妹に婚約者を奪われた冷たい令嬢は、辺境伯の溺愛で本当の美しさを取り戻す

丸顔ちゃん。

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第9話「家族の中で、私だけが余計な存在」

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式典での“誤解”から数日後。
屋敷の空気は、明らかに変わっていた。

食堂に入ると、父と継母、そしてミレイユが楽しげに話していた。

「ミレイユ、殿下に褒められたそうじゃないか」
「ええ、お父様。殿下、わたしのこと“明るくて可愛い”って」

ミレイユは頬を染め、嬉しそうに笑う。

父は満足げに頷いた。

「そうか……殿下は、明るい娘を好むのだな」

その言葉に、継母がわざとらしくため息をつく。

「リディアは……どうしてああも無表情なのかしら。
 殿下も退屈してしまうわ」

私は静かに席についた。

「……申し訳ございません」

謝る必要などない。
でも、謝るしかなかった。

ミレイユはスープを飲みながら、
わざとらしく私を見て言った。

「お姉様、殿下の前でもあんな怖い顔して……
 わたし、庇うの大変でしたのよ?」

(庇う……?)

胸の奥がひどく痛んだ。

父は眉をひそめる。

「リディア、お前はもっと愛嬌を持て。
 殿下の隣に立つ者として、ふさわしくない」

継母が続ける。

「ミレイユの方が殿下と相性が良いのではなくて?
 あの子は素直で可愛いもの」

その言葉に、
空気が一瞬で冷たくなった。

(……相性?)

私は静かに問いかけた。

「お父様……それは、どういう意味でしょうか」

父は平然と答える。

「殿下がどちらを選ぶかは、殿下次第だ。
 お前が選ばれるとは限らん」

その瞬間、
胸の奥で何かが音を立てて崩れた。

(私は……家族にすら、信じられていない)

ミレイユは嬉しそうに笑う。

「お姉様、殿下はわたしと話す方が楽しそうでしたわよ?
 お姉様は冷たいから、殿下も困ってましたもの」

継母が優しくミレイユの髪を撫でる。

「ミレイユ、あなたは本当に可愛いわ。
 殿下も、あなたのような子を望んでいるのよ」

私は静かに立ち上がった。

「……失礼いたします」

部屋を出ると、
背後から父の声が聞こえた。

「リディアは本当に扱いづらい娘だな」

その言葉が、
胸に深く突き刺さった。




廊下を歩きながら、
私はふと気づいた。

(……私は、家族の中で“余計な存在”なのだ)

努力しても、完璧でも、
誰も私を選ばない。

その孤独が、
静かに心を蝕んでいく。


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