると自覚する。

「クリストファー王子よ!」
「嘘! どうして!? 交流あったの!?」
「その場違いな姿見られる前に帰ったらどう? マナーも知らないのかって思われたくないでしょ」

 クリストファーが今の姿を見れば不思議そうな顔をするだろう。その事情を説明すればきっとわかってもらえる。笑い者にしたり常識知らずだと思うような人間ではない。しかし、事情を説明したところで困らせるだけだ。内輪揉めに巻き込んでいいはずがない。
 何より、自分はそんな立場にないのだから「違うんです。これは……」という説明に意味はなかった。

「……ええ」

 くだらないパーティーなんかと頭に浮かんだ言葉は負け犬の遠吠えに聞こえそうでやめた。
 遠目で見るクリストファーは相変わらず爽やかで好青年。声だけでも聴きたいと思うのに今の格好を見られたくなかった。
 くだらないプライドを持っているのは自分も同じかと自嘲して馬車へと踵を返す。

「お招きいただき光栄です」
「こんな小さなパーティーに来ていただけるなんて光栄ですわ」
「コンラッド王子の婚約披露パーティーだと思っているのですが、違いましたか?」
「ふふふっ、そうだとよいのですが」

 コンラッドが誘えばクリストファーは王子として来る。交流を大切にするブレア家の王子を誘い出すのは簡単だった。
 クリストファーの顔を見るのは不快だが、クラリッサとクリストファーをくっつけるためだと言われれば動かないわけにはいかなかった。
 マリエットとクラリッサが仕掛けた嘘のお茶会にティファニーを呼び出し、クリストファーを呼んで見せつける。
それが今回の目的だった。

「マリエット、ここにいたのね」

 ワザとらしい声掛けにマリエットが振り向くと笑顔でクラリッサを紹介する。

「王子、彼女はクラリッサ・マーシャル。私の一番の親友なんです」
「クラリッサ・マーシャルでございます」

 マリエットさえ聞いたことがないクラリッサの柔らかい声にクリストファーが笑顔を見せる。

「クリストファーです」
「王子はマレニス王国からいらしてくださったのよ、クラリッサ」
「まあ、そのような遠くから。お疲れではございませんか?」
「いえ、馬車に揺られるのは嫌いではないので」
「マレニス王国のお話聞かせていただけませんか? 他国の歴史に興味があるんです」
「女性で歴史に興味があるとは驚きです」

 ソファーの方へ上手く誘いだすことに成功したクラリッサは完璧な笑顔で隣を歩いていく。ソファーまでの道はヴァージンロードをイメージしながら歩く。賑やかな声は自分への祝福。あとは大きな鐘の音があればシミュレーションは完璧だと内心ニヤついていた。

「誰か帰っていくみたいですね?」
「たぶん挨拶だけで帰られたんだと思います。お忙しい方もいらっしゃいますから」

 貴族からわかるだろうとクラリッサの取ってつけた説明にクリストファーは納得してしまう。

「今日、パートナーがいなくて、もしよろしければ一曲踊っていただけませんか?」
「僕でよければ」

 クラリッサの小さなガッツポーズは誰にも見えていない。

「ティファニー・ヘザリントン嬢は来ているのでしょうか?」
「……ティファニー、ですか?」
「ええ、知り合いなんです。もし来ているのなら挨拶をと思いまして」

 クリストファーの口から出たティファニーの名前にコンラッドとクラリッサの表情が変わる。戸惑うクラリッサに眉を寄せるコンラッド。
 マリエットも不愉快な名ではあるが、対象ではないためどうでもいいと思っている部分があった。

「ティファニーはこういう場所が苦手でほとんど出席しませんの」
「そうでしたか」
「親しい間柄ですか?」
「いえ、そういうわけではないのです。他国に知り合いが出来たので挨拶をしようと思っただけです」

 ハッキリ違うと言い切ったクリストファーに安堵したクラリッサは少し大胆に手を握ってそのままソファーへと引っ張っていく。
 似合わない無邪気な演技にマリエットは若干引きながらもコンラッドに腕を絡めた。

「ありがとうございました、コンラッド様。クラリッサってば、私でも見た事がないぐらいハシャいじゃって」
「二人が結ばれるよう尽力するさ」

 ティファニーとくっつけるわけにはいかないという思いだけで動いているコンラッドは張り付けた笑みを浮かべながらクリストファーを見た。
 特別であるかのように特定の人物の名を出した男がコンラッドは気に入らなかった。

「ただいま戻りました」
「あら? どうしたの? お茶会だったんじゃ……」

 すぐに帰ってきた娘に驚いた母親が心配そうに声をかけるがティファニーは笑顔を見せる。

「退屈だったから帰ってきましたわ」
「退屈って……」

 家を出てさほど時間は経っておらず、往復時間を考えるとお茶会に出席して退屈だと思うような時間はない。茶葉が入った紙袋を持っているのが出席していない証拠だと思うも母親はそれに関して何も言わなかった。
 父親に反抗はしても母親に反抗はしない娘はいつだって心配させないように嘘をついてきた。

「大丈夫。辛くなんかありませんわ」
「気に入ってますのよ、悪役令嬢」
「媚びなくていいから楽ですの」
「寝ていても怒られないって最高」

 いつだって母親には笑顔を見せていた。だが、それを真に受けた事はない。夫がこぼす愚痴で何が起こっているのか全て知っていたから。
 母親としてしてやれることは何もない事が辛く、今回だってそうだった。きっとマリエットに何かされたんだと思うのにウインクル家に文句一つ言うことも出来ない。

「退屈だったなら仕方ないわね。じゃあアビゲイル達も呼んでお茶会にしましょうか」
「素敵ですわね」

 出来ることは笑顔でその嘘を受け止めてやる事だけ。

 久しぶりに巻けたと思うティファニーだが、実際は負けた事はさほど悔しくはなく、それよりもクリストファーに声をかけられなかった事の方が悔しかった。
 気遣ってくれる母親に笑顔を向けながらその小さな悔しさを紅茶と一緒に流し込んだ。
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