9 / 10
9 (※R18描写あり)
しおりを挟むルシエルは器用だ。やった事のない事でも、初めからある程度こなしてみせる。
だから、弄った事のない男の体でも……。
「あ、あ、あっ、ひっ…!」
「なんて感度だ…そなたは最高だ。」
「だれとっ…くらべて…っ、あっ!!」
猛った下半身を擦り付けながら乳首を舐めて、吸って、食んで、捏ねて。
長時間にわたる乳首責めにのたうちながら喘いでいるエンドリアのペニスだって、もう下穿きを広範囲に湿らせているくらい猛らせている。しかしルシエルに腰をがちりと押さえられているから逃げる事も休む事もできない。自分の口から漏れ出る嬌声が、自分のものであると認めるのも恥ずかしかった。
でも、気持ち良い。
今迄意識した事すらなかったこんな場所がこんなにも、と信じられない。
「誰とも。私が抱く人間は、そなたが最初で最後だ。」
「…え?なんっ…あう…、」
ルシエルの返答に思わず驚くエンドリア。
まさか、と思う。
まさか、ルシエルは誰とも肌を合わせた事が無いのか?
貞節を求められる女性と違って、妙齢の王族の男性は子を作る為に、ある程度の年齢になれば生殖行為のレクチャーがある。エンドリアと同じく王族の男子であるルシエルも、きっとそうだった筈なのに。
「嘘だ、そんな…だって、こんなに…っ…あ、ん!」
「こんなに?上手いと褒められていると思って良いか?」
「あぁぁああっ!!」
とうとう濡れた衣越しに擦り合わされていたペニスが爆ぜて、エンドリアは首と胸を反らしながら達した。
どくどくと断続的に溢れる白濁が薄い布を濡らす。
「ん…意地悪をしてしまったかな。」
自分も息を荒らげて、ルシエルがエンドリアの下肢の布を捲った。そこには、射精してやや力を失ったエンドリアのペニスが白濁に塗れるという淫靡な光景が。
「…これは…。」
なんと、いやらしいーー。
ルシエルはエンドリアの白濁を指先で掬い、自分の唇に持っていき、舐めた。
「…ルシ…なにを、」
かっ、と羞恥に頬を染め、男の子種を口にするなど、と諌めようとしたエンドリアの唇をルシエルの人差し指が塞いだ。
そして、エンドリアの榛色の瞳を真っ直ぐに見つめなながら、ルシエルは告げる。
「良いか。この先コレを、私以外の誰にもやるな。
もし、そんな事があれば…。」
指に残る白濁を舌で舐め取りながら、目を逸らさずに彼は残りの言葉を口にした。
「そなたの男根には私の名を彫り、相手は生かしておかない。」
「…誓おう。」
先程迄の羞恥も腹立ちも何処へやら。
ルシエルの眇められた眼差しに、エンドリアは素直に頷くしかなかった。
それに気を良くしたルシエルにすっかり衣を剥かれ、白濁塗れのペニスを舐められしゃぶられて、その温かな口の中で二度目の絶頂を迎えさせられてぼうっとしている間に、両脚を抱えあげられて後ろを舐め解された。
「初めては後ろからが易しいと聞く…。」
と言いながら後ろから挿入を試みようとしたルシエルの腕を掴み、目を見ながらエンドリアは言った。
「こんな、恥ずかしい事…おぬしにしか許さぬのだから、ちゃんと…おぬしであると確かめながらでなくては、嫌だ。」
そう言って、ルシエルの前で両脚を開いて迎え入れるように両手を広げる。
「抱きしめながら、貫いてくれ。」
エンドリアだって、怖いのだ。倣いにそって女は抱いた事はあっても、男を受け入れるのは初めてだ。そうした後に自分がどうなってしまうのか、不安だから、しっかり捕まえていてくれないと、困るのだ。
そんな事を考えながらしたその行動が、まさかルシエルの忍耐の糸をプツリと切ってしまう事になるとは露ほども思わず…。
「あ、ああああああ、あっあっあっ、あん、ダメだ、ひ、あ!!」
