悪役令嬢な眠り姫は王子のキスで目を覚ます

永江寧々

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優しすぎる王子様

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「ティファニーお客様よ! ティフィー!」

 ドンドンドンッと音を立てるドアは拳で叩かれていることがわかるほどで、アビゲイルの慌てように何事かと急いでドアを開けた。

「やあ」

 立っていたのは色香漂うアビゲイルではなく爽やか王子のクリストファーだった。

「……え?」

 訝しげにでもなく、喜びでもなく、驚きでもないティファニーの声は本当に何なのかわかっていないもので、クリストファーは傾げられる首に合わせて自分も首を傾げた。

「今日、マリエット・ウインクルの家でパーティーがあったの知ってたかい?」
「ええ」
「どうして来なかったんだい?」
「パーティーが嫌いだからですわ」

 部屋に入れて紅茶が来るまで無言だったが、運ばれてきた紅茶を皮切りに話し出したクリストファーにティファニーは頷く。
 自分はあの場所に居たのだ。お茶会だと誘われて行ったら実はパーティーで、あなたに常識のない恰好をしていると思われたくなかったから帰ったと言いたかった。
でもティファニーは言えなかった。

「僕もそうだけど、君がいると思って行ったんだ」
「誘われたのでしょう?」
「コンラッド王子からね」

 ———クラリッサのためにマリエットがコンラッド王子に頼んだのね。

「でも行ったのは君に会えると思ったからだよ。でも行ってみたら君はいなかった」
「わたくしがパーティー好きじゃない事は手紙に書いたはずですわ」
「でもマリエットのパーティーだからいるかなって。同じ想いだったら嬉しいなって……」

 ドキッとした。
 クリストファーが行ったのはコンラッドに招待されたからではなく、自分に合うためで、自分も同じ想いだったらという事はパーティーは嫌いだけどクリストファーに会えるかもしれないから来たと言ってあの場所に居てほしかったということかと、押し寄せる変な期待に首を振って勘違いを吹き飛ばす。

「マリエットのパーティーにあなたが来るなんて思いもしませんでしたわ」
「そうだよね。普通は思わないか」
「ええ。あなたこそ手紙で教えてくださればよかったのに」
「急だったから」
「電話が……」
「番号教えてもらってない」

 苦笑したくなる返しに墓穴を掘ったとテーブルに突っ伏したくなった。
 電話の話は何度か手紙でのやり取りにあったが、あえてその内容には返事をしなかった。

「こんな聞き方はズルいと思うんだけど……」
「そんな予感がしますわ」
「じゃあズルい男と思って聞いてほしい。番号教えるの嫌かな?」

 ズルい聞き方だと思った。嫌かどうかで聞かれてしまえば頷けるはずがないのだ。クリストファー・ブレアと電話が出来るという栄誉を誰が断るだろうか。だが、ティファニーはそれにすぐに返事が出来なかった。

「手紙だけでは不満ですの?」
「不満はないよ。ただ、声が聞けたらもっと嬉しいなと思って……」

 ストレートな言葉にティファニーは心臓が口が飛び出そうだった。あまりの恥ずかしさに目の前にフィンガーボウルがあれば顔を突っ込んでいたところだ。

「でも、電話番号など調べればわかる事でしょう? 何故わざわざお聞きになられるのです?」

 王族に隠し事は出来ない。クリストファー・ブレアが『アルバート・ヘザリントンの番号を教えてくれ』と言えばすぐに番号が書かれた紙が目の前に差し出される事だろう。何故わざわざ聞こうとするのかがわからなかった。

「勝手に番号を調べられて電話をかけるのは違うかなって思うんだ」
「……何故?」
「だって、気持ち悪いだろう? 番号は調べた。君の声が聞きたかったからって言っても君はきっと気味が悪いと言うか、電話の向こうで無言で僕を軽蔑する」

 当たっていた。声が聞きたかったからという言葉にはときめいても本人の意思を無視して電話をかけてくるような相手ではないから惹かれてしまうのだ。
 自分勝手ではなく、相手のことをちゃんと思いやれる相手だからこそこんなにも嬉しく思ってしまう。

「わたくし、電話はほとんどしたことがありませんの」
「じゃあ、僕で練習するっていうのはどうかな?」
「練習?」
「朝はおはようだけ。夜はおやすみだけとか……どう?」

 伺うように言われて断れるはずがない。あのクリストファー・ブレアとそんな電話が出来る人間がこの世に何人存在するだろう。家族、友人……いや、友人の中でも親友枠に入っている人間だけかもしれない。そんな中に自分が入れる光栄さに身震いを起こした。

「僕もお喋りな方ではないから電話が得意ってわけじゃないんだ。相手の顔も見られないからね。出来ればこうして会って話したいけど、国が違うし、近いってわけでもないからいつでも会いに行けるわけじゃない。手紙だけでも満足だったんだよ、本当に。君の字で書かれた君の話を読むのはとても楽しかった」

