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エリスローズは懇願する
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ロイと一緒に部屋に入るとエリスローズはすぐにドアを閉めた。
床にロイを下ろすもロイはその場に立ち尽くすのではなくエリスローズに抱きついて離れようとしない。
「俺のこと、嫌いになった?」
声を震わせるロイの顔を上げさせると大粒の涙がとめどなく溢れている。
「俺がナイフなんか持ったから怒ったの? 殺すって言ったこと? あんなことしたから俺のこと嫌いになった?」
縋るような目を向けるロイにエリスローズは何度も首を振る。
嫌いになるはずがない。助けるためにしてくれたことだ。
だが、だからといってそれを容認することもできない。
ロイは賢く、自分ができること、すべきことがなんなのか理解し判断できる子。
それがまさかこんな判断を下すとは思っていなかっただけにエリスローズもまだ戸惑っていた。
「俺、エリーを守りたかっただけなんだ……」
ロイの気持ちはわかっているし、疑ってもいない。
平気でナイフを持ち出して脅すような子ではないことを知っているためエリスローズは柔らかな髪を撫でながらもう一度頷いた。
辺りを見回して紙とペンを探す。
部屋でも勉強していたのだろう。机の上にちゃんと紙とペンが置いてあり、それを取りに行こうと足を踏み出すとロイも一緒についてくる。エリスローズの手を握って俯きながら。
『ナイフは人を傷つけるための道具じゃないのはロイもわかってるよね?』
見せられたノートを見るとロイが頷く。
『お姉ちゃんはロイに殺すなんて言葉を使ってほしくなかった』
「だって……そうしなきゃスペンサーまたきっと来るから……」
『入り口に立ってる人に中に入れないでって伝えるから大丈夫。怖がらなくていいよ』
「エリーが傷つくのはやなんだよ! なんでいつもエリーばっか辛い目に遭うの? 酒場の奴にだって──」
感情が昂ったせいで口から出てしまった黙っておこうと思っていた言葉にエリスローズが驚いた顔をするもその顔に次第に眉が寄せられる。
『酒場って……?』
「ちがッ……」
『ロイ、答えて』
今のロイに拒否権はない。エリスローズを怒らせることが何よりも怖いロイは震える唇を開いて答えた。
「エリーが……酒場のオッサンと……キス……してんの、見た……」
信じられない言葉にエリスローズは絶句し、口を押さえる。
手に持っていたノートもペンも床に落ち、床に座り込んだ。
「俺、夜中に目が覚めてエリーを迎えに行こうと思ったんだ。夜中なら貧困街の奴らもほとんど寝てるから」
そこで見てしまったのだ。最も見たくないものを。
いつのやつか。最近は倉庫で抱かれていたこともあり、外で触れ合うことはなかった。だから見たとしたらまだ抱かれる前の話。
ダンはいつも口説いてきた。エリスローズの顔が好みで雇うことを決めたのだから下心ありなのはわかっていたが、その口説いてくる早さにうんざりしながらも上手くかわしていたとき、ダンが交渉してきた。
「キス一回でパン一つ」
パン一つで家族六人の腹は膨れない。両親は食べないだろうし、ロイとシオンとメイが分け合って食べても足りないぐらいだと思いながらも食べ物があるだけマシかと受け入れることにした。
ダンに雇われていなかったら自分もそのうち娼婦の道に入っていたのだからとキスをして以来、店を閉めて帰るときはダンの気分とパンの仕入れ次第でキスをした。
見送りの際にしていたことだったためロイが見たのならそのときだろうと。
「パン、アイツからもらってたんだろ?」
それを見た翌朝、パンがあったことからそうなのだと気付いた。
エリスローズがダンを好きになるはずがないと信じていたからそう思うことができた。
だからロイは何も言わずに過ごしてきた。エリスローズは家族のためならなんでもするとわかっていたから。
「ごめん、エリー」
なぜロイが謝るのかと顔を上げるとロイはまた泣いていた。
「俺、エリーのために何もしてやれない。スペンサーを引き離すこともできないし、エリーの前に立って守ってやることもできないッ。守られてばっかで……嫌になる」
手の甲で何度も涙を拭いながら何万回思ったかわからない悔しさを口にするロイの手を引いて抱きしめるとロイは声を殺しながら泣く。
十歳の子供が守るなど考える必要はない。まだまだ守られていればいい立場なのにロイはいつも守ると言う。
思いと現実のあまりの違いに噛み殺せない悔しさが涙となって溢れ出す。
(全部我慢させた私たちのせい)
両親だけに苦労させたくないからと働きに出たからロイは我慢するようになった。
それは仕方ないことだと自分に言い聞かせて都合よく働き続けた結果が今のロイを作り上げてしまったのだとエリスローズの中に生まれた大きな後悔にエリスローズも涙する。
どうするのが正しいのか、わからない。
両親はきっともう働きには出ない。だからロイを城に連れて行っても問題はないだろう。リオンさえ国王たちを説得してくれれば、の話だが。
だが、本当に連れて言っていいのだろうかと迷いもあった。あの場所にロイを連れて行ってロイまで息苦しい生活に巻き込むのかと。
ここにいれば差別もなく、勉強も好きなときに好きなようにできる。愛する家族がいて、チョコレートや果物だって好きに食べられるのだ。
あの場所で与えられたことだけをして、与えられた物だけを食べる生活は本当に幸せなのだろうか?
