愛し方を知らない氷帝の愛し方

永江寧々

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誰がために

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「着替えたか?」
「この衣装はちょっと……」
「気に入らぬか?」
「そうではなくて……」

 衣装はてっきり前にグラキエスで舞ったときに着たいつもの衣装だと思っていたが、渡された衣装を手に取った時点で違うものだと気付いた。だがこれじゃないと駄々をこねている時間もなく、クローゼットに入って衣装に着替えると鏡の前でミュゲットは自分と睨めっこ大会を始めていた。

「入るぞ」
「あ、ちょっと!」

 慌ててドアノブに手を伸ばすもドアのすぐ側に立っていたのだろうアルフローレンスのほうが開けるのが早かった。

「ほう……やはり新調して正解だったな。お前が持っていた物よりよいぞ」

 青の色は以前の物より深みを増し、生地はフローラリアで作られた物より滑らかな物に変わり、装飾品も変わっている。チェーンはチェーンなのだが見ればわかる、このチェーンは全てダイヤモンドでできている。小さな粒のダイヤモンドを連ねてチェーン状にしているのだ。ミュゲットからすればこんなのはありえない。

「なぜ喜ばぬ」
「贅沢すぎる変更だと思って……」
「本家での本番だ。それぐらい気合を入れてもバチは当たらぬだろう」
「そう、ですけど……」

 たった一回のためにこんな衣装に変更したアルフローレンスのやることにミュゲットは頭が追いつかない。王族だったミュゲットも贅沢は暮らしはしてきたが、チェーンをダイヤモンドで作るという贅沢はしなかった。きっとできなかった。ランベリーローズ家は王族といえど規模は小さいため、もしかするとグラキエスの貴族たちのほうがずっと贅沢な暮らしをしているかもしれない。
 だから余計に戸惑ってしまう。

「気に入ったか?」
「……はい」
「嘘をつくな」

 正解を選んだはずなのにどうして嘘だと見抜くのか。だが、これは嘘であって嘘ではない。だからミュゲットは顔を上げてアルフローレンスを見た。

「気に入ってはいます。戸惑っているだけです」
「戸惑う理由はなんだ?」
「これです」
「それがどうした」
「ダイヤモンドですよ!? ダイヤモンドご存知ですか?」
「当然だ。余が指示したのだからな」
「舞っている間に外れたらどうするつもりですか」
「それはそれで演出になろう」

 考え方が根本的に違うことは最初からわかっていたが、規模が違う。アルフローレンスにとってこれぐらいのダイヤモンドはそこらへんに落ちている石も同然なのだろうと察したミュゲットは改めて鏡に向き直り鏡の中の自分を見つめる。
 形は変わらないが、前に着ていた物よりずっと素敵に見える。色白のミュゲットの肌にはオレンジよりも深い青がよく似合っていて、少し動くだけでダイヤモンドがきらりと輝く。

「ダイヤモンドが気になる……」
「失敗は許さぬぞ」
「じゃあこんなにたくさんつけないでください」
「気に入らぬのであれば外してやろうか?」
「触らないで」

 チェーンに伸びてきた手をパシンッと軽く叩いたミュゲット。昨日までの自分なら恐ろしくて絶対にやらない行為だが、今日はできる。何をしても許されるほどアルフローレンスの機嫌がいいからだ。その証拠にこうして手を叩いてもアルフローレンスは怒らない。

「ここでお前を見つけたときもお前は余にそう言ったな」

 まるで昨日のことのように鮮明に思い出せる瞬間。ミュゲットにとって人生最悪の日だった。見つかるはずがない場所にいたのにアルフローレンスはそこにいることを知っていたかのように見つけ出した。滑り込んできた剣が器用に蓋を外し、フランと共に見つかった。そして相手がどういう男かも知らずに怒鳴りつけた、妹を守るために。

「余に殺されるとは思わなかったのか?」
「思いました。でもあのときはフランを守ることに必死で……」
「愚妹を守っていたとは笑えるな」

 あの瞬間はミュゲットにとってフランは大事な妹で、自分の命と引き換えにしても守りたい存在だった。あのとき、もしどちらかしか助からないとなってもミュゲットは迷わず自分の命を差し出していただろう。
 
「どうして私だけご自分で連れて行ったのですか?」
「荷馬車に空きがなかったからだ」
「嘘つき」
「なぜわかる?」
「アルなら空きがなくても押し込めるはずだから」

 なんとなくわかっている。だが、その答えを簡単には受け入れられないし、あと数時間で終わる関係なのだから真実を知る意味などない。だから聞く必要などないのに、知りたいと思っている自分がいる。
 ここで生まれてここで育った。穏やかな暮らしを、愛する両親を奪ったのは彼で、彼が来なければ変わることなどなかった。この男がここに立ったことでミュゲットの人生は一変した。
 この男が憎い。何もかも奪った男に復讐してやりたい。そう思っていたはずなのに、絆されている自分がいるのもまた確かで──どうしていいのかわからない。

