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第18話「家から追い出すための婚姻――冷徹な辺境伯へ」
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婚約破棄の翌日。
屋敷の空気は、昨日よりも冷たかった。
私は呼び出され、応接室へ向かった。
扉を開けると、
父と継母、そしてミレイユが揃っていた。
父は書類を机に叩きつけるように置いた。
「リディア。
お前の処遇が決まった」
処遇――
その言葉に胸がざわつく。
継母が薄く笑った。
「あなた、もう皇太子妃ではないのだから、
この家に置いておく理由はないわ」
ミレイユが嬉しそうに言う。
「お姉様、殿下に捨てられたんですもの。
家にいても邪魔ですわよね?」
胸が痛む。
けれど、私は黙って聞いた。
父は書類を広げ、淡々と言った。
「北方辺境伯アレクシス・ヴァルター卿から、
“妻を探している”という話が来ている」
(……辺境伯?)
北方の領主。
冷徹で残酷、
“嫁いだ令嬢が三年持たない”という噂すらある人物。
継母がわざとらしく肩をすくめた。
「まあ、あなたにはちょうどいい相手じゃない?
どうせ誰もあなたなんて欲しがらないのだから」
ミレイユが笑う。
「お姉様、北方なんて寒くて荒れ地ばかりですわよ?
でも……お姉様にはお似合いですわ」
私は静かに問いかけた。
「……つまり、私を辺境伯に嫁がせると?」
父は頷いた。
「そうだ。
お前はもう家の役に立たない。
だが“嫁ぎ先がある”なら体裁が保てる」
(体裁……
私は、家の面子のための道具)
継母は冷たく言い放つ。
「断る権利なんてないわよ。
あなたはもう“捨てられた娘”なのだから」
胸の奥が、静かに軋んだ。
(……私は、本当に不要なのだ)
ミレイユが追い打ちをかける。
「お姉様、北方で凍えないように気をつけてくださいね。
まあ……すぐに死ぬかもしれませんけれど」
私は静かに頭を下げた。
「……承知いたしました」
父は満足げに頷いた。
「明日、辺境伯の使者が迎えに来る。
荷物をまとめておけ」
(明日……もう、ここにはいられない)
部屋に戻ると、
使用人たちが荷物をまとめていた。
「リディア様……申し訳ございません……」
私は静かに微笑んだ。
「大丈夫。
私は……行きます」
(どこへ行くのかも分からない。
どんな人が待っているのかも分からない。
でも――)
胸の奥に、
ほんの少しだけ、
冷たい風とは違う“何か”が揺れた。
(ここよりは……きっと、まし)
そう思った。
屋敷の空気は、昨日よりも冷たかった。
私は呼び出され、応接室へ向かった。
扉を開けると、
父と継母、そしてミレイユが揃っていた。
父は書類を机に叩きつけるように置いた。
「リディア。
お前の処遇が決まった」
処遇――
その言葉に胸がざわつく。
継母が薄く笑った。
「あなた、もう皇太子妃ではないのだから、
この家に置いておく理由はないわ」
ミレイユが嬉しそうに言う。
「お姉様、殿下に捨てられたんですもの。
家にいても邪魔ですわよね?」
胸が痛む。
けれど、私は黙って聞いた。
父は書類を広げ、淡々と言った。
「北方辺境伯アレクシス・ヴァルター卿から、
“妻を探している”という話が来ている」
(……辺境伯?)
北方の領主。
冷徹で残酷、
“嫁いだ令嬢が三年持たない”という噂すらある人物。
継母がわざとらしく肩をすくめた。
「まあ、あなたにはちょうどいい相手じゃない?
どうせ誰もあなたなんて欲しがらないのだから」
ミレイユが笑う。
「お姉様、北方なんて寒くて荒れ地ばかりですわよ?
でも……お姉様にはお似合いですわ」
私は静かに問いかけた。
「……つまり、私を辺境伯に嫁がせると?」
父は頷いた。
「そうだ。
お前はもう家の役に立たない。
だが“嫁ぎ先がある”なら体裁が保てる」
(体裁……
私は、家の面子のための道具)
継母は冷たく言い放つ。
「断る権利なんてないわよ。
あなたはもう“捨てられた娘”なのだから」
胸の奥が、静かに軋んだ。
(……私は、本当に不要なのだ)
ミレイユが追い打ちをかける。
「お姉様、北方で凍えないように気をつけてくださいね。
まあ……すぐに死ぬかもしれませんけれど」
私は静かに頭を下げた。
「……承知いたしました」
父は満足げに頷いた。
「明日、辺境伯の使者が迎えに来る。
荷物をまとめておけ」
(明日……もう、ここにはいられない)
部屋に戻ると、
使用人たちが荷物をまとめていた。
「リディア様……申し訳ございません……」
私は静かに微笑んだ。
「大丈夫。
私は……行きます」
(どこへ行くのかも分からない。
どんな人が待っているのかも分からない。
でも――)
胸の奥に、
ほんの少しだけ、
冷たい風とは違う“何か”が揺れた。
(ここよりは……きっと、まし)
そう思った。
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