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二年目の魔法学校
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流石に未来の公爵が無機物生愛者はまずい。未来の公爵ルースかもしれんけど、ともかくまずい。
「そういうわけでお前らの性成熟ポイントを教えろ……! どうせ隠し持ってんだろそういう本とか!!」
「エーーンとんでもない職権濫用でござる!!」
「いつかそういう罪名つきそう!!」
知らないのか? セクハラって言うんだぞこういうのは。永遠に知らなくていい。
錬金部に箒をかっ飛ばして(文字通り)やってきた俺は、早速フィレオフィッシュに絡んでいた。
フィレオの方はとっくに遠くにいるが、俺の手元にフィッシュが奪われているため迂闊に動けない。
「大体セリオン殿のそういう……事情を部長が手助けって意味わからんでござる!! 実家とかに相談したらいいんでは!?!?」
「バカヤロそしたらフィレンツェから呼び戻されるだけに決まってるだろ。あいつのことだから屋敷に閉じ込めて娼婦使ってそういうことを叩き込むに決まってる」
「ヒェーーフィレンツェ怖!!」
「割と高位の貴族あるあるじゃね? 部長がそんなことねーから忘れてたわ」
俺はそもそも期待されてないからな。娼館の息子だから教えるまでもないと判断されたのと、もしかしたらセリオンが公爵になってくれないかと今の父親が期待していたから。
ともかく、セリオンの成長期を父親に今知られるわけにはいかない。オーロラ様は純粋に喜んでくれるだろうが、同時に父親を深く愛しているので盲目な可能性がある。今年は帰らんべきか?
「ともかく、俺は平和的な手法でセリオンを成長させたいんだ! 純粋培養なあの子に相応しいぬっるい奴、どうせお前持ってるだろフィッシュ。知ってるんだぞ、お前が純愛もので抜いてんの」
「ウワーーーーーッッなんかそういう犯罪とかないんでござるか!?!?」
個人情報の漏洩またはセクハラです。ただこの国にそんな法律も概念もないので無効ということでね。フィレオは意外そうに目をぱちくりとさせていた。熱血純粋系の顔をしているがコイツの性癖はエグい。
「つったってなぁ部長! 急になんか貸せって言われても困るぜ、セリオンってまだ十四? 十五歳だろ?」
「お前には聞いてないぞ【自主規制】【自主規制】モノの【自主規制】好きめ」
「え? ヤバ……」
「ウワーーーーーッッッ本気で引くなフィッシュ!!!!」
とりあえずフィッシュのコレクションを貸して貰えばいいのだ。それを自然と寝台の上に置いておき、俺は外出する。無難なところに折り目でも付けておけば開きやすくて完璧だろう。
まぁまだまだ成長期は序盤だし、最初は露出も少ない健全な奴でいいと思うけど。
「ま、まぁ正直、貸すのはやぶさかでもないでござる……拙者もセリオンくんは心配でござったし、家が息苦しいのは嫌でござる。少しでも嫌な思い出が無くせるなら助力するが……フィレオよりはマシだし」
「聞こえてんぞフィッシュ!!」
「だが、どう渡すつもりで? 兄にちょっとえっちな本渡されるとか人生の中でなかなか見ない恥辱でござるよ」
流石に俺もそこはわかってるからな。なんだそのいかにもやりそ~って顔は! 自慢げにちょっとえっちな袋綴じみたいな本を兄に渡されて素直に読むような弟でもないし、そもそも俺が吊るされて終わるだろそんなことしたら。
もう魔法じゃ勝てないんだぞ! 死期を早めたいとは言ってない。それがトラウマになる可能性あるし。
憤りながら作戦を話せば、フィレオフィッシュはそれぞれ顔を見合わせて、俺の顔を見てを二回ほど繰り返した。
「…………まぁ……それは…………多分成功はする……と思うでござるが……」
「対象が本じゃない可能性出てくるよな」
「え? 謎かけ? 無機物性愛者の道を突き進んでほしくないんだが」
「それは人間だと思うぜ! 人間というか、まぁうん人間ではある」
「ちょっと主語大きすぎるかもしれんでござるが」
何やらモニャモニャ言っている。そろそろヘッドロックをかけられてるのを忘れてんじゃないのかな、フィッシュ。
俺が首を傾げてみても、二人とも何も言ってくれなかった。何か言いたいことがあるなら直接言えばいいのに。
微妙な雰囲気が醸成され始めたところでアーチの方から声がする。二人分の言い争うような声、いつも通りセリオンとユミルが帰ってきたのだ。あの二人いまだに仲悪いんだよな。
「こんにちはー……って、何やってるんですか先輩!」
「エロ本のカツアゲにあってるでござるよ~!!」
「本当に何をやってるんですか??」
「やめた方がいいよそういうの」
「風評被害っちゃ風評被害!! ちょ、ユミルこっち」
流石に可愛い後輩に誤解されると困る……というか言い出したのはユミルなので、きちんと対策してるところを見てほしくて手招きする。
困惑しきりの後輩に作戦を告げれば、あからさまに嫌そうな顔をされた。
「まぁ……フィレンツェの過激さを考えれば分からないでもないですが…………ちゃんと忠告守ってます?」
「守ってるからこういうことしてるのでは?」
「いや……うーーん……まぁ運が良ければ……」
あれ、もしかしてこの作戦ヤバいか? よく分からんが、ユミルに反対されてるってことは何か相応の理由があるんだろう。
「まぁ面白そうなんでやってみたらどうです? 少なくとも女体の存在は知れますし!」
何……?
やっぱいいの……??
「うーん確かに、性癖の発展は本人がやることだからな……俺はその門口になるだけでいいのかも知れん」
「本当にそうですね」
「徐々に過激な内容にしてやる必要もないだろうな、大人になったら自分で漁るだろうし」
「本当にそうですね」
さっきからなんでそんな疲れた顔をしてるんだ……?