 では何故?などという疑問を口にするほどティファニーは鈍感ではないし無粋でもない。そしてそれに慢心してニヤつくほど自惚れてもいない。今はそれが自分が考えている意味と同じかどうか不安でならなかった。

「でも僕は……自分が思うよりずっと欲深い人間らしくて、もう少し君と近い距離に居たいと思ったんだ」

 ティファニーはふいに恋愛小説に書かれている一文を思い出した。

(身体が震えるほどの想いに浸りながら喜びの涙で頬を濡らした)

 想いで身体が震えるとはどういうことだとずっと疑問だった。自分の周りで恋をしているのはマリエットだけで、その周りにいる令嬢達も恋の話はしてもミーハーなだけで本気の恋という風には見えなかった。コンラッドを取り巻く女達を見ていれば恋がいかにくだらないものかと冷めた気持ちでいたのに、今、ティファニーは身体が震えるのを感じていた。身震いではない。深呼吸をしたくなるほど苦しくなる胸に、滲みそうになる涙。
 コンラッドに抱いていたモノとは別物の想いが全身を駆け巡る。

「こんなこと聞くのは男としておかしいのかもしれないけど、手紙で伝えるのもかっこ悪いと思ってて……今日、伝えようと思って来たんだ」

 返事も出来ないまま見上げるとゴホンと咳払いしたクリストファーがティファニーの手を握った。

「君を……好きになってもいいかな?」

 言葉は耳を通るのに身体同様脳までフリーズしたティファニーはクリストファーの目を見つめたまま黙っていた。

「正直に言えばもう君に惹かれてる。でもいきなり君を好きだって言うと困らせるだろうし、焦って答えを出してほしくないから。あと、意識してほしくて……」

 本音をここまでさらけ出す人間は珍しかった。ティファニーが知る貴族は嘘つきばかりで見栄の張り合いしかしない。自分がいかに優れているか、自分の交友関係がいかに広いものかばかりで相手の事を考えられるような人間はいなかった。
 手を握る相手は王子なのに威張るどころか控えめで、自分を欲深い人間だと認めながらもそれを強引に押し付けたりしない優しい人。

「ええ、かまいませんわ」

 本当は今すぐにでも「自分も同じことを聞きたかった」と言いたかった。もう好きになり始めていることも。だが、出来なかった。
 まだ何の決着もついていない。コンラッド、マリエット、クラリッサ。マリエットはコンラッドさえいればいいと思っていたが、そうではない。今までのティファニーの態度を根に持っていてそれに仕返ししようとクラリッサと手を組んでいる。
 このままクリストファーの手を握り返してしまえばきっと幸せになれる。クラリッサに鼻で笑って自慢して悔しがらせる事だって出来るだろう。しかし、それでは意味がない。ターゲットはクラリッサではなくマリエット。
 クリストファーを相手にすればコンラッドも何かしらの反応は見せるだろう。それもティファニーの望みではあるが、マリエットには効果がない。マリエットを陥れるためにはコンラッドに接近しなければならず、それを避けたいティファニーの問題は山積みで、巻き込んでしまう可能性がある以上はまだ好意ある返事は出来なかった。

「ありがとう。嬉しいよ」
「電話番号、お教えしますわ」

 返事は出来ずとも繋がりは持っていたい。だから、ティファニーは紙に電話番号を書いて渡した。

「今日、君とまた踊りたかったんだけどな」
「わたくしがダンスは苦手だと言ったのをお忘れになられましたの?」
「君が言ってくれた僕の完璧なリードで踊ろうと思ってたんだよ。運命的な出会いを思い出しながらね」

 クリストファーの言葉にティファニーは思わず吹き出して笑う。

「何かおかしなこと言ったかな?」
「だってあれを運命的だなんておかしいですわ。ぶつかって転びそうになったわたくしをあなたが受け止めたわけでも、目と目が合った瞬間に運命を感じて引き寄せられるように無言でダンスを踊ったわけでもありませんのよ?」
「僕が君の取った食事を欲しがった」
「子供のようにね」
「君に興味があったんだ。パーティーに来てあんなに軽食をお皿に乗せてる令嬢初めて見たから」

 普通は軽食さえ口にしないのにティファニーは男を漁りに行ったわけでもパーティーを楽しみに行ったわけでもないため人の目などどうでもよかった。空腹だったのもあって食事をしようと皿に盛れるだけ持っていたのをクリストファーに声をかけられたのだ。
 あの時は王子と知らずに生意気な口を利いたが、今思えば処刑ものだと苦笑する。

