43 / 201
激動! 体育祭!
11
しおりを挟む
水瀬にハリガネムシをただプレゼントするのも癪なので、何かドッキリを仕掛けたいと思う。
何がいいかな。あいつ虫は得意なんだよな。虫に得意とかないけど、全然驚かない。
というか水瀬は基本的に驚かない。
昔あいつの実家にあるプロジェクタで一世を風靡した伝説級ホラー映画を見た時も、めちゃくちゃ“無”だった。
目の前で主人公が息を詰めて化け物から身を潜めてるのに、普通に音立ててポップコーン食ってた。イカれているんだと思う。
「何か手がありそうなものなんだけど」
今日は応援合戦の練習である。パネルでのパフォーマンスのため、ステージにそれぞれ並び指示通り赤青黄色のパネルを捲る。
これ全体像どうなってんだろ。
「田中さんがご思案されてる……」「コトを起こすつもり……ってぇことか」「Fクラスの奴らにシマを荒らされたこと、もうご存知で!?」「さすが田中さんだぜ」
周囲の喧騒は無視しておく。本当にやめてほしい。シマ荒らされたのは確かに良くないけど自分たちでどうにかしてくれ、怪我はしないでね。
いやでもこれ、俺が止めないと何かやらかすヤツだな。コミュ障は面倒ごとの気配に敏感なのである。特に信者と呼ばれる人らは、解釈次第でとんでもない方向に転換しがちだ。
「ま、今はいっか」
「……!? あいつらの事を見逃すってことか!?」「待て、田中さんにも考えがあんだよ」「今は泳がせる……ってことっすね……!」「何で懐がふけぇんだ、痺れるぜ」
これからはクラスでの言動も要注意だ。
祭り上げられて学校の不良なんて、冗談じゃない。俺は喧嘩が強い訳でもないのだし、殴り合ってわかりあう~なんて文化にもとんと縁がない。平穏に暮らせればそれで良いのだから。
「そこ! 私語するな!」
ヒェ、風紀委員長!
真面目な声で注意が飛ぶ。少し硬いところはあれど、あらゆる武道を嗜んでいる武藤様と渡り合う程度に風気委員長はお強い。伊達にこのカス治安高校で取り締まってきた訳ではないのだ。
……そのためか、血気盛んな我がクラスもきちんとしたがっている。血気盛んというか、獅童くんが何をしたのか下っ端不良みたいな言動が増えてきているのだが。
(俺の話もこのくらいは聞いてくれたらいいんだけど)
ふぅ、とため息を吐く。クラスに安寧がない。
高い笛の音に合わせてパネルを捲る音が静かに響いた。ブロック長が時折止めては全体の確認をしていて、それを休憩時間にとおしゃべりが増える。笛の指示が出ていない間は、そこまで厳しく取り締まられない。
(とはいえ……喋れる相手もいないんだけど……)
また溜め息。友達がいないってしんどい。
仕方がないのでひたすら前を見つめていたら、肩を軽く叩かれる。
何か粗相でもしてたかと慌てて振り返り──
「こうちゃん!」
「ん」
「どしたの……って、そっか! 生徒会!」
すぐ後ろにこうちゃんが座っていた。
そっか、生徒会って出入りあるから端っこの方に固められるもんな。俺も得点板あるから時々出るし。
多分向こうの端には他の役員も居るんだろう。
「良かったぁ、今日話しかけにいっていいのかな~って思ってた!」
「? いつでも良い」
「え~、でも不自然じゃない? こうちゃんテラス席で食べてるしさ」
「どうせ休日に会う……」
「そゆことじゃない、わかるかな~」
この青春感。というかワンオペ嫌って言った割にまだ店員するんだ、こうちゃんってもしかしてひまりさんに弱い?