「ふっ…ああ、なんて締まりだ…。」
汗だくで腰をグラインドしながら、ルシエルは呻くように呟いた。全くエンドリアの体は何処もかしこも見事過ぎる。
ルシエルとそう変わらない長身に見合う長い手足は、鍛錬で鍛えられたしなやかな筋肉に覆われていて、締まった腰は愛撫に感じる度に見る者を誘惑するようにうねる。しかも挿入に至ると、最初こそ肉壁の抵抗にあったけれど、それが解れてくると腰を進める毎に奥へ奥へと誘い込まれる。ペニスを締め付ける肉の圧が、痛いくらいに具合が良い。そして、長い脚をルシエルの胴体に巻き付けてくるのだ。
(堪らない…。)
エンドリアの声から挿入の苦痛が消えてからは、夢中で穿ってしまった。獣のように腰を振り、汗まみれで抱きしめ合い密着して、奥に種付けをしたいと気持ちが高まる。
そしてとうとうその時が来て、エンドリアの中で爆ぜた時、少し遅れてエンドリアも達した。
ルシエルの独占欲が一気に満たされる。
未だ繋がったまま、くちづけをして、見つめあったサファイアと金の瞳。
2人はこの瞬間、何よりも強く結びついたのだ。
幼き頃の邂逅では何も起きなかった。物心ついた時に顔を合わせて、周囲に何かと比較されている事に、苛立ちを持ってお互いを見た。
成長して、再び会った時、見事な男に成長したエンドリアの勇壮な筈の槍舞をルシエルが何故か官能的に感じた時、2人の未来は決まったのだと思う。
それが逆ならまた違ったのかもしれないが、エンドリアはともかくとして、ルシエルは清廉で柔和な顔の裏に執拗で狡猾な性質も併せ持っている。それは幼い家から情報掌握に強い拘りを見せ、そのシステムの構築に力を入れた事からもわかるのではないだろうか。
狙ったら、逃がさない。どんな手を使っても。
それがルシエルの信条だ。
種明かしをすると、レトナスの街の復興工事の指揮を執るエンドリアを暗殺しようとした刺客。その刺客の存在と動向は、事前にルシエルの耳には入っていた。何故ならその刺客は、ルシエル達が秘密裏に捕えていたブルスの残党の一人であり、エンドリアを暗殺するようにとのブルスからの指示の手紙を偽装したのは、ルシエルの間諜だったからだ。そして、ブルスの矢で刺客を射たのも。
エンドリアを刺客から庇ったルシエルの右腕を掠めた刃。それに毒が塗ってあったのも事実だが、ルシエルはそれも知っていて敢えて受けた。第一王子という立場故に幼少時から暗殺に備えあらゆる毒に耐性をつけていたルシエルには、十二分に勝機があったからだ。
因みに毒などの異物は王族の体を汚すものだという考えのレトナス王族には、毒に体を慣らして耐性をつけるという考えは無く、常に数人の毒味役が控えている。エンドリアはルシエルが毒の耐性を持っている事は知らなかったから、それはもう心配して看病した。
耐性があるとはいえ、人間の体だ。平気な訳では無い。勿論解毒剤も服用したから症状は軽かったのだが、それなりには苦しんだ。熱は続いたし、発汗が続いた。そんなルシエルをエンドリアは献身的にルシエルを世話し、そうしている間にエンドリア自身のルシエルに対する気持ちも大きく変わった。
身を挺して命を救ってくれた事、自国を救われた事。その感謝は何時しか信頼と友愛を育んだ。
そして、それを得る為に、ルシエルはほんの少しだけ、計算ずくで自分を危険に晒したのだ。
全てはエンドリアの身も心も手に入れる為。
だがそれは、ルシエルが墓場迄持っていく秘密だ。
ルシエルとエンドリアの婚姻から2年程して、病床に臥していたザルツ国王アルバが崩御した為、ルシエルは若き王として玉座についた。その隣には勿論、エンドリアが並んでいた。
只、ルシエルがエンドリアの為に用意させたのは、王妃の椅子ではなく、自身の座るものと寸分違わぬ玉座だった。