「女性って表と裏で顔が違うっていうし、僕を素敵だと言ってる裏で何を言ってるのかとか、どこを見て素敵って言ってるのかって疑っちゃって……どうも女性付き合いが苦手だったんだ」
「難儀な性格されてますのね」
「よく言われる。だから両親は僕を心配してお見合いをさせるんだけど、上手く楽しい話題に繋がらなくて失敗するんだ」
「断られますの?」
「まあ、そうだね」

 王子の相手であればどこかの国の王女だろうと想像すれば王女にも王女の好みがあって、クリストファーがどれほど優しくイケメンであろうと口下手で会話が続かないのであれば魅力も半減なのかもしれないと想像はついた。
 王女はクリストファーだけが見合いの相手ではないだろうから探せば優しいイケメンの話し上手な王子がいるはず。羨ましい限りだと思ったが、ティファニーはクリストファーが良かった。

「だからすぐに答えは出してほしくないんだ。僕という人間をちゃんと知ってもらうための時間が欲しい。君の事ももっと知りたいから」
「わたくしを知れば知るほど嫌いになりますわよ」

 悪役令嬢などやっている、やれている自分の本性を知れば、今もってくれている想いも消えてしまうのだろうと思うと声が小さくなった。

「君は自分が嫌い?」
「ええ」
「じゃあ僕が好きになるよ。君が嫌いな部分全部、僕が好きになるから」

 予想もしていなかった言葉に目を瞬かせるもギュッと握られた手が嘘ではないのだと信じさせてくれる。
 優しいという言葉では到底足りない相手の言葉に吐き出す息が震える。への字になる口を、震えで鳴る歯を抑えるために唇を噛みしめるも唇が震えてしまう。

「良い部分も悪い部分も見せてほしい。嘘偽りのない君を見たいんだ」
「嫌いになりますわよ? わたくし、性悪なんですもの」
「覚悟しとく」

 笑顔で覚悟と言ってくれる相手に好きだと伝えてしまいたくなる。でも相手の言う通り、まだ互いに知っていると言い合えるほど知り合えてはいない。嫌な部分などあるのかと疑いたくなるほど優しい相手の嫌な部分なら自分だって受け止めたいと思う。相手もそう思ってくれているのならこんなに嬉しい事はない。
 もし、受け入れてもらえなかったとしても、そう思ってもらえただけでじゅうぶんだと思えるほどクリストファーの優しさに触れられて幸せだった。

「あまり長居しすぎてもいけないから今日は帰るよ」
「ええ」
「見送りはここでいいよ」
「馬車までお見送りしますわ」

 すぐそこだからと行こうとするティファニーの肩に軽く手を乗せて首を振るクリストファーの優しい笑顔は逆効果で、見送りに行きたくなってしまう。
部屋から馬車までの距離は短くとも、その短い間だけでも一緒にいたい。

「夜風は冷たいから君の身体を冷やしてしまう。当たらせたくないんだ。だからここで」

 好きになるなという方が無理だと胸を押さえながら見上げると何か言いたげに見るクリストファーに首を傾げる。

「額へのキスは……まだ早いかな?」

 早くないと答えれば軽い女と見られるかもしれない。だが、早いと答えればチャンスを失う。全て自分の答え次第で相手の行動が決まるとわかっているだけにイエスかノーの答えがティファニーの頭の中でぐるぐる回る。
 そう迷っている間に額にキスが降ってきた。

「聞いた意味……」
「あ、その、チャンスは掴めって……教えられてて……」

 言い訳にしては弱いが、ティファニーは笑ってしまう。その笑顔に安堵したクリストファーはもう一度額にキスをして「おやすみ」と囁き、部屋を出ていった。
 窓辺へと移動して馬車を見れば、乗る前に振り返ったクリストファーが手を振ってくれる。それに手を振り返し、馬車が離れるのを見送ったティファニーはそのまま床に座り込んだ。

「ティフィー、王子様は帰ったの?」
「ええ……」
「こんな遅くに訪ねてきて何を話してたの?」
「色々……」

 詳細は聞かずとも真っ赤な妹の顔を見れば良い話だったというのはわかる。
コンラッドもイイ男だったが、マリエットが狙っている以上は厄介な相手で、クリストファーはそうではない。他国の王子が一人で会いに来るなどよっぽどの理由がない限りはありえないことだ。王族でもない、ただの伯爵家に来るのだから姉であるアビゲイルだって期待してしまう。
 父親の勝手で人生を歪められた妹が幸せになる道があるのなら姉として応援しないわけにはいかない。

「今度の休み、一緒にドレスを買いに行きましょう。あなたに似合うの選んであげるわ。次、クリストファー王子に逢う時は素敵なレディになって会わなきゃね」

 こくんと小さく頷くティファニーは信じられない夢のような時間に暫く床に座ったままになり、ベッドに入る頃には夜が明け始めていた。

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