リオンが誘ってくれて以来ずっと考えているが、答えは一向に出ないまま日ばかりが過ぎていく。
きっとあのときすぐにロイを連れて出ていれば両親は働きに戻ることはなかっただろう。ロイがいるから甘えてしまったのだ。
それもわかっているのだが、決心はつかなかった。
「エリーが誰かに取られんのやだ。誰かに触られんのもやだ。俺だけのエリーでいてよ……エリーは俺のだもん……」
こうして子供の独占欲を存分に出せる子でいてほしい。
今よりもっと幼い頃から兄として生きることを強要させ我慢漬けにしたのは自分たち大人。
だからこうして甘えてくるロイを突き放すことはできないし、全て受け入れてやりたいと思っている。
『お姉ちゃんから一つお願いがあるの』
「なに?」
涙を拭ってペンとノートを拾い、お願いと書いて見せると涙で潤んだ瞳が見つめてくる。
『もう二度と自分をゴミだなんて言わないで。あなたはゴミなんかじゃないんだから』
ゴミがゴミを殺してもと言った言葉がずっと刺さっていた。
自分をゴミだと言うロイの言葉が辛くて悲しくてたまらなかった。
『あなたは優しくて清らかで笑顔のとっても可愛い自慢の弟なの。お姉ちゃんの大好きなロイは自分をゴミなんて言わない。ナイフを持って人を脅したりもしない。宝石よりずっと美しく輝いてるロイはお姉ちゃんの宝物だから、殺すなんて物騒な言葉、もう二度と使わないで』
これがロイを縛り付ける言葉になることはわかっている。それでも言わないわけにはいかなかった。
スラム街には護身用にナイフを持っている物は少なくない。皆どこかでそれを手に入れて持っているのだ。
貧困街の人間がストレス発散で殴りかかってきたときに使ってしまう者もいた。血を流しながら逃げ帰る者やその場で倒れて生き絶える者。
だがスラム街ではそれも小さな問題にすらならないこと。
どんな事件が起ころうと国は調査もしない。それは貧困街の者がどれほど訴えようとも意味がないということでもあり、誰も見向きもしなければ耳さえ貸さない。
ロイぐらいの子供がナイフを持っていることもあるだろう。しかし、エリスローズはそれを認めない。スペンサーへの態度ではなく、彼が口にした言葉が許せなかった。
「もう言わない。自分のことをゴミなんて言わないし、殺すも言わない。だから──」
『嫌いになったりしない。ロイがどんな子になろうと絶対に嫌いになったりしない。いつまでも大好きよ』
「ホントに? ずっと好きでいてくれる?」
拭っても拭っても溢れてくる涙でエリスローズの手は既にびしょ濡れだった。
彼がこんなに涙を流したのはいつ以来だろうか。いや、初めてかもしれない。
いつも寂しさを我慢して見送り出迎えてくれた優しい弟。
たとえ彼が人を殺してしまったとしても嫌いにはなれないだろうと漠然とそう思った。
『約束』
差し出した小指に絡められる小さな小指。
上下に振って約束すればロイが膝に乗ってくる。
しっかりと抱きついて暫く黙り込んでいたロイは嫌いにならないと言われて安心したのか、十分ほどすると寝息を立てていた。
起こさないようにゆっくり抱き上げてベッドに乗せると『一階にいるから』とノートに書き、起きたときに見えるよう傍に置いて一階へと降りていく。
「エリー」
不安げな顔をする両親が揃っている。
「これ」
エリスローズのノートとペンを差し出すリオンからそれを受け取るとゆっくりと息を吐き出して両親と向き合った。
床にロイを下ろすもロイはその場に立ち尽くすのではなくエリスローズに抱きついて離れようとしない。
「俺のこと、嫌いになった?」
声を震わせるロイの顔を上げさせると大粒の涙がとめどなく溢れている。
「俺がナイフなんか持ったから怒ったの? 殺すって言ったこと? あんなことしたから俺のこと嫌いになった?」
縋るような目を向けるロイにエリスローズは何度も首を振る。
嫌いになるはずがない。助けるためにしてくれたことだ。
だが、だからといってそれを容認することもできない。
ロイは賢く、自分ができること、すべきことがなんなのか理解し判断できる子。
それがまさかこんな判断を下すとは思っていなかっただけにエリスローズもまだ戸惑っていた。
「俺、エリーを守りたかっただけなんだ……」
ロイの気持ちはわかっているし、疑ってもいない。