ルシエルはエンドリアを、自分と同じ立場として扱った。この代、ザルツ王国には実質王が2人居たのだ。
ルシエルはザルツを帝国にしようと考えていた。だからこそ、自分と同等の力を持つ伴侶を欲した。
共に同じ方向を見て、誰よりも強く、何よりも強く結ばれ、決して裏切らない信頼出来る者が。
難しい戦を任せられ、または自分が戦地に赴いても国内を任せられる。そしてそれは、どんなに信頼に足る臣下でも駄目なのだ。
自身と同じ、王の器。
ルシエルはそれが、エンドリアであると直感した。
同じ歳に、隣合う国に生まれ、目を奪われる程に精悍で美しい。きっと彼こそは、天が自分に与えた半身、比翼だ。
彼と高みを目指せたなら、どんなに幸せな生涯になる事だろうか。
あの槍舞の日に、ルシエルはそう思ったのだ。
かくして2人の王を戴いたザルツ王国は、エンドリアの母国である隣国レトナスと共に、手始めにブルスを滅ぼした後、幾つもの戦いに勝利し、帝国となる礎を築くべく領土を拡大していく。その裏には当然、知謀に富んだルシエルの確立した諜報システムと武力・判断力に長けたエンドリアの力があった。
2人は18で同じ白い花婿衣装を纏った日から、生涯2人は友であり、兄弟であり、伴侶だった。
齢65を迎えたある寒い日の朝、同じ寝台で共に冷たくなっているのを、起こしに来た侍従に見つかるその時迄。
2人は文字通り、共に白髪となる迄添い遂げたのだ。
63
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
婚約破棄を提案したら優しかった婚約者に手篭めにされました
多崎リクト
BL
ケイは物心着く前からユキと婚約していたが、優しくて綺麗で人気者のユキと平凡な自分では釣り合わないのではないかとずっと考えていた。
ついに婚約破棄を申し出たところ、ユキに手篭めにされてしまう。
ケイはまだ、ユキがどれだけ自分に執着しているのか知らなかった。
攻め
ユキ(23)
会社員。綺麗で性格も良くて完璧だと崇められていた人。ファンクラブも存在するらしい。
受け
ケイ(18)
高校生。平凡でユキと自分は釣り合わないとずっと気にしていた。ユキのことが大好き。
pixiv、ムーンライトノベルズにも掲載中
断られるのが確定してるのに、ずっと好きだった相手と見合いすることになったΩの話。
叶崎みお
BL
ΩらしくないΩは、Ωが苦手なハイスペックαに恋をした。初めて恋をした相手と見合いをすることになり浮かれるΩだったが、αは見合いを断りたい様子で──。
オメガバース設定の話ですが、作中ではヒートしてません。両片想いのハピエンです。
他サイト様にも投稿しております。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
世界一大好きな番との幸せな日常(と思っているのは)
かんだ
BL
現代物、オメガバース。とある理由から専業主夫だったΩだけど、いつまでも番のαに頼り切りはダメだと働くことを決めたが……。
ド腹黒い攻めαと何も知らず幸せな檻の中にいるΩの話。
王子様の愛が重たくて頭が痛い。
しろみ
BL
「家族が穏やかに暮らせて、平穏な日常が送れるのなら何でもいい」
前世の記憶が断片的に残ってる遼には“王子様”のような幼馴染がいる。花のような美少年である幼馴染は遼にとって悩みの種だった。幼馴染にべったりされ過ぎて恋人ができても長続きしないのだ。次こそは!と意気込んだ日のことだったーー
距離感がバグってる男の子たちのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる