【完結】捨てられた令嬢は、国一の美女で精霊の姫でした。

丸顔ちゃん。

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第44話

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アルベルトは、
胸に手を当てて息を整えた。

(……エリシア……
 君の呼吸が……まだ弱い……
 急がなければ)

精霊たちが震える。

――殿下。

――“あの人”の魔力、暴走してる。

――止めないと、王城が壊れる。

アルベルトは、
レオンを真っ直ぐに見つめた。

「レオン。
 君の魔力は……
 “奪う”魔力だ」

レオンの瞳が揺れる。

「……奪う……?」

アルベルトは続けた。

「エリシアの呼吸を奪い、
 心を奪い、
 自由を奪おうとしている」

レオンは叫ぶ。

「違う!!
 俺は……
 エリシアを守りたいだけだ!!
 兄上に奪われたくないだけだ!!」

アルベルトは、
静かに首を振った。

「守りたいなら……
 彼女の呼吸を奪うな」

レオンの表情が凍りつく。



レオンが叫んだ。

「黙れぇぇぇぇ!!」

黒い魔力が爆発し、
嵐のようにアルベルトへ襲いかかる。

アルベルトは、
両手を広げて光の魔力を放った。

光と闇が衝突する。

バチィィィィン!!

空気が震え、
床が砕け、
壁が軋む。

精霊たちが悲鳴を上げる。

――殿下!!

――押されてる!!

――“あの人”の魔力、強すぎる!!

アルベルトは歯を食いしばった。

(……負けられない……
 エリシアを守るために……)

光の魔力が強まる。

レオンは狂ったように笑う。

「兄上!!
 エリシアは……
 俺のものだぁぁぁ!!」

黒い魔力がさらに膨れ上がる。





エリシアは、
薄れゆく意識の中で
二つの魔力を感じていた。

ひとつは――
冷たく、重く、
肺を締めつけるような黒い魔力。

(……レオン様……
 苦しい……
 息が……できない……)

もうひとつは――
温かく、柔らかく、
胸の奥に光を灯す魔力。

(……殿下……
 あたたかい……
 呼吸が……戻る……)

精霊たちが囁く。

――エリシア。

――感じる?

――殿下の魔力は“与える”魔力。

――“あなたを生かす”魔力。

――あの人の魔力は“奪う”魔力。

――“あなたを縛る”魔力。

エリシアの胸が震えた。

(……わたし……
 殿下の魔力が……
 好き……
 あたたかくて……
 優しくて……
 生きているって……感じる……)

その瞬間、
エリシアの指先が微かに動いた。




光と闇の衝突の中で、
アルベルトは叫んだ。

「レオン!!
 エリシアは……
 君の所有物じゃない!!
 彼女は……
 “自分の意志で生きる人間”だ!!」

レオンの瞳が揺れる。

「……意志……?」

アルベルトは続けた。

「そして……
 彼女は“私の隣”を選んだ!!」

レオンの表情が崩れた。

「……嘘だ……
 嘘だ……
 エリシアが……
 兄上を……?」

黒い魔力が乱れ、
暴走が加速する。



そのとき――

かすかな声が、
黒い魔力の中に響いた。

「……殿下……」

アルベルトは目を見開いた。

「エリシア……!?」

レオンも振り返る。

「エリシア……?」

エリシアは、
震える声で続けた。

「……わたしは……
 殿下の……光が……
 好き……」

レオンの胸が裂ける。

アルベルトの胸が熱くなる。

精霊たちが光を散らす。

――エリシア。

――言った。

――殿下の光を選んだ。

レオンの魔力が、
一瞬だけ弱まった。

アルベルトはその隙を逃さない。

「レオン!!
 終わりだ!!」

光が爆発した。


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