悪役令息に転生したので、死亡フラグから逃れます!

伊月乃鏡

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いざゆけ魔法学校

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けたたましいと感じるほどの光が網膜を焼く。召喚陣の奥に何か影が見えて、ゆら、ゆら、と揺れた。
紙の端が燃え──いや、何だこれは。黒いものに覆われているけど焦げ臭くはない。どちらかというと……ヘドロの匂い?

「うわ、くっせ!! お前何召喚したんだよ!?!?」

ヴィンセントが鼻を抑える。その反応がオーバーではない程度には教室内に異臭が広がっていて、俺は困惑していた。
魔力が──どんどん吸われていってる。

(どっ、どういうことだ!? 俺魔法なんて使ってないし、召喚にもほとんど魔力は不要って……ヴェ、気持ち悪!)

異臭と同時に酩酊感のような気持ち悪さのようなものが襲ってきた。吐き気がものすごい。上からも下からもなんか出そうだ、えっ、これキャンセルとか出来ない!? やばい、人権をかなり失う!!

「ちょ、ちょっと!? この臭いさせてるのだあれ!? 大丈夫!?!?」
「ゔえ、せんせい、アーノルドがぁ!」
「アーノルドちゃん!?!?」

教師側の方も何やらわちゃわちゃと混乱している。ヤバい、想定外ってこと!? なんで!?
こんな事件シナリオには想定していなかったはずだ、召喚術の手順的にも、こんなとは想定されていないはず。こういう時は大抵想定外のものやイレギュラーがあるはずで。

(──魔神????)

まさか。
魔神の力を封印しているからか、今までの魔法行使で魔神の存在が邪魔するようなことがなかった。
いや、魔法が使えないとかいう大きなデバフがかけられているわけだが。

だが同時に、強制的に魔力を引き出されるような──上限を勝手に解放されるようなこともなく。
当たり前だ、上限は自分で解放できないからこそ上限なんだから。

(そういえば、召喚術は初めてだ!)

魔神の存在で何かがトリガーになってしまったのだろう。

「ぅ……ぐっ、ぉえ!」

ヤバイヤバイマジで吐くこんなところで吐いたら人権が消失してしまう本当に。
口を押さえてうずくまるが魔力の流出が止まらない。魔神の魔力って俺じゃどうしようもないんだよな、制御もできないし使うこともできない。

「いっだい、なにが、……!」

ぐつぐつと汚い音と異臭が聞こえてくるような召喚術の紙から何かが這い出てきた。
ベタベタの黒い液体に覆われた、なんかヌメヌメする……

「…………へび?……」

ランプの光に反射すらしない何か、よくわからない、蛇のような生き物が召喚されて。
ヌルヌルと俺の方に這い出てくる。そのまま呆けていると、口の中に入ってきた。

「……!?!?!?!?!?」

本当に何ぃ!?!?!?!?!?


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