私が好きなのはあなたじゃないですよ?

夜明シスカ

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新しい居場所

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*昨日の続きになります。


そうして足を踏み入れた屋敷内は、とてもシンプルで上品な空間だった。
余計な物が無いというか、本当に飾りも最低限だけど凛としていた。
飾られている絵画は田舎の風景が1枚だけ、花瓶は優しさと温もりある手捻りの素焼きのようで、差されている花も野や家先にあるような素朴なもの。
日当たりの良いところには大きな観葉植物が置かれていて、その鉢もまた素焼きのシンプルなもの。

ゴテゴテしたのが好きじゃないシェリアーナにとっては好印象だった。

お屋敷なはずなのに、とても優しさが溢れて落ち着ける空間だ。

「ふわぁ素敵ねぇ・・」
と声に出ていて、みんなには笑われてしまった(苦笑)
ついでにトレイルさんにも・・
恥ずかしいじゃないっ

話しながら歩き、少し大きな扉の前に付いた。
コンコンコン
「旦那様、トレイルでございます。
お客様方をお連れしました。」
すぐに中から返事が返ってきた。
「あぁ、通してくれていいよ」
低くて落ち着いた声が応えた。
「だそうです、皆様どうぞお入り下さい」
扉を開けられて入室する。

部屋の主は窓辺で植物に水をあげていた。
人が入って来たことでこちらへ振り向いたその姿は、ミルクコーヒーのようなウェーブがかった柔らかいミルクブラウンの髪をマッシュショートにしていて、瞳は夕陽が空に溶けたような柔らかいオレンジ色だ。

こちらを向いて微笑んでくれる顔もまた、とっても穏やかさが伺える。

「ようこそ、モンス伯爵家へ。
私はモンス家当主、メロウ・モンスと申します。
王都から離れているので華やかさはありませんが、花や緑、動物も多く生息している自然の多い領地です。
自慢の心優しい領民たちも居ます。
話は通っていると思いますが、今一度問います。
どうかうちで働いていただけませんか?
人柄と仕事ぶりは事前情報として受け取っていますので、こちらからは問題ないと判断しました。
あとは、皆さんのやる気次第ですが、いかがでしょう?」

ルティ家という変なところで働いていた反動か、彼が真っ当すぎる人間に見えているのは当然だろう。
しかし、こちらに来るまでに見た領地や領民の様子、屋敷に入ってからの雰囲気も含めて、最高の環境だと思えた。
むしろ、このような方に仕えることが出来るとは有り難い。
みんな視線を合わせると、同時に頷いた。
「私たちは是非ともこちらでお仕えしたいと存じます。
何卒、よろしくお願いいたします。」

その返事を聞いて、ふふっと柔らかく微笑んで下さった。
「あぁ、僕もちょうど働き手を探していたのでね、親類の伝手とはいえ急なことで人が集まるのかと思っていたけれど、感謝しかないよ。
みんな来てくれてありがとう。
これからよろしく頼みますよ。
使用人の詳しいことは、そちらにいるトレイルから話してもらうからね。
あと、申し訳ないんだがうちにはまだ侍女長が居なくてね・・・
レナ、君が引き受けてくれると助かるのだけど、どうだい?」

「「「「「えっ」」」」」
来たばかりなのに、前職は無視の配置かと思っていたのに、まさか侍女長をそのままとは・・
みんなびっくりしているが、レナは心を決めたようだ。
「旦那様、私めに務まるのでしたら是非頑張らせて下さい!
精一杯モンス家のために仕えさせていただきますっ」
45度の綺麗なお辞儀をした。

メロウも満足そうに頷いた。

「では、みなさんトレイルの案内に従って下さいね。
他の使用人たちと顔合わせやらあると思いますよ。」

「「「「「ありがとうございましたっ」」」」」
そうしてトレイルに続いて主人の部屋を去って行くみんなに続き、シェリアーナも最後尾でくっついて歩いていくと、
「シェリアーナさんは、ちょっと残っていただけますか?」
と先程とは違った静かな声で言われた。
え??となりながら、使用人のみんなはそうしたほうがいいと頷きシェリアーナを置いて下がっていった。

どうして私だけ別なのかしら・・
まさか、使用人じゃない私は受け入れてもらえないとか?
どうしましょう・・
仕方ないけれど、せめて体調が戻るまではこちらで働かせて貰えるように交渉しなくてはっ

”いつまでもみんなに甘えてないで自分で居場所を作らなきゃ”



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