「余のことを理解しているつもりか?」
「いいえ、誰でもわかることです」
「誰にでも余を理解することができると?」

 声色が少し変わったことに失敗したと目を閉じたミュゲットはそのまま振り返ってアルフローレンスの胸に額を預けた。

「今日は、今日だけはフローラリアのためではなく、アルのために舞います」

 これはアルが大嫌いな媚びる行為だとわかっていながらもこうするしか浮かばなかった。これで喜ぶかはわからないが、手段は他にない。またあの日のように失敗するわけにはいかないのだ。

「当然だ」

 喜んでいる様子はない。どこまでも傲慢な男だと呆れて顔を上げると薄い水色の瞳と目が合う。

「アルを見るといつも目が合うんです」
「だろうな」

 いつ見ても目が合う。目が合わないのは相手が何かの書類を読んでいるときか、寝ているときだけ。凍えるほど冷たいと思っていた瞳が送る視線は熱いほどで、ミュゲットはいつしかそれを受けるのが当たり前になっていた。
 なぜそんなに見つめるのかと問うことはしない。ミュゲットにとってその答えは必要のないものだから。

「そろそろ行きましょうか」
「ああ」

 舞台の準備が始まった合図の角笛の音が響いたことで身体を離すとミュゲットは先に歩いていく。

「ミュゲット、お二人の椅子を用意したからそっちに座ってもらってくれ」

 足早に寄ってきた男が早口で伝え、また足早に去っていく。極力関わり合いたくないのだろうというのが伝わってくる。

「ここで待っていてくださいね、いい子で」
「お前はどこへ行くのだ?」
「フローラリアの舞の準備です」
「わかった」

 逃げるなと言わないのが不思議だった。ここはフローラリアであってグラキエスではない。逃げようと思えばどこへだって逃げられる。船着場には船があって、それに乗ればアルフローレンスはもう追いかけてくることはできない。それをわかっているのだろうかと首を傾げそうになるのを堪えて背を向け歩いていく。
 余計なことを考えたまま立っていればまた勘繰られる。
 今は先にやるべきことをしようと足早に知り合いのもとへと向かった。

「フィルを見なかった?」
「おおっ、ミュゲットじゃないか! 元気そうでなによりだ! 心配してたんだぞー!」

 オーバーリアクションがどうにも嘘くさいと思うのはなぜだろうと心がモヤつく。ミュゲットは到着してから夜までフローラリア内を散歩していたから知らないわけがないのに、まるでミュゲットが帰ってきたのを今知ったかのような反応を見せることに一線引かれているような感覚を覚えた。

「フィルならリーナと一緒に歩いてたな」
「どっちへ行ったかわかる?」
「向こうだ」

 リーナの顔は思い出せないが、フランがよく話題にしていたため名前だけは覚えている。
 フィルが誰と歩いていてもいい。ただ今日のことを一言謝りたいと後を追う。
 二人が向かったという坂を上がっていった先にあるのは展望台。夜になると明かりはほとんどないため薄暗くて気味が悪い場所。でも恋人たちには人気のスポットでもあった。フィルが誘ったのか、リーナが誘ったのかと余計なことを考えながら歩いていると男女の声が聞こえた。

「フィ──……」

 坂を上がっている間に目が少し暗闇に慣れ、月明かりもあって二人の姿がハッキリ確認できた。そこにいるのは二人だけ。他には誰もいない。リーナには悪いが、少しだけ時間をもらおうと声をかけようとした瞬間、ミュゲットは目を見開いた。

「本当にいいの? ミュゲット帰ってきてるんでしょ?」
「……もう、いいんだよ」
「フィルもイケメンだけど、あの人は別次元だもんねぇ。勝てないか」
「うるせぇよ。黙ってヤらせろ」
「ふふっ、ロマンがないなぁ。女の子にはもっと優しくしないとモテないぞ。ミュゲットにもこんな風に迫るつもりだったの?」
「どうだっていいだろ。もう関係ねぇよ」

 二人の雰囲気は恋人同士の甘いものではないが、これから何が行われるのかわかるぐらいの雰囲気があって、フィルの手がリーナの身体のラインをなぞるように下から上へと上がっていく。
 その光景にショックを受けるが、これが本来のフローラリアの姿かと納得もしていた。“性に奔放“それがフローラリアなのだと信じたくても信じられなかったものがスッと入りこんでくる。
 フィルがそれに当てはまるとは思っていなかっただけに少しショックではあったが、それも自分が勝手に抱いていたイメージにすぎない。自分とてグラキエスで同じことをしてきたのだからショックを受ける資格などないと首を振り、去ろうと足を一歩下げたとき、来るときは踏まなかった小枝を踏んでしまった。

「誰だ!?」
「誰だっていーじゃん。誰も気にしないって」
「俺は気にするんだよ。ちょっと離れろ……って……ミュ、ゲッ……ト……?」

 慌てて坂を下る背中が見えただけで顔は見えなかった。だが、衣装は特別な物。あの衣装を着られるのはこの国で二人だけ。闇に溶ける色でわかってしまう。
 目を見開き、口を手で覆うフィルは自分の異常な心音に震えながら頭を抱えてしゃがみこんだ。
 
 いつからいた?

