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聖女3
〈ファーディナンド、一緒にお茶を……っと―?〉
まだいたのか、とは言わないが、顔には書いた。その上でニコッと笑っての会釈。
ファーディナンドの執務室に何故聖女がいるのかと不思議でならない。不思議なのはそれだけでなく、執務室にいるファーディナンドが、あの仕事の鬼が手を止めているだけでなくソファーに座って聖女とお茶をしていること。
「どうした?」
ドアを開けて中を覗き込んでいた姿勢を戻して中に入り、ファーディナンドの隣に腰掛けながらメモ帳にペンを走らせる。
〈あなたと二人でお茶がしたいなって思ったの〉
「俺は今している。お前も一緒にどうだ?」
目を半開きにしたイベリスは〈二人で〉の文字をペンで何重にも囲って強調すると「ああ」と言葉を漏らす。
〈でもいいわ。聖女様が滞在する時間は短いわけだし、皇帝として、しっかりおもてなししてあげて〉
「お前は皇妃なんだがな?」
〈私は十六歳よ? 皇妃として誰かをもてなしたこともない。下手に余計なことを口走ったら困るでしょ?〉
いつもなら絶対に言わない言葉をそれらしい理由として使うイベリスを横目で見るもこれ以上の言い合いは聖女に何を話しているかバレてしまうためファーディナンドのほうから口を閉じた。
立ち上がるイベリスの手を掴んで引き留めると頬にキスをした。目玉がこぼれ落ちそうなほど目を見開くファーディナンドの力が緩んだところでスッと手を抜いてドアへと向かう。
こちらを見ている聖女と目を合わせて再び微笑み、もう一度会釈をしてから出て行った。
(オエッ……吐きそう……)
リンウッドには何度もした行為だが、ファーディナンドにするのは違うと思った。吐く真似をするイベリスを外で待っていたサーシャとウォルフが見てそれぞれに反応を返す。
〈どうかなさいましたか?〉
〈聖女がいたの。既に二人きりでハッピーなお茶会してる〉
〈残念ですね〉
「じゃあいつもどおり、三人でお茶会をしましょうか」
ワンッと吠える声が足元から聞こえ、こちらを見上げるマシロの前にしゃがんでウォルフが頭を撫でる。
「ごめんごめん。言わなかっただけでお前も一緒だ」
三人で向かう別館。リンウッドが庭に落ちてからイベリスは庭に近寄らなくなった。上から見る分には平気だが、お気に入りだったテーブルがリンウッドが落ちたことで破壊され、ファーディナンドが一新してくれたが、新しいのを見るたびに新調した理由を思い出すことになるからと別館のティールームを使うことにしている。
ここから見えるのは庭ではなく門。美しい噴水が見えるのも悪くないと気に入りつつある。だが、デメリットもあった。
〈今日は貴族の出入りが多いのね〉
「聖女が来てからずっとですよ」
毎日飽きもせずに貴族は聖女に一目会うべく、足繁く通い続けている。城門前に停められる何台もの馬車。後ろを歩く付き人に贈り物らしき箱を持たせながら意気揚々と歩く貴族。
〈皇妃になってから一度も貢ぎ物なんてもらったことない〉
「貴族は利益でしか動きません」
〈私に貢いでも利益がないって判断したってこと?〉
「利益をもたらしますか?」
〈いいえ〉
「そういうことです」
おおかた、聖女の力目当てなのだろうことはイベリスもわかっている。利益狙いで貢ぎ物をもらったところで喜びはしないのだが、自分が見てきた貴族はどうにも気まずそうで、苦笑ばかり。ロベリアであってロベリアじゃないから。
(ロベリアが嫌われてたってことはないかしら?)
都合の良いように解釈したいと考える自分に苦笑する。
「歌を聴きに来ているんでしょうね」
〈彼女は毎日歌ってるの?〉
「聖女の歌声には加護が宿っているらしく、歌うことによってテロスに加護を与えるそうです。それが守護壁となるとかなんとか」
フンッとあからさまにサーシャが鼻を鳴らす。
〈彼女の歌声ってどんな感じ?〉
「美しいですよ」
〈鳥の歌声とどっちが美しい?〉
「鳥ですね」
笑顔での即答にイベリスが大笑いする。聖女と答えるのではないのかとおかしくてたまらない。
「今も歌声が聴こえていますよ」
「不愉快だわ、あの声」
「自分が音痴だから……あーッ!!」
ピキピキッと音を立てて腕が凍り始めたことに慌てて声を上げるウォルフの声が表示される。大きな文字に目を瞬かせるもサーシャを止めようとはしない。ウォルフが言おうとしたのは余計なひと言だと判断し、サーシャが置いてくれたクッキー缶に手を伸ばした。
「凍傷になるとこだった……」
すぐに解除されたが、腕はしっかり冷えている。何度も叩いて刺激しながら火傷でもしたように息を吹きかけるウォルフがイベリスの向かいに座る。サーシャは既にお座りして待っているマシロの前にシェフお手製のジャーキーを置いてからソファーではなく椅子に腰掛けた。
〈皆メロメロなのね〉
「みたいですね」
〈あなたたちは?〉
「あの歌声は別次元だと思いますけど、俺は鳥のさえずりのほうが美しいと感じるほうなので」
サーシャには聞くまでもない。サーシャは基本的にイベリス以外の人間は受け付けないとしている。イベリスにとってそれはありがたいことではあるが、使用人からの評判が良くないことだけが心配だった。
「陛下はメロメロよね」
嫌味ったらしく言うサーシャの言葉が表示されなくて良かったと心から安堵する。表示されないからこそサーシャも口にするのだろうが。
サーシャは聖女が来てからの数日間、ファーディナンドの様子がおかしいことが少し気になっていた。いや、気に入らないのだ。
テロスを救ってくれた恩人をもてなすのは皇帝の役目なのかもしれないが、それにしても構いすぎている。イベリスのことでさえそんなに構いはしなかったくせにとイベリスよりもずっと多くの不満を抱いている。
聖女が一週間滞在すると決めたことも不満だった。皇帝がなんと言おうが、聖女であればもっと慎ましやかになるものではないのか? 何故そうも厚かましく一週間も滞在する選択ができるのか。彼女の神経の図太さに呆れていた。
「イベリス様の耳が機能していたら絶対にイベリス様のほうが美しい歌声だったわ」
「それには同意だ」
〈なんの話?〉
「サーシャがイベリス様の耳が問題がなければ絶対にイベリス様の歌声のほうが美しかったのにと怒っているんです」
嬉しい言葉に目を輝かせたイベリスは立ち上がってサーシャに歩み寄って抱きついた。嬉しいとそのまま飛び跳ねては笑顔になる。
リンウッドを失った日から考えると随分と笑顔を見せるようになった。ようやく一つ解決したと思っていたところで今度は聖女。しかもファーディナンドは少しお熱を上げつつあるように見える。
イベリスを抱きしめ返しながら音こそ鳴らさないものの、顔は充分に舌打ちを伝えていた。
その日の夜、部屋に戻ってきたファーディナンドの機嫌が良いことに気付いたイベリスが本を閉じて顔向ける。
ローブを脱いでベッドに入るファーディナンドが触れようと伸ばしてくる手を本で押さえて拒む。何故受け入れてくれないとは言わない。隙あらばと思っているわけでもない。正面からいって拒絶されたらそこでは諦めるの繰り返し。
〈聖女とのお話は楽しかった?〉
本からメモ帳へと切り替えたイベリスに頷きを返す。
「聖女は歌で闇を晴らし、魔を祓う」
〈そうなの?〉
「くだらぬ伝承だと思っていたが、どうやら真実だったらしい」
テロスに代々続くその伝承をいい加減だと思っていたが、この目で見てしまった以上は信じざるを得ない。何より、テロスに聖女がいる。それだけでテロスの価値は上がる。
〈貴族がたくさん来てるんでしょ?〉
「聖女と繋がりを持ちたいんだろう」
〈歌声がとてもキレイだと聞いたわ〉
「そうだ。あの歌声は別次元だ」
〈ウォルフもそう言ってた〉
鳥のさえずりのほうがキレイだと付け足していたことは言わないでおいた。
「彼女はどこかお前に似ている」
〈どこが?〉
「凜としたところだ」
(似てるのはロベリアに、でしょ)
思っているだけで口にはしない。口を動かすだけでもファーディナンドは困った顔をするから。困らせたいわけじゃないし、訂正してほしいわけでもない。悪意あってそう言っているわけじゃないこともわかっている。本当はロベリアと言いたかったが、気分を害するかもしれないと考えてイベリスと言ったことも。
彼は努力している。他人がそれを感じ取れるぐらいには。だから責めるつもりもない。だが、少し腹が立ったので意地悪してみることにした。
〈私の顔が大好きなのね〉
あ、とでも漏らしそうな顔をしたあと、眉を下げた。
「外見のことを言っているわけではない。俺が言ってるのは雰囲気がどことなくお前に似ているということだ」
〈似てるかしら? 私はこんなに可憐で愛らしいのに〉
下がっていた眉が瞬時に寄せられ、怪訝な表情が向く。顎に拳にした両手を当てて上目遣いで見るイベリスと目を合わせた五秒後、同時に笑った。
「聖女が滞在している間はあまりお前を構ってはやれん」
〈ええ、わかってる〉
望んでもないと心の中で付け足して頷く。あと指を三本折って数えれば別れの日がやってくるのだから彼との思い出をこれ以上増やす必要はない。
聖女の登場は良い展開だったのかもしれないとすら考える。彼が持つ愛情は聖女に向ければいい。自分にはどうか向けないでくれとさえ願っていた。
そう思っていたのに──……
まだいたのか、とは言わないが、顔には書いた。その上でニコッと笑っての会釈。
ファーディナンドの執務室に何故聖女がいるのかと不思議でならない。不思議なのはそれだけでなく、執務室にいるファーディナンドが、あの仕事の鬼が手を止めているだけでなくソファーに座って聖女とお茶をしていること。
「どうした?」
ドアを開けて中を覗き込んでいた姿勢を戻して中に入り、ファーディナンドの隣に腰掛けながらメモ帳にペンを走らせる。
〈あなたと二人でお茶がしたいなって思ったの〉
「俺は今している。お前も一緒にどうだ?」
目を半開きにしたイベリスは〈二人で〉の文字をペンで何重にも囲って強調すると「ああ」と言葉を漏らす。
〈でもいいわ。聖女様が滞在する時間は短いわけだし、皇帝として、しっかりおもてなししてあげて〉
「お前は皇妃なんだがな?」
〈私は十六歳よ? 皇妃として誰かをもてなしたこともない。下手に余計なことを口走ったら困るでしょ?〉
いつもなら絶対に言わない言葉をそれらしい理由として使うイベリスを横目で見るもこれ以上の言い合いは聖女に何を話しているかバレてしまうためファーディナンドのほうから口を閉じた。
立ち上がるイベリスの手を掴んで引き留めると頬にキスをした。目玉がこぼれ落ちそうなほど目を見開くファーディナンドの力が緩んだところでスッと手を抜いてドアへと向かう。
こちらを見ている聖女と目を合わせて再び微笑み、もう一度会釈をしてから出て行った。
(オエッ……吐きそう……)
リンウッドには何度もした行為だが、ファーディナンドにするのは違うと思った。吐く真似をするイベリスを外で待っていたサーシャとウォルフが見てそれぞれに反応を返す。
〈どうかなさいましたか?〉
〈聖女がいたの。既に二人きりでハッピーなお茶会してる〉
〈残念ですね〉
「じゃあいつもどおり、三人でお茶会をしましょうか」
ワンッと吠える声が足元から聞こえ、こちらを見上げるマシロの前にしゃがんでウォルフが頭を撫でる。
「ごめんごめん。言わなかっただけでお前も一緒だ」
三人で向かう別館。リンウッドが庭に落ちてからイベリスは庭に近寄らなくなった。上から見る分には平気だが、お気に入りだったテーブルがリンウッドが落ちたことで破壊され、ファーディナンドが一新してくれたが、新しいのを見るたびに新調した理由を思い出すことになるからと別館のティールームを使うことにしている。
ここから見えるのは庭ではなく門。美しい噴水が見えるのも悪くないと気に入りつつある。だが、デメリットもあった。
〈今日は貴族の出入りが多いのね〉
「聖女が来てからずっとですよ」
毎日飽きもせずに貴族は聖女に一目会うべく、足繁く通い続けている。城門前に停められる何台もの馬車。後ろを歩く付き人に贈り物らしき箱を持たせながら意気揚々と歩く貴族。
〈皇妃になってから一度も貢ぎ物なんてもらったことない〉
「貴族は利益でしか動きません」
〈私に貢いでも利益がないって判断したってこと?〉
「利益をもたらしますか?」
〈いいえ〉
「そういうことです」
おおかた、聖女の力目当てなのだろうことはイベリスもわかっている。利益狙いで貢ぎ物をもらったところで喜びはしないのだが、自分が見てきた貴族はどうにも気まずそうで、苦笑ばかり。ロベリアであってロベリアじゃないから。
(ロベリアが嫌われてたってことはないかしら?)
都合の良いように解釈したいと考える自分に苦笑する。
「歌を聴きに来ているんでしょうね」
〈彼女は毎日歌ってるの?〉
「聖女の歌声には加護が宿っているらしく、歌うことによってテロスに加護を与えるそうです。それが守護壁となるとかなんとか」
フンッとあからさまにサーシャが鼻を鳴らす。
〈彼女の歌声ってどんな感じ?〉
「美しいですよ」
〈鳥の歌声とどっちが美しい?〉
「鳥ですね」
笑顔での即答にイベリスが大笑いする。聖女と答えるのではないのかとおかしくてたまらない。
「今も歌声が聴こえていますよ」
「不愉快だわ、あの声」
「自分が音痴だから……あーッ!!」
ピキピキッと音を立てて腕が凍り始めたことに慌てて声を上げるウォルフの声が表示される。大きな文字に目を瞬かせるもサーシャを止めようとはしない。ウォルフが言おうとしたのは余計なひと言だと判断し、サーシャが置いてくれたクッキー缶に手を伸ばした。
「凍傷になるとこだった……」
すぐに解除されたが、腕はしっかり冷えている。何度も叩いて刺激しながら火傷でもしたように息を吹きかけるウォルフがイベリスの向かいに座る。サーシャは既にお座りして待っているマシロの前にシェフお手製のジャーキーを置いてからソファーではなく椅子に腰掛けた。
〈皆メロメロなのね〉
「みたいですね」
〈あなたたちは?〉
「あの歌声は別次元だと思いますけど、俺は鳥のさえずりのほうが美しいと感じるほうなので」
サーシャには聞くまでもない。サーシャは基本的にイベリス以外の人間は受け付けないとしている。イベリスにとってそれはありがたいことではあるが、使用人からの評判が良くないことだけが心配だった。
「陛下はメロメロよね」
嫌味ったらしく言うサーシャの言葉が表示されなくて良かったと心から安堵する。表示されないからこそサーシャも口にするのだろうが。
サーシャは聖女が来てからの数日間、ファーディナンドの様子がおかしいことが少し気になっていた。いや、気に入らないのだ。
テロスを救ってくれた恩人をもてなすのは皇帝の役目なのかもしれないが、それにしても構いすぎている。イベリスのことでさえそんなに構いはしなかったくせにとイベリスよりもずっと多くの不満を抱いている。
聖女が一週間滞在すると決めたことも不満だった。皇帝がなんと言おうが、聖女であればもっと慎ましやかになるものではないのか? 何故そうも厚かましく一週間も滞在する選択ができるのか。彼女の神経の図太さに呆れていた。
「イベリス様の耳が機能していたら絶対にイベリス様のほうが美しい歌声だったわ」
「それには同意だ」
〈なんの話?〉
「サーシャがイベリス様の耳が問題がなければ絶対にイベリス様の歌声のほうが美しかったのにと怒っているんです」
嬉しい言葉に目を輝かせたイベリスは立ち上がってサーシャに歩み寄って抱きついた。嬉しいとそのまま飛び跳ねては笑顔になる。
リンウッドを失った日から考えると随分と笑顔を見せるようになった。ようやく一つ解決したと思っていたところで今度は聖女。しかもファーディナンドは少しお熱を上げつつあるように見える。
イベリスを抱きしめ返しながら音こそ鳴らさないものの、顔は充分に舌打ちを伝えていた。
その日の夜、部屋に戻ってきたファーディナンドの機嫌が良いことに気付いたイベリスが本を閉じて顔向ける。
ローブを脱いでベッドに入るファーディナンドが触れようと伸ばしてくる手を本で押さえて拒む。何故受け入れてくれないとは言わない。隙あらばと思っているわけでもない。正面からいって拒絶されたらそこでは諦めるの繰り返し。
〈聖女とのお話は楽しかった?〉
本からメモ帳へと切り替えたイベリスに頷きを返す。
「聖女は歌で闇を晴らし、魔を祓う」
〈そうなの?〉
「くだらぬ伝承だと思っていたが、どうやら真実だったらしい」
テロスに代々続くその伝承をいい加減だと思っていたが、この目で見てしまった以上は信じざるを得ない。何より、テロスに聖女がいる。それだけでテロスの価値は上がる。
〈貴族がたくさん来てるんでしょ?〉
「聖女と繋がりを持ちたいんだろう」
〈歌声がとてもキレイだと聞いたわ〉
「そうだ。あの歌声は別次元だ」
〈ウォルフもそう言ってた〉
鳥のさえずりのほうがキレイだと付け足していたことは言わないでおいた。
「彼女はどこかお前に似ている」
〈どこが?〉
「凜としたところだ」
(似てるのはロベリアに、でしょ)
思っているだけで口にはしない。口を動かすだけでもファーディナンドは困った顔をするから。困らせたいわけじゃないし、訂正してほしいわけでもない。悪意あってそう言っているわけじゃないこともわかっている。本当はロベリアと言いたかったが、気分を害するかもしれないと考えてイベリスと言ったことも。
彼は努力している。他人がそれを感じ取れるぐらいには。だから責めるつもりもない。だが、少し腹が立ったので意地悪してみることにした。
〈私の顔が大好きなのね〉
あ、とでも漏らしそうな顔をしたあと、眉を下げた。
「外見のことを言っているわけではない。俺が言ってるのは雰囲気がどことなくお前に似ているということだ」
〈似てるかしら? 私はこんなに可憐で愛らしいのに〉
下がっていた眉が瞬時に寄せられ、怪訝な表情が向く。顎に拳にした両手を当てて上目遣いで見るイベリスと目を合わせた五秒後、同時に笑った。
「聖女が滞在している間はあまりお前を構ってはやれん」
〈ええ、わかってる〉
望んでもないと心の中で付け足して頷く。あと指を三本折って数えれば別れの日がやってくるのだから彼との思い出をこれ以上増やす必要はない。
聖女の登場は良い展開だったのかもしれないとすら考える。彼が持つ愛情は聖女に向ければいい。自分にはどうか向けないでくれとさえ願っていた。
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