平気でナイフを持ち出して脅すような子ではないことを知っているためエリスローズは柔らかな髪を撫でながらもう一度頷いた。
辺りを見回して紙とペンを探す。
部屋でも勉強していたのだろう。机の上にちゃんと紙とペンが置いてあり、それを取りに行こうと足を踏み出すとロイも一緒についてくる。エリスローズの手を握って俯きながら。
『ナイフは人を傷つけるための道具じゃないのはロイもわかってるよね?』
見せられたノートを見るとロイが頷く。
『お姉ちゃんはロイに殺すなんて言葉を使ってほしくなかった』
「だって……そうしなきゃスペンサーまたきっと来るから……」
『入り口に立ってる人に中に入れないでって伝えるから大丈夫。怖がらなくていいよ』
「エリーが傷つくのはやなんだよ! なんでいつもエリーばっか辛い目に遭うの? 酒場の奴にだって──」
感情が昂ったせいで口から出てしまった黙っておこうと思っていた言葉にエリスローズが驚いた顔をするもその顔に次第に眉が寄せられる。
『酒場って……?』
「ちがッ……」
『ロイ、答えて』
今のロイに拒否権はない。エリスローズを怒らせることが何よりも怖いロイは震える唇を開いて答えた。
「エリーが……酒場のオッサンと……キス……してんの、見た……」
信じられない言葉にエリスローズは絶句し、口を押さえる。
手に持っていたノートもペンも床に落ち、床に座り込んだ。
「俺、夜中に目が覚めてエリーを迎えに行こうと思ったんだ。夜中なら貧困街の奴らもほとんど寝てるから」
そこで見てしまったのだ。最も見たくないものを。
いつのやつか。最近は倉庫で抱かれていたこともあり、外で触れ合うことはなかった。だから見たとしたらまだ抱かれる前の話。
ダンはいつも口説いてきた。エリスローズの顔が好みで雇うことを決めたのだから下心ありなのはわかっていたが、その口説いてくる早さにうんざりしながらも上手くかわしていたとき、ダンが交渉してきた。
「キス一回でパン一つ」
パン一つで家族六人の腹は膨れない。両親は食べないだろうし、ロイとシオンとメイが分け合って食べても足りないぐらいだと思いながらも食べ物があるだけマシかと受け入れることにした。
ダンに雇われていなかったら自分もそのうち娼婦の道に入っていたのだからとキスをして以来、店を閉めて帰るときはダンの気分とパンの仕入れ次第でキスをした。
見送りの際にしていたことだったためロイが見たのならそのときだろうと。
「パン、アイツからもらってたんだろ?」
それを見た翌朝、パンがあったことからそうなのだと気付いた。
エリスローズがダンを好きになるはずがないと信じていたからそう思うことができた。
だからロイは何も言わずに過ごしてきた。エリスローズは家族のためならなんでもするとわかっていたから。
「ごめん、エリー」
なぜロイが謝るのかと顔を上げるとロイはまた泣いていた。
「俺、エリーのために何もしてやれない。スペンサーを引き離すこともできないし、エリーの前に立って守ってやることもできないッ。守られてばっかで……嫌になる」
手の甲で何度も涙を拭いながら何万回思ったかわからない悔しさを口にするロイの手を引いて抱きしめるとロイは声を殺しながら泣く。
十歳の子供が守るなど考える必要はない。まだまだ守られていればいい立場なのにロイはいつも守ると言う。
思いと現実のあまりの違いに噛み殺せない悔しさが涙となって溢れ出す。
(全部我慢させた私たちのせい)
両親だけに苦労させたくないからと働きに出たからロイは我慢するようになった。
それは仕方ないことだと自分に言い聞かせて都合よく働き続けた結果が今のロイを作り上げてしまったのだとエリスローズの中に生まれた大きな後悔にエリスローズも涙する。
どうするのが正しいのか、わからない。
両親はきっともう働きには出ない。だからロイを城に連れて行っても問題はないだろう。リオンさえ国王たちを説得してくれれば、の話だが。
だが、本当に連れて言っていいのだろうかと迷いもあった。あの場所にロイを連れて行ってロイまで息苦しい生活に巻き込むのかと。
ここにいれば差別もなく、勉強も好きなときに好きなようにできる。愛する家族がいて、チョコレートや果物だって好きに食べられるのだ。
あの場所で与えられたことだけをして、与えられた物だけを食べる生活は本当に幸せなのだろうか?
リオンが誘ってくれて以来ずっと考えているが、答えは一向に出ないまま日ばかりが過ぎていく。
きっとあのときすぐにロイを連れて出ていれば両親は働きに戻ることはなかっただろう。ロイがいるから甘えてしまったのだ。
それもわかっているのだが、決心はつかなかった。
「エリーが誰かに取られんのやだ。誰かに触られんのもやだ。俺だけのエリーでいてよ……エリーは俺のだもん……」
こうして子供の独占欲を存分に出せる子でいてほしい。
今よりもっと幼い頃から兄として生きることを強要させ我慢漬けにしたのは自分たち大人。
だからこうして甘えてくるロイを突き放すことはできないし、全て受け入れてやりたいと思っている。
『お姉ちゃんから一つお願いがあるの』
「なに?」
涙を拭ってペンとノートを拾い、お願いと書いて見せると涙で潤んだ瞳が見つめてくる。
『もう二度と自分をゴミだなんて言わないで。あなたはゴミなんかじゃないんだから』
ゴミがゴミを殺してもと言った言葉がずっと刺さっていた。
自分をゴミだと言うロイの言葉が辛くて悲しくてたまらなかった。
『あなたは優しくて清らかで笑顔のとっても可愛い自慢の弟なの。お姉ちゃんの大好きなロイは自分をゴミなんて言わない。ナイフを持って人を脅したりもしない。宝石よりずっと美しく輝いてるロイはお姉ちゃんの宝物だから、殺すなんて物騒な言葉、もう二度と使わないで』
これがロイを縛り付ける言葉になることはわかっている。それでも言わないわけにはいかなかった。
スラム街には護身用にナイフを持っている物は少なくない。皆どこかでそれを手に入れて持っているのだ。
貧困街の人間がストレス発散で殴りかかってきたときに使ってしまう者もいた。血を流しながら逃げ帰る者やその場で倒れて生き絶える者。
だがスラム街ではそれも小さな問題にすらならないこと。
どんな事件が起ころうと国は調査もしない。それは貧困街の者がどれほど訴えようとも意味がないということでもあり、誰も見向きもしなければ耳さえ貸さない。
ロイぐらいの子供がナイフを持っていることもあるだろう。しかし、エリスローズはそれを認めない。スペンサーへの態度ではなく、彼が口にした言葉が許せなかった。
「もう言わない。自分のことをゴミなんて言わないし、殺すも言わない。だから──」
『嫌いになったりしない。ロイがどんな子になろうと絶対に嫌いになったりしない。いつまでも大好きよ』
「ホントに? ずっと好きでいてくれる?」
拭っても拭っても溢れてくる涙でエリスローズの手は既にびしょ濡れだった。
彼がこんなに涙を流したのはいつ以来だろうか。いや、初めてかもしれない。
いつも寂しさを我慢して見送り出迎えてくれた優しい弟。
たとえ彼が人を殺してしまったとしても嫌いにはなれないだろうと漠然とそう思った。
『約束』
差し出した小指に絡められる小さな小指。
上下に振って約束すればロイが膝に乗ってくる。
しっかりと抱きついて暫く黙り込んでいたロイは嫌いにならないと言われて安心したのか、十分ほどすると寝息を立てていた。
起こさないようにゆっくり抱き上げてベッドに乗せると『一階にいるから』とノートに書き、起きたときに見えるよう傍に置いて一階へと降りていく。
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