 どこまで聞いていた?
  
 追いかけるべきか?
 
 追いかけて何を言う?
 
 自問自答を繰り返すだけで足は前に進まない。

「ねーえ、早くおいでよ」
「失せろ……」
「はあ? 急になんなのよ! ここまで来てそんなのないでしょ! アンタってマジサイテー! 皆に言っといてやるんだから!」

 リーナの怒声も耳に入らないほど大きくなっていく心音。

「ミュゲット……」

 裏切り者と言ったことをまだ謝っていないのに、関係ないと吐き捨てたことまで聞かれてしまった。
 震える手を握り拳に変えて唇を噛み締めながら地面を殴りつけた。

「はっ……ッ、は……はあっ……」

 一度も転ばなかったのが奇跡だと思えるほど速く降りてきたミュゲットにアルフローレンスが椅子から腰を上げて寄っていく。

「あ、はは……準備運動をしていて……」

 上手い言い訳が見つからず、嘘だと一発でわかる言葉しか出てこなかった。アルフローレンスの前で一度だってそんな笑い方はしたことがないのに、整理がつかなくて言葉に詰まる。
 嘘をつくな。降ってくるだろうその言葉を待っていたが、アルフローレンスの声は聞こえず、その代わり冷え切った手を差し出された。
 意味がわからず戸惑うが、今は頭に浮かぶ疑問を口にするのではなくその大きな手に縋りつきたくなった。
 偉そうな言葉は聞こえない。まるで何を見てきたのか知っているかのように、慰めるように静かなアルフローレンスを見上げると表情はいつも通りだが、そのいつも通りの表情が逆にミュゲットを安心させる。
 
「手なんか握り合って仲良しね」

 フランの声に冷たい現実に引き戻されるような感覚に顔を向ければエルドレッドも一緒だった。

「やあ、アル。隣いいかな?」

 アルフローレンスは返事をしなかった。なぜこんなにエルドレッドに厳しく当たるのだろうかと思うが聞いたところで母親ではないため対処のしようがない。二人の確執の間には入れない。

「ねえ、何その衣装」

 フランの声に怒りが混ざっているのを感じながらミュゲットはもう一度フランを見た。

「アルが作ってくれたの」
「フランのは?」
「ないみたい」
「はあ!? 同じ衣装だから意味あるんでしょ!」

 そんなこと言われても自分が用意してと言ったわけではないと思うが、何を言ったところでフランは信じないし文句を言うためミュゲットは黙ることにした。

「パパとママはなんて言うかな! ミュゲットだけ新しい衣装を作ってもらったって知ったらバランスが崩れるって怒るだろうね!」

 両親はそんなことで怒るような人間ではなかった。勝手なことをと怒りたくもなるが、ミュゲットは首を振るだけ。

「フラン、君は今の衣装がよく似合ってるじゃないか」
「でも新しい衣装が欲しかった!」
「こんな煌びやかな衣装を着たらどこを見ていいかわからなくなるよ」
「むう……そう?」
「今ぐらいの衣装のほうが君の美しさが際立って良い」
「じゃあフランだけ見ててくれる?」
「そのためにここにいるんじゃないか」

 よく回る口だと呆れるが、この瞬間だけはエルドレッドに助けられた。嬉しそうに笑ってエルドレッドに抱きつくフランの様子は姉としても嬉しいものだが、自分が一言でも発せばきっとこの表情は厳しいものへと変わってしまうだろうと思うと何も声をかけられない。

「ホントはアンタなんかと舞いたくないけど、彼がどーしても見たいって言うから舞ってあげるの。フランの足引っ張ったら許さないから」
「わかってる」
「どーだか!」

 返事をしただけで大きな嫌味が飛んでくる。
 無意識にアルフローレンスの手を強く握り、深呼吸を一回。

「ミュゲット」
「はい」

 アルフローレンスに名前を呼ばれたことに反射的に返事をするとミュゲットは驚いた。

「余のために舞うと言った言葉、忘れるな」

 表情の変化が確かにそこにある。少しではあるが、柔らかな表情をしているように見えた。恋人ではないし、片想いの相手でもないのだからそれに嬉しくなる必要なんてないのに、ミュゲットは心が弾む感じがした。

「行くわよ」
「ええ」

 これで最後。
 そう心の中で呟いて、用意された舞台にフランと並んで上がった。 
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