「そういうわけでお前らの性成熟ポイントを教えろ……! どうせ隠し持ってんだろそういう本とか!!」
「エーーンとんでもない職権濫用でござる!!」
「いつかそういう罪名つきそう!!」
知らないのか? セクハラって言うんだぞこういうのは。永遠に知らなくていい。
錬金部に箒をかっ飛ばして(文字通り)やってきた俺は、早速フィレオフィッシュに絡んでいた。
フィレオの方はとっくに遠くにいるが、俺の手元にフィッシュが奪われているため迂闊に動けない。
「大体セリオン殿のそういう……事情を部長が手助けって意味わからんでござる!! 実家とかに相談したらいいんでは!?!?」
「バカヤロそしたらフィレンツェから呼び戻されるだけに決まってるだろ。あいつのことだから屋敷に閉じ込めて娼婦使ってそういうことを叩き込むに決まってる」
「ヒェーーフィレンツェ怖!!」
「割と高位の貴族あるあるじゃね? 部長がそんなことねーから忘れてたわ」
俺はそもそも期待されてないからな。娼館の息子だから教えるまでもないと判断されたのと、もしかしたらセリオンが公爵になってくれないかと今の父親が期待していたから。
ともかく、セリオンの成長期を父親に今知られるわけにはいかない。オーロラ様は純粋に喜んでくれるだろうが、同時に父親を深く愛しているので盲目な可能性がある。今年は帰らんべきか?
「ともかく、俺は平和的な手法でセリオンを成長させたいんだ! 純粋培養なあの子に相応しいぬっるい奴、どうせお前持ってるだろフィッシュ。知ってるんだぞ、お前が純愛もので抜いてんの」
「ウワーーーーーッッなんかそういう犯罪とかないんでござるか!?!?」
個人情報の漏洩またはセクハラです。ただこの国にそんな法律も概念もないので無効ということでね。フィレオは意外そうに目をぱちくりとさせていた。熱血純粋系の顔をしているがコイツの性癖はエグい。
「つったってなぁ部長! 急になんか貸せって言われても困るぜ、セリオンってまだ十四? 十五歳だろ?」
「お前には聞いてないぞ【自主規制】【自主規制】モノの【自主規制】好きめ」
「え? ヤバ……」
「ウワーーーーーッッッ本気で引くなフィッシュ!!!!」
とりあえずフィッシュのコレクションを貸して貰えばいいのだ。それを自然と寝台の上に置いておき、俺は外出する。無難なところに折り目でも付けておけば開きやすくて完璧だろう。
まぁまだまだ成長期は序盤だし、最初は露出も少ない健全な奴でいいと思うけど。
「ま、まぁ正直、貸すのはやぶさかでもないでござる……拙者もセリオンくんは心配でござったし、家が息苦しいのは嫌でござる。少しでも嫌な思い出が無くせるなら助力するが……フィレオよりはマシだし」
「聞こえてんぞフィッシュ!!」
「だが、どう渡すつもりで? 兄にちょっとえっちな本渡されるとか人生の中でなかなか見ない恥辱でござるよ」
流石に俺もそこはわかってるからな。なんだそのいかにもやりそ~って顔は! 自慢げにちょっとえっちな袋綴じみたいな本を兄に渡されて素直に読むような弟でもないし、そもそも俺が吊るされて終わるだろそんなことしたら。
もう魔法じゃ勝てないんだぞ! 死期を早めたいとは言ってない。それがトラウマになる可能性あるし。
憤りながら作戦を話せば、フィレオフィッシュはそれぞれ顔を見合わせて、俺の顔を見てを二回ほど繰り返した。
「…………まぁ……それは…………多分成功はする……と思うでござるが……」
「対象が本じゃない可能性出てくるよな」
「え? 謎かけ? 無機物性愛者の道を突き進んでほしくないんだが」
「それは人間だと思うぜ! 人間というか、まぁうん人間ではある」
「ちょっと主語大きすぎるかもしれんでござるが」
何やらモニャモニャ言っている。そろそろヘッドロックをかけられてるのを忘れてんじゃないのかな、フィッシュ。
俺が首を傾げてみても、二人とも何も言ってくれなかった。何か言いたいことがあるなら直接言えばいいのに。
微妙な雰囲気が醸成され始めたところでアーチの方から声がする。二人分の言い争うような声、いつも通りセリオンとユミルが帰ってきたのだ。あの二人いまだに仲悪いんだよな。
「こんにちはー……って、何やってるんですか先輩!」
「エロ本のカツアゲにあってるでござるよ~!!」
「本当に何をやってるんですか??」
「やめた方がいいよそういうの」
「風評被害っちゃ風評被害!! ちょ、ユミルこっち」
流石に可愛い後輩に誤解されると困る……というか言い出したのはユミルなので、きちんと対策してるところを見てほしくて手招きする。
困惑しきりの後輩に作戦を告げれば、あからさまに嫌そうな顔をされた。
「まぁ……フィレンツェの過激さを考えれば分からないでもないですが…………ちゃんと忠告守ってます?」
「守ってるからこういうことしてるのでは?」
「いや……うーーん……まぁ運が良ければ……」
あれ、もしかしてこの作戦ヤバいか? よく分からんが、ユミルに反対されてるってことは何か相応の理由があるんだろう。
「まぁ面白そうなんでやってみたらどうです? 少なくとも女体の存在は知れますし!」
何……?
やっぱいいの……??
「うーん確かに、性癖の発展は本人がやることだからな……俺はその門口になるだけでいいのかも知れん」
「本当にそうですね」
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「本当にそうですね」
さっきからなんでそんな疲れた顔をしてるんだ……?
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