料理練習してると伝えれば、こうちゃんが微かに笑った。前の方で親衛隊が倒れている。わかる、わかるよ……
「今度こそゲーセンリベンジ! グランドワンとかも行きたい」
「倒れる」
「調べたんだけど~、ちょっとずつ通ったら慣れるかもだって~! なにしろ、ハジメテだったからね~。おすすめゲームある?」
帰って聴覚過敏について調べたが、短時間ずつ長めに通えば慣れることもあるらしい。そうなれば今度こそあのテロンとした猫をとりたい。
「ワールド・オブ・ザ・デッド」
「ゾンビ撃ちまくるヤツ!? 意外~!」
「楽しい」
「エイム良さそ~」
何がいいかな。あいつ虫は得意なんだよな。虫に得意とかないけど、全然驚かない。
というか水瀬は基本的に驚かない。
昔あいつの実家にあるプロジェクタで一世を風靡した伝説級ホラー映画を見た時も、めちゃくちゃ“無”だった。
目の前で主人公が息を詰めて化け物から身を潜めてるのに、普通に音立ててポップコーン食ってた。イカれているんだと思う。
「何か手がありそうなものなんだけど」
今日は応援合戦の練習である。パネルでのパフォーマンスのため、ステージにそれぞれ並び指示通り赤青黄色のパネルを捲る。
これ全体像どうなってんだろ。
「田中さんがご思案されてる……」「コトを起こすつもり……ってぇことか」「Fクラスの奴らにシマを荒らされたこと、もうご存知で!?」「さすが田中さんだぜ」
周囲の喧騒は無視しておく。本当にやめてほしい。シマ荒らされたのは確かに良くないけど自分たちでどうにかしてくれ、怪我はしないでね。
いやでもこれ、俺が止めないと何かやらかすヤツだな。コミュ障は面倒ごとの気配に敏感なのである。特に信者と呼ばれる人らは、解釈次第でとんでもない方向に転換しがちだ。
「ま、今はいっか」
「……!? あいつらの事を見逃すってことか!?」「待て、田中さんにも考えがあんだよ」「今は泳がせる……ってことっすね……!」「何で懐がふけぇんだ、痺れるぜ」
これからはクラスでの言動も要注意だ。
祭り上げられて学校の不良なんて、冗談じゃない。俺は喧嘩が強い訳でもないのだし、殴り合ってわかりあう~なんて文化にもとんと縁がない。平穏に暮らせればそれで良いのだから。
「そこ! 私語するな!」
ヒェ、風紀委員長!
真面目な声で注意が飛ぶ。少し硬いところはあれど、あらゆる武道を嗜んでいる武藤様と渡り合う程度に風気委員長はお強い。伊達にこのカス治安高校で取り締まってきた訳ではないのだ。
……そのためか、血気盛んな我がクラスもきちんとしたがっている。血気盛んというか、獅童くんが何をしたのか下っ端不良みたいな言動が増えてきているのだが。
(俺の話もこのくらいは聞いてくれたらいいんだけど)
ふぅ、とため息を吐く。クラスに安寧がない。
高い笛の音に合わせてパネルを捲る音が静かに響いた。ブロック長が時折止めては全体の確認をしていて、それを休憩時間にとおしゃべりが増える。笛の指示が出ていない間は、そこまで厳しく取り締まられない。
(とはいえ……喋れる相手もいないんだけど……)
また溜め息。友達がいないってしんどい。
仕方がないのでひたすら前を見つめていたら、肩を軽く叩かれる。
何か粗相でもしてたかと慌てて振り返り──
「こうちゃん!」
「ん」
「どしたの……って、そっか! 生徒会!」
すぐ後ろにこうちゃんが座っていた。
そっか、生徒会って出入りあるから端っこの方に固められるもんな。俺も得点板あるから時々出るし。
多分向こうの端には他の役員も居るんだろう。
「良かったぁ、今日話しかけにいっていいのかな~って思ってた!」
「? いつでも良い」
「え~、でも不自然じゃない? こうちゃんテラス席で食べてるしさ」
「どうせ休日に会う……」
「そゆことじゃない、わかるかな~」
この青春感。というかワンオペ嫌って言った割にまだ店員するんだ、こうちゃんってもしかしてひまりさんに弱い?
料理練習してると伝えれば、こうちゃんが微かに笑った。前の方で親衛隊が倒れている。わかる、わかるよ……
「今度こそゲーセンリベンジ! グランドワンとかも行きたい」
「倒れる」
「調べたんだけど~、ちょっとずつ通ったら慣れるかもだって~! なにしろ、ハジメテだったからね~。おすすめゲームある?」
帰って聴覚過敏について調べたが、短時間ずつ長めに通えば慣れることもあるらしい。そうなれば今度こそあのテロンとした猫をとりたい。
「ワールド・オブ・ザ・デッド」
「ゾンビ撃ちまくるヤツ!? 意外~!」
「楽しい」
「エイム良さそ~」
224
あなたにおすすめの小説
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談?本気?二人の結末は?
美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。
それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。
友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!!
なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。
7/28
一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる