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森の奥の魔女さん
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ルティ家にも、他の家同様にそれなりに広い庭園がある。
庭があるということは、もちろん手入れをする専任の庭師がいる。
庭師は一日のほとんどを庭園で過ごす。
水やりがあるため、朝日が登る前から作業に入り、昼休みを挟んでまた庭仕事、夕陽が落ちてきたら仕事終い。
また明日は反対のエリアの枝の剪定がどうの~
花がそろそろ季節的に入れ替えだから、今度商人に買付を頼もう~
だの、話しながら道具小屋へ片付けて使用人棟へ戻る用意をしていると・・
ふと、暗くなった庭園奥側にある森の中・・明かりが見えた。
森には足を踏み入れたこともないし、誰かが踏み入ることもない。
特に用があるようなこともないからだ。
しかし、この時は虫の報せか?ただの勘が働いたのか変な好奇心が湧いた。
一緒にそれを見た庭師仲間3人で、行ってみようとなった。
なぜ行こうと思ったのかはわからない・・
ランタンを片手に持ち、足元に気をつけながら森を進んでいく。
道中特に物珍しいものも無さそうだし、明かりがありそうなナニかもないしなぁ~
なんて話しながら歩みを進めていると、先頭を歩いていた一人が
「シッ!あっちに何か見えるぞ、ゆっくり行こう」
残り2人も頷いて続く。
「まさかこんなところに誰か住んでるのか??」
「うそだろ?どうやって生活するってんだ?」
「シッ・・静かにしねぇか」
「「う”、すまねぇ」」
そうこうして、進んだ先に見つけた。
小屋だ。
古びてもいなくて、普通に人が住んでいそうな感じがする。
”なんでこんなところに小屋??”
3人とも思考は同じ。
まだ数メートル離れてるが、これ以上は進まずに観察していた。
5分ほど経った時か、小屋の扉が開いて中から誰か出てきた!
こんなところで居座ってるなんて、どんな奴だ!!
と思い目を凝らしていると、
ムーングレーの腰まである長い髪を三つ編みでまとめて、黒いロングワンピースを着た女だった。
顔は朧気だが、オールドローズのような優しげな瞳だけが印象に残っている。
老婆ではないが、若いわけでもない。
彼女はただゆっくりとした仕草で小屋の入口近くにある鉢植えに水やりをしてから小屋へ戻って行った。
その後、10分ほど待ったが誰かが出てくる様子はなかった。
俺達はたぶん、この小屋の明かりが煌めいてたのを見たんだろうな。
現実と離れた世界でただポツンと佇む小屋は、どこか儚く明日には無くなってるかと思えるほど。
確認もしたし、これ以上の詮索は良くないと3人で引き返す。
戻ったお屋敷の敷地に着くとあっけないくらい現実に引き戻された。
あれはいったい・・俺達は何を見たんだ・・
その日のことは3人の中で留めて、一人また一人と引退するまで誰にも話すことはなかった。
そして最後の一人が引退しようとしていた間際、弟子の一人とその日の後片付けをしていたときのこと。
「そういえばな・・」
とおとぎ話のように語った。
”あそこの森の奥には魔女さんが住んでおる”
だが悪さをしたりはせん。
そっとしといてやりんさい。
何か見ても、心の中にだけ留めておくんじゃ。
よいな?
弟子にそう言い残した翌日、彼は引退して屋敷を去っていった。
弟子も師匠のその話をすっかり忘れていた・・
俺だけがあのことを知っている??
いまも森の奥にいるんだろうか?
まだ10代の庭師見習いにとっては好奇心をくすぐられてしまう。
彼がついに森へ足を踏み入れることになるのはもうすぐ・・
”魔女さんってどんな人だろう”
庭があるということは、もちろん手入れをする専任の庭師がいる。
庭師は一日のほとんどを庭園で過ごす。
水やりがあるため、朝日が登る前から作業に入り、昼休みを挟んでまた庭仕事、夕陽が落ちてきたら仕事終い。
また明日は反対のエリアの枝の剪定がどうの~
花がそろそろ季節的に入れ替えだから、今度商人に買付を頼もう~
だの、話しながら道具小屋へ片付けて使用人棟へ戻る用意をしていると・・
ふと、暗くなった庭園奥側にある森の中・・明かりが見えた。
森には足を踏み入れたこともないし、誰かが踏み入ることもない。
特に用があるようなこともないからだ。
しかし、この時は虫の報せか?ただの勘が働いたのか変な好奇心が湧いた。
一緒にそれを見た庭師仲間3人で、行ってみようとなった。
なぜ行こうと思ったのかはわからない・・
ランタンを片手に持ち、足元に気をつけながら森を進んでいく。
道中特に物珍しいものも無さそうだし、明かりがありそうなナニかもないしなぁ~
なんて話しながら歩みを進めていると、先頭を歩いていた一人が
「シッ!あっちに何か見えるぞ、ゆっくり行こう」
残り2人も頷いて続く。
「まさかこんなところに誰か住んでるのか??」
「うそだろ?どうやって生活するってんだ?」
「シッ・・静かにしねぇか」
「「う”、すまねぇ」」
そうこうして、進んだ先に見つけた。
小屋だ。
古びてもいなくて、普通に人が住んでいそうな感じがする。
”なんでこんなところに小屋??”
3人とも思考は同じ。
まだ数メートル離れてるが、これ以上は進まずに観察していた。
5分ほど経った時か、小屋の扉が開いて中から誰か出てきた!
こんなところで居座ってるなんて、どんな奴だ!!
と思い目を凝らしていると、
ムーングレーの腰まである長い髪を三つ編みでまとめて、黒いロングワンピースを着た女だった。
顔は朧気だが、オールドローズのような優しげな瞳だけが印象に残っている。
老婆ではないが、若いわけでもない。
彼女はただゆっくりとした仕草で小屋の入口近くにある鉢植えに水やりをしてから小屋へ戻って行った。
その後、10分ほど待ったが誰かが出てくる様子はなかった。
俺達はたぶん、この小屋の明かりが煌めいてたのを見たんだろうな。
現実と離れた世界でただポツンと佇む小屋は、どこか儚く明日には無くなってるかと思えるほど。
確認もしたし、これ以上の詮索は良くないと3人で引き返す。
戻ったお屋敷の敷地に着くとあっけないくらい現実に引き戻された。
あれはいったい・・俺達は何を見たんだ・・
その日のことは3人の中で留めて、一人また一人と引退するまで誰にも話すことはなかった。
そして最後の一人が引退しようとしていた間際、弟子の一人とその日の後片付けをしていたときのこと。
「そういえばな・・」
とおとぎ話のように語った。
”あそこの森の奥には魔女さんが住んでおる”
だが悪さをしたりはせん。
そっとしといてやりんさい。
何か見ても、心の中にだけ留めておくんじゃ。
よいな?
弟子にそう言い残した翌日、彼は引退して屋敷を去っていった。
弟子も師匠のその話をすっかり忘れていた・・
俺だけがあのことを知っている??
いまも森の奥にいるんだろうか?
まだ10代の庭師見習いにとっては好奇心をくすぐられてしまう。
彼がついに森へ足を踏み入れることになるのはもうすぐ・・
”魔女さんってどんな人